探蝶逍遥記

カテゴリ:天体( 5 )

ラブジョイ彗星(C/2013 R1)の勇姿

 「世紀の大彗星」と期待されたアイソン彗星(C/2012 S1)はテレビ等の報道の通り、太陽に最接近した際(11月29日)、文字通り雲散霧消し、宇宙の塵と消えてしまいました。その一方で、11月中旬の時点(外部リンクでアイソンの黒子的役割だったラブジョイは意外と尾が発達し、天文ファンにとって主役に躍り出たのです。丁度、月明かりが無い理想的な条件になる先週末に山梨県に遠征し、撮影して参りました。町灯りの影響をなるべく避けるべく下見をした上で八ヶ岳山麓の撮影地を選定しておりましたが、当日のピンポイント予報で午前3-6時の大事な時間帯に曇りであることが判明。急遽、この時間帯の晴天が期待される富士山麓に目的地を変え、現地には3時前に到着。ところが何と、現地は曇っており富士山の姿も見えない始末。仕方なく当初選定した候補地である八ヶ岳に場所変更。しかし、標高1400mの目的地は雪雲が邪魔してこれまたNG。慌てて標高を950mに下げ、ようやく満天の星空に出会うことができました。この時点で既に4時45分。天文薄明の開始まで殆ど時間が無く、慌てて簡易赤道儀をセットしてスタンバイしたのは5時を回っておりました。ラブジョイの位置はかんむり座の少し左側。視力の悪い管理人は肉眼では存在がわからず、双眼鏡で観察すると、すぐにボンヤリとした彗星核を確認することができました。時間に余裕がないので300mm一本に絞り撮影。

+++横位置画像をクリックすると、拡大画像をご覧になれます。

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D71K-34(トリミング+5コマコンポジット)、ISO=1600、F4-(30sec.X5コマ)、-0.7EV、スカイメモRでガイド、撮影年月日・時刻:2013年12月8日、05時21分15秒~24分23秒(JST)

 最初の一コマをカメラの液晶画面で再生した直後、長大な尾が写っていることを確認し感激いたしました。彗星核と尾のコントラスト差が激しく、尾の微細構造を表現すると核のディテールが潰れてしまい、コントラスト調整は相当難しいですね。しかし300mmで撮影した結果、複雑な尾の構造が何とか表現できて満足しております。300mmの対角線画角は5度20分とされていることから判断して、尾の長さは少なくとも5度以上あったものと思われます。コンポジット処理をしない単独画像も参考のため貼っておきましょう。
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D71K-34(トリミング)、ISO=1600、F4-30sec.、-0.7EV、スカイメモRでガイド、撮影年月日・時刻:2013年12月8日、05時24分23秒(JST)

 彗星核は恒星同様、点状に見えます。寒さを忘れて撮影をしておりましたが、みるみる東の空が明るくなり、結局撮影スタートから正味30分で撮影を終了せねばなりませんでした。
撮影スタート直後と撮影終了時の彗星付近の画像をGIF動画で比較した絵もアップいたしましょう。
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D71K-34(トリミング)、ISO=1600、F4-30sec.、-0.7EV、スカイメモRでガイド、撮影年月日・時刻:2013年12月8日、05時24分23秒および05時43分27秒(JST)

 わずか19分間ですが、相当なスピードで移動していることがわかりますね。今回は思わぬ雲に祟られ、慌ただしい行動を強いられましたが、雄大な彗星の姿を撮影できて何よりでした。彗星の名前通り、愛すべき(love)姿を十分に楽しむ(joy)ことができました。この後、ラブジョイの位置は日増しに高度を下げ、同時に月明かりの影響で観測が困難になります。ほぼベストタイミングで撮影ができたようです。
by fanseab | 2013-12-10 22:10 | 天体 | Comments(2)

