探蝶逍遥記

カテゴリ:蝶( 869 )

「クロ」2題(7/15)

 本日は少し東に進路を取って京滋方面に遠征です。まず京都南部のクロヒカゲモドキポイントへ7時前に到着。まもなく、「My Favorite Butterflies of Japan 新日記蝶」のKさんと合流し、一緒に探索しました。するとすぐに農具収納小屋の中で吸汁する新鮮な♂を発見。あっという間に本日の第一目標はクリアしました。銀塩時代、山梨・韮崎で撮影して以来何年振りでしょうか?吸汁中はかなり接近できることがわかりました。
f0090680_13205240.jpg
D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F10-1/25、-0.7EV、内蔵ストロボ

 この個体、湿気の多い日陰の小屋にご執心の様子で、暫くこの子とおつきあい。下草に止まったので、久しぶりに縦位置広角でも撮るか?と、ファインダーを覘くと、「アレレ?眼状紋が見えない、変だなあ」「えっ、ひょっとして、か、か、・・・開翅している!!」ドキドキしながらもあっけなく、縦位置広角開翅画像が撮れちゃいました。小生の真後ろでは、「開翅画像の鬼」、Kさんが雄叫びを上げながら興奮状態。モニターを拝見させて頂くと、何と120度近く開いた開翅画像。さすがにその道を究めた方には脱帽でした。
f0090680_8341551.jpg
D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F10-1/30、-0.3EV、内蔵ストロボ

 最後に縦位置広角でこの日の蒸し暑い夏空とモドキのイメージを集約した作画を試みました。「日陰蝶」の雰囲気が何とか出せたようです。
f0090680_8345077.jpg
D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F11-1/160、-1.3EV、内蔵ストロボ(調光:-0.7EV)

 クロヒカゲモドキが生息しているこのポイント、他にも魅力的な蝶がいくつか。最初はオオヒカゲ。ちょっぴりスレていますが、藪の中に逃げ込んだ個体を何とか400mmズームで捉えました。出来はイマイチですが、小生本種は撮影初体験でこれがファーストショット。素直に嬉しいです。
f0090680_8352934.jpg
D70S-VR84@400mm, ISO=500、F11-1/320、-0.3EV、内蔵ストロボ(調光:-0.3EV)

 お次はホソバセセリ。本種とは二年ぶりのご対面。汗で濡れた小生のリュックやシャツからしきりに吸水。ペットボトルを借景にしてみました。
f0090680_836245.jpg
D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F7.1-1/80、+0.3EV

 11時頃、次の目的地、滋賀県のクロシジミポイントへ移動です。先週、但馬の高原で♂は撮影済みなので今日の狙いは♀一本。到着するとすぐに期待の♀が多数出現してくれました。曇り勝ちの天気が幸いして開翅ポーズを披露してくれます。しかし♂と異なり、幻光が拝める訳ではなく、あくまで黒褐色の地味な装いです。
f0090680_8365472.jpg
D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F11-1/30、内蔵ストロボ(調光:-0.3EV)

 Kさんが、コナラの枝先にアブラムシの集団を目敏く発見。クロオオアリとアブラムシで真っ黒になっているポイントの近くで♀がじっと様子を窺っています。
f0090680_8373046.jpg
D70, ISO=500、F10-1/200、-0.3EV、内蔵ストロボ(調光:-0.7EV)

 暫く待っていると♀が飛び立ち、待望の産卵シーン。アブラムシとのツーショットを意図した作画のため、頭隠して尻・・・になったことはご勘弁を。腹端の先にある、産み立ての薄青色の卵がご確認頂けるでしょうか?
f0090680_8385176.jpg
D70S-10.5-X1.4TC(トリミング), ISO=500、F11-1/250、-0.3EV、内蔵ストロボ

 昼食後、雲行きが怪しくなって夕立が落ちてきたので、撤収。念のため、別のポイントも探索することに。すると雨が止んでくれて、ここでも元気な♀が姿を見せてくれました。日差しの加減がよかったのか、これまでで最大角度の開翅も拝むこともできました。
f0090680_8392259.jpg
D70, ISO=640、F6.3-1/800、-0.3EV

