探蝶逍遥記

カテゴリ:蝶( 896 )

幼虫2題@川崎市北部

 昨日に引き続き、ムラツ狙いで、同じ公園に出向きました。但し、朝から曇り勝ちでなかなか日が射さず、少し諦めモード。そこで、幼虫探しに切り替えました。まずは、この近辺で分布拡大しているアカボシゴマダラです。彼らの好むエノキの幼木を中心に探索すること1時間、2頭を見出すことができました。この公園では成虫も観察されていることから、危惧した通り、世代が回り始めており、この公園で確実に定着し始めていることを示していました。
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R1@5.6mm, ISO=200, F3.6-1/39、-0.3EV

 体長は20mm程度。恐らく3令でしょう。特徴のある4対の突起が目立ちます。幼虫が付いていた幼木の高さはいずれも60-80cm程度。本当に低い株を好むようです。これから落葉した後、樹上越冬するのか、下に下りて落葉に潜むのか?継続観察をしたいと思います。

 続いて、植栽のツツジの上にヤマノイモが蔓延っているのに注目。ちょっと探すとダイミョウセセリの若令幼虫の巣跡が多数みつかりました。
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R1@5.6mm, ISO=200, F3.6-1/26、-0.3EV

 ところが、肝心の幼虫はなかなか見つけられず、やっとのことでヤマノイモの葉上に巣も作らずにノンビリしている3令?幼虫を発見。
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R1@5.6mm, ISO=200, F3.6-1/97、-0.3EV、撮影時刻:10時56分

 巣はどこにあるんだろう?と探しましたが、どうやらないようです。その後ムラツ探索から戻ってきた1時間後、覗いてみると、器用に葉をくり抜いて、葉を折り曲げる真っ最中でした(幼虫は垂直に立った葉の裏で見えません)。
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R1@5.6mm, ISO=200, F3.6-1/203、-0.3EV、撮影時刻:12時10分
 
 最初に観察した際は、造巣の前にノンビリしていたのでしょう(^^) ダイミョウは終齢幼虫で越冬するようです。できれば、この個体も継続観察しようと思います。ムラツは結局坊主でした(^^;;
by fanseab | 2006-11-04 20:18 | | Comments(14)

秋の陽だまりを楽しむ@川崎市北部

 文化の日(11/3)は、気象学的に「晴れ確率」が極めて高い特異日として知られています。こんな日に家にいるのは勿体ない・・・と、近くの公園にコンデジ片手に出かけました。
そよ風が吹く本当に日向ぼっこが気持ち良い天候です。まずは、チラチラ飛ぶヤマトシジミ。もちろん狙い目は青♀。二番目に出会った個体は飛翔中も結構青く、これを追い回すこと5分間、ようやく落ち着いたところをパチリ。
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R1@5.6mm, ISO=200, F5.9-1/410、-0.7EV、撮影時刻:11時19分

 まずまず青いですが、12月上旬頃には更に青いのが期待できそうです。尾根筋から谷あいに降りて、カシの木に囲まれたスポットに移動します。梢の上でチラチラとシジミの影。やがて手前の木に舞い降りたのはムラサキシジミの♀。
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R1@5.6mm, ISO=200, F5.9-1/440、-1.7EV、撮影時刻:11時28分
 
 小生、本年最初のムラサキの撮影です。ピーカンに近いので普段より目一杯アンダー気味にしてようやく深い紫色が表現できました。いつもこのシジミの露出設定には苦労させられます。さて、ムラサキと言えば、兄貴(姉貴)分のツバメさんも気になりますが、残念ながらこちらは小生の前に姿を見せず。このスポット、ムラツバの集団越冬に適した湿っけのある南面。もう少し寒くなってから来ようかな?

 さて、ムラサキシジミを追いかけ始めた時、小生の後ろでデジ一をぶら下げた紳士の視線がシジミを追いかけているのに気がつきました。挨拶してお話を伺うと、なんと!小生愛読のブログ:フィールドノートのTさんでした。目的は同じだったようで、この陽だまりで暫くムラサキシジミを追いかけながら、蝶・カメラ談義。初対面でしたが、ブログ上で何回も会話しているので、旧知の間柄のような感じでお話できました。Tさん、今日はいろいろな情報有難うございました。遠征とは異なり、のんびりと秋の日差しを楽しみながらの蝶観察。癒される文化の日でした。
by fanseab | 2006-11-03 18:09 | | Comments(14)

本体HPの更新:北タイの蝶

 本年3月末に遠征した北タイの蝶画像整理がブログの更新に追われて滞っていましたが、久しぶりに4科9種を追加しました。詳細は本体HP:「北タイの蝶」ギャラリーを参照願います。追加更新した蝶は以下の通り。

アゲハチョウ科:オオベニモンアゲハ、モンキアゲハ
シロチョウ科 :アカリスカザリシロチョウ、ムモンキチョウ
シジミチョウ科:リュウキュウウラボシシジミ、ホリイコシジミ、カクモンシジミ
タテハチョウ科:インテルメディアチビイシガケチョウ、フタオチョウ