アイソン&ラブジョイ彗星

 久しぶり天文の話題。今年は大物彗星の当たり年とされていて、3月中旬にはパンスターズ彗星(C/2011 L4)が夕方西の空に姿を現しました。管理人も何とかその姿をカメラに収めることができました(外部リンク。ただ、期待された光度には到達せず、天文ファンをガッカリさせたのでした。でもって、「本命」と目されたのがアイソン彗星(C/2012 S1)です。「世紀の大彗星」になるかもしれない・・・との報道もあって、秘かに期待しておりましたが、10月頃、「予想を下回る光度」との報道もあってヤキモキさせられました。彗星については、「前評判が高すぎると明るくならない」法則があるようで、どうも今回もこの法則に従ったようです。それでも11月中旬になって、急に増光したとのニュースをキャッチし、夜明け前の星空に挑戦しました。撮影地の横須賀市に午前3時前に到着。ガイド撮影のセッティング等をしながら、空の様子をチェック。生憎、月明かり(月齢12.6)が邪魔して暗い星までは観察できません。おまけにアイソン彗星が上がってくる東南東方向は房総半島の町灯りの影響で、低空がかなり明るく気持ちが萎えます。目印になるおとめ座のスピカ(α Vir)が地平線上に上がった頃を見計らい、双眼鏡で捜索。同座θ星(θ Vir)の脇にボンヤリ光る天体を発見。目が慣れると黄道に沿って僅かに尾が伸びている様子も確認できました。85mmマクロで撮影したアイソン彗星です。
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D71K-85VR(トリミング+コンポジット処理)、スカイメモRで自動ガイド、ISO=1600、F3.5-30sec.X5コマ、-0.7EV、撮影時刻:11月16日04時42分49秒(JST)

 やはり双眼鏡観察よりも尾ははっきりと写りました。尾の構造を更に詳細に撮影するべく300mmでもトライしたのですが、恥ずかしながら方向を間違えて撮影に失敗orz  そうこうするうちに天文薄明が始まってしまいジ・エンド。低空・光害・月明かりの悪条件三点セットで撮影難易度は相当高かったですね。この彗星は11月29日に太陽に最接近した後、12月上旬に再度夜明け前の東の空に登場予定です。太陽に接近後、彗星核が分解して大規模な尾が発生することも期待されています、おまけに12月3日が新月ですので、月明かりの心配なくアイソン彗星を観察可能です。今度はもう少し透明度の良い山梨県あたりで観察したいと思っております。
 さて、やや期待外れだったアイソン彗星に対し、期待以上に明るくなったのがラブジョイ彗星(C/2013 R1)です。こちらは11月中旬頃、「こじし座」付近を通過中でして、アイソンに比較して天頂近くに位置するため光害の影響を受けにくいのです。実際、アイソンが地平から上がってくるまでの間、ラブジョイを探索し、こちらはすぐにボーッとした姿を双眼鏡で捉えることができました。アイソン同様、85mmで撮影。
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D71K-85VR(トリミング+コンポジット処理)、スカイメモRで自動ガイド、ISO=1600、F3.5-15sec.X9コマ、-0.7EV、撮影時刻:11月16日03時44分54秒(JST)

 画像を詳細に見ると、僅かに拡散した尾が確認できます。光度は5-6等級で、光害の無い場所なら肉眼でも確認できそうです。
by fanseab | 2013-11-19 21:17 | 天体 | Comments(2)

パンスターズ彗星(3月16日)

 久しぶりに天文の話題です。今年は肉眼で観察可能な彗星が2つ来るとのことで天文ファンは心待ちにしていたのです。最初に登場するパンスターズ彗星(C/2011 L4)が3月10日に近日点を通過し、日本でも夕方の空で観察可能になりました。ところが予想光度に比較してそれほど増光せず、期待したファンをガッカリさせたのです。管理人も観察に出かけるか迷っておりましたが、大阪や東京近辺の市街地で撮影された結構綺麗な画像がネット上でアップされておりましたので、多摩川縁に陣取って観察をいたしました。
 この日の日没は17時50分。位置予報では日没後30分経過した時点で西~西北西の中間付近、高度は約10度。目標方向にはマンションがあって、このマンションの上方に位置するだろうと見当を定め、双眼鏡で捜索しますが、それらしき姿は見えません。仕方なく85mmマクロで予想位置をバシャバシャ撮影してみました。しかし、モニター上でいくら拡大しても影も形もありません。徐々に空は暗さを増していきます。最後の手段でより集光力のある300mmに交換し、同様にバシャバシャ撮影。モニターで確認すると、ヤッター! 画面の端に尾を引いた彗星の姿が! 慌てて構図を造り直してバンバン撮影。19時過ぎまで粘ってみました。苦労した撮れた画像がこちらです。                               


++横位置画像をクリックすると画像閲覧ページに飛び、拡大画像を見ることができます++
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D7K-34(3コマコンポジット+トリミング)、ISO=400、F4-2sec.-0.7EV、撮影時刻:18時48分57秒~49分28秒(JST)

