探蝶逍遥記

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ウラナミシジミなど(11月上旬)

 40mmマクロでの飛翔撮影に習熟するため、日を改めて河川敷のセンダングサ群落へ。10月頃、雨の合間にクズ群落の上を飛び交うウラナミシジミを目撃しております。昨年秋と比較して個体数は非常に多い印象でした。但し、♂の殆どは飛び古した個体で、とても撮影する気になれなかったのです。11月に入ると、ウラナミの個体数は激減、でもこの日、1頭のそれなりに綺麗な個体が目に入ったので、この子と遊んで(遊ばれて?)みました。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D500-40、ISO=100、F6.3-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:11時32分

 縁毛が微妙にスレていることも考慮し、あまり接近せずに自然な雰囲気になるように仕上げました。と言うか、40mmマクロは意図せずとも、肉眼で見たままの情景を上手く切り取る描写をしてくれます。次いで飛翔。
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D500-40(トリミング)、ISO=2000、F9-1/6400、-0.7EV、撮影時刻:11時16分
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D500-40(トリミング)、ISO=2000、F9-1/6400、-0.7EV、撮影時刻:11時28分
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D500-40、ISO=100、F6.3-1/1600、-0.7EV、撮影時刻:11時31分

 ピンク色を帯びた独特なブルーは綺麗ですね! このポイントにはスジグロシロチョウ♀も緩やかに舞いながら、センダングサで吸蜜をしておりました。
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D500-40(トリミング)、ISO=2000、F9-1/6400、撮影時刻:11時25分
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D500-40(トリミング)、ISO=2000、F9-1/6400、-0.7EV、撮影時刻:11時26分

 ウラナミを追いかけた後で、この子の飛翔を撮ると、大きさに騙されて置きピン感覚が狂ってしまいます。結果、緩やかな飛翔の割にはピンが来ないコマが多くてガッカリでした。ここでアップしたコマはいずれも露出オーバー。しかし、ラチチュードが広いD500のセンサーに助けられ、問題無く補正処理ができました。特にISO=2000の高感度でのRAW現像時、γコントロールによるコントラスト調整でも色相が破綻しないので助かります。D90あたりの機種性能とは流石に一線を画した仕上がりに満足です。
by fanseab | 2017-11-10 21:24 | | Comments(2)

キタテハの飛翔など(11月上旬)

 11月に入ってから関東地方は、それまでの悪天候が嘘のように好天が続いております。この日も多摩川縁のセンダングサ群落で飛翔撮影。今回はD500とマイクロニッコール40mmF2.8Gの組合せでトライ。40mmレンズは4月のツマキチョウ飛翔撮影に使用して以来、久しぶりの登場。最初はキタテハ。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D500-40(トリミング)、ISO=1600、F8-1/8000、撮影時刻:11時11分
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D500-40(トリミング)、ISO=1600、F8-1/8000、撮影時刻:11時11分
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D500-40(トリミング)、ISO=1600、F8-1/6400、撮影時刻:11時19分

 追いかけ撮りになるので、思い描いたイメージが上手く得られません。それに、やはり慣れていないレンズだと、置きピン感覚が全くズレていて、殆どのコマはピンが来ていません。ここ数年、(マイクロフォーサーズ一眼+高速連射機能)で飛翔を撮っているので、APS一眼での焦点深度の浅さを改めて認識することに・・・。

 次は久しぶりのモンキチョウ。
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D500-40(トリミング)、ISO=1600、F8-1/8000、撮影時刻:11時16分
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D500-40(トリミング)、ISO=1600、F8-1/8000、撮影時刻:11時16分

 モンキって、追いかけてみると、やはり速いなぁ~って感じます。40mmレンズで最適置きピン位置を探ってみると、どうやら50~60cmにあることが判明。ところが、本レンズ距離環の刻印は「0.4(40cm)」の次はいきなり「∞(無限遠)」! 50もしくは60cmでスパッと設定ができないのが辛いところです。一方、利点としては、肉眼で見たままに近い自然な描写と適度な背景ボケが得られる点ですね。フルサイズ換算では60mm。銀塩時代の標準レンズ(50~55mm)に相当する画角は、やはり描写がナチュナル。今後、上手く使いこなしたいと思っております。

