探蝶逍遥記

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キリシマミドリシジミの探索(7/28)

 昨年から虜になってしまったキリシマ探索、今シーズンのスタートです。昨年、4回も遠征した鈴鹿山脈のマイポイントに出かけました。今回の狙いはズバリ新鮮な♀の撮影。昨年の反省から午前1時55分自宅発、ポイントには午前4時50分着。早速長竿でペシペシ叩くと何と飛び出すのはトンボばかり(^^;; どうも昨年と様子が異なります。大岩が転がる渓谷をサーカスのように渡りながら、昨年一番蝶影の濃かった株を叩くとようやく1頭が飛び立ちます。どうやら目的の♀のようですが、梢の上に逃げてしまいました。弱々しく飛び立つ別のゼフがいました。こいつも下に降りてきてくれず、400mmズームで見てみるとウラクロの♀でした。
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D70S-VR84@400mm, ISO=800, F5.6-1/160、-1.0EV、撮影時刻:7時31分

 渓谷にはマンサクの類が豊富にあるためでしょう、生き残りの♀が何頭か飛んでいました。しかし肝心のキリシマはどこに隠れているんでしょう? 昨年の経験から♂は6時過ぎから活動を開始します。しかし、8時まで待ちましたが、遠くの樹冠付近で1回だけ、それらしき銀白色のフラッシングを確認したのみ。昨年、「ご神木」 と小生が呼んだ開翅テリポイントには虚しくトンボが止まっているだけです。
 結局このポイントでの探索を早々と諦めました。そこで勝手に小生がポイント②と呼んでいる谷間に移動。ここでも全く静寂の世界です(爆)。諦めてお次はポイント①へ移動。ここの叩き出しでようやく1頭の♂が飛び出し、以後この♂を徹底的に追跡してみました。

 彼が逃げ込んだのはこんな茂みの中。
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D70S-VR84@210mm, ISO=640, F9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、調光補正-0.7EV、撮影時刻:9時50分

 派手なキリシマの裏面ですけど、意外と茂みの中では目立ちません。うっかりすると居場所を見失う位です。暫くして、この茂みに朝の光が差してきました。キリシマ♂裏面の銀白色が一番美しく輝く場面でしょう。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F9-1/125、-0.7EV、撮影時刻:10時03分

 この♂、かなりスレた個体ですが、「腐ってもキリシマ?」の諺通りです。斜光線に鈍く輝く銀色は何回見ても溜息が出ます。この後、不用意にカメラが枝に触れてしまい、別の梢に移動。こちらは光量がたっぷりで助かりました。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F7.1-1/320、-0.3EV、撮影時刻:10時21分

 欠けた後翅の隙間から覗く緑色のチラリズム。これ、ゼフ撮影の醍醐味ですね。この後、この個体は岩の転がる渓流に。吸水行動か?と思いきや、単なる岩陰での休息だったようです。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F4.6-1/21、-0.7EV、撮影時刻:10時25分

 鈴鹿渓谷の特徴は花崗岩。その花崗岩の色合いと♂裏面の銀白色もなかなかの取合せだと思いました。やはり広角での撮影は嫌いなのか?またまたこの個体は飛び立って葉上へ。ここは渓谷の情景を撮り入れて再び横位置広角。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F5.1-1/36、+0.3EV、撮影時刻:10時40分

 昨年撮れなかった♂広角写真までサービスしてくれたこの個体。動きは大変不活発でした。空中戦バトルに敗れた歴戦の兵なのかもしれませんが、昨年も結構新鮮な個体が林内で静止している光景を見かけました。キリシマ♂は6月下旬~7月中旬に羽化した後、精細胞が成熟する7月下旬~8月上旬にようやく活発に探雌行動・テリ張りをスタートさせると言われています。さて、↑の個体、その成熟を待っている個体なのか?それとも単なる寿命末期の♂なのか?いろいろと疑問が沸いてきました。

 ところで、ポイント③にはえらく元気良く、銀白色のフラッシングで高速飛翔するシジミがいました。犯人?はこの子です。
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D70S-VR84@400mm, ISO=400, F7.1-1/640、-1.0EV、撮影時刻:9時20分

