探蝶逍遥記

カテゴリ:蝶( 857 )

スジボソヤマキチョウなど(8月下旬)

 1月末に体調を崩して以来、今シーズンは遠距離遠征撮影を自粛しておりました。車の運転は片道1時間以内とルールを勝手に決めたこともあって、山梨・長野へ赴くこともできません。そこで皆さんのブログを拝見し、撮影の疑似体験をさせて頂いておりました。でも、そろそろ封印を解いても良いかな~と思い、この夏初めて山梨の高原へ遠征を試みました。
 目的の一つはムモンアカの発生木特定。過去2年間、9月に入っての生き残り♀を連続して観察できていたので、少し早めに訪問してみようとの魂胆。しかし、結果は坊主。今シーズンは発生時期が例年より早かったのか、それとも不作だったのか、来シーズンはやはり8月上旬頃訪問することに決めました。

 さて、高原にはいつものようにヒョウモン類が飛び交っておりました。ただ例年に比較してウラギンヒョウモンの個体数が少ないのが気になりました。ミドリ♂♀、メスグロ♀は例年並みの個体数なんですけどねぇ。代わりに目立ったのがギンボシヒョウモンの♀。

+++画像は原則クリックで拡大されます+++
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D71K-34VR(トリミング),ISO=100、F8-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時01分

 このポイントではギンボシ個体数は少ないのですが、ウラギンが少ない分目立っていたのかもしれません。飛翔も撮影。
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GX7-Z12,ISO=400、F4-1/2500、撮影時刻:10時50分

 全体に鮮度が良く、1枚目の吸蜜個体とは別個体のようです。ここはスジボソヤマキ、ヤマキのポイントでもあるのですが、この日、ヤマキは残念ながら坊主。スジボソヤマキ♂の吸蜜を2枚貼っておきます。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=200、F8-1/500、-1.0EV、撮影時刻:10時36分
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D71K-34VR(トリミング),ISO=200、F8-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時29分

 逆光で撮りたくても、なかなか良いアングルに来てくれないものですね。次は飛翔。先ずは♂。
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GX7-Z12,ISO=400、F4-1/3200、撮影時刻:12時44分

 2頭の♂が絡んで解けた場面です。飛翔で撮ると、♂前後翅で黄色の濃淡が異なることがよく分かります。次は♀。
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GX7-Z12,ISO=400、F4.5-1/2500、撮影時刻:10時47分
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GX7-Z12,ISO=400、F4.5-1/2500、撮影時刻:10時48分

 1枚目は全開シーン。偶然画面中央にコチャバネセセリの巣が写りこんでいました(^^) 2枚目は♀の腹部形状の特徴が良く出ました。日本産シロチョウの中でもヤマキ・スジボソヤマキの♀は純白の美しさが際立つ蝶だと思います。もちろん、カワカミシロチョウ(Appias albina)♂も種小名が示す通り、純白ですが、どうもAppias独特の尖った翅形が邪魔してか、パッと見、純白感が今一つです。それとGonepteryx属の翅面には翅脈と直交する細かな縮緬皺に似た風合いがあります。ですから管理人はヤマキ・スジボソヤマキの♀を見ると、初々しい花嫁が纏う「白無垢」を想像してしまいます。前後翅に各1個配された橙色の小紋も大変お洒落です。そんな彼女達ご自慢の衣装も、越冬後は薄汚れ、ボロボロの姿で春先再登場します。その姿を見るのも辛いものですね。
 晩夏の一日、久しぶりに訪れた高原の涼しい空気を吸って、英気を養うことができました。
by fanseab | 2016-09-22 15:45 | | Comments(4)

ギンイチモンジセセリ第3化(8月下旬)