 各個体をよく眺めてみると、裏面の個体変異は様々です。この日出会ったなかで、最も裏面白化が進んだ個体を示します。後翅の白化が著しく、前翅前縁部に本来の黒褐色が残っています。
f0090680_8395750.jpg
D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F9-1/640

 クロヒカゲモドキで始まり、クロシジミで終わった京滋遠征。大変充実した撮影行となりました。終日、いろいろとお世話になりました、Kさん、本当に有難うございました。

【追記】
本体HP:「ボルネオの蝶」ギャラリーを科別編成方式に変更し、新規追加3種他、画像を増強しました。お時間があれば、どうぞお立ち寄りください。
by fanseab | 2006-07-16 08:49 | | Comments(14)

但馬の夏(7/8) 番外編

 拙ブログ愛読者の方はご記憶されているかもしれませんが、5/13付けでシジミ類の縁毛について、ひとくさり述べたことがあります。

 曰く「コツバメを逆光で撮影すると、縁毛がブルーに光る」ことに目をつけて、「スギタニもシルビアの縁毛も青く光った」と自画自賛したものでした。

 その後、本件について沙汰闇でしたが、今回、ジョウザンを逆光条件下で撮影した画像を見て驚きました。↓の画像左側前・後翅にご注目ください。なんと、ジョウザンも縁毛が「サファイアブルー」に光っています!!
f0090680_2318677.jpg
D70S-VR84@400mm, ISO=640、F7.1-1/500、-1.0EV

 テリ張り時、ジョウザンは朝日に背を向けるポーズをしがちで、このような角度で撮影せざるを得なかったのですが、ウーン、やはり光ってます。残念ながらアイノをこのポーズで撮影できなかったので、どなたか、アイノやメスアカ等のCryso系を逆光下で撮影し、縁毛が「金緑色」に光ることを検証して頂けませんか?
by fanseab | 2006-07-11 23:20 | | Comments(4)

但馬の夏(7/8) PartⅡ

 昼食後、暑い日差しが急に遮られ、なにやら俄雨でも降りそうな雰囲気。焦ってススキが拡がる高原に繰り出しました。お目当てはクロシジミ。ところが、一人ネットマンが居て、「何が取れるんですか?」と、小生がおっとり刀で訪ねると、「クロシジミだよ」と三角紙を取り出し、犠牲になった♀を自慢気に見せびらかします。このネットマン、どうやら「鬼取り派」のようで冷たい目を草原に注ぎながら無機的にネットを振っておりました。「鬼」が向こうに去ったうちに必死に捜索しないと・・・、こちらも「鬼撮り」の様相を呈してきました。そんなこんなでやっと新鮮な♂を発見。このシジミ、小生初体験ですが、「非常に目立たない蝶」が第一印象。テリ張り位置からはずれた雑木林の下草で微妙に開翅してくれました。
f0090680_2152665.jpg
D70, ISO=500、F9-1/640、-0.3EV

 残念ながら鈍い紫色の幻光は上手く表現できませんでした。この角度だと駄目なのかなあ?そのうち、少し日差しが戻ると急に活発になって、見晴らしの利くススキの葉上でテリトリーを張りはじめました。今度は超広角横位置で撮影。完全逆光のシチュエーションで、怪しげな雲行きも正確に表現すべく、スローシンクロモードで、弱くストロボを焚いてみました。
f0090680_2155139.jpg
D70S-10.5-X1.4TC、ISO=500、F20-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ、マニュアル発光(1/2調光)

 途中、テリに侵入した蜂を追っかける場面にも遭遇。敏捷な飛翔にまたビックリです。絶滅危惧種は概してノンビリとした飛翔パターンが多い印象を持っていましたが、この蝶は別格のようです。午前中イヤと言うほど魅せられた俊敏なゼフに優るとも劣らない運動能力が印象的でした。