 本来はキリシマが陣取るアカガシの葉先でテリを張っています。右上隅にアカガシの休眠芽が観察できます。まだ十分に発育していない状態ですね。ウラギンと言えば、この日最後に探索した清流沿いには新鮮なウラギン♂が吸水に訪れていました。久しぶりに飛翔にトライ。渓谷の雰囲気を少しは出せたかな?
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D70, ISO=640, F5.6-1/2000、-1.3EV、撮影時刻:12時34分

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D70, ISO=640, F7.1-1/2000、-1.0EV、撮影時刻:12時34分

 この後、キリシマの影を求めて更に数箇所のポイントを探索。遠目にもアカガシがビッシリ生えている深い渓谷をじっと眺めていました、しかし、♂のチェーシングタイムになっても1頭も姿を見かけませんでした。キリシマの発生には隔年毎の波があると言われています。アカガシ休眠芽の発育の良否に隔年周期があるからだとの仮説です。今年はそのハズレ年なのでしょうか?昨年の♂乱舞を眺めているだけにちょっと心配です。♀だけに狙いを定めた今回の探索、♀はおろか、♂開翅も撮れない状況の中、♂閉翅の様々なシーンが撮れたのは収穫でした。
by fanseab | 2007-07-29 21:34 | | Comments(20)

魚露目にトライ(7/22)

 「虫の目レンズ」を開発したプロの昆虫写真家・K林さんが撮影された写真は小生にとって衝撃的でした。まるで昆虫達が擬人化されたような独特な世界。特にバッタが海を眺めながら望郷の念?に耽っている写真は永遠に記憶に残ることでしょう。

 さて、その虫の目レンズを、有難いことに素人でも簡単に使いこなせるように開発してくれたのがF社で、その製品名は『魚露目8号』。既にブログ仲間では、「Nature diary」 のtyさん、「蝶と山・てくてく写日記」 のBさん、「蝶の観察記録-十勝蝶の覚書new」のmさんがこのレンズを用いて、夫々素晴らしい画像をアップされています。小生も堪えきれず、急に物欲が刺激されて、思わずネット販売で「ポチッ」をやってしまいました  (^^;;
 4月に購入したコンデジ、GX100のフードアダプターに装着した魚露目8号です。
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 なおGX100のズーム最長端(15.1mm)でもCCD上のイメージサークルが不足して、ケラレが生じますので、以下掲載する写真はすべてトリミングしております。

 7/22の日曜日、雨が上がった9時前から神奈川県・多摩川縁のマイフィールドに繰り出しました。ヒメウラナミジャノメがうじゃうじゃ飛んでいるので、まずは、こいつにレンズを向けてみました。どの程度まで接近できるか?試行錯誤です。斜め正面から一番接近できたのが、この写真。
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GX100-gy8, ISO=100, F5.6-1/270、撮影時刻:9時3分

 複眼から背景まで合焦するパンフォーカス性能はさすがです。このような逆光状況で使う専用ストロボ照射システムを工夫する必要がありそうですね。引き続き、開翅写真。
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GX100-gy8, ISO=100, F5.6-1/189、-0.3EV、撮影時刻:9時4分

 この程度の画像なら、何も虫の目を使わずとも、コンデジ単体でも実現できる映像でしょう。ただし、レンズ口径が小さいため、順光下で、被写体(表翅)に影が映りにくい特性はメリットです。

 お次はヤマトシジミ。
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GX100-gy8, ISO=100, F5.6-1/380、-0.3EV、撮影時刻:9時9分

 ヤマトはこの日、一番接近し難い相手でした。しかし体毛や、鱗粉の載り具合等、中心部の緻密な描写は期待以上で、驚きました。背景まできちんと合焦してしまうので、撮影ポイントがすぐにバレバレになってしまいますね。珍品ではブログ上でのアップが厳しくなりそうです(^^;;

 ある程度、使い方に慣れたところで、街中の公園に場所を変え、植栽のハギを観察していると、ちょうどルリシジミの♀が産卵の真っ最中。
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GX100-gy8, ISO=100, F6.3-1/350、-0.7EV、撮影時刻:10時43分

 腹端がよく見えるアングルでもう一枚。
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GX100-gy8, ISO=100, F6.3-1/270、-0.7EV、撮影時刻:10時49分

 産卵の途中、一休みする♀はよく開翅してくれます。斜め上方からのショット。
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GX100-gy8, ISO=100, F6.3-1/68、-0.7EV、撮影時刻:10時54分