 上記9種類の中で、日本国内で確実に見ることのできるのはモンキアゲハ、リュウキュウウラボシシジミ、ホリイコシジミ、フタオチョウの4種類です。その中でフタオチョウ(Polyura eudamippus)はご存知の通り、沖縄本島北部の森林部に生息しており、沖縄産は、表翅外縁黒色部が顕著に発達した亜種(ssp. weismanni)として稀有な存在です。ところが、最近のweb情報によれば個体数が激減しているとか。フタオチョウの分布として、ほぼ北限であることから沖縄県の天然記念物扱いとなっていますが、ヤンバルクイナ同様に、生息地の生態系が危機的な状況にあるようで今後が心配です。↓は今回、HPにアップした北タイ産のフタオチョウ(ssp.nigrobasalis)の画像。
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D70S-VR84@400mm, ISO=400, F9-1/500

 白を基調にした高貴な佇まいの裏面、一方で豪快な飛翔力を併せ持つ、小生お気に入りのタテハチョウです。
by fanseab | 2006-11-01 23:59 | | Comments(6)

香港遠征(10/6-9):その3

 さて、台湾勢と別れた後、一路、九龍半島の北西部に向けドライブです。ただ、残念なことに雲行きが怪しくなり、今にも降り出しそうな感じ。元朗(ユンロン)付近で会長さんから別の会員さんにドライバー・車をバトンタッチ。会長さんにはお礼を言って、ここでお別れ。しばらく走って行きついた先は、標高300m程度の低い山。「さあ、山頂を目指しましょう!」と言われましたが、小生ちょっと登山をする体力・気力もなく、麓に残ることにして、途中で合流した若手の昆虫屋さん数名が荒れた山に登って行きます。この麓、4WD車がダートトライヤルに使っているような乾燥した荒地。スゲ類にサルトリイバラやゼンマイが混じる環境で、丁度東播磨のヒメヒカゲポイントのような雰囲気。
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 しかし、ここは何も期待できないな・・・とボンヤリ歩いていると、何と路傍の葉上にキマルリ!相当なスレ品で尾状突起も一部欠けていますが、斑紋を検すると午前中、出会ったロヒタとは微妙に異なるシャマキマダラルリツバメ(Spindasis syama)。
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D70, ISO=500, F8-1/125、-0.3EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:13時55分

 日本だと、ハリブトシリアゲアリのホストとなる古びた桜や松の木が周辺にあるはずですが、このポイントには古木も無く、ここ香港のキマルリと同居する蟻さんは一体、どんな植物をホストにしているのか?考え込んでしまいました。このキマルリ、複数の個体を検したところ、いずれもかなりのスレ品。どうやら、本種を狙うには時期が遅すぎたようです。

 次に埃っぽい道路脇に飛ぶ灰色シジミを追いかけて撮影。タイワンツバメシジミ(Everes lacturnus)の♀でした。
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D70, ISO=500, F8-1/40、内蔵ストロボ

 日本では九州南部で絶滅危惧種扱いの珍品ですが、ここ香港では外道?扱いのシジミとなります。ただ撮影した裏面を良く見るとなんとなく変!どうやら後翅の1部が羽化不全で外縁部の白化した変異個体でした。

 埃っぽいダートコース?を離れて、入口に駐車している林縁に戻ると、焦げ茶色のジャノメが薄暗い草叢に出現。相当敏感で、追い回した挙句、ようやく撮影に成功。ウスマダラシロオビヒカゲ(Lethe rohria)♀でした。南西諸島で見られるシロオビヒカゲよりも前翅の白帯がキリリとして印象的なヒカゲチョウです。
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D70, ISO=500, F4.5-1/160 

 山頂を目指した仲間もようやく戻ってきた様子。聞いてみるとさしたる成果もなかった由。やれやれ一緒に登らなくてよかった(^^;; 午後3時過ぎ、今度は全員で、夕方ヒルトッピングしてくる蝶を是非探そう・・・と別の山に移動。「エーッ、また登山ですかあ~」と小生。ドライバーの某氏曰く「昨日登られた馬鞍山に比べれば、なあに、丘みたいなもので、簡単ですよ・・」と安心させる台詞。ただ、昨日のこともあるので、こっちも慎重になります。急に朝食から何も食べていないことに気が付き、別れ際に会長さんから頂いた月餅(丁度、香港は中秋の名月を祝う時期で月餅を食す習慣あり)を車中で頬張り、昼食代わりとします。

 さて、件の「丘」(とんでもない、立派な「山」じゃないか!!)に到着。少々疲労気味の小生の姿を見かねて、ドライバー氏が折りたたみ式のアルミ製杖を貸して下さる。このポール、滑りやすい山道を歩くのには優れもの。杖の助けも借りて、ようやくピッチを上げて山を登ります。見晴らしが開けてくると、不思議なもので、元気が出てきてますます登りのピッチが上がり、中腹の小ピークにたどり着きました。腰を下ろして給水していると、風に乗って突如淡いブルーのタテハが出現。ヒルトッピングしてきたアカボシゴマダラでした。暫く待つと、数が増えて常時5頭のアカボシがテリ張り争いで壮絶なバトルが始まりました。新鮮、ボロ入り混じった争いでしたが、どういう訳か、少しスレた個体が勝利したようで、見晴らしの良い場所を占有しました。
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D70, ISO=500, F4.5-1/400、撮影時刻:16時00分