 さて、拙宅に戻ってみると、エノキの葉裏にアカボシゴマダラの前蛹準備個体を発見。
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D500-40、ISO=200、F7.1-1/1000、撮影時刻:12時07分

 皆さん、どこに前蛹がいるか分かりますか?画面中央右下で角状突起を下にしてぶら下がっている黒い影がその正体。この時期に蛹化すると、蛹期は概ね1ヶ月。早くても12月上旬になるでしょう。その頃、エノキの葉は大半が落ち、鮮やかな緑色の蛹は嫌でも目立ちます。例年の観察だと、シジュウカラの食害に遭う事例が多いのです。この子は果たして無事羽化できますでしょうか?
by fanseab | 2017-11-06 21:15 | | Comments(2)

秋晴れに翔る蝶(10月下旬)

 今日から早いもので、もう11月。10月を振り返ってみると、何だか毎日雨が降っていた感覚でしたね。週末には2週連続で台風も来襲。多摩川縁も水浸しで河川敷の景色が一変しました。ようやくカラッと晴れた正午前後に河川敷に出てみると、陽光を待ちわびた蝶達が澄み切った青空を翔け抜けておりました。最初は、モンシロチョウの♀。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z12(トリミング)、ISO=1250、F6.3-1/5000、撮影時刻:11時54分

 センダングサの群落は吸蜜に集う蝶達の楽園状態。しかし、この時期、センダングサの実がズボンにごっそりと付いて、落とすのに一苦労(^^;  次はモンシロの求愛シーン。
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EM12-Z12(トリミング)、ISO=800、F6.3-1/5000、撮影時刻:12時07分
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EM12-Z12(トリミング)、ISO=800、F6.3-1/5000、撮影時刻:12時07分

 久しぶりの置きピン飛翔撮影で、置きピン感覚が微妙にズレ気味です。まぁ、背景のオギの穂も垂れていて、秋らしい雰囲気は何とか出せたようです。
 セイタカアワダチソウにバタバタ吸蜜している蝶を発見。何とアオスジアゲハの♀!
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EM12-Z12、ISO=200、F7.1-1/400、撮影時刻:11時57分

 この黄色い花弁での吸蜜シーンは初体験です。例年、近所のマンション植え込みで観察できるアオスジの終見日は、10月中旬ですから、これまでの終見記録を更新しそうです。雨模様で吸蜜できなかったのでしょう、広角レンズを目一杯接近させても全く無関心で、無心に吸蜜しておりました。続いて飛翔。
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EM12-Z12、ISO=1250、F6.3-1/4000、撮影時刻:11時58分
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EM12-Z12、ISO=1250、F6.3-1/4000、撮影時刻:11時58分

 雲一つない青空を翔け抜けるアオスジの躍動感が堪りません。セイタカアワダチソウの後は、センダングサ食堂にも立ち寄ってくれました。
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EM12-Z12、ISO=200、F7.1-1/800、撮影時刻:12時02分

 アオスジの背景は、多摩川河川敷。オギなどの群落は全て濁流で下流側に曲げられ、平板状になっています。台風で水嵩が増えた時の流れの勢いには驚かされます。
 短い時間でしたが、ようやく訪れた秋晴れをチョウ共々楽しませて頂きました。
by fanseab | 2017-11-01 21:21 | | Comments(2)

フタスジチョウの飼育メモ:その2

 8月22日付記事(クリックでジャンプの続きです。
前回は、山梨県で採卵した4卵のうち、個体#Aを中心に各ステージの経過を述べました。今回は#B,#C,#Dについて、その後の経過です。
 先ず#C、こちらは、8月27日に無事♂が羽化。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月27日

 前翅長19mm。やはりサイズは小ぶりでした。さて、残りの個体#B,Dですが、こちらは越冬態勢のモードでゆっくりとした成長モードに入っておりました。8月上旬より両個体共に夜間は冷蔵庫保管、日中は室温保管としました。これは以前、Neptis属研究の権威、F氏よりご教授頂いた「ヒートショック管理法」に従った手法。この手法が効果があったようで、7月下旬~8月下旬にかけての糞量は両個体共に、数個/dayのレベルでした。ところが9月上旬に所用で、6日間ほど夜間冷蔵庫保管を怠ったためか、個体#Bは覚醒、一気に糞量が増加、9月9日には3齢に。その後糞量は20個/dayで推移し、9月21日に終齢到達。10月4日に蛹化、12日に無事♀が羽化しました。
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EM12-Z60、ISO=200、F7.1-1/160、外部ストロボ、撮影月日:10月12日