 いずれも(コンデジ+虫の目)の組合せならではの、とてつもなく深い焦点深度に驚きです。ざっと使った感想を述べますと、成虫画像も無論、魅力がありますけど、むしろ卵・幼虫・蛹のような幼生期の被写体に対し、深い焦点深度を活かした環境写しこみ写真に威力を発揮してくれそうな感じです。今後、フィールドでいろいろ試してみたいと思います。

by fanseab | 2007-07-23 22:15 | 機材 | Comments(22)

再びクロシジミ(7/15)

 台風4号に戦々恐々としていた日曜日。今朝起きてみるとあらまあ! 晴間が覗いています。どうせ大雨だから昨日の遠征疲れを癒そう・・・としていたプランが狂いました(^^;;

 大慌てで機材をまとめて速攻で朝6時に出撃です。今日は三重県北部~滋賀県南部を下見がてらウロウロと探索。台風はまだ抜けきっていないため、山間部は霧や小雨状態。至る所で大きな木の枝が道路を塞ぎ、国道も落石で通行止め等、台風の被害は深刻です。それでも来シーズンに備え、「美味しそうな好ポイント」が数箇所見つかり、収穫がありました。

 昼前に昨日訪れた滋賀県南部のクロシジミポイントへ到着。昨日は雨中の撮影で中途半端に終わったのでデジ一眼撮影を目論見ました。どんよりと曇って雲の流れも速く、物凄い蒸し暑さ。クロシジミの活動には最適のようですが、姿が見えません。ようやく♂と思われる小ぶりの個体を発見。脚立によじ登り、確認するとどうやら♀。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F4.1-1/143、-0.3EV、撮影時刻:11時30分

 続いて90mmマクロで一枚。
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D70, ISO=500, F5.6-1/640、-0.7EV、撮影時刻:11時33分

 広角、90mmマクロ共に脚立の最上段に登り、左手で小枝を手繰り寄せ、右手でシャッターボタンを押す曲芸撮影ですけど、意外と上手く写ってくれました(^^) 

 ♂の開翅シーンを期待すれども、♂は出現してくれません。そのうち、大柄な♀が低い潅木にまとわりつくように飛び、脚立不要の高さに止まってくれました。
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D70, ISO=500, F5-1/1000、-0.3EV、撮影時刻:11時46分

 この個体の裏面を冒頭にご紹介した個体と比較してください。かなり白化が進んでいることがわかります。おまけに黒班が発達して極めてメリハリの効いたデザインになっています。普段はあまり意識しない、このシジミ外縁部の楔模様も極めて綺麗です。

 ややあって、開翅してくれました!表翅にも黒班が浮き出ており、白斑点も出現しています。これまで小生が出会った♀で一番の別嬪さんに敬意を表して、少し大きめの画像を貼ります。
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D70, ISO=500, F5-1/500、撮影時刻:11時47分

 開翅中は、カメラに敏感で、少し位置を移動するとすぐに翅を閉じます。この個体を追いかけているうち別の個体に出会ったので、縦位置広角でバックの雑木林を入れて撮ってみました。これも脚立に登っての撮影です。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F4.1-1/153、-0.3EV、撮影時刻:12時00分

 この個体の裏面斑紋は↑でアップした2個体とはまた微妙に変化していることがわかります。クロシジミの裏面斑紋のバリエーションを追ってみるのも面白いかもしれません。

 結局♂には出会えなかったものの、♀の綺麗な開翅シーンをゲットできて、今日も満足すべき遠征になりました。

[7/16追記]
 兵庫県南部において、昨日はアブラゼミ、そして本日、クマゼミの初鳴きを観測しました。台風4号が過ぎて真夏モードに突入したようです。
by fanseab | 2007-07-15 22:48 | | Comments(22)

雨中の「クロ」探索(7/14)

 蝶屋にとって嫌がらせのように週末にやってきた台風4号。
 「よりによって3連休を食いものにしよって。。。ごっついシバイたるでぇ!」・・と最近、愚痴る時は何故か関西弁になってしまいます。しかし、大雨にビビッているようでは蝶屋は勤まりません。大雨洪水警報発令の中、京都府南部に突撃です。狙いは昨年のこの時期と全く同じ、クロヒカゲモドキとクロシジミのタブルターゲット。