 日本では神奈川県下で放蝶個体が拡散している札付き?のゴマダラチョウです。小生は幼虫はともかく、成虫を見るのはこれが初めて。慣れてくると、すぐにアカボシと断定できるようになりました。ただ飛翔中は淡いブルーの印象が非常に強く、肛角部の赤班は静止して初めて気が付くといった感じ。小ピークの岩場に立っていると、アカボシが小生にまとわりつくように周回飛行をします。これは飛翔写真撮影のチャンスと考え、超広角レンズに交換して恒例の連射スタートです。ピークに立つ会員氏をバックにしたショットをご覧ください。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500, F7.1-1/500、-0.3EV、内蔵ストロボ(調光補正-0.3EV)

 夕方、それも曇りの条件下なので、どうしてもストロボがやや露出オーバー気味になり、多少不自然な画像になっているのは容赦願います。小ピークでのバトルにはお馴染みのヒメアカタテハやアカタテハ、これにセセリ類も加わって飽きの来ない眺めでした。さて、本日のフィナーレを飾るのは実はアカボシではなくて、最も期待していたタカネフタオシジミ(Tajulia cippus)♂です。アカボシを観察した小ピークを離れ、ほどなく山頂に立つと、360度の展望が広がります。新界地区北西部の豊かな田園風景は素晴らしい眺めでした。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=320, F6.3-1/40、+0.3EV

 この山頂にタカネフタオがヒルトッピングしてくるとのこと。来るには未だ早い・・・とひたすら山頂で風に吹かれながら「その時」を待ちます。そうして、16時15分頃、やっと1頭が飛来。素晴らしく俊敏なシジミです。ヤドリギ食いのこのシジミ、普段は樹冠で昼寝していて夕刻、上昇気流に乗って山頂でテリ張りをする独特な行動を有するようです。その後、数が増え、都合3頭の♂が飛来。キリシマミドリシジミ♂を思わせる壮絶なバトルの開始です。静止写真を撮ろうとレンズを向けると突然、スクランブル発進して撮影できない・・・。7月下旬に鈴鹿で体験した全く同じシーンが再現されます。それでもようやく粘って新鮮な個体の閉翅シーンの撮影に成功。
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D70, ISO=500, F8-1/400、+0.3EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:16時32分

 灰白色の裏面、外縁部を走る黒い破線、非常にシンプルかつ、高貴な佇まい。4本ある尾状突起も長く、シジミ好きでなくても涎が垂れる蝶でした。少しスリスリした後翅からは表翅のブルーがチラリと覗いています。閉翅写真を撮ってしまうと、後は「早く開かないかなあ・・・」と思うのが人情。その小生の思いが通じたのか、ついにご開帳です(^^) 初日の項でご紹介したイチジクシジミよりも更に鮮やかで明るいブルーが輝いています!!疲労困憊の中、登山し、山頂で粘った苦労が報われた瞬間です。これぞ蝶撮影の醍醐味と言えましょう。今回遠征のベストショットに近いので、少し大きめの画像を貼ります。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F8-1/320、-0.7EV、内蔵ストロボ(調光補正-0.3EV)、撮影時刻:16時46分

 撮影に夢中で気が付くと、既に陽が沈みかけた午後6時。満足感一杯で下山しました。もちろん、登りとは異なり、下山はウキウキしてあっという間に降りてしまいました。一緒に撮影に付き合って頂いた地元の皆様。本当に有難うございました。次回は香港滞在最終日の観察日記をお伝えしましょう。
by fanseab | 2006-10-29 22:12 | | Comments(14)

「絶滅の危機にあるチョウ類とその保全展」見学(10/28)

 ブログ仲間の方が出展されていると聞き、土曜日の午前中にでかけました。新宿御苑を訪れるのは、本当に久しぶりです。地下鉄・新宿御苑前駅から数分で、目的のインフォーメーションセンターに到着。 
 午前中なので、訪問者の数が少なく、じっくり拝見させて頂きました。展示されている作品(↓の写真の右側のコーナー)はいずれも素晴らしい出来栄えで、普段PCのディスプレイ上でモニターするのとは違い、印画紙上で大伸ばし作品を拝見するのは、迫力が違います。
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 11時からは「極東ロシアの自然と動植物」につき、N氏が撮り貯めた素晴らしい作品群が最新鋭のフラットTVを使って紹介されました。極東ロシアに残る貴重な大湿原や草原に住む昆虫・植物達が息を呑む美しさで紹介され、一枚毎に出席者から溜息が出ていました。これは必見でしょう。小生はシロモンコムラサキの吸水集団の画像に涎が出ました。引き続き日本チョウ類保全協会事務局の方から、保全運動について、パワーポイントで要領良く活動のポイントが紹介されました。「某野鳥の会」会員数4万人に対し、本会会員は未だ350名程度のこと。小生も遅ればせながら入会手続きをする予定です(^^;;