 前翅長25mm。8月13日に羽化した♀よりも僅かにサイズが大きい個体でした。
 一方、個体#Dは8月30日に糞1個を確認したのを最後に糞を出しておりませんでした。9月19日に巣を開封して確認すると、既に干からびており、残念ながら★様になっていました。やはり室温飼育では日中、空調の効いた20度近辺に温度管理しないと越冬モードを保持するのが難しいのかもしれません。ここで、今回飼育で羽化した♂1♀2個体と山梨県で野外観察した♀個体の開翅比較画像をアップしておきます。
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野外個体は7月7日撮影分

 今回飼育した3個体を検する限り、野外個体と比較して特別な斑紋変化はないように思われます。
 前回記事では比較できなかった、フタスジチョウ♂♀の蛹の形状比較についても述べておきます。♂1♀2、合計3個体の比較画像は以下の通り。「♀その2」とメモされた個体のみ羽化直前の撮影であることはご了解下さい。最初は側面画像
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 あくまで今回検した3個体の比較からですが、下記の♂♀形質差があると思います。
(1)前翅外縁と後縁のなす角度:α
 ♀はほぼ直角であるのに対し、♂は明らかに鈍角。
(2)「前翅長FWS」対「蛹の全長PL」比:FWS/PL
 ♂:0.43
 ♀1:0.54
 ♀2:0.53
 ♀は♂より20%ほど相対前翅長が長い。

 続いて背面画像。
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(3)L部分の形状
 側方への迫り出しは♀は台形状、♂はなだらかな一山形状。迫り出し巾が異なるため、
♂は♀に比較して腹部の長さが長く、細く感じられる。

 上記(2)については、成虫の(前翅長/胴体長さ)比に対応していると思います。既にアップした♂♀開翅画像と比較すると、♂♀の翅形差も確認できて興味深いものがあります。なお、♂♀交尾器形状を反映して、尾端構造も有意差があるのですけど、これについては、別の機会に記事にしたいと思います。
by fanseab | 2017-10-27 21:49 | | Comments(2)

ミヤマチャバネセセリ幼虫の生息数調査(10月中旬)

 多摩川中流域ではミヤチャは基本年3化。現在は第3化世代から育った幼虫が中齢~終齢状態になっています。11月上旬にはほぼ全ての老熟幼虫は地表に降りて蛹化・越冬態勢に入る予定。そこでこの時期、同種幼虫の生息数を簡易トランセクト法で調査しました。昨年も同様な調査をしております。過去6年間の結果は以下の通り(頭数には寄生個体も含む)。

2011年 13頭
2012年 29頭
2013年 21頭
2014年 データなし(記憶が曖昧だが10頭は確認?)
2015年  4頭
2016年  1頭
 
 昨年は僅か1頭で、今年が坊主だとヤバイなぁ~と思いつつ、いつもの調査領域:30mX800mを歩いてみました。その結果、

2017年 11頭

でした。ヤレヤレ何とか二桁達成です。この結果をどう見るか? 二通りの見解があるでしょう。

(1)ミヤチャは本来長周期の発生の波があり、個体数の少ない時期を脱して、これから増加傾向に向かう。
(2)長期的に減少傾向にあり、今年は偶発的に個体数が増加しただけである。

 もちろん、仮説(1)を信じたいところです。来年以降も同様な調査を継続し、事実確認をしていきたいと思います。ところで成虫は、春先の第1化以降、2・3化個体を目撃できておりません。本年夏場は真面目に多摩川沿いで観察していないので、成虫の撮影ができなかったのは残念でした。今回の調査で撮影した幼虫の画像を貼っておきましょう。先ずは寄生個体。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F7.1-1/200、撮影時刻:11時16分
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=64、F6.3-1/200、外部ストロボ、撮影時刻:12時10分