 今シーズンはまともにギンイチを撮影していないことに気付き、拙宅から車で10分の至近距離にある街道沿いのポイントへ。ここで撮影できるか否かは草刈り時期によります。ギンイチは草丈50cmを下回る場所を嫌います。このポイントは東西方向に走る道路両脇の巾僅か4mの傾斜草地。訪問した時期は両脇殆どが草刈りをされておりましたが、奇跡的に南側の長さ約100mが草丈80cmのグリーンベルト状に残っておりました。期待した通り、2頭の♂が探♀飛翔中。東端にある草丈30cmの刈込地点に到達すると、Uターンして西側へ飛翔。これを繰り返しているので、途中で待ち伏せしての飛翔撮影は比較的簡単。

+++画像は原則クリックで拡大されます+++
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GX7-Z12(トリミング),ISO=400、F4.5-1/3200(以下飛翔撮影条件は共通)、撮影時刻:10時52分
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撮影時刻:10時58分

 ギンイチの飛翔撮影をトライされた方なら経験されていると思いますが、撮影コマの8割以上は閉翅状態で飛んでいます。一枚目のように全開翅を上から見込んだ絵は意外と撮り難いものです。2枚目は驚いて急激にUターンする瞬間。ギンイチの前翅裏面はほぼ漆黒です。展翅標本を作製している経験者なら前翅裏面の特徴は把握しているはず。しかし、静止撮影オンリーだと気づかない事実ですね。

 さて、このポイントで撮りたかったのは、走行中の車とのコラボ。何せ裏道として使用頻度の高い道路故、各車相当なスピードで走っています。トラックのように丈の高い車が通過すると、飛んでいるギンイチが風圧で煽られてヨロける場面も・・・・。そんな本ポイントの特徴を広角飛翔で情景描写するのが、この日のメインターゲット。ただ、ギンイチ飛翔と車通過のタイミングをシンクロさせるのは難しい! 何とかゲットできた3コマを貼っておきましょう。
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撮影時刻:10時49分
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撮影時刻:10時52分
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撮影時刻:10時58分

 1枚目は後方より迫り来るトラックから必死に逃げようとしている?ギンイチ。一番スピード感が出たかもしれません。2枚目は一番バランス良く仕上がった絵。車の全景を写し込もうとすると、相対的に蝶が画面下端に接近し、両者の配置バランスが取れるかは、全くの運次第。3枚目はほんの僅か自動車の通過が早過ぎた事例。
 さて、探♀飛翔、更に管理人に追跡されて疲労が蓄積した♂は時々休息してくれます。最初は半開翅。
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D71K-34VR,ISO=200、F8-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時23分

 飛び古した個体ですが、チャーミングポイントである前翅肩付近の橙色が残っています。次は全開翅。
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D71K-34VR,ISO=200、F10-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時28分

 この子は↑とは別個体と思われます。縁毛は殆ど擦り切れているものの、その割に翅表は結構綺麗です。深傷がないので助かりました。♂が一生懸命探していた♀を管理人も探しましたが、生憎発見できず。仕方なくすぐ傍の多摩川縁に移動してビックリ。台風通過後の増水でオギの群落が全て水平になぎ倒されておりました。これではギンイチが飛び回ることもできないはずです。仕方なく避難場所を求めて道路沿いの草地にやって来たのかもしれません。大水の影響でこんな場面にも出会いました。
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D71K-34VR,ISO=200、F10-1/400、-0.7EV、撮影時刻:11時17分

 急激な増水と激流を避けるため草地に逃げ込んだ魚達が、一気に水位が下がり、逃げられずに遊歩道上に打ち上げられ、干からびてしまったようです。関東に直撃する台風の増加で、例年以上に多摩川の増水が著しく、例年なら撮影に好適な場所が少なからず影響を受けております。
by fanseab | 2016-09-18 20:28 | | Comments(4)

