探蝶逍遥記

カテゴリ:蝉類( 3 )

ボルネオ・グヌンムル公園遠征記(22)セミとカメムシ目

 ハゴロモを紹介したついでに、同じカメムシ目(Hemiptera)つながりでセミやカメムシ類をご紹介します。最初は宿泊したロイヤルムルリゾートのフロント横にあるオープンロビーにやってきたクロテイオウゼミ(Pomponia merla)。
   
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GXR@5.1mm、ISO=200、F3.6-1/15、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月12日、21時02分

 全長は10cm強あり迫力があります。この子はダナムバレーで谷間にこだまする鳴き声を聞いておりましたが、姿を見るのはこれが初めて。マレー半島・タイに棲むテイオウゼミ(P.imperatoria)とは恐らく共通祖先を持ち、ボルネオで種分化したものなのでしょう。
Pomponia属はヒグラシ(Tanna japonensis)に近縁の仲間。ヒグラシは捕まえるとクァークァーとくぐもった鳴き声を発しますが、クロテイオウゼミは「ゴワッゴワッ」とカエルが鳴くような重低音の響き声を出します。ただグヌンムル滞在中、この蝉の鳴き声は一度も聞きませんでした。恐らく結構遠くから灯火に誘われてやってきたのでしょう。同じ灯火に誘われて来た小さなセミがこちら。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F3.6-1/17、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月12日、21時08分

 サイズの割に腹弁が大きく全体にクマゼミのような雰囲気を持っています。このセミは捕まえるとチーチーと喚き散らしていたので、撮影が終わると直ぐに逃がしてあげました。

 昼間、遊歩道を歩いているとセミの抜け殻に良く出会います。こちらは成虫がヒグラシと同サイズと思われる抜け殻。
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D7K-34、ISO=640、F10-1/50、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月12日、12時49分

 お次はアブラゼミを少し小さくしたようなサイズ。
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/100、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月13日、8時12分

 ただ、帰国してから画像を良く見ると、どうも抜け殻ではなく「中身」が入っているようにも見えます。朝方羽化するものなのでしょうか?お次はアワフキムシの仲間。
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D90-85VR、ISO=200、F11-1/80、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月11日、9時53分

 体長は15mmほどでした。そして黄橙色をしたサシガメの幼体。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F3.2-1/125、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、7時24分

 公園の食堂前での一コマです。この子が止まっている葉にはアブラムシと蟻がセットでいます。アブラムシから吸汁しているのでしょうか?お次は国内でも最近見かけるヨコヅナサシガメを彷彿とさせる種。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/100、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月11日、10時08分

 ただし、ヨコヅナとは赤と黒の配色が真逆ですね。次の3枚はホシサシガメと思しきグループ。
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D90-85VR、ISO=400、F11-1/80、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月11日、9時45分
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F10-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月12日、11時09分
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/80、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月13日、8時11分

 彼らは相当な個体数を観察できました。落葉が沢山堆積したジャングルの地面をウロチョロ徘徊しているのですが、暗い環境なので、腹部の鮮やかな赤と触覚先端の白しか目立ちません。胴体が無く、まるで触覚だけがゆ~らゆら動いているような怪しげな雰囲気を醸し出します。2枚目は最初の個体の幼体でしょうか?3枚目は1枚目と同属と思われる交尾ペア。常識的には右が♀かな?背面の白線模様が異なっており、1枚目の個体とは別種でしょう。最後は巨大なカメムシ。
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D90-85VR、ISO=400、F13-1/80、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月12日、16時48分

 体長は3cmほど。恐竜のトリケラトプスを彷彿とさせる怒り肩が最大の魅力です。このカメムシ、いじくり回してもちっとも臭くありません。臭気以外の防御物質を保持しているのか、興味あるところです。とにかくグヌンムルで出会った昆虫の中でもこのカメムシは印象に残っています。
<次回に続く>
by fanseab | 2013-03-21 22:19 | 蝉類 | Comments(2)

アブラゼミの羽化(8月2日)

 拙宅庭のエノキにはアカボシゴマダラ、ゴマダラチョウが時々産卵に来て、ブログネタを提供してくれます(笑)。さて、このエノキ、17年程前に自宅に引っ越しした際、植えた小さなひこばえが成長したもので、現在では高さ約3m、幹の太さ7cm程に成長しました。これまでこのエノキから発生した、セミの羽化は全く観察できませんでしたが、先日、自宅玄関ドアにアブラゼミの羽化殻を発見。発生木としてはこのエノキしか有り得ないので、連日、注目していると、偶然羽化の現場に立ち会うことができました。