 頭殻模様から判断して、一枚目は終齢、二枚目は3齢でしょう。次に正常個体。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F7.1-1/160、撮影時刻:12時13分

 こちらは恐らく4齢。蛹化まで無事辿りつけることを期待しましょう。
さて、調査ルートを歩いていると、足元から体長2-3cmの小さなバッタが沢山飛び立ちます。結構敏感で、そっと接近して覗き込むと、腹部の鮮やかなサーモンピンクが目に飛び込んできました。思わずパチリ。。。。
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EM12-Z60、ISO=64、F5.6-1/320、撮影時刻:11時05分

 ヒナバッタ(Chorthippus biguttulus)の♂だと思います。間違っていたらご指摘願います。♀は腹部が赤くないようですが、どうやら♂でも赤色を帯びない個体がいるようです。とにかく個体数が多く、同所で観察できるトノサマバッタの個体数を1とすると、概ね100個体は生息している感覚。夏場から発生しているバッタですけど、これまで気に掛けなかったこともあって、これほど数が多いとは! 秋口(第2化?)に猛烈に個体数を増やしている可能性があります。このバッタをもうちょっと、観察してみようかと意気込んだら、急に寒気が入り込んで関東地方は連日雨模様。止む無く観察は中断しています。早く晴れてくれないかなぁ~!!
by fanseab | 2017-10-16 21:44 | | Comments(8)

コクサギ食いのアゲハ

 拙宅庭にはPapilio属の食うホストを3種類植えてあります。以前からあったサンショウ、本年新規に追加したカラスザンショウとコクサギです。カラスザンショウは将来ミヤマカラスやモンキ飼育目的のため、今年春先に種蒔きから育てた3株。コクサギは昨年秋、園芸ショップ経由でネット購入した5株です。コクサギは今年オナガ・カラスの飼育に活用できました。さて、拙宅に訪れるPapilioで最も多いのはもちろんアゲハ(P.xuthus)。これまではサンショウに産卵するのを観察してきました。今年はカラスザンショウとコクサギが加わったので、この両者に産卵するのか?注意深く観察しておりました。結果はカラスザンショウには産んだのですが、コクサギは皆無。本田計一博士の著書(※)にはアゲハの食草選好性に関して記載があります。

 これによれば調査対象のミカン科8種の中で、「カラスザンショウには産卵するが、コクサギには産まない」。さらに幼虫が摂食するかも同時に調査されており、ここでも「カラスザンショウは食うが、コクサギは食わない」とまとめられています。産卵選好性については拙宅の観察結果とよく一致します。
 さて、拙宅のサンショウ株は大小2株。小さな株に隣接してコクサギの鉢が置いてあります。この夏、偶然コクサギ葉上にPapilioの初齢幼虫がいるのを発見。アゲハにしては少し赤味を帯びた個体でした。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月13日

 ひょっとしてクロアゲハの初齢幼虫かなと思いつつ、そのまま経過観察すると、幼虫は順調に終齢まで育ち、この時点でアゲハの5齢幼虫と判明。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:9月10日

 因みにこの個体、背面腹節境界に白色条線(矢印)がある変わった幼虫。参考までに後日撮影した正常斑紋個体と比較してみました。
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下段は10月13日撮影。

 コクサギ上で育ったこの子は無事蛹化、♀が羽化しました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/100、撮影月日:9月24日

 拙宅庭内で蛹化したアゲハは9割がた寄生されているので、成虫が無事羽化した時は嬉しかったですね。先にご紹介した本田博士の実験結果とは異なり、コクサギでも摂食、羽化まで至ることが証明されました。ただこの子の出自を辿ると、母蝶がコクサギに産卵していたかは不明です。実はサンショウは、8月中旬時点で前の世代のアゲハ幼虫が葉を食い尽くしていた状態でした。一方、このサンショウとコクサギ株は隣接していて、枝伝いに幼虫が行き来できる状態でしたので、もしかすると、サンショウ葉上で孵化した幼虫が餌不足で偶々コクサギに移動し、コクサギを食い始めたのかもしれません。