アンディ・マレーを悩ませた鱗翅目の正体

 先日行われた全米オープンテニスで我が錦織選手が格上の宿敵、アンディ・マレー選手を破り、準決勝に進出しました。錦織選手にとっては快挙と言って良い戦いでした。
 さて、この試合で話題になったのが、マレーがメンタル面で相当神経質になったこと。その一因として、試合中コートに闖入してきた「蛾もしくは蝶」が影響したと報じられていました。管理人はテニスの試合観戦も大好きなので、ちょっと気になって、問題とされた「鱗翅目」を調べてみました。
 この時代、やることは唯一つ。ググって画像検索にかけることです。やはり凄いですね。一発で、ヒントになる画像や動画が検索に引っかかりました。それが、下記の二つ。
※いずれも時間経過でリンクが切れることもあるのでご承知置き下さい。
(1)ネット付近の飛翔画像(外部リンク
(2)コート上でのたうち回る動画(外部リンク)
 共に撮影者は恐らく会場内に詰めていたスポーツカメラマンなのでしょう。時速200キロ超のサーブを常時撮影しているので、ネット際を飛ぶ鱗翅目の飛翔撮影など、お手の物のようです。(2)はGIF動画のようにも見えますが、高速度動画からの切り出し動画かもしれません。いずれにせよ、凄い解像度で写っています。これだけ鮮明な絵があれば、同定は比較的簡単でした。管理人の同定結果は、

オオアメリカモンキチョウ(Colias eurytheme)の黄色型♀

です。間違いあればご指摘願います。試合会場はニューヨーク市内の公園内。この近辺で観察できるColias属普通種は下記2種に絞られると思います。
①オオアメリカモンキチョウ(C.eurytheme
②アメリカモンキチョウ(C.philodice
 共に♂♀斑紋は異型。♂は国産高山蝶、ミヤマモンキチョウ(C.palaeno)同様、前翅外縁黒帯中に淡色斑紋が出現しません。一方、♀は国産モンキチョウ(C.erate)同様、当該黒帯中に黄色(白色)班が出現。①の♀は黄色型と白色型が存在し、両種は酷似。更に外縁黒帯の巾や斑紋は相当個体変異があるようです。管理人は後翅外縁黒帯の出方が著しい点に着目してオオアメリカモンキ♀と判定いたしました。

 いずれにせよ、マレー選手にとって、このモンキチョウは試合の流れを変えた「悪魔の使者」に見えたでしょうし、逆に錦織選手にとっては「勝利の女神」になりました。残念ながら準決勝ではモンキチョウが飛ばなかったこともあって(爆)、錦織選手は、バブリンカ選手に敗けてしまいました。来年の奮闘に期待したいと思います。
 今回の「チョウチョ闖入事件」を受けて全米オープン主催者も今後『公平・円滑な試合運営』目的で、ボールボーイに網を持たせるかもしれません。試合中コートに転がったテニスボールを、脱兎の如く素早く回収するボールボーイ(ガール)達は見ていて感心しますが、同じ素早さで蝶をネットインできたら拍手喝采ですね。ただ、北米産モンキの飛翔速度は相当速いと聞いております。実施するにはボールボーイ達に対し、周到な事前訓練が必須でしょうね。
 思わぬ事件で、北米産Colias属の知見を増やして頂いたマレー選手に感謝です!
by fanseab | 2016-09-14 22:51 | | Comments(2)

黄色型♀モンキチョウの産卵(8月下旬)

 ウラギンシジミ交尾を観察した同じ日、なにげなくモンキチョウ♂?を観察していると、何と産卵し始めました。黄色型♀産卵シーンは滅多にないチャンス。急に本気モードで撮影に突入。しかし、モンシロチョウ以上に産卵は瞬間芸! 撮影はムチャ難しい!! 最初のショットは腹端が隠れるC級ショット(^^;

+++画像は原則クリックで拡大されます+++
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D71K-34VR(トリミング),ISO=200、F9-1/500、-0.7EV、撮影時刻:11時15分

 ホストはアカツメクサ。既に2卵が産附されています。お次は腹端は描写できたものの、翅がレンズ面に垂直に立ってしまったB級ショット(^^;
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D71K-34VR(トリミング),ISO=200、F9-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時20分