 会場を後にした後、周辺を探索。マテバシイの素晴らしい群落があるので、日光浴開翅を狙ってムラサキツバメを探しましたが、高速で飛ぶ1頭を確認したのみ。「ひこばえ」の幼虫や落葉の下の蛹も発見できませんでした。で、遊歩道に面したハギの周りに注目。ゆっくりと飛ぶキチョウを追っていくと、蛹をみつけることができました。こちらはまだ「絶滅の危機」にはないようです(^^)
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R1@6.2mm、ISO=400、F3.8-1/330、-0.3EV

 ちょっと目線を切るとハギの葉と同化してしまう素晴らしい保護色ですね。明日の東京地方はちょっと天気が悪いようですが、蝶観察がてら、保全展を鑑賞されたらいかがでしょうか?なお、日曜日は終了時刻が15時までと少し早めに終わるのでご注意あれ。

【お知らせ】
香港遠征:その(3)は画像の一部ファイルが壊れてしまい、修復に時間がかかっております関係上、更新に手間取っております。何とか明日遅く更新予定です。しばらくお待ちください。
by fanseab | 2006-10-28 19:10 | | Comments(14)

ヤクシマルリシジミの探索(10/21)

 香港遠征以来、久しぶりの国内撮影です。前日夜の天気予報では関西地方はなんと快晴!さて、どこに行こうか?何を撮ろうか?と悩んだ挙句、ヤクルリの様子を見ることに。小生、南アジア産はともかく、国産ヤクルリ(ssp. ishigakiana)は未だきちんと撮影していないのです。昨年12月の探索で発見した大阪府南西部のポイントに直行。朝7時40分着。さすがにひんやりとしています。蝶が飛ぶ前にこのポイントの食樹であるウバメガシを検すると、すぐに終齢幼虫を発見。
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R1@5.6mm, ISO=200, F3.6-1/104

 ムラサキシジミのように巣を造ることなく丸見え状態です。触ったショックでご覧のように体を丸めてしまい、次の瞬間地面に落ちてしまいました。どうやら振動を感知すると落下する習性があるようです。ギンイチモンジセセリではこのような習性を知っていますが、シジミの幼虫なのでビックリ。さて、地面に落ちた後、15分位は仮死状態でじっと動かず、その後、モゾモゾ元の株めがけて歩き始めました。幼虫の大きさを記録するために置いた10円玉の横を通り過ぎる終齢幼虫です。体長は約13mm。
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D70, ISO=500, F14-1/200、+0.3EV

 落ちた地点から株まで、70cmの距離を40分かけて辿りついたようです。素晴らしき帰巣本能に脱帽!9時を過ぎると畑の周辺でヤマトシジミが飛び始めました。青い♀はいないかなあ?とキョロキョロしていると、突然小さいブルー系シジミがカボチャの葉の上に止まりました。待望のヤクルリ♂の登場です。控えめに開いた表翅のブルーは深みがあり、フォトジェニックなシジミです。
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D70, ISO=500, F11-1/500、-0.7EV、撮影時刻:9時19分

 この個体はすぐに飛び立ち、暫くしてやってきた別の個体はほぼ全開してくれました(^^) ただ、よく見るとスレています。一枚目の写真と比較すると、このシジミ、縁毛、特に前翅の縁毛の幅が極めて狭く、羽化直後はともかく、飛翔を繰り返すとすぐに剥げ落ちるデリケートなものであることがわかります。
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D70, ISO=500, F9-1/1250、-0.7EV、撮影時刻:9時37分

 暫く♂個体は林縁の畑の下草で舞っていましたが、10時を過ぎて体が暖まると、高さ2m位の梢の上でテリを張るようになります。こうなると、もはや90mmマクロでは始末に終えない距離になります。2m近傍に別の♂が接近するとすごいバトルが始まります。そのスピードといったら、まるでゼフ並の俊敏さです。この辺がナミ?ルリシジミと全く異なる性質です。小生定番の400mmズームでテリ個体を狙って見ました。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F7.1-1/640、-0.7EV、撮影時刻:10時22分

 このポイントではもう事態に変化がなさそうなので、少し別のポイントに移動。民家の生垣の近くで飛び回っているシジミを検すると、どうやらヤクルリの♀。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=800, F18-1/640、-0.3EV

 彼女が飛び回っているのはウバメガシではなくてどうやらヤマモモのようです。ゆっくりと飛んでヤマモモの新芽に接近。そうです!!予期しなかった(実は大いに期待していた?)産卵シーンです。
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D70, ISO=500, F8-1/640、撮影時刻:11時13分

 今日は何とついているんでしょう!!あっさりとヤクルリ♀の産卵シーンまでゲットできちゃいました。そして、産卵を終えると、そのヤマモモの上でご開帳。
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D70, ISO=500, F8-1/800、-0.7EV、撮影時刻:11時17分

 最近、青いヤマトシジミが巷のブログで話題になっていますが、「私の美しさを忘れないでね!」と言わんばかりの艶姿。特に後翅外縁側の青色鱗粉の散らし方が抜群に思えます。暫くこの母蝶を追いかけて日光浴シーンや産卵シーンを撮り続けていたんですが、生垣脇の民家のガレージの柱にハラビロカマキリの♀が獲物を狙っています。これはヤバイなあ~と危惧していると、悪い予想が当ってしまいました。あっという間にカマキリの餌食に。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=800, F13-1/400、-0.3EV