 一方、カラスザンショウの結果です。 サンショウに比較すると頻度は少ないものの、拙宅に飛来したアゲハは産卵してくれました。カラスザンショウ葉上の初齢幼虫です。
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EM12-Z60、ISO=320、F5.6-1/125、外部ストロボ、撮影月日:8月13日

 また、こんな実験もしてみました。サンショウ葉上で餌不足で餓死しそうな若齢~終齢幼虫を途中から強制的にカラスザンショウに移動させ、摂食挙動を確認しました。結果、移植した幼虫の約7割の個体は問題なく食いましたが、残りの個体は全く食いません。一方、サンショウからコクサギに移動させた実験では、100%食ってくれませんでした。
 結局、本田博士の実験結果は概ね妥当であるけれど、例外的にコクサギを食うアゲハ個体がいることが判明しました。

※<参考文献>
本田計一・村上忠幸,2005.ワンダフルバタフライ(不思議にみちたその世界).化学同人,京都.
by fanseab | 2017-10-13 21:52 | | Comments(4)

彼岸花に集うアゲハチョウ(9月下旬)

 この日はモンキアゲハの産卵シーン狙いで、神奈川県南部へ。目的のモンキ♀産卵行動は11時過ぎに一回確認しただけで、視界から遠ざかり撮影チャンスは皆無。恐らく午後それも夕刻に近い時間帯がピークかもしれず、再チャレンジしなければなりません。まぁ、カラスザンショウの株がどのあたりにあるのか、下調べには十分でした。
 一方、訪問したポイントの一角には、規模は小さいながら彼岸花が密集している場所があり、黒系アゲハが集っておりました。最初は目的のモンキアゲハ。しかし、殆どが2本の尾状突起が欠損している個体。じっとここで我慢してようやく登場した比較的新鮮な個体を選んで撮影。先ずは♀。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=640、F5.6-1/4000、撮影時刻:10時31分

 ♂に比較すると、翅の地色が褐色を帯びていて、遠目には飛び古した個体のようにも見えます。次は♂。
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D500-34VR、ISO=400、F8-1/2000、外部ストロボ、撮影時刻:10時45分
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D500-34VR、ISO=400、F6.3-1/4000、外部ストロボ、撮影時刻:10時45分
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D500-34VR、ISO=400、F6.3-1/4000、外部ストロボ、撮影時刻:10時46分

 広角でも狙ってみました。
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EM12-Z12、ISO=64、F8-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:10時42分
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EM12-Z12、ISO=64、F8-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:10時43分

 2枚目は偶然、別の♂が後方から迫って来て画面に動きが出てくれました(^^)

 モンキアゲハの次はカラスアゲハ。こちらも鮮度が厳しい状態(^^; 先ずは♀。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=320、F9-1/2000、外部ストロボ、撮影時刻:11時39分

 左後翅の尾状突起は切れる寸前ですね。♀が熱心に吸蜜していると、当然の如くストーカー役の♂がやってきます。相変わらずの「ゴール無き一方通行求愛」がスタート。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=320、F9-1/2000、外部ストロボ、撮影時刻:11時42分
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D500-34VR(トリミング)、ISO=320、F9-1/2000、外部ストロボ、撮影時刻:11時43分

 高く舞い上がったり、地上低く急降下したり、3分近くもつれあっておりました。最後はアゲハ。こちらも破損個体が多く、ようやく綺麗な1頭をゲット。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=320、F8-1/2500、外部ストロボ、撮影時刻:11時45分

 背景の「レッドカーペッド」にはアゲハの方がお似合いかな? モンキ産卵シーン撮影は叶いませんでしたが、秋の一日を堪能させて頂きました。
by fanseab | 2017-09-28 21:36 | | Comments(2)

カラスアゲハの飼育メモ:パート2

 拙ブログをアップしているエキサイトブログでは、数年前から記事ランキングが掲載されるようになりました。どんな記事にアクセス数が多いか?結構興味深いものがあります。さて、このランキングでトップを維持しているのが、
カラスアゲハの飼育メモ(前蛹まで)』
です。イモムシ画像中心の飼育記事がランキングトップになるのも面白いですが、実は管理人にとって、↑の記事はちょっと中途半端で不満の残るものでした。理由は標題にあるように飼育個体が蛹化に失敗し、羽化まで至らなかったからです。そこでリベンジマッチとして今回新規に飼育をやり直しました。それが今回記事の眼目。