 それでも連続的に産卵行為を繰り返すので、10回以上トライした後、ようやく納得の行くショットが撮れました(^^)
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D71K-34VR,ISO=200、F9-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時22分

 花穂に産み付ける場合は、腹端の位置決定に多少躊躇するため、葉上産卵より時間を要します。このためカメラアングルを調整する余裕が出てくるので助かります。
 一連の撮影画像をじっくり見ると、産卵前の予備行動が写っていたので、それもご紹介しておきましょう。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=200、F9-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:上段11時18分59.5秒、下段同19分2.9秒

 (1)の見出しを「前脚連打行動」としておりますが、タテハチョウと異なり、前脚をボクシングのジャブのように「忙しく連打」する訳ではありません。六本脚でホスト対象に着地すると同時に、前脚でさりげなく対象にタッチして、前脚跗節のセンサーを働かしているように見えます。↑画像下脚注に記したように(1)→(2)に要した時間は3.4秒。これはモンキチョウ産卵では例外的に長い方だと思います。通常はホストに着地した瞬間に産卵が終わってしまいます。それと↑画像で興味深いのは(1)の段階で、触覚をホスト側に曲げて、いかにも「測っている」様相を示すこと。シジミチョウ産卵でも触覚を交互に前に倒し、「ホストの確認行為」を行っていることが多いですね。シロチョウはひょっとすると、触覚にもホスト確認目的のセンサーが付いているのではないかと思わせる行動です。

 産附された卵を持ち帰り、超拡大システムで撮影してみました。黄色型♀と言っても特別これまで撮影した通常(白色)型♀の卵と差異はありません(※)。
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GX7-P1442@42mm-P14R(上段6コマ/下段3コマ深度合成+トリミング),ISO=125、F13-1/250、外部ストロボ+スレーブ2灯

 今回モンキチョウ卵としては、初めて卵平面図(紡錘形の卵長軸に平行な方向から見込んだ画像)も撮影してみました。卵高さは1.2mm。最大直径は0.5mm。縦条隆起は22本。

 さて、黄色型モンキ♀を撮影中、偶然通常型♀が飛び込んできました。通常型も産卵モードでしたが、両者が出会った瞬間、面白い行動を確認できました。何と、通常型♀が開翅して腹端を上げる交尾拒否ポーズを取りました。恐らく黄色型♀を♂と勘違いしたのでしょう。国内産モンキチョウは♂♀で紫外光反射率に有意差無しとされていますから、人間同様可視光域の黄/白色を区別している可能性もあります。そうだとすると、黄色型♀は♂(もちろん黄色)からの攻撃を受けにくいのではないか?等と考えを巡らしてしまいました。以前から黄色型♀が何故「黄色翅」を纏っているのか?疑問に思っていましたが、答えのヒントを一つ見つけたような気がしました。もちろん正解であるかは別ですが・・・・。
<参考:白色型♀の産卵シーン>
 こちら(外部リンクをご覧ください。

※黄色型♀の卵は、産卵直後は白色でなく、少し銀色を帯びるとの説もありますが、未確認です。
by fanseab | 2016-09-11 13:18 | | Comments(2)

ウラギンシジミの交尾(8月下旬)

 多摩川縁で偶然ウラギンシジミの交尾ペアを発見。大喜びで撮影しました(下が♀)。

+++画像は原則クリックで拡大されます+++
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GX7-P8,ISO=200、F9-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:10時54分

 ウラギン交尾シーンは管理人の記憶が確かなら初撮影です。この時期、ウラナミシジミとウラギンの個体数が爆発的に増加しますが、やはり個体数の差なのか、ウラナミ交尾ペアに比較してウラギン交尾は殆ど見ることができません。対角魚眼でゴソゴソやっている間にサッと飛んで近くのエノキ葉上に止まりました。
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GX7-P8,ISO=200、F14-1/60、外部ストロボ、撮影時刻:10時58分