 先ほどまで産卵をしていたヤクルリ♀が、これから産卵を迎えるカマキリ♀の餌になる。残酷とは言え、これが自然界の掟。秋の穏やかな陽だまりで繰り広げられた厳しいシーンを撮りながら、ヤクルリ♀の無念さを思わずにいられませんでした。合掌。

 12時過ぎに急に風が吹いてきたため撤収。わずか半日でしたが、♂♀開翅・閉翅・飛翔・産卵・卵・幼虫と蛹を除く全ステージが一気に撮影できるとは!!予想以上の遠征になって大満足でした。次回は吸蜜シーンでも狙ってみたいと思います。
by fanseab | 2006-10-21 23:59 | | Comments(14)

香港遠征(10/6-9):その2

 2日目(10/8)の朝、起床すると前日の登山の疲れが残って体がだるい(^^;; ただ私的新種が今日も撮影できるかと思うと、ワクワクして元気が出てきます。ホテル前、8時半にピックアップしてもらい、本日の観察ポイント、新界地区・鳳園に向かいます。鳳園は昔ながらの香港の田園風景を残す場所で、現在はこのポイントに生息する蝶と周辺環境を香港特別行政区の協力でNGOが保全・管理しています。不足する管理運営費は小学生の生態・環境教育として見学をプロモーションし、その見学費を充当する等、予算不足を補う工夫をしているとか。

 最初にその管理事務棟にお邪魔しました。
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壁のペインティングが可愛らしくて好感が持てます。ここで管理責任者のYさん他スタッフと懇談。そうこうするうちに賑やかなグループが到着。香港鱗翅学会と交流されている台湾の蝶屋さん一行でした。半数以上が女性メンバーなのに、ビックリ。皆さん、最新のデジ一眼をぶら提げ、管理棟内に掲示された生態写真を見ながら一気に盛り上がっています。

 その後、早速フィールドへ。ワーッと歓声が上ったポイントに出向くと、ウラフチベニシジミ(Heliophorous epicles)の吸蜜シーンにカメラマンが鈴なり状態。このシジミは前回撮影済みなので、こちらは皆さんが撮影を終えるのを待って、ゆっくりと撮影。このシジミ、尾が長いので、折れてもいないのに垂れ下がっています。
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R1@5.6mm, ISO=200, F5.9-1/330、-0.3EV

 センダングサが咲く同じポイントでまたしても大きな歓声が。今度は小生初体験のシロスソビキアゲハ(Lamproptera curius)。今回遠征のメインターゲットの一つなので、台湾勢に気後れしてはならじと、割り込みも辞さず必死にレンズを向けましたが、やはり、他のカメラが干渉して出来上がりはイマイチ。合同撮影会?の難しさを実感しました。
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D70, ISO=500, F5-1/1250、撮影時刻:10時04分

 スラウェシや北タイで観察した仲間のアオスソビキアゲハ(L. meges)に比べると大変地味な印象ですが、飛翔中、トンボと見間違う姿はアオスソビキと一緒です。落ち着いて周囲を見渡してみると、いるわいるわ、かなりの個体数が飛び回っています。沢沿いにはこのアゲハの食草が繁茂しているから・・・と会長さんのコメント。

 この後、台湾勢と少し距離を置いて撮影していると、会長さんが手招きしています。急いで行ってみると、シロスソビキアゲハが2頭吸水中。しかも1頭は勢い良くポンピング(腹端から吸水した水を噴出す行動)しているではないですか!!絶好のチャンスを逃してならじと、シャッターを連射モードに切り替えバシバシ50コマ程度、写しまくったところ、2コマほど、腹から出た水滴が写ってくれました。ただ、後から冷静に考えると、横方向から水滴を狙うべきと反省しきり。連続した水滴がご覧頂けますでしょうか?
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D70, ISO=640, F7.1-1/1000、+0.3EV

 ふと、花壇を見やるとスジグロカバマダラやコレ(ガランピ)ルリマダラ(Euploea core)がフワフワ舞っております。こうした光景は本当に癒されます。のんびり見ていると突如、上空にどてかいアゲハが!! おぉ!見紛うことなく、ヘレナキシタアゲハ(Troides helena)の♂です。香港での最終化が9月頃までと聞いていたため、これは何と言う幸運でしょう。400mmズームを360mmにセットして置きピンではなく、難易度の高い、姿を見ながらのMF合焦で飛翔を狙います。海外遠征で、キシタ♂との出会いもこれで5回目なので、少し余裕が出てきて、数10コマで5コマほど見られるショットがありました。ベストショット(と言っても相当なトリミングをしております)をお見せしましょう。
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D70S-VR84@360mm(トリミング), ISO=640, F5.6-1/1250、-0.3EV、撮影時刻:10時33分

 こうして見ると、ストローを緩めて吸蜜準備態勢を取っていることがわかります。ただ期待を裏切って吸蜜シーンは見ることができませんでした。会長さんによれば、吸蜜は早朝か、午後3時頃が狙い目とか。キシタ系♂の吸蜜シーン撮影はまたまた今後の宿題事項になりました。ここはアゲハ類が吸蜜を好むランタナが沢山植えてあって、ベニモンアゲハ(Pachliopta aristrochiae)も来ておりました。ベニモン、ヘレナキシタ共にウマノスズクサ食いで、当然この食草もこのポイントに豊富にあることの証明です。小生、ベニモン撮影はこれが初体験ですが、ちょっぴりスレ品が残念。そこで逆光で美しさを補う作戦で作画してみました(^^;; 
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D70S-VR84@300mm, ISO=500, F5.3-1/1250、+0.3EV