 7月下旬に採卵した3卵(個体#A,#B,#Cとします)を全てコクサギで飼育。3卵共に7月31日に孵化。以下幼生期画像は主として個体#Bで撮影。初齢幼虫の姿です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(5コマ深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月1日

 体長は3.8mm。初めてカラスを飼育した際にも感じたことですが、外観が緑色を帯びていることが最大の特徴。ナミアゲハとは全く異なります。8月4日に2齢到達。
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EM12-Z60(上段:自動深度合成/下段:8コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月6日

 体長10mm。毎度お馴染みの鳥糞状に変化。全体に「テカリ」が出てきました。8月8日前後に3齢に。下記の画像は個体#Cを撮影。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月8日

 体長13mm。①胸部の微小斑点および、②各腹節背線側に一対の白班(矢印)が出現。この二点が2齢との形質差となります。個体#Bは8月9日前後に4齢到達。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月12日

 体長25mm。鳥糞状からイモムシ状へ変化する過渡期のような斑紋・色調を示しています。8月15日に5齢(終齢)到達。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月18日

 体長45.5mm。緑を基調に全体に白色斑点が散在し、胸部の雲型模様など、カラスアゲハ終齢幼虫は独特な美しさを持っていると思います。8月23日に前蛹へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月23日

 体長27mm。前回の飼育ではここから蛹化まで到達しませんでしたが、今回は無事翌24日に蛹化。
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EM12-Z60(左画像:5コマ/右画像:自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月25日

 体長33.5mm。鮮やかな明るい緑色です。緑色型以外に褐色型もあるようです。一見アゲハの蛹に似ておりますが、胸部背面が殆ど突出しないのが特徴。実はこの後、再び悲劇が起きました。↑の蛹画像でご紹介した個体#Bは蛹化時に触覚付近に微妙な傷が発生したらしく、結局羽化には至りませんでした。一方個体#Aは以前と同様蛹化時に異変が起きて脱皮が叶わず死亡。結局個体#Cのみ♀が羽化しました。羽化時期は9月5日頃と推定。所用で羽化直後の撮影は叶わず。
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EM12-Z60、ISO=400、F6.3-1/60、外部ストロボ、撮影月日:9月9日

 前翅長は54mm。今回は3個体飼育したので、何とかフルステージ画像撮影が叶いました。ただ2個体が羽化まで至らなかったのは残念です。やはり前蛹→蛹化の過程は蝶の変態にとっても極めてデリケート、かつ重要な瞬間であることを改めて認識いたしました。
by fanseab | 2017-09-20 21:20 | | Comments(4)

真夏のクロツ探索(8月下旬)

 オオムラサキ産卵シーンに再挑戦すべく甲府盆地へ。樹液酒場のポイントに向かうも、影も形もありません。樹液に来ているのはルリタテハ1頭のみ。仕方なく付近の既知ポイント数箇所も巡った結果、オオムラサキはボロ♂1頭を発見しただけでした。9月上旬までは何とか♀産卵が期待できると踏んでいたのにガッカリです。丁度昼時。木蔭でランチ休憩した後、このまま帰宅するのも癪なので、久しぶりクロツバメシジミのポイントへ向かいました。このポイントを訪問するのは何と5年振り(^^; 環境変化が心配でしたが、到着してすぐにクロツが数頭飛んでいるのを見て一安心。先ずは開翅をパチリ。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D500-34VR、ISO=200、F8-1/1250、外部ストロボ、撮影時刻:13時00分

 鮮度もまずまず。次は岩場での静止場面。
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EM12-Z60、ISO=200、F6.3-1/400、撮影時刻:13時20分

 岩場に腰かけた管理人の左脇に止まったので、体の向きを変えることができず、バリアングルファインダーを駆使して何とか撮れました。態勢が悪い場合は、バリアングルファインダーは便利ですね。次いで訪花シーン。
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EM12-Z60、ISO=200、F5.6-1/200、撮影時刻:13時37分