 現地、6時着。早朝は雨量が少ないと楽観的に出発したものの、モドキポイントは既にシトシトピッチャン状態(^^;; 1時間近くの探索で坊主。未発生なのか、大雨を恐れて雲隠れしているか不明です。そこで狙いをホソバセセリに切り替えました。こいつを保険に使えるのがここのポイントのメリット。農道脇から飛び出すセセリはこの時期、すべてホソバです。

 まずは新鮮な個体に狙いを定め90mmマクロで。
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D70, ISO=500, F3.5-1/250、-1.0EV、撮影時刻:7時26分

 このセセリの美点である縁毛も綺麗に表現できて一安心。少し明るめの環境に止まった個体もパチリ。
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D70, ISO=500, F5-1/200、-1.0EV、撮影時刻:8時05分

 こちらは背景のボケが前の画像よりベターですが、肝心の縁毛がちょっぴりスレています。この辺が生態写真の難しいところですね。いずれにせよ、降雨の暗い環境で、左手に傘を持ち、右手でカメラをホールドする撮影は手ブレに神経を使いますねぇ!

 雨降りの農道脇で佇む個体の表現は、やはり広角が効果的です。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F4.6-1/28、-0.7EV、撮影時刻:7時33分

 モドキのポイントでは、ササ(マダケ?)の葉に残された明らかにジャノメチョウの仲間と思われれる食痕を発見しました。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F4.6-1/18、-0.7EV、撮影時刻:6時47分
 
 葉を裏返してみると、いたのはモドキではなくクロヒカゲの終令幼虫。体長は45mm位。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F4.6-1/34、-0.7EV、撮影時刻:6時47分

 モドキの幼虫によく似ていますが、食草も違いますし、尾端の突起も短い特長があります。

 さて、一通り、ホソバも撮影できたので、この後、モドキの既知ポイントを含めモドキが好きそうな林縁をウロウロ数箇所探索するも、やはり姿は確認できず。途中、林縁のササ林でコチャバネセセリの幼虫巣を発見。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F6.5-1/5、-0.7EV、撮影時刻:9時06分

 ササの葉の先端を閉じる巣の特徴で直ぐにコチャバネと推定できます。巣を明けると、脱皮直前の2令?幼虫が入っていました。黒い頭部の下に次令の頭が白く浮かび上がってきています。
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GX100@5.1mm, ISO=200, F2.9-1/17、撮影時刻:9時10分

 もう1頭はもっとおチビさん。こちらも2令でしょうか?
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GX100@5.1mm, ISO=200, F6.5-1/12、撮影時刻:9時8分

 いずれの個体も雨降りに巣を明けられて水没状態。コチャバネ君ゴメンナサイね!

 そこで、お次は明るい草原で、クロシジミ探索にスイッチを切り替えました。雨は益々強くなってきて、時間との戦いです。最初のポイントは坊主だったので、次なる既知ポイントへ。クロシジミの生息地には必ずススキがつきものですね。晴れていればまだしも、雨降り時のススキって始末に終えません。雨ガッパも着用しない探索なので、下はずぶ濡れ状態。トホホです。1時間近く探索して、ようやく♂を発見。
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GX100@5.1mm, ISO=200, F5-1/143、-0.7EV、撮影時刻:9時57分

 アングルが悪いので、右に変えようと移動したら飛ばれてしまいました(^^;; 更に探索すると、フラフラっと、重たそうな個体が飛び立ちました。追い駆けて見ると、新鮮な♀でした。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F3.9-1/52、撮影時刻:10時13分

 止まっている葉は当地の発生木の一つと推定される、ヤシャブシです。雨中の雰囲気を出そうと構図を変えようとした瞬間、またも飛ばれて梢の上に消えていきました。やはり左手に傘、右手にコンデジのスタイルは思い通りにはいきませんね。10時20分、このスタイルでの撮影も困難なほど雨脚が強くなったので撤収です。

 土砂降り覚悟で出かけた探索行。何とか小雨状態の間にそれなりの成果が挙げられてホッとしました。
by fanseab | 2007-07-14 21:45 | | Comments(18)