 ランタナポイントから森を抜け、更に西に移動してオープンランドで探索。小川を挟んだ対岸の繁みに黒いヒカゲチョウの影が。400mmズームで確認すると、ルリモンジャノメ(Elymnias hypermnestra)。ただちょっと遠過ぎてガッカリ。そうこうするうちに、また台湾勢が賑やかに集まってレンズを向けていました。
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どれどれ、何がいたのかなあ?と確認すると、何と、目の前にはロヒタキマダラルリツバメ(Spindasis lohita)!!
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D70, ISO=200, F3.8-1/500、撮影時刻:11時27分

 こいつも香港遠征のターゲットだったので、急に心臓ドキドキモード。でも逃げる気配がなさそうなので、じっくりと狙うことができました。小生、恥ずかしながら日本国内でキマルリ(S.takanosis)は撮影未体験。国産キマルリに比べると、裏面の黒班は濃い小豆色を帯び、中の銀細線もくっきりとして螺鈿細工のような艶やかさです。冷静に見ればスレ品で残念ですが、一応4本の尾状突起は完全です。風でそよぐ突起の2本が後方に揃った瞬間にシャッターを押すのは結構骨が折れました。4本も尾状突起があるシジミを綺麗に写すのは本当に苦労します。

 そうこうするうちに時計は12時を過ぎておりました。台湾勢は午後、小生らと別れて行動するため、全員揃って記念写真です。「は~い、チーズ!」
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日本(小生1名のみ)、台湾、香港の3ヶ国の蝶屋さんが互いに握手、次回の再開を誓って別れました。将来台湾遠征を計画中の小生にとって、貴重な人脈が出来た楽しい一時を過ごすことができ、皆さんに感謝です。次回は夕方6時まで粘った当日午後の撮影行についてご報告いたしましょう。
by fanseab | 2006-10-18 23:03 | | Comments(14)

香港遠征(10/6-9):その1

 10/6の年休取得、10/9の休日利用で、3泊4日の香港遠征が実現できました。小生にとって、香港は2度目の遠征。2年前はタムロン90mmの絞込み動作不良でデジ一眼画像の大半が没になる憂き目にあったため、今回は撮り直し+αが目的です。前回同様、今回も香港鱗翅学会会長さんにお世話頂き、一定の成果を出すことができました。そこで3~4回に分けて香港の蝶をご紹介したいと思います。

 初日(10/7)は新界地区東南部にある馬鞍山(マーオンシャン:標高702m)の尾根筋にヒルトッピングして来る蝶狙い。山名の由来通り、馬の鞍に似た急峻な山です。
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小生が「今日は初日だし、とても山頂まで登る自信ないんですが・・・」と不安混じりに切り出すと、会長氏(↑の写真の人物)曰く「大丈夫、大丈夫、中腹までだから・・・」と安心させてくれました。しかし、この言葉を素直に信じた小生が反省することに。。。

 登山口を登りはじめると、早速ルリモンアゲハ(Papilio paris)が林道を横切っていきます。整備された林道が途切れると、突然、直登に近い急峻な登り。途中数箇所、鎖場ならぬロープを頼って必死によじ登ること1時間半、ヘトヘトになって目的のポイントに到着。麓から吹き上げる風が心地よく、ツマベニチョウやアオスジアゲハが尾根筋を駆け抜けていきます。まずは上昇気流に乗るツマベニ飛翔のロングショット。紺碧の空に浮かぶオレンジチップはいつ見ても鮮やかです。
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D70(トリミング), ISO=640, F13-1/1250、-0.7EV

 さて、ヒルトッピングしてくる蝶の主役はシロミスジの仲間(Athyma属)です。日本のイチモンジチョウに比較してはるかに俊敏で、テリ張りゾーンに侵入してくるライバルを追い散らすシーンは迫力があります。その代表はメスグロミスジ(Atyhma nefte)♂。前翅先端のオレンジ班が印象的です。相手を威嚇するかのように触覚を前方に突き出した占有ポーズはタテハならではの凛々しさ。東南アジアに広く分布する普通種ですが、小生初撮影で大喜び。山登りの苦労も報われた感じです。
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D70S-VR84@400mm, ISO=400, F11-1/320、撮影時刻:12時14分

 これと混飛していたのが、ランガシロミスジ(A.ranga)♂。閉翅での裏面は日本のゴマダラチョウそっくり。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F9-1/400、+0.3EV
 メスグロ、ランガの迎撃相手は、同じ仲間以外にモンキアゲハ、アオスジアゲハ、メスアカムラサキ♂、ツマグロヒョウモン♂、ヤクシマルリシジミ、ツマベニチョウと賑やかなものでした。

 シロミスジ同様、強くテリを主張していたのが、チビフタオチョウ(Polyura athamas)。薄黄色の帯状紋が飛翔中はピカピカ光ります。テリ位置はAthyma属より高い枝先を好むようです。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F9-1/800、-0.3EV