 引き続き♀を探索しましたが坊主。発生初期なのでしょうか?さきほど、「犠牲」になった♀の姿が虚しく目に浮かびます。クロシジミの探索の合間にヒョウモン類も撮影。その途中、突然ヤママユのような褐色の蛾がバタバタ羽音を響かせるような勢いで草叢に降り立ちました。「なんだなんだ」と確認してみると、なんとミドリヒョウモンの交尾ペア。双方新鮮です。この角度では、ピンが両者に合い難いので、正面に回りこんで・・・、しかしこの作戦は見事に失敗。さっと飛び立ち、雑木林に消えていったのでした。しかし、この画像を眺めてみると、♀(右側)は♂に比較して「緑」濃いことがよくわかります。
f0090680_2163389.jpg
D70, ISO=500、F5.6-1/800

 ヒョウモン同様、あざやかな橙色のセセリも登場。新鮮なコキマダラセセリでした。小生、デジタルでは初撮影なので思わず頬が緩みます。アカセセリ♀を思わせるでかい個体でした。この頃から強風が吹き始めたのでシャッター速度優先での撮影。
f0090680_2171422.jpg
D70, ISO=500、F5-1/1600

 この後、小雨がパラツキ始めたので14時前に撤収。よせばいいのにこの後、ハヤシミドリ探索にカシワ林に向かいました。そこのポイントに本来いないはずのヒョウモンモドキ?が!「すわ大発見」と思いきや、何とウラギンヒョウモンの矮小個体。
f0090680_2173731.jpg
D70, ISO=500、F7.1-1/320

 このポイントには裏面がハヤシミドリそっくりのサカハチチョウサイズのナミヒカゲ(撮影失敗)が出現したり、それなりに楽しめました。しかしハヤシの活動ピークまでこちらの根性と体力が持たず、已む無く敗退したのでした。本日の行動時間17時間。走行距離370km、ヘトヘトに疲れて帰宅しました。成果が挙がった但馬遠征。本来なら「ビールぢゃ!!」の気分ですが、疲れが優って床に就くことを余儀なくされたのでした(^^;; (了)
by fanseab | 2006-07-10 21:11 | | Comments(8)

但馬の夏(7/8) PartⅠ

 ほぼ3週間遠征できず、溜まったストレスを解消すべく、但馬の山を彷徨ってきました。画像の量がそれなりに多いので二部構成といたします。午前2時半起床、現地には6時前に到着し、午前中早い時間帯に活動するゼフを狙いました。九十九折の山道に朝日が差し込むと、キラキラとゼフが飛び始めます。数頭でテリ争いをしている♂を確認するとジョウザンミドリシジミ。テリ張り位置が高いので400mmズームで押さえました。
f0090680_1542325.jpg
D70S-VR84@400mm, ISO=640、F10-1/250、-0.3EV

 半開翅から覘かせるサファイアブルーは美しく、ピント合わせをしながら溜息をついてしまいました。テリ張りの際、正確に同じ葉上に戻る性質がありそうなので、今度は飛翔に挑戦。何とかテリポイントに戻る寸前の個体を捉えることができました。このあと瞬時に180度転回して頭を左向きに切り替えてテリ張りする運動能力には脱帽です。
f0090680_15424644.jpg
D70S-VR84@135mm, ISO=640、F5-1/1000、-0.3EV

 暫く粘っても低い位置に降りてくる気配が無いので別のポイントに移動。ようやく腰の位置に来てくれた個体を90mmマクロで撮影することができました。
f0090680_1543681.jpg
D70, ISO=500、F11-1/400
 
 悲しいかな個々の♂の同定能力に自信の無い小生(※)、撮りまくった画像を点検すると、どうやらアイノミドリシジミも混じっていました。ブルーよりも金緑色が優る光り方はやはりcrysoの輝きなのでしょうか?
f0090680_15432971.jpg
D70, ISO=500、F11-1/200