 ジリジリと日が照りつける真夏。夏雲の雰囲気描写がイマイチでした。300mmでも撮影。
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D71K-34VR,ISO=200、F9-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時57分

 この後、交尾ペア飛翔画像を撮ろうと、カメラ設定を弄っている間にペアはどこかに雲隠れしてしまい、目算が狂いました(^^; それでも嬉しい出会いに得をした気分でした。
by fanseab | 2016-09-09 22:35 | | Comments(2)

今シーズンのミヤマチャバネセセリ

 川崎市内の多摩川縁では、丁度ミヤチャ第3化が発生中です。ただ今シーズンは全般に非常に個体数が少ない状況。第1~3化通じ、目撃個体は僅か2頭。実は予兆は昨年晩秋からありました。例年チェックしている観察ゾーン(30mX800m)でカウントできた越冬世代終齢幼虫巣数は10頭以下でした。ここ数年の平均値約20頭を大きく下回るものでした。そして今年の5月。第1化が産むべき卵を全く発見できず、異常事態だと気が付きました。第2化も成虫目撃できず、卵を数個発見したのみ。期待した第3化で、ようやく2頭確認。しかも産附を確認できたのは僅かに8個。8月下旬にオギ葉上に産附された事例を貼っておきましょう。

+++画像は原則クリックで拡大されます+++
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D71K-34VR,ISO=200、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時18分(8月下旬)

 次にTG4での拡大像です。
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TG4@18mm(5コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時19分(8月下旬)

 直径は1.29mm。アゲハチョウ並にデカくて白く、地上高80cm位の結構高い位置に産むので、遠くからでも目立ちます。成虫の画像を撮りたくて、結局拙宅近くのマイポイントではなく、やや上流側まで車を飛ばしてやっと♂をゲット!
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D71K-34VR,ISO=200、F10-1/400、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時26分(8月下旬)

 結構スレていたので、真正面から傷が目立たないように撮ってあげました。このポイントでも目撃できたのは僅かに1♂のみ。元来個体数がそれほど多くない種ですが、今シーズンは明らかな不作。年3回、ほぼ同時発生するギンイチはそこそこ目撃できているので、植生環境変化が原因ではなさそうです。さて来年はどうなるか?個人的に思い入れが強い種だけに、ちょっぴり心配になっています。
by fanseab | 2016-09-07 20:55 | | Comments(4)

スジグロシロチョウの飼育メモ

 7月26日の記事(外部リンク)で首題種産卵シーンをご紹介しました。その際、卵を拙宅に持ち帰り、フルステージ飼育を実施しましたので、記録として残します。
 
 7月18日に2卵より孵化を確認。通常ですと、同一個体を追跡調査・撮影するのですが、撮影時に幼虫が静止していない状況も多く、図示した画像は齢数により別個体を使用していることを付記します。なお、餌は産附されたイヌガラシよりも入手が容易な帰化植物、マメグンバイナズナ(Lepidium virginicum )を使用しました。初齢幼虫です。

+++画像は原則クリックで拡大されます+++
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D71K-1855改@45mm(上段5コマ/下段4コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F11-1/250、-1.0EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:7月22日

 体長は2.8mm。体全体に透明感があり、体毛は頭部を除き透明。頭部のみ黒色長毛が生えています。7月23日に2齢へ。
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D71K-1855改@35mm(上段4コマ/下段2コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:7月25日

 体長は5.9mm。頭部含め透明感がやや消失し、体毛の密度も増加。黒色毛も出現しています。2齢での幼虫摂食状況もアップします。
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D71K-1855改@35mm(3コマ深度合成),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:7月25日

 画面下部に初齢幼虫時の頭殻が茎の上に付着しております。27日に眠、翌28日3齢へ。
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D71K-1855改@35mm(5コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:7月25日