南ベトナム遠征記 (7)セセリチョウと吸戻し行動

 長らく連載してきたこのシリーズ、今回は科別編成の締めくくりとして敏速に飛び回るセセリチョウ達をご紹介しましょう。特に今回遠征では、吸水(吸汁)した液体を腹端から一旦排出して、再度ストローで吸い取る「吸戻し行動」を頻繁に観察できましたので、重点的にアップしたいと思います。

 公園内を走る林道上では、マダラチョウやジャノメチョウに混じって、高速で飛び回って吸水するセセリチョウの姿がいやでも目に止まります。まずは、オキナワビロウドセセリ(Hasora chromus)。
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D70, ISO=500, F5.6-1/1250、撮影時刻:7時56分

 落ち着きなく、吸水ポイントを頻繁に変えていくので、イライラしながらの撮影になります。

 お次は細長い前翅形が特徴のタイワンアオバセセリ(Badamia exclamationis)。
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D70, ISO=500, F9-1/125、+0.7EV、撮影時刻:13時24分

 アオバの和名とは裏腹に褐色のセセリですので、薄暗い場所で目線を切ると、すぐに見失ってしまいます。

 昼食後の撮影を終え、ロッジの玄関口でカメラザックを降ろし、腰を下ろして休んでいると、これまた不意に出現したのは、セナキバネセセリ(Bibasis sena)。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F7.2-1/14、+0.7EV、撮影時刻:15時11分

 近くで飛び回るとブーンと羽音が聞こえます。赤く縁取られた肛角部が印象的。ここでも人間の汗が最良のトラップとなったようです(^^) 本種も吸い戻し行動中のようです。それにしてもどうやって、汗の臭いを嗅ぎ付けるのでしょう?

 一方、シロシタセセリ(Tagiades属)は開翅で静止します。ところが、暗いジャングル内で出会った個体は、何れも葉裏にベタっと隠れるような開翅ポーズ。下草の低い位置に止まるので、デジ一でもコンデジでもちょっと撮影が困難。こんな画像を撮るのが精一杯・・・。仮にガナシロシタセセリ(T.gana)♂としておきましょう。
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D70, ISO=500, F5.6-1/40、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時54分

 いったい、彼らをどうやってまともに撮影すればいいのでしょうか?ネットで採れば簡単、でも撮影は困難・・・・。この時ほど、それを痛感したことはありませんでした。

 どこの遠征先でも同定に悩まされるのがチャバネ系セセリ。今回アップした下記画像は一応、トガリチャバネセセリ(Pelopidas agna)と同定しましたが、自信はありません。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F4.6-1/440、-0.3EV、撮影時刻:7時12分

 同様に生態写真だけからは同定が困難なグループがキマダラセセリ類(Potanthus属)。無理やりコンフキウスキマダラセセリ(P.confucius )としてみましたが、これまた全く自信ありません。背景の立派な建物は公園内の会議場です。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F8.1-1/45、-0.3EV、撮影時刻:8時17分

 さて、今回遠征で最も印象に残ったセセリと言えば、ポルスヒメチャバネセセリ(Halpe porus)。
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D70, ISO=500, F9-1/250、+0.7EV、撮影時刻:11時22分

 チャバネセセリとチャマダラセセリを足して2で割ったような独特な裏面。縁毛も小生好みの破線模様。誰でも同定できるセセリ初心者に優しい種ですね(^^) 暗いトレイルではゲストが落としていったポリ袋に付着していた液体を吸い戻ししておりました。
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D70, ISO=500, F10-1/20、+0.3EV、内蔵ストロボ、調光補正-0.3EV、撮影時刻:12時40分

 このセセリ、裏面が見えない開翅状態では、他のチャバネ系セセリとの区別が難しくなります。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F7.2-1/55、+0.7EV、撮影時刻:11時17分

 いつも東南アジア遠征では、独特な斑紋のセセリ撮影を夢見るのですが、今回も若干期待を裏切られた感じです。雨季のど真ん中に行けば、少しは豊穣なセセリ群に出会えるのか?これからも宿題が続きそうです。

 ほぼ二ヶ月、7回にわたって連載してきた南ベトナム遠征シリーズ。お楽しみ頂けたでしょうか?結局、この遠征で観察できたのは合計93種類。そのうち、撮影成功種は87種類に上りました。実はこの公園、UNESCOが世界で411番目に指定した「生物圏保護区:Biosphere Reserve」でもあります。その UNESCO公式サイト 上では、457種類の蝶が記録されているとの記載がありますので、今回遠征でその約1/5を観察できたことになります。連載したブログ記事にアップできなかった種群については、別途、本体HP に「南ベトナムの蝶」ギャラリーを新設し、ここでお楽しみ頂きたいと思います。
by fanseab | 2007-07-08 22:14 | | Comments(22)