 画面上方(天頂方向)に微かな尾を引く姿を捉えることができました。画面左下がその拡大像。撮影した時点での高度は5度前後の低空で、春霞の中ですのでコントラストはこれが限界でした。雨上がりの後あたりなら空気が澄んで最高なのですが、贅沢は言えません。帰宅後、85mmで撮影した画像を再チェックしてみると何と、こちらにもちゃんと彗星の姿(矢印)が写っておりました。
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D7K-85VR(3コマコンポジット)、ISO=400、F4.5-0.5~0.6sec.-0.7EV、撮影時刻:18時35分00秒~35分25秒(JST)

 肉眼の視覚細胞は光の瞬時値しか感じられないのに対し、カメラのCMOSセンサーは光を蓄積する能力があり、目に見えないものが写ることを改めて実感。因みに双眼鏡で彗星のいるべき位置を眺めてみましたが、双眼鏡でも確認できませんでした。この彗星はこの後北天に移動するものの、これ以上の光度増加は期待できません。やはりそうなると、11月下旬に最接近するとされるアイソン彗星(C/2012 S1)に期待したいもの。蝶の発生も終わっている頃なので彗星撮影に集中できそうです。こちらはカメラの力に頼ることなく観察できる正真正銘の「肉眼彗星」になって欲しいものです。
by fanseab | 2013-03-17 22:28 | 天体 | Comments(4)

金環日食(5月21日)

 既にブログ仲間の多くの方も記事にされておりますが、管理人も世紀の天体ショーを川崎市内で観察いたしました。6時からスタンバイするも、食の開始時間(6時18分過ぎ)は全く雲に隠されて太陽は拝めない状態。全天を見渡すと、天気予報通り、北~北西の空は青空が拡がっており、関東北部ほど条件が良さそうだなぁ・・・と歯ぎしりしておりました。それでも6時30分過ぎあたりから、少し雲が切れてきて、既に欠け始めた太陽を観察できました。そして金環状態になるあたりでは雲が薄くなって、「あ~っ凄い~!」、「見える、見えるぅ!」等と管理人の周辺で観察していた女子中学生の歓声も上がりました。金環になる前後を300mmで撮影した合成画像をご紹介しておきましょう。                                           ++画像はクリックで拡大されます++

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D5K-34(トリミング+画像合成)-ND100000フィルター、ISO=200~800、F5~11-1/20~1/400、-0.7EV。図中に記載した時刻は日本標準時表示。

 日食の撮影はもちろん初体験。快晴の条件下でも、食の進行・後退と共に露出が変化していくはずですが、この日は時折厚い雲に太陽が遮られるため、無茶苦茶露出巾が変動して苦戦いたしました。金環状態でもそれなりに太陽光が漏れてくるのと、曇り空であることも相まって、周囲が暗くなる現象もさほど顕著ではなかったですね。やはり皆既日食とは事情が異なるようです。食が完了した時刻(9h02m15s)直後に撮影した太陽の全景です。
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D5K-34(トリミング)-ND100000フィルター、ISO=200、F11-1/250、-0.7EV、撮影時刻:9時02分18秒(JST)

 日食の撮影中から気が付いておりましたが、太陽の北半球側ほぼ同緯度帯に3群のやや規模の大きな黒点群が認められます。三脚に固定した300mmレンズ程度の機材でも、このような黒点観察ができるとは驚きでした。また、D5000を購入して以来、初めて本格的にバリアングルモニターでライブビューを見る使い方をしてみました。結構仰角の厳しい観測角度でしたので、バリアングルモニターはピント合わせ含めて重宝いたしました。6月6日の金星日面通過現象も今回の機材でできれば狙ってみたいと思います。
by fanseab | 2012-05-23 22:18 | 天体 | Comments(10)

師走の天体ショー(12月10日)

 この日は終日、東大で開催された日本蝶類学会(テングアゲハ)の総会・大会・懇親会に出席。学会の様子はまた別の記事に譲るとして、帰宅する途中、自宅から最寄りの駅前で、人だかりができて皆、空を見上げ指さしております。管理人も何だろうと首を上げると、皆既月食! 慌てて自宅に急ぎ機材の準備。雲の切れ間から皆既月食の様子を観察することができました。赤道儀等の自動追尾装置もなく、手持ち撮影でしたが、雰囲気は何とか出せました。                                                              ++画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=500~1600、F4~5-1/50~80、-1.0EV、トリミングおよび画像処理

 (1)は皆既寸前、(2)・(3)は皆既中、(4)は皆既終了後の絵で、撮影時刻を日本標準時(JST)で表示してあります。今回の月食は皆既がほぼ天頂で継続し、雲はあるものの澄み切った冬空で楽しむことができました。本当に久しぶりに皆既月食を堪能しましたね。
by fanseab | 2011-12-11 15:58 | 天体 | Comments(8)