 体長10.8mm。なお、撮影個体は初齢・2齢とは別個体で7月24日、3齢到達。体の透明感が完全になくなっています。頭部には白色長毛が生え、胸部・腹節全体に黒色毛穴(実際には突起)が目立つようになります。体毛はよく見ると、長毛と短毛から成っていて、長毛先端には球形の「飾り」が付いています。シロチョウ若齢幼虫でよく見る構造ですが、この「飾り」は一体どんな生態的機能を有しているのでしょうか? 7月30日前後に4齢になった模様。ここでは3齢と同一個体の画像を示します。この子は26日に4齢に到達しております。
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D71K-1855改@24mm(上段7コマ/下段8コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:7月27日

 体長15.2mm。頭部が黄色から黄緑色に変化。側面から見ると気門周囲に淡い黄色環が出現しました。3齢に比較して、気門下から脚部にかけての長毛が大変目立ちます。8月1日前後に5齢(終齢)に到達。
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D71K-85VR(2コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:8月3日

 体長27mm。全体的な特徴は4齢と大差ありません。但し、側面画像で示したように、気門を囲む黄色班(黄色環)は顕著に目立ちます。気門の存在しない中胸・後胸部には黄色環が出現しないのが特徴。
 今回の飼育目的として、同属のモンシロチョウ幼生期との形態的差異を確認することがありました。そこで、同時並行して飼育したモンシロチョウ終齢幼虫と背面・側面の一部を拡大して比較してみました。
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 両種の外観・形質的差異を列挙・比較します。
(1)背線
 幼虫の背部中央を通る線(背線)は、スジグロでは確認できず、モンシロでは淡黄色線が比較的明瞭。モンシロでは各腹節の境界線にも淡黄色線が出現。
(2)体毛
 幼虫胴体の太さに比較した相対的長さはスジグロ>モンシロ。
(3)体毛基部隆起
 幼虫表面の毛が生えている起点は毛穴のように見えますが、実際には突起になっています。体毛基部隆起には黒色(濃緑色にも見える)と白色があり、黒色隆起の散布密度はモンシロ>スジグロ。但し、各隆起の高さ(基部直径)はスジグロ>モンシロ。モンシロの隆起は低い分、濃緑色に見えます。従って、隆起が高いスジグロ終齢幼虫の方が全般に黒ずんで見えます。なお、黒色隆起から生えている体毛は透明もしくは白色で、逆に白色隆起から生えている体毛は黒色です。一見、「黒色隆起数=黒色毛数」と誤解しそうですが、事実は異なります。
(4)気門の色
 スジグロは黒褐色、モンシロはベージュ色。
(5)気門周辺の黄色班
 スジグロでは気門と同心円状に黄色環が囲む。この黄色環は中胸・後胸部ではほぼ消失する。一方、モンシロでは気門周辺に合計2個の黄色班が並ぶ。気門が存在しない中胸・後胸部にも各1個の明瞭な黄色班が出現する。

 以上、(1)~(5)の識別点で、一番簡便な判定法は(5)でしょう。気門周辺の黄色班の配置を見れば両種終齢幼虫を一発判定可能だと思います。なお、スジグロの兄弟種、ヤマトおよびエゾスジグロでは当該黄色班が少し縮退するようですが、その確認は管理人にとって今後の課題です。ブログ仲間のtef_teffさんも調査中(外部リンク)でして、その後の調査結果も気になるところです。

 さて、8月5日に前蛹になりました。
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D71K-85VR(4コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:8月5日

 体長18mm。有難いことにマメグンバイナズナの茎で蛹化準備してくれたので、絵になります(^^) 同日夜蛹化を確認。
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D71K-85VR(左5コマ/右4コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:8月6日

 体長18mm。褐色型の蛹です。背面(右画像)から見込むととてもスリムな印象です。なお、別個体は8月3日に蛹化済で、こちらは緑化型でした。比較して示します。
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右画像のみ:D71K-85VR(5コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:8月3日

 同じマメグンバイナズナの茎に蛹化しており、周囲の環境はほぼ同一ですが、一方は褐色型、他方は緑色型になりました。面白いですね。ついでにモンシロチョウ蛹との比較画像も示しておきましょう。
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右画像のみ:D71K-85VR(4コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:8月6日