 午前中に繰り広げられる卍飛行。ものすごい個体数が谷間に繰り広げるレビューは美の極致。最大6頭が絡んでいました。何とかこれをものにしようと頑張りましたが、次の画像が現段階で精一杯のもの(アイノと判定)。卍のスタート高さが2m以上からなので、対角魚眼での飛翔撮影等、夢のまた夢でした。今後の挑戦課題です。

f0090680_15434685.jpg
D70, ISO=640、F3-1/1250

 ゼフの撮影に一息入れて休息していると、近くのウツギの花に黒いシジミの影。慌ててカメラを手にして近寄ると、ド完品の夏型トラフ。なんとご開帳してくれました!涙ちょちょぎれるシーンです(尾状突起が重なってしまったのが唯一の難点ですが・・・)。
f0090680_154401.jpg
D70, ISO=500、F7.1-1/320

 山道の日陰沿いにはヒメキマダラヒカゲの個体数が多かったのですが、残念ながら盛りを過ぎていたようで、大半がボロ。このヒカゲ、極めて敏感でなかなか寄らせてくれません。それより驚いたのがサイズ。山梨・富士五湖近辺の個体に比較して一回り小ぶりです。「ヒメ」の形容詞がついた蝶ですが、文字通り、キマダラヒカゲの矮小個体の雰囲気十分でした。。
f0090680_15441885.jpg
D70, ISO=640、F3.2-1/640

 午前中テリを張るゼフが活動休止するのを見計らい、こちらも午前中の活動を停止。午後からは、高原地帯に移動して次なるターゲットを狙いました。こちらはPartⅡにご期待ください。

※ゼフの同定には自信がありません。誤りあれば指摘してください。
by fanseab | 2006-07-09 15:47 | | Comments(12)

ギンイチモンジセセリの幼虫探索(6/25)

 本日は神奈川県多摩川河畔で首題幼虫の探索です。今にも降出しそうな曇り空で、ススキの原に足を踏み入れると、スレたキマダラセセリが所在無さそうに佇んでおりました。
f0090680_2323543.jpg
R1@5.6mm, ISO=400、F3.6-1/189、-0.3EV

 ススキの背の高さは2m近くあり、あまり中に踏み入れたくないので、周辺で巣を探索。すると、意外とすぐにそれらしきもの(↓の写真矢印)が見つかりました。
f0090680_23241528.jpg
R1@5.6mm, ISO=400、F3.6-1/153

 巣を開くと、幼虫がポロッと落下して、体をクネクネ揺すらせます。これは間違いなくギンイチの幼虫独特の行動。捕食者を驚かす戦略なのでしょう。落ちた幼虫を元の巣に乗せると落ち着いてモデルになってくれました。成虫に似た大変スリムな体形で背中に深緑色のラインが数本走っているのが特徴です。体長は25mm位。亜終齢でしょうか?
f0090680_23243424.jpg
R1@5.6mm, ISO=400、F3.6-1/90

 暫くすると、小生が開いた巣を元に戻そうと、懸命に糸を吐きながら修復作業を開始しました。
f0090680_23245863.jpg
R1@5.6mm, ISO=400、F3.6-1/73

 この後、南向きのススキの葉を捜すと、今度は無防備にも巣から出ている別の個体を発見。こちらは前の個体よりやや大きくて30mm程度。
f0090680_23251319.jpg
R1@5.6mm, ISO=400、F3.6-1/189、-0.3EV

 そのうち、この個体に寄生蝿らしきハエが止まったのですが、撮影には失敗。やはり巣から出て摂食している時間帯は外敵の攻撃に晒されていることがよくわかりました。この個体を撮影し終えた頃から雨がポツリポツリと落ちてきて、撤収です。現在の幼虫の成長度合いを勘案すると、当地での第2化は7月中旬頃でしょうか?第1化が5月初旬頃ですから、1サイクル、2ヶ月以上かかる計算です。そうすると、第3化は9月半ばとなる計算。果たして3化まで進むのか、それとも2化止まりか?時間の許す限り、このポイントで継続観察してみたいと思っています。
by fanseab | 2006-06-25 23:27 | | Comments(8)

炎天下のヒメヒカゲ(6/18)

 前日までの広島遠征の疲れも残っており、昼過ぎからノンビリと東播磨のヒメヒカゲポイントへ車を走らせました。本日のターゲットは♀の撮影。5月末に訪れた際は♂の出始めでしたが、3時頃到着すると早速♀がお出迎え。暫く歩き回ると足元から飛び出すのはすべて♀。♂と異なり、それほど遠距離を飛ぶ様子は見せず、すぐにブッシュの陰に潜り込んでしまいます。ざっとこんな感じ。
f0090680_15215929.jpg
D70, ISO=400、F14-1/200、-0.3EV