 テリを張るのはタテハばかりではありません。文字通りイチジク類を食樹とするイチジクシジミ(Iraota timoleon)もそうです。前回の遠征では超ボロ品の撮影しかできませんでしたが、今回はやや良好な個体をゲット。幸運にもメスグロミスジとのツーショットが撮れました。テリを張る者同士がこれほどまでに至近距離でカメラに収まるのも珍しいことだと思います。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F11-1/320、-0.3EV

 相手を迎撃しながら、何回かテリ位置を変えたイチジクシジミ。突然開翅するではありませんか?「ヤッター!」慌ててカメラを向けての撮影。相手を見上げる角度のため、表翅全体を写しこめませんでしたが、後翅の瑠璃色ははっきりと撮影できてヤレヤレです。もう少し接近したいものの、撮影ポイントは痩せ尾根の上。転落したら命がないので、400mmズームの威力が発揮されるシーンではありました。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F9-1/800、+0.3EV

 ひとしきり撮影を終えるとあっという間に正午を過ぎていました。菓子パンを1個齧り、水で流し込む昼食で一息つくと、急に尾根筋登攀の疲れがドッと出てきました。時間的に新規に飛来してくる蝶も少なそうなので、下山です。しかし、どんな山でもそうですが、登りに比較して下りは厳しい!足元が滑りやすい踏み跡に注意しながら必死の思いでの下山です。標高差合計1000m超の登山は最近していなかったので、最後は膝が笑ってしまいました。下山した後で会長氏曰く、「実は香港の蝶観察ポイントの中でもアプローチの難易度は1,2を争う・・・」早くそれを先に言ってほしかった~(涙)。

 下山して麓の売店で冷えたクリームソーダを飲み干すと、不思議なものでまた撮影意欲が涌いてきました。「チネンシスカニアシシジミ(Miletus chinensis)の観察ポイントに行くか?」との提案にすぐに乗り、車で数分のポイントに。香港では珍品の部類で「個体数も少ないから期待しないように・・・」と釘を刺されましたが、着いてみると、早速ススキと思われる繁みから1頭の暗赤灰色のシジミが飛び立ちます。暗い環境が好きなシジミなので、自然光で撮影できる場所に止まるのを待つまで時間がかかりました。
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D70, ISO=500, F6.3-1/500、+0.3EV、撮影時刻:15時21分

 通常、アシナガシジミグループの裏面は複雑な線状紋を持ちますが、本種はボンヤリとした斑紋で目立たない印象です。一方で緑色に光る複眼が神秘的。この後、会長氏はしきりにススキ周辺をガサゴソ探索。「面白いものが見つかったから来い!」と会長さん。指差す先にはカニアシシジミの亜終令幼虫が。幼虫の周辺には彼らの餌となる、アブラムシの幼虫がびっしり。そのまた周囲にはアブラムシの成虫とこれから蜜をもらう蟻の姿も。日本のゴイシシジミ同様、肉食シジミの生活史はよく似ています。
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D70(トリミング), ISO=500, F9-1/30、内蔵ストロボ

 夕方5時過ぎ撤収。ホテルに帰ってシャワーを浴びたらバタンキュー状態でした。次回は、台湾からの蝶屋さんとの合同撮影会の様子等をご紹介したいと思います。
by fanseab | 2006-10-12 21:44 | | Comments(18)

秋のウラギン(9/30)

 早いもので明日はもう10月。今日は買い物ついでに神奈川・多摩川べりを散歩。コスモスにはヒメアカタテハが群れていて、さすがに秋本番の風情。あたり一面に拡がるクズの群落を通り過ぎると、でかいシジミが飛び立ちます。ウラギンシジミの♀でした。すぐに繁みの下に潜り込みます。
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R1@5.6mm, ISO=200, F5.9-1/310、+0.3EV

 新鮮な秋型でした。ちょっと驚かすと、すぐに飛び立って今度は葉上に。薄日が幸いしたのか、ちょっとの辛抱で待望のご開帳。開いてわかりましたが、ド完品でニッコリ。♀の開翅は意外と狙っては撮れない対象なので、満足です。
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R1@5.6mm, ISO=200, F5.9-1/440、-0.7EV

 こうやって画像を仔細に見ると、縁毛の色が前翅と後翅で異なり、前翅は赤く、後翅は白いことがわかります。頭部の赤いアクセント、表翅の銀白色紋とあいまって、大変お洒落な蝶であることを再認識しました。次に飛び立って止まったのは、食草であるクズの葉上。このシジミにしては全開に近いポーズを取ってくれました。縦位置広角でご覧ください。
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R1@5.6mm, ISO=200, F5.9-1/440、-0.7EV

 クズ畑の脇にあるカナムグラを検すると、破れ傘のような粗末な造りのキタテハの幼虫巣がいくつも見つかります。裏返してみると、丸々と太った終齢幼虫が。
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R1@5.6mm, ISO=200, F5.9-1/290

 キタテハ成虫は夏型に混じって秋型が登場していました。アップした写真の幼虫が成虫になる頃、すべて秋型に切り替わっていることでしょう。
by fanseab | 2006-09-30 20:22 | | Comments(16)