 体長差は個体差だと思います。背面突起は明らかにスジグロで顕著に突き出しています。背面部から覗いた画像は省略しておりますが、明らかにモンシロの方がメタボ体型をしております。なお、飼育した2個体共、モンシロは飼育容器の壁に蛹化しました。マメグンバイナズナ茎のような細い支持体よりも、平面状支持体を好むのでしょうかね。
 さて、8月12日より、蛹の翅面が少し黄ばみ始め、13日に翅模様がはっきりし、腹節も緩んで羽化直前の様相を呈してきました。
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D71K-85VR(3コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:8月13日、8時29分

 前翅黒色斑紋から明らかに♀であることが確信できました。今度こそ羽化の瞬間を捉えたいと思い、我慢してこの子と睨めっこを・・・・・。すると何とか管理人の想いが通じたのか、無事羽化瞬間に立ち会うことができました。連続画像をアップします。
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D71K-85VR(トリミング),ISO=100、F10-1/50~1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:8月13日、9時50分48秒~10時06分12秒

 頭殻部が割れてから、体全体が抜け出すのに要した時間は僅か1分弱。よほど粘るか運が良くないと羽化瞬間に立ち会えないことがよく理解できます。それにしても2コマ目、後翅裏面の鮮やかな黄橙色には痺れます。クモマツマキを彷彿とさせる色合いではないでしょうか。こうしてスジグロのフルステージ飼育は最後の羽化瞬間まで見届けることが出来て無事終了いたしました。
by fanseab | 2016-09-04 18:40 | | Comments(0)

ヒメウラナミジャノメの過剰紋(8月中旬)

 拙宅庭は猫の額ほどの面積です。それでもなるべく多様な植生を保持するようにしており、シーズンを通して7-8種類の蝶が観察できます。さて、先日珍客が訪問してくれました。何とヒメウラナミジャノメ! 多摩川縁では完璧普通種ですが、住宅街のど真ん中にある拙宅では大珍品です。概ね10年に一回程度しか目撃できません。ただ今年は特異年で、7月にも一回目撃しているので、2頭目。その個体がこちら。

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D71K-85VR,ISO=100、F10-1/250、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時56分

 羽化直に近い♀でした。驚いたのが後翅裏面眼状紋。6個目の眼状紋が確認できます。本種の過剰紋個体は過去にも撮影経験はありますが、庭に訪れたこの子は本物の珍客でありました。図鑑には7個の過剰紋事例も記載されているものの、管理人は未だ出会ったことはありません。拙宅庭にはイネ科雑草がそれなりに生えているものの、この子が庭で発生したかは不明です。恐らく周辺の駐車場脇、アパート棟間の空き地等の草地で発生した個体が迷い込んで来たのでしょう。たとえ小さな庭でも、来訪したお客様(蝶)を記録に取っておくことは面白いものです。マンションにお住いの方でも、ベランダに食草や吸蜜源となる花を植えておくと、結構蝶を呼べます。庭の無い方はお近くの公園や緑地等で同様な記録を取っておくと良いでしょう。
 詳しくは、チョウ類保全協会のサイト(外部リンクをご覧下さい。
by fanseab | 2016-08-27 20:15 | | Comments(4)

キタキチョウ卵の拡大撮影

 首題卵は過去にAPS一眼拡大システムで撮影済です(外部リンク
今回、TG4で再撮影してみました。TG4専用ディフーザーFD1は大変良くできたアイテムです。カメラに向かって右上にある内蔵ストロボ発光部からの光を、レンズ全周に回し込み、円周方向ほぼ均一に照射できるよう工夫されています。ところが、光沢感のある対象を撮影し対象表面を観察すると、画面左上から、つまり内蔵ストロボ発光部方向からの照射量が顕著であることに気が付きます。この結果、撮影対象に程よい立体感を強調させる効果があります。ただキタキチョウのように表面構造が大変繊細で、軽微な凹凸しかない卵では、照明に一工夫要ります。そこで、今回は、カメラと卵の相対配置を4通りに変化させてストロボ発光部方向を変え、その効果確認をしてみました。