 裏面に葉の影が写り込んで、「絵造り」としては問題外ですが、これも本種の生態を示す画像です。なるべく直射日光を避けて、体温調節を図っているのか?あるいは外的から身を隠すための戦略なのか?♂に比較してより顕著な行動パターンのようです。ブッシュの繁みに身を隠している様子を端的に表現するために横位置広角で撮影。日傘をさした「お姫様」の雰囲気(^^)
f0090680_15261752.jpg
D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F9-1/400

 暫く観察していると、数を減らしている♂が繁みの中の♀を探索しています。ただ時期的に殆どの♀は交尾済み個体のためか、♂は♀を発見してもすぐに離れていきます。しつこく迫ることがないのも不思議と言えば不思議でした。で、ちょっぴり期待した交尾画像も撮れずじまい。少しガッカリです。また、ヒメヒカゲの生態に詳しい知人の話では、産卵は瞬間的に行われるため、撮影は極めて困難とのこと。この日も残念ながら、産卵挙動を見せることもなく、こちらの狙いも外れたのでした。

 それではと・・・、広角で♀の飛翔写真にトライしようと試みますが、所詮、飛翔距離が短いためこんな画像が撮るのが精一杯。
f0090680_15264244.jpg
D70S-10.5-X1.4TC(トリミング), ISO=500、F6.3-1/1250

 この日は午後3時過ぎからピーカン状態で体感気温も30℃を越えているため、飛翔写真狙いでブッシュを駆け回るとすぐに心臓パクパク状態で息切れしてしまいます。広島遠征疲れも手伝って(※)、ほぼ1時間、ポイントに滞在しただけで、帰宅を余儀なくされました。やはり3日連続の撮影では集中力を保つのが難しいですね。

※実のところ、ワールドカップ観戦による夜更かし疲れもあるようで、更新も1週間遅れになってしまいました(^^;;
by fanseab | 2006-06-24 15:31 | | Comments(8)

広島・賀茂台地遠征(3) 台地を飛ぶ初夏の蝶

 新幹線の三原駅を下り、車を北に走らせると、いきなりの急登攀に驚かされます。一気に坂を上り詰めると、急に視界が開けてきます。ここが世羅・賀茂台地です。標高は概ね300m。緩やかな丘陵沿いに田畑が広がる見事な里山環境が保たれています。伸びやかな景色に心が放たれる・・・そんな素晴らしい環境が目の前に広がります。
f0090680_22564818.jpg
D70S-10.5-X1.4TC, ISO=200、F11-1/125

 世羅町のホテルで夜、部屋の窓を放つと冷気が心地よく、冷涼な信州の高原を思わせます。関東出身の小生にとって、広島県と言えば、瀬戸内海に面した暑いイメージがありましたが、このような高原があるとは意外でした。

 遠征初日は休耕田の様子を下見しながら、蝶を探索です。コナラやクヌギを叩くとアカシジミやミズイロオナガシジミが飛び出します。既に気温が高いので殆どの個体が梢の上に飛んでいくなか、唯一1頭のアカシジミ♀が下草に降りてモデルになってくれました。アカシジミの尾状突起ってこんなに長かったかな?
f0090680_225807.jpg
D70, ISO=500、F5.6-1/800、+0.3EV

 暫く観察していると、翅をスリスリしながら、微妙に開いてくれました。このシジミ精一杯のご開帳サービスなのでしょう。
f0090680_22581993.jpg
D70, ISO=500、F10-1/160、+0.3EV

