探蝶逍遥記

カテゴリ:甲虫( 3 )

フィールドに潜む可愛いモンスター:その2

 前回ご紹介したアカハネナガウンカに引き続き、今回は甲虫のゾウムシ。鼻の長さがデフォルメされたゾウムシ類の外観はモンスターとしての資質を十分に備えていると言ってよいでしょう。現在も新作が製作中の米国・某宇宙戦争映画シリーズでは、ユニークな姿形の異星人が登場します。その中には明らかに昆虫から着想を得たと思われるキャラクターがありますね。恐らくキャラクターデザイナーは日夜昆虫・動物図鑑と睨めっこしながら、モンスターキャラを具現化していくのでしょう。
 さて、6月にルリシジミ母蝶が産卵に忙しかったイタドリの葉上に赤褐色のゾウムシが静止しておりました。その名もズバリ、カツオゾウムシ(Lixus impressiventris)。

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D71K-85VR,ISO=200、F8-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時49分(7月下旬)

 粉が吹いたような質感は確かにカツオブシ表面にソックリ。ただ色合いは実物より少し赤味が強い印象。ノッソリとした印象ですが、意外と落ち着きがなく、深度合成画像撮影は失敗。
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D71K-85VR(トリミング),ISO=200、F8-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時52分(7月下旬)

 複眼が鈍く光ることもあって、「ゆるキャラ」の要素タップリですね。ここでは頭部を強調したいので、コンデジを使っての魚露目画像にも挑戦。
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TG4@18mm-gy8,ISO=200、F4.9-1/100、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時16分(8月中旬)

 しかし敏感で、ご覧のようにすぐにレンズに尻を向けて逃げてしまい、この程度の画像を撮るのが精一杯。「ならば、正面突破・・・」と、一気に頭部に魚露目レンズを接近させると葉裏に逃げ、挙句の果てにポロリと地面に落下してジ・エンド(^^; カメラマン泣かせのモンスターでした。
 普通種とされるこの子ですが、イタドリの葉どこにでも観察できる種ではありません。どちらかと言えば日陰の葉上を好み、1m四方程度の局所に数頭群れている程度。また、葉が赤い若い株には全くおりません。昼間、逃げられてばかりの失敗を繰り返したので、夕方は活動が鈍化するはずと仮定して、再撮影を試みると忽然と姿を消しておりました。成虫はイタドリの葉を、幼虫は茎を食する完璧な「蓼食う虫」の仲間でもあります。
by fanseab | 2016-08-16 20:55 | 甲虫 | Comments(2)

外来甲虫「オオタコゾウムシ」の幼虫

 先日、拙宅近くの多摩川縁でモンキチョウの越冬幼虫探索をしておりました。多摩川縁で本種幼虫が利用する食草はシロツメクサもしくはカラスノエンドウと推測しておりまして、この日はシロツメクサに絞って根気良く群落の根際を探索しました。しかし目的の幼虫が探し出せず諦めかけていたその時、コロコロと小さく丸まった鱗翅類と思われる緑色の幼虫を地表より発見。

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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時53分
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時55分


 体長はせいぜい6mm程度。背面には赤色に縁取られた鮮やかな白線があります。一見してシロチョウではなくシジミチョウ幼虫の雰囲気。ただこの時期マメ科を食う幼虫越冬のシジミでこれほど鮮やかな緑色を呈す種類はありません。蛾の幼虫かな?と思って帰宅して調べてみると、何と、ゾウムシの1種、オオタコゾウムシ(Donus punctatus もしくはHypera punctata)の幼虫でした。その和名から「太田」氏の発見した「コゾウムシ」なのか・・・と勝手に推測しましたが、そうではなくて、「大きい」「タコゾウムシ」の意味でした。初めて耳にする昆虫の和名解釈は難しいですね。中点や句読点を入れて、「オオ・タコゾウムシ」と表記してあれば、当初管理人が犯した判断ミスはなくなるのでしょうけど。