 アブラゼミの羽化シーンは銀塩時代に結構撮影しましたが、久しぶりにデジタルで再トライしてみました。                                                                                     
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D7K-24、ISO=320、F10-1/25、-0.7EV、(内蔵ストロボ+外部ストロボスレーブ2灯増灯)、撮影時刻:21時12分

 夜間のセミ羽化シーンでは、ストロボを多灯処理して雰囲気描写をするのが鉄則です。特に翅の背面からストロボを当てるのがキーポイントですが、残りの2灯との照射バランスが難しく、なかなかプロの昆虫写真家が撮るような絵は得られません。少し向きを変えて撮ったのが次の画像。
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D7K-24、ISO=320、F10-1/25、-0.7EV、(内蔵ストロボ+外部ストロボスレーブ2灯増灯)、撮影時刻:21時25分

 1枚目の絵に比較すると、左上方からの発光量が不足して画面の締まりがありません。それにセミの複眼中央にキャッチライトが来ていないので、セミの表情が「死んでいます」。対象にかなり接近するマクロ撮影では、レンズから離れたストロボの発光面が障害物に邪魔されて所定の光量が得られないことがよくあります。今回は恐らくエノキの葉が発光面を隠し、照射バランスを崩したのではと推定しております。ある程度、外光が期待できる日中ですと、多少の誤魔化しが効きますが、夜間の撮影は周到な準備と経験が必要な世界ですね。

<追記>
この撮影をした2日後、8/4の夜、近所のマンションの植え込みを巡ってみますと、僅か30分の観察時間の間に20匹余りのアブラゼミの羽化を確認しました。どうやら彼らの羽化のピークを迎えたようです。
by fanseab | 2011-08-05 22:40 | 蝉類 | Comments(4)

北ボルネオ・キナバル遠征記:(16)セミ類

 ちょっと、蝶の写真は一休みして、森の中の賑やかな役者、セミ達をご紹介しましょう。鬱蒼としたキナバル山麓のジャングルに響き渡るセミの声は帰国してからも耳に残っています。夜明けから日暮れまで、時間帯によって、鳴く種類が決まっています。と言っても、姿を見ることは容易ではありません。夜間、ロッジや街路灯に集まってくる時が唯一の観察のチャンスであります。で、公園本部ロッジの玄関先で早朝撮影したセミ画像です。
 先ずは、テイオウゼミ系と思しき種。                     ++画像はクリックで拡大されます++
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D40-10.5-X1.4TC, ISO=200, F13-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:2008年4月30日、7時11分

 捕まえた時の鳴声は「ギーギー」とエゾゼミそっくり。胴体の体躯はエゾゼミ並ですが、翅が長大で1.5倍程度あります。ダナムバレーで聞いたクロテイオウゼミ(Pomponia merula )はきちんと朝晩5時30分に鳴いていた記憶があります。キナバルで聞いたのは朝晩ほぼ6時30分、しかも鳴声も明らかに異なります。お次は全身緑色のセミ。
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D40-10.5-X1.4TC, ISO=200, F13-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:2008年4月30日、7時11分

 この手のセミはタイでも出合ったことがあります。恐らくミドリゼミ属(Dundubia sp.)の1種でしょう。もう少し接近戦で写そうとしたら、すぐに逃げられました。逃げながらの鳴声は、ヒグラシそっくり。体長はヒグラシよりも一回り大きいです。ポーリン温泉ロッジの玄関先の灯火にやってきたのは、同じ全身緑色だけど、少し小さめの♀。
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D40-10.5-X1.4TC, ISO=400, F10-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:2008年5月3日、6時52分

 これはツクツクボウシ大の体長。さて、公園本部のトレイル沿いの下草を観察していると、脱皮殻が目に付きました。
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D40-10.5, ISO=400, F10-1/6、-0.7 EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:2008年4月30日、9時52分

 脱皮殻から判断して成虫の体長はヒメハルゼミ程度でしょう。それにしても、水平な葉の上で羽化した後、どうやって翅を伸ばしたのでしょうね?羽化後、翅を伸ばすためにわざわざ移動するとしたら、随分面倒な行動です。それとも自重で葉が垂れ下がって蛹が垂直になるのでしょうか?撮影しながらフト考えてしまいました。<次回はタテハチョウ科に戻ります>
by fanseab | 2009-02-11 19:05 | 蝉類 | Comments(4)