 雑木林にはクヌギ・コナラに混じってナラガシワも生えていました。もちろん、ヒロオビかウラジロが飛び出すことを期待して長竿で叩き出しを試みましたが坊主。丹念に探せば、いるのかもしれません。  
 一方、田んぼの畦道沿いには大型ヒョウモン類が目立ちます。農機具を収納する小屋の周りを緩やかに飛ぶヒョウモンに目を付けると羽化したてのミドリヒョウモンの♂でした。小屋の柱から吸水する等、傍目にはサトキマダラヒカゲと全く同じ挙動です。そのうち、葉上に止まってモデルになってくれました。
f0090680_2259426.jpg
D70S-VR84@400mm, ISO=500、F10-1/320

 ミドリヒョウモンより小ぶりなヒョウモンも飛んでいて、チェックするとウラギンの♂。本種については、小生、これまで1000mを越える高原での撮影のみで、低山地産(標高~300m)は初体験。しきりに吸水しておりました。
f0090680_22593431.jpg
D70S-VR84@400mm, ISO=500、F13-1/400、-0.3EV

 ミドリ、ウラギン以外にもメスグロ♂が飛んでいました。ヒョウモン類がこれだけ多く飛んでいる里山環境は彼らの食草であるスミレが潤沢にあり、アザミ類を中心とした吸蜜源も豊富にあるためでしょう。この台地を車で走らせながら、地形を眺めてみると、緩やかな丘陵の狭間に棚田や休耕田が形成されています。傾斜がゆるやかなため、水が淀みやすく、湿地形成に有利に働くのでしょう。恐らくヒョウモンモドキが好む生息環境が理想的に保たれているのが、この世羅・賀茂台地の地形なのでしょう。本来、MelitaeaMelicta属の故郷、ユーラシア大陸の草原は朝晩冷え込むような環境のはずで、ここ賀茂台地は、気候の面でも理想的なのかもしれません。

 ヒョウモンモドキはもちろん、低山地性ゼフやヒョウモン類が多産する里山環境はそうそうどこにでもあるわけではありません。爽やかな台地をドライブしながら、いつまでもこの環境を残してほしいと思いました。(了)
by fanseab | 2006-06-22 23:04 | | Comments(6)

広島・賀茂台地遠征(2) ヒョウモンモドキ観察会(6/17)

 いよいよ待ちに待った観察会。と言っても前日に結構成果が出ていたので余裕での参加です。朝9時、役場の前に集合すると25名ほどの面々が期待感に胸を膨らませています。観察にあたっての注意事項を聞いた後、車に分乗し出発。前日小生が観察したポイントとは別の場所に案内して頂きました。同じ休耕田と言っても環境は様々です。残念なことに到着と同時に小雨模様。地権者の方直々の案内で歩き始めると、いきなり交尾個体が出現。「おおっ」とどよめきが起きると同時にカメラマンが殺到します。交尾している場所は足を踏み入れられないので、400mmズームでのショット。上♀下♂で共に新鮮な個体です。
f0090680_03366.jpg
D70S-VR84@400mm, ISO=640、F10-1/320、-0.7EV

 交尾ペアに向けて、一斉に10台以上のカメラのシャッター音が休耕田に響き渡ります。まるでモデルの撮影会の雰囲気。「見世物じゃないんだから、静かにさせてよ~・・」とペアから叫び声が聞こえそうなシーンでした(^^)

 小雨交じりで飛翔する個体もなし。時たま飛んでいる大型のヒョウモンは新鮮なウラギン♂。「あれは別のヒョウモンチョウです」と保護会のメンバーがフォローしてくれます。徐々に雨脚が強くなる中、「皆さん、蛹があります」と紹介してくれました。全体が褐色に色づき、残念ながら寄生個体のようでした(正常個体の地色は淡白色とのこと)。
f0090680_032519.jpg
D70, ISO=500、F7.1-1/400

 この後、更に雨脚が強くなり、昼前に観察会は終了です。本日だけ参加された方は天気を恨んでいたことでしょう。昼食後、「保護の会」のお心遣いで有志を募り、別のポイントに案内して頂く。休耕田最深部のポイントは開放感があって素晴らしい湿地。ほどなくノアザミで休む♂を見出しました。雨の中、草陰ではなく、濡れやすい花弁の上で休息しているのにはビックリです。
f0090680_035969.jpg
D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500、F4-1/1000