キリシマ♀の探索(9/24)

 本日のターゲットはズバリ、キリシマミドリシジミ♀産卵シーンの撮影。早朝3時起床。一路鈴鹿山脈を目指します。本年4回目の鈴鹿遠征なので、慣れた道順で、現地ポイント6時25分着。早速アカガシをそっと長竿で叩き出すとヨロヨロ2頭の♀が飛び出しました。気温は13℃と低いため、真夏に比べると飛翔はゆっくりしていますが、梢の上に止まったまま動かず。この後、動き無く、仕方なく少し下流の朝日が差し込む岩場に移動すると4頭ほどの♀が一斉に飛び立ちました。どうやら、ここで日光浴と吸水をしているようです。まずは閉翅状態での日光浴シーン。翅は相当にスレてますが、キリシマの特徴はきちんと判ります。やっと♀を撮影できて一安心です。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=400, F10-1/320、-0.7EV、撮影時刻8時21分

 引き続き開翅シーン。比較的鈍感で大サービスしてくれました。表翅の青色班のスレも仕方ないでしょう。
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D70, ISO=500, F11-1/800、-0.7EV、撮影時刻9時49分

 吸水と日光浴は繰り返して行われるようです。吸水場面の望遠マクロ画像。両方の岩に脚を踏ん張って、飲んでいるのが面白いです。ストローは橙色系ですね。
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D70, ISO=400, F11-1/800、-0.3EV、撮影時刻9時39分

 吸水は↑のように陽射しが強い場所だけでなく、木陰でも観察できました。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=400, F8-1/125、-0.3EV、内蔵ストロボ、撮影時刻9時52分

 この吸水ポイントで相当数の個体が戯れていましたが、少し元気な1頭が開翅日光浴した所をパチリ。
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D70, ISO=400, F11-1/1000、-0.3EV、撮影時刻9時00分

 しかし、ファインダーを見て、おやと思いました。「なんや、このキリシマ、少し青色が鮮やかやし、ちょっと斑紋が変やなあ・・」とつぶやいている内に、閉翅状態に。するとどうでしょう!「あっ、これ、キリシマとちゃう、なんやろ、・・・。えっ、ヒ、ヒ、ひょっとしてヒサマツ??!!」。この後、急に心臓ドキドキモードで撮影したのが下の閉翅写真。
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D70, ISO=400, F11-1/1000、-0.3EV、撮影時刻9時00分

 このシジミの特徴である、後翅裏面肛角部のV字型白線が紛れも無くヒサマツであることの証明。尾状突起が欠落していることはもうどうでもいいことです。来年以降の目標に掲げていたヒサマツミドリシジミ♀との衝撃的な出会いでした。しかし、この閉翅写真を撮った後、さっと飛び立ち梢の上に。二度と吸水には降り立ってくれませんでした。

 ヒサマツ撮影の興奮さめやらぬ中、キリシマ♀の産卵タイムを待ちます。文献によるとお昼前後が産卵時間帯とのことなので、それまでの間、アカガシの休眠芽をチェック。少し木陰にある緑色鮮やかな休眠芽を中心に、ひたすら探索。ようやく2卵を見出しました。いずれも地上高1.5m位の低い位置です。卵の色が白いので、産みたてではないようです。
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D70-SMZ, ISO=500, F18-1/500、-0.3EV、内蔵ストロボ、調光補正-0.3EV

 休眠芽探索ばかりでは飽きるので、飛翔にもトライ。真夏の♂に比べれば弱々しいので、結構歩留まりは良かったです。水面上ギリギリを飛ぶ♀の姿を貼っておきましょう。
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D70(トリミング), ISO=640, F11-1/1250、-0.3EV、撮影時刻10時09分

 さて、10時半頃からずっと、♀の挙動を観察していましたが、時々梢の上から降りてきたり、渓谷上を飛んだりしますが、ヒコバエに潜るとか、梢の上を歩き回る等の産卵行動を思わせる仕草は結局、見られませんでした。13時半頃、根負けして撤収です。これから産卵が加速するのか?あるいは、小生の目の届かぬ所で産卵していたのか?簡単には撮影できないことがよくわかりました。それでもようやく、♀の吸水、開翅、飛翔、卵を撮影できたのは収穫でしたし、なにより、ヒサマツ♀が撮影できたのはラッキーとしか言いようがありません。これで、今年の鈴鹿行脚もひとまず終了です。この蝶、観察すればするほど、奥深いシジミで、完全に虜になってしまいました。来年は♂飛翔、新鮮な♀撮影と、できれば産卵現場を押さえることが目標になりました。

 最後にちょっぴり悲しい画像を一つご紹介しましょう。7月中旬の羽化から2ヶ月以上の長寿命を誇るキリシマ♀ですが、当然、最後の時を彼女達も迎えることになります。水面に落ちた枯葉の上で虚しく漂う青色班が印象的でした。彼女達のミッションである産卵を終えたものと信じ、来年もここ鈴鹿でキリシマの乱舞が見られることを期待しましょう。
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D70, ISO=500, F11-1/250、-0.3EV
by fanseab | 2006-09-24 23:59 | | Comments(20)