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TG4@18mm(9コマ自動深度合成+トリミング),ISO=100、F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ

 #1はほぼ正面に卵を置き(カメラ水平面に対し、卵長軸を垂直に)、#2では卵を右45度に倒して撮影。#3,#4はカメラを上下逆に構えて、ストロボ照射光が卵の右下から当たるように変えております。#1~#4でどれがベストか?はここでは問題にしません。重要な点は照射方向を変えることで、卵の表情が一変すること。以前ご紹介したヒメアカタテハ(8月21日記事)、ムラサキツバメ(同19日記事)のように表面構造が明確な卵では、メインストロボ照射方向をさほど気にせずとも、構造描写が可能です。Papilio属やセセリのようにほぼ平滑な卵では、今回述べた照射方向の工夫が必須となります。今回マイクロフォーサーズ専用拡大システムでも再撮影しました。目的は過去に卵平面図(紡錘形の卵長軸に平行な方向から見込んだ画像)が未撮影だったからです。
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GX7-P1442@42mm-P14R(上段5コマ/下段6コマ深度合成+トリミング),ISO=200、F413-1/250、外部ストロボ+スレーブ2灯

 高さ1.3mm。最大直径0.48mm。キタキチョウの表面構造は大変繊細で、拡大率がTG4に勝る本システムを使用しても、未だ構造の全貌を描写しきれていません。スレーブストロボ2対の配置と照射強度を数通り変化させてベストの画像を選択しましたが、正面下部の表現が不十分ですし、平面図は手持ち深度合成の限界を感じる画像となりました。因みに縦条隆起は65本あります(2-3本の数え落としがあるかも)。同隆起はモンシロチョウで14本、スジグロシロチョウで16本ですから、遥かに細かい条溝が刻まれていることになります。
by fanseab | 2016-08-24 21:57 | | Comments(0)

ヒメアカタテハの産卵(7月下旬)

 ムラツ産卵シーンを撮影した日は午前中から暑くて、熱中症になりそうな温・湿度でした。真夏の陽射しがジリジリ照りつけるシバ草原の遊歩道を歩いていると、道なりにヒメアカタテハが飛んでいます。遊歩道と芝の境目にヨモギの若葉が密集していて、どうやら産卵モード。先ずは一コマ目。

+++画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34VR(トリミング),ISO=200、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時21分

 ヒメアカ産卵は母蝶の個体数が増加する秋口に撮るのが通例。真夏の炎天下、平地で撮影するのは初体験。流石に地球上の広い場所に分布するだけあって、逞しい限り。酷暑に関係なく次々と産卵していきます。連射の途中、前脚連打行動も観察できました。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=200、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時24分32秒

 右前脚を振り上げようとした瞬間です。前脚連打行動は相当に素早く、シャッター速度1/500sec.では完全にブレていますね。母蝶が止まっている葉には既に2卵が確認できます。母蝶の狙いは、矢印で示した葉で、こちらにタッチしてホスト確認をしようとしております。↑の画像の8秒後に無事産卵。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=200、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時24分40秒

 卵は例によってお持ち帰りで拡大撮影。
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TG4@18mm(9コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:20時29分

 直径は0.6mm。拡大撮影中、同じ葉に産附されていた卵の色合いが黒化しているのに気が付きました。撮影してみると、何と孵化の瞬間でした!
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TG4@18mm(トリミング),ISO=100、F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:20時31分

 動きが激しいので深度合成画像は撮影できません。その後、同じ葉上にあった別の3卵も無事孵化したので、短期間の飼育を実施し、2齢直後に多摩川縁のヨモギへ移してあげました。
by fanseab | 2016-08-21 20:11 | | Comments(2)