 同じように♀も所在無く、ノアザミの上で休んでいます。今度は横位置広角での作画。
f0090680_041753.jpg
D70S-10.5-X1.4TC(トリミング), ISO=500、F11-1/50、-0.7EV

 昨日とは異なり、小雨模様の天気なので、画像はシットリ感が出て発色は良好です。ピーカン時とはまた異なる表情を見せてくれたように思います。まあ梅雨空に発生するタテハですから、今日のような天候が似つかわしいのかもしれません。♂♀共にじっとしているだけの変り映えしない画像のオンパレードになってしまうので、趣向を変えて、90mmマクロで真正面から♀を撮影。ちょっぴりストローを緩めて、超リラックスムードの表情。本質的にやさしい顔ですね。
f0090680_043850.jpg
D70, ISO=500、F3.5-1/400

 午後3時。劇的な天候の回復が望めないと判断し、撤収です。最後まで我々撮影者に便宜を図って頂いたSさん、Iさん始め「保護の会」の関係者・地元の方、本当にお世話になりました。お蔭様でタップリと貴重種の生態を楽しむことができました。

 次回はヒョウモンモドキ以外の蝶を簡単にご紹介したいと思います。
by fanseab | 2006-06-20 00:07 | | Comments(8)

広島・賀茂台地遠征(1) ヒョウモンモドキとの出会い(6/16)

 関西に拠点を移してから是非撮影したかったターゲットがヒョウモンモドキでした。この度、ヒョウモンモドキ保護の会の活動の一環として開催された観察会に参加し、本種を含め賀茂(世羅・賀茂)台地の蝶を堪能してきましたので、3回に分けて、その魅力をご紹介したいと思います。

 ご承知の通り、ヒョウモンモドキは環境省が規定したレッドカードリストで最も絶滅の危機に瀕している「絶滅危惧Ⅰ類」扱いで、上記保護の会を中心とした地元の方の献身的な保護活動でやっと生き延びている貴重種です。観察会は6/17-18の両日の予定でしたが、6/16(金)に思い切って年休を取り、2日間かけて勝負しようとの作戦です。

 と言っても、初日はポイントを正確に把握しているわけでもないので、下見のつもりで休耕田の様子を探索です。午後になって、何気なく入った休耕田に「ヒョウモンモドキ保護地区」の看板が。そこでは明日以降の観察会に備えて地元の方が歩道周辺の潅木や下草刈りに汗を流されていました。声かけして、撮影の許可をもらい、畦道からの観察です。かなり蒸し暑い薄曇のなか、1頭が飛び始めました。大型ヒョウモンとは異なるエレガントな姿。もう少し弱弱しい飛翔を想像していましたが、意外と敏捷で、昨年、但馬の高原で観察したウスイロヒョウモンモドキに比較すればはるかに活発な印象を受けました。確認するとどうやら♀。少しスレていますが初めて出会った個体です。なんとか綺麗に写してあげなくては。暫く観察しているうちに雲が切れて快晴状態に。そこで、fisheye縦位置広角で太陽の輝きを画面に入れた作画にしてみました。
f0090680_9183022.jpg
D70S-10.5-X1.4TC, ISO=400、F20-1/200、+0.3EV、内蔵ストロボ

 陽射しが強くなってきたので、ノアザミに来る吸蜜個体も増えました。先ずは新鮮な♂を逆光で撮ったシーン。
f0090680_9191032.jpg
D70, ISO=500、F10-1/160、+0.3EV

 引き続いて開翅吸蜜シーン。♂は後翅外縁側の斑紋が♀に比べて発達せず、明るい印象です。ちょっぴりスレた個体で残念でした。
f0090680_9193246.jpg
D70, ISO=500、F13-1/250

 新鮮な♀を期待して、ふと足元を見るとパタパタと一際色濃い個体が羽ばたき練習状態。羽化したばかりの個体でした。翅を拡げての日光浴シーン。レンズを通して見る複雑な斑紋に暫し見入ってしまいました。特にこの個体は黒班の発達が著しいようで、飛翔時もオレンジ色というよりは、濃褐色のイメージでした。
f0090680_9201768.jpg
D70, ISO=640、F13-1/320