 さて、更にネットで調べてみると、この昆虫は環境省が調査中の侵略的外来種リスト候補種」(外部リンクにリストアップ(No.320)されている問題種であることも判明。何でも国内では1978年に初めて神奈川県で発見され、現在はどうやら全国的に分布を拡大した様子。原産地は欧州でその後アメリカに分布を拡げ、ここ日本に到達してきた昆虫。欧州原産だけあって寒い冬場も幼虫で越冬し、しっかりクローバーを摂食可能な強者でした。結局この日、目的のモンキチョウ幼虫は発見できなかった一方、オオタコゾウムシ幼虫は複数個体発見できました。モンキチョウと言えば多摩川河川敷でももちろん普通種ですが、食草シロツメクサの競合種である外来甲虫が案外モンキの個体数に影響を与えているかもしれません。アカボシゴマダラがあっという間に関東全域に分布を拡げたように、我々蝶屋の眼につかない場所でオオタコゾウムシのような外来昆虫が徐々に在来昆虫を駆逐していく・・・・。鮮緑色の幼虫を眺めながら、改めて侵略的外来種の怖さを知らされました。
by fanseab | 2014-01-28 22:25 | 甲虫 | Comments(4)

北ボルネオ・キナバル遠征記:(10)甲虫類とナナフシ

 7月30日にトガリシロチョウをご紹介してから、国内蝶に集中していたため、ボルネオ遠征記は中断しておりましたが、久しぶりに再開します(^^;; 蝶類は一休みして、キナバルで出会った甲虫類・ナナフシのご紹介です。今回は天候の関係もあって、下草に止まっている昆虫類にもレンズを向ける機会が多かったと言えます。管理人は、クワガタ・カブト類を除き、甲虫については全くの素人ですので、この分野に詳しい読者の方に同定して頂けると、有難いです。先ずはゾウムシの1種。 ++画像はすべてクリックで拡大されます++
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GX100@5.1mm, ISO=100, F9.1-1/30、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:4月29日、9時49分

 接近戦でよく葉からポロッと落下することが多いような気がしますが、この子はおとなしくしてくれて助かりました。お次は、メタリックグリーンに輝く体長10mm弱の甲虫。
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D40-1855@52mm-gy8, ISO=1600, F32-1/15、-3.7EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:5月1日、9時32分

 カミキリモドキ科でしょうか?触角の先端の飾り?が凝った作りです。続いて、公園本部で宿泊したロッジの灯火に誘引されたボルネオオオヒラタクワガタ(Dorcus titanus)の♂
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D40-10.5-X1.4TC, ISO=200, F13-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:4月30日、7時10分

 国内のクワガタショップでは80mm級の個体も販売されていますが、これは体長40mmの小型個体で内刃の形状も大型個体とはかなり雰囲気が異なります。かなり弱っていて自力歩行も困難な状態でしたが、油断して刃に噛まれました。結構痛かったです! 大型個体なら出血していたことでしょう。

 キナバル公園本部内の照明塔に止まっていたのはナナフシの仲間。
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D40-10.5, ISO=200, F10-1/60、-0.3EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:4月30日、9時40分

 国内でみかけるものとさほど変わりはありません。しかし、灯火に集まってきたにせよ、擬態の名手であるナナフシが、こんな人工物に止まっていてはすぐに人間様?に見つかってしまいますね。

 ポーリン温泉に移動してからも灯火にはいろいろな昆虫類が集まってきます。先ずはモーレンカンプオオカブト(Chalcosoma moelenkampii)の♀
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D40-10.5-X1.4TC, ISO=200, F10-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:5月3日、6時52分

 モーレンカンプはボルネオの固有種で、管理人は前回ダナムバレー遠征で小型の♂個体に出会っています。♂もそうでしたが、♀の脚はテナガコガネのように長大で、凄い力で、しがみつきます。撮影時にもご覧のようにベッドのシーツをしっかり摑んでおります。朝方、離してやると、ブーンという大きな羽音を立ててジャングル内に帰っていきました。お次はクロツヤムシの仲間。種名はわかりません。
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D40-10.5-X1.4TC, ISO=200, F10-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:5月3日、6時49分

 掴むと「キューキュー」音を立てます。他の個体や幼虫達と共同生活をするこの甲虫、艶々とした黒が印象的です。灯火に集まる甲虫類では、ツヤクワガタ(Odontolabis属)等、Dorcus属以外の種も期待したのですが、これには出会えずガッカリしました。次回は蝶に戻り、シジミチョウシリーズが始まります。ご期待ください。
by fanseab | 2008-12-07 20:47 | 甲虫 | Comments(8)