 キリンソウの1種でしょうか?クロツの生息環境に相応しい絵になりました。
 到着当初薄曇りでしたが、13時30過ぎから陽射しが強まって、岩場はサウナ状態(^^;しかし暑くなったのが幸いして、期待した♀産卵活動がスタートしました。結構苦労して撮った一コマがこちら。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F5.6-1/200、外部ストロボ、撮影時刻:13時37分

 どうしても腹端までの表現ができません。概ね次のようなややこしい態勢で産んでいます。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F5.6-1/200、外部ストロボ、撮影時刻:13時37分

 こうなると、腹端云々の議論にさえなりません。まだツメレンゲの穂は低いので、穂の先端に産み付けてくれれば撮影が楽ですけど、どちらと言えばやや暗い部位を好んで産み付けているようです。ツメレンゲに産卵された状況です。
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EM12-Z60(7コマ深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:13時42分


 撮影のため、株を少し持ち上げています。次に卵の超拡大像。
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EM12-P1442@42mm-P14R(上段13コマ/下段15コマ深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ

 直径0.54mm、高さ0.26mm。クロツ卵の超拡大像は以前にも撮影済みですが、今回初めて側面像も撮ってみました。ヒメシジミ亜族でサイズが小さいシジミ卵は直径が0.5mm程度なので、今回使用している拡大システムでは分解能が少し不足する感じです。

 さて、母蝶は産卵の途中、暑いこともあって、キリンソウの草陰で暫し休憩。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F5.6-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:13時57分

 この子は縁毛もバッチリ揃った別嬪さんですね。ツメレンゲに産み付けられた卵探索の過程で思わず終齢幼虫を発見。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:13時30分

 管理人はクロツ幼虫を見るのはこれが初めて。しかしどうも雰囲気がおかしいと思ったら寄生種の卵が2卵産み付けられておりました。ツメレンゲの葉は赤紫色を呈しておりますが、幼虫の体色は緑色なので、今回何とか発見できました。仮にルリシジミ終齢幼虫のように赤紫色に擬態していたら、とても見いだせなかったでしょうね。

 この日の天気予報は曇り。しかも昼過ぎから降水確率が上昇するとのご宣託が・・・。しかし、予報に反して陽射しが強まったのには閉口しました。岩場からの輻射熱は想像以上に体力を消耗します。やはりクロツの探索はツメレンゲの穂が伸びる秋口か、潮風に吹かれての海クロツ探しが体に優しいですね。

 今回の産卵シーンの動画もyoutubeにアップしました。実は動画で産んでいる場面の方が静止画で紹介したシーンよりも見栄えがします。
by fanseab | 2017-09-02 11:15 | | Comments(6)

フタスジチョウvs.ホシミスジ:幼生期性状比較

 国産Neptis属の中で、フタスジとホシミスジは兄弟種の関係になります。本記事では特に終齢幼虫と蛹の形態・性状差について、詳述します。フタスジ幼生期の詳細は直前記事をご覧下さい。
 先ずは終齢幼虫。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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ホシミスジ画像は2014年10月撮影分

識別点を下記にまとめます。
(1)第7-9腹節側面の淡色模様:矢印#1
ホシミスジは鮮やかな緑色、フタスジは僅かに緑色を帯びる程度に留まる。
当該斑の面積(腹節全体に対する相対値):ホシミスジ>フタスジチョウ
(2)背面突起:矢印#2
突起長さ:ホシミスジ>フタスジチョウ
(3)背面模様:矢印#3
暗色斜帯はホシミスジでより明確→ホシミスジ:全体に地色と暗色斜帯とのコントラストが明快。

 次いで蛹の形態比較です。
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ホシミスジ画像は2014年10月撮影分

識別点は下記の通り。
(1)懸垂器と腹端背面のなす角度:#1
ホシミスジがより鈍角。
(2)前翅後縁部形状:#2
フタスジでは前縁側に強く湾曲する。
(3)背面から見込んだ時の翅部の巾:#3
ホシミスジはより巾広い。
(4)頭部突起形状:#4
ホシミスジでより顕著(やや前方に突出する傾向)。

 両種共に、♂♀差・個体差がどの程度あるかは、今後の検証課題です。卵の微細構造同様、兄弟種だけに両種は終齢幼虫・蛹形状共によく似ていますね。
by fanseab | 2017-08-22 21:43 | | Comments(2)