 保護地区では撮影のため、湿地の中に踏み入れるのはご法度とされています。撮影アングルに苦労する中、↑と同じ個体を畦道脇からギリギリ狙える位置からfisheye横位置で開翅シーンを撮影。このレンズの接近限界近く目一杯寄ったので、生息環境を狙い通りに写しこめました。午後3時を過ぎた斜光線がヒョウモンモドキの表情をより美しく演出してくれたようです。
f0090680_9221278.jpg
D70S-10.5, ISO=500、F14-1/200

 撮影の途中で保護の会、事務局長のSさんやIさんらが成虫の活動調査に来られたので、ご挨拶。調査の苦労話等をお伺いする。このポイントではアサギマダラのようにマーキングされた個体を見かけましたが、個体識別をしながら蝶の行動半径等を調査されているとのこと。本当に地道な行動調査活動です。Sさん、Iさん、貴重なお話、撮影へのご配慮、有難うございました。
 事務局の方が引き上げるのを潮時に、小生も本日の撮影はこれにて終了。明日(6/17)はいよいよ観察会です。

【本種の撮影を予定されている方へのご注意】
 ヒョウモンモドキの生息地は当然採集禁止ですが、撮影行為にも格段の注意が必要です。以下に留意すべきでしょう。
①休耕田と言え、ポイントは私有地故、無断での立ち入りは厳禁。必ず地権者の了解が必要。
②また、狭い農道に車を横付けして農作業に支障をきたすことのなきよう、駐車場所にも留意。農作業をされている方への声かけ等のコミュニケーションを取りましょう。
③畦道から外れて湿地内への立ち入りも厳禁。食草のキセルアザミ類は保護活動の一環で移植や増殖等、格段の努力が払われています。食草を踏みつけて、幼虫や蛹にダメージを与えたら自殺行為になります。
 厳しい書き方をしましたが、末永く本種を撮り続けていきたいのは小生も同じ。撮影者としてモラルを守って写したいものです。
by fanseab | 2006-06-18 09:37 | | Comments(12)

マイフィールド探索

 昨日、北摂山中で格闘した筋肉痛のため、本日は宝塚郊外のマイフィールドを車でのんびり流しながら探索しました。先ずは休耕田に生えているハンノキの疎林が目に止まり、ミドリシジミの幼虫を探してみました。小生この手の幼虫を探すのは初体験。二箇所目で袋状に折った巣らしきもの(↓写真の矢印)が見つかりました。
f0090680_20441852.jpg
D70-10.5-X1.4TC, ISO=500、F10-1/100、内蔵ストロボ

 中を明けてみると丸々太った終齢幼虫が見つかりました。
f0090680_20444363.jpg
D70-10.5-X1.4TC, ISO=500、F10-1/40、内蔵ストロボ

 幼虫が造る巣の中には、よく蜘蛛が入っていたりすることもあるので、本物を確認すると素直に嬉しいものです。↑の袋状の巣を見たとたん、餃子に目が無い小生、餃子が食いたいなあとあらぬ想いが・・(^^;
 成虫の輝きが拝めるのは、6/20過ぎ頃でしょうか?楽しみなポイントがまた一つ、増えました。

 ウラゴ狙いで、イボタも探索。4箇所でイボタの群落を見出しましたが、成虫はヌル。食樹のイボタはウラゴ生息の必要条件なるも十分条件ではないことらしい。さて、その十分条件とはなんなんでしょう?

 本日も昨日と同様、ドンヨリとした曇り空。ただ上空に入ってきた寒気の影響か、肌寒く午前中は蝶の飛ぶ気配もなし。昼過ぎから多少薄日が差してきて、アサマイチモンジあたりが弱弱しく飛び始めました。そんな中、ウツギの花にシジミの影が。なんと、春型のトラフ♀。暫く追い回して吸蜜写真を撮りました。そろそろ夏型が出ても良さそうな時期ですが、くたびれながらも頑張っている個体でした。
f0090680_20472051.jpg
D70, ISO=500、F14-1/320、+0.3EV
by fanseab | 2006-06-11 20:51 | | Comments(14)