梅雨空の下で

 この週末、土日出勤をしておりました。ただ、本日(7/1)は午前中に実験データが揃ったので、午後からマイフィールドの宝塚市郊外に出撃しました。ターゲットはズバリ、ミドリシジミの開翅シーン! ところがお天気は生憎の梅雨空。現地15時到着ですが、小糠雨が降っています。早速、ハンノキを検すると、ミドリシジミの幼虫巣跡が見つかりました。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F4.6-1/17、-0.3EV、撮影時刻:15時06分

 さて、成虫ですが、梢を叩き出すとゼフらしき個体が結構飛び出しますが、雨模様なので、個体識別ができません。傘を差しながらの長竿振りは疲れます(^^;; メガネも曇ってきて最悪の状況。それでも16時過ぎに一旦雨が上がり、ようやく褐色系シジミが飛び出して梢の上に。脚立によじ登り、400mmズームで証拠写真をゲット。
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F9-1/500、+0.3EV、
内蔵ストロボ、撮影時刻:16時15分

 この後、彼らの活動がやや活発になって、かなり低い位置に止まってくれました。とは言うものの、脚立と400mmズームでやっとこさです。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F9-1/500、+0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:17時07分

 夕陽が出れば開翅も・・・の期待も虚しく、また暗い曇り空に逆戻り。高い梢では卍飛翔が始まりました。その塊が上手く低い位置に降りてきたので、慌てて400mmズームを200mmにセットしてストロボ併用で乱射。ヒトコマだけ、ミドリシジミと認識可能な絵が切り取れました。
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D70S-VR84@200mm, ISO=500, F7.1-1/500、-1.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:17時29分

 この後、彼らは地上数10cmの低い位置まで飛行を続けていたので、広角にレンズ交換をしたのですが、交換が完了したら、卍が解けていました。「くやしー!」地上に降りてくることが最初からわかっていたら、広角で狙っていたのに・・・、暫く歯軋りをしておりました。

 ミドリシジミ開翅シーンはものに出来ませんでしたが、今日はとても嬉しいことがありました。雨模様の中、超新鮮なヒョウモンがハンノキに止まりました。最初はメスグロの♂かな?と思いましたが、よく見るとオオウラギンスジヒョウモンの♂でした。
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GX100@15mm, ISO=100, F7.9-1/48、-0.3EV、撮影時刻:15時23分

 本種の♂撮影は小生初体験。しかもド完品です。笑いが止まりません。続いて♀もゲット。左後翅の欠けが残念ですが、小生大好きな♀に出会えて幸せです。
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F9-1/500、+0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:16時27分

 ♂は薄暗くなっても吸蜜に熱心でした。
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F8-1/320、内蔵ストロボ、撮影時刻:17時03分

 ところで、↑とは別の♀を撮影していた時のことです。ファインダー内で妙に翅をバタつかせたので、変だな?と思って視線をファインダーから梢に移すと、何と、交尾していたのです!! それにしても凄い早業。時間にして1-2秒で交尾完了です(左が♀です)。
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F9-1/500、+0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:16時42分

 ♂も興奮したでしょうが(笑)、初めてこの現場に立ち会った小生は大興奮。ヒョウモンの中でもお気に入りのオオウラギンスジの交尾に出会えたのは本当にラッキーでした。この後、落ち着きなく、すぐにお隣の梢の下に(右が♀です)。
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F9-1/500、+0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:16時43分

 もう少し、低い位置に降りて!の願いも虚しく梢の上に消えました。詳細に観察できませんでしたが、交尾飛翔形式は恐らく(←♂+♀)だったと思います。

 天気予報は完璧に雨。出陣するか?かなり迷いましたが、ミドリシジミ卍飛翔の一端とオオウラギンスジ交尾画像ゲットの思わぬ収穫を得ました。やはり、フィールドに出れば、それなりのご褒美があるな~ってつくづく感じた一日でした。
by fanseab | 2007-07-01 22:58 | | Comments(22)