探蝶逍遥記

ミヤマチャバネセセリ幼虫の生息数調査(10月中旬)

 多摩川中流域ではミヤチャは基本年3化。現在は第3化世代から育った幼虫が中齢~終齢状態になっています。11月上旬にはほぼ全ての老熟幼虫は地表に降りて蛹化・越冬態勢に入る予定。そこでこの時期、同種幼虫の生息数を簡易トランセクト法で調査しました。昨年も同様な調査をしております。過去6年間の結果は以下の通り(頭数には寄生個体も含む)。

2011年 13頭
2012年 29頭
2013年 21頭
2014年 データなし(記憶が曖昧だが10頭は確認?)
2015年  4頭
2016年  1頭
 
 昨年は僅か1頭で、今年が坊主だとヤバイなぁ~と思いつつ、いつもの調査領域:30mX800mを歩いてみました。その結果、

2017年 11頭

でした。ヤレヤレ何とか二桁達成です。この結果をどう見るか? 二通りの見解があるでしょう。

(1)ミヤチャは本来長周期の発生の波があり、個体数の少ない時期を脱して、これから増加傾向に向かう。
(2)長期的に減少傾向にあり、今年は偶発的に個体数が増加しただけである。

 もちろん、仮説(1)を信じたいところです。来年以降も同様な調査を継続し、事実確認をしていきたいと思います。ところで成虫は、春先の第1化以降、2・3化個体を目撃できておりません。本年夏場は真面目に多摩川沿いで観察していないので、成虫の撮影ができなかったのは残念でした。今回の調査で撮影した幼虫の画像を貼っておきましょう。先ずは寄生個体。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F7.1-1/200、撮影時刻:11時16分
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=64、F6.3-1/200、外部ストロボ、撮影時刻:12時10分

 頭殻模様から判断して、一枚目は終齢、二枚目は3齢でしょう。次に正常個体。
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=200、F7.1-1/160、撮影時刻:12時13分

 こちらは恐らく4齢。蛹化まで無事辿りつけることを期待しましょう。
さて、調査ルートを歩いていると、足元から体長2-3cmの小さなバッタが沢山飛び立ちます。結構敏感で、そっと接近して覗き込むと、腹部の鮮やかなサーモンピンクが目に飛び込んできました。思わずパチリ。。。。
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EM12-Z60、ISO=64、F5.6-1/320、撮影時刻:11時05分

 ヒナバッタ(Chorthippus biguttulus)の♂だと思います。間違っていたらご指摘願います。♀は腹部が赤くないようですが、どうやら♂でも赤色を帯びない個体がいるようです。とにかく個体数が多く、同所で観察できるトノサマバッタの個体数を1とすると、概ね100個体は生息している感覚。夏場から発生しているバッタですけど、これまで気に掛けなかったこともあって、これほど数が多いとは! 秋口(第2化?)に猛烈に個体数を増やしている可能性があります。このバッタをもうちょっと、観察してみようかと意気込んだら、急に寒気が入り込んで関東地方は連日雨模様。止む無く観察は中断しています。早く晴れてくれないかなぁ~!!
# by fanseab | 2017-10-16 21:44 | | Comments(2)

コクサギ食いのアゲハ

 拙宅庭にはPapilio属の食うホストを3種類植えてあります。以前からあったサンショウ、本年新規に追加したカラスザンショウとコクサギです。カラスザンショウは将来ミヤマカラスやモンキ飼育目的のため、今年春先に種蒔きから育てた3株。コクサギは昨年秋、園芸ショップ経由でネット購入した5株です。コクサギは今年オナガ・カラスの飼育に活用できました。さて、拙宅に訪れるPapilioで最も多いのはもちろんアゲハ(P.xuthus)。これまではサンショウに産卵するのを観察してきました。今年はカラスザンショウとコクサギが加わったので、この両者に産卵するのか?注意深く観察しておりました。結果はカラスザンショウには産んだのですが、コクサギは皆無。本田計一博士の著書(※)にはアゲハの食草選好性に関して記載があります。

 これによれば調査対象のミカン科8種の中で、「カラスザンショウには産卵するが、コクサギには産まない」。さらに幼虫が摂食するかも同時に調査されており、ここでも「カラスザンショウは食うが、コクサギは食わない」とまとめられています。産卵選好性については拙宅の観察結果とよく一致します。
 さて、拙宅のサンショウ株は大小2株。小さな株に隣接してコクサギの鉢が置いてあります。この夏、偶然コクサギ葉上にPapilioの初齢幼虫がいるのを発見。アゲハにしては少し赤味を帯びた個体でした。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月13日

 ひょっとしてクロアゲハの初齢幼虫かなと思いつつ、そのまま経過観察すると、幼虫は順調に終齢まで育ち、この時点でアゲハの5齢幼虫と判明。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:9月10日

 因みにこの個体、背面腹節境界に白色条線(矢印)がある変わった幼虫。参考までに後日撮影した正常斑紋個体と比較してみました。
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下段は10月13日撮影。

 コクサギ上で育ったこの子は無事蛹化、♀が羽化しました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=320、F6.3-1/100、撮影月日:9月24日

 拙宅庭内で蛹化したアゲハは9割がた寄生されているので、成虫が無事羽化した時は嬉しかったですね。先にご紹介した本田博士の実験結果とは異なり、コクサギでも摂食、羽化まで至ることが証明されました。ただこの子の出自を辿ると、母蝶がコクサギに産卵していたかは不明です。実はサンショウは、8月中旬時点で前の世代のアゲハ幼虫が葉を食い尽くしていた状態でした。一方、このサンショウとコクサギ株は隣接していて、枝伝いに幼虫が行き来できる状態でしたので、もしかすると、サンショウ葉上で孵化した幼虫が餌不足で偶々コクサギに移動し、コクサギを食い始めたのかもしれません。

 一方、カラスザンショウの結果です。 サンショウに比較すると頻度は少ないものの、拙宅に飛来したアゲハは産卵してくれました。カラスザンショウ葉上の初齢幼虫です。
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EM12-Z60、ISO=320、F5.6-1/125、外部ストロボ、撮影月日:8月13日

 また、こんな実験もしてみました。サンショウ葉上で餌不足で餓死しそうな若齢~終齢幼虫を途中から強制的にカラスザンショウに移動させ、摂食挙動を確認しました。結果、移植した幼虫の約7割の個体は問題なく食いましたが、残りの個体は全く食いません。一方、サンショウからコクサギに移動させた実験では、100%食ってくれませんでした。
 結局、本田博士の実験結果は概ね妥当であるけれど、例外的にコクサギを食うアゲハ個体がいることが判明しました。

※<参考文献>
本田計一・村上忠幸,2005.ワンダフルバタフライ(不思議にみちたその世界).化学同人,京都.
# by fanseab | 2017-10-13 21:52 | | Comments(2)

彼岸花に集うアゲハチョウ(9月下旬)

 この日はモンキアゲハの産卵シーン狙いで、神奈川県南部へ。目的のモンキ♀産卵行動は11時過ぎに一回確認しただけで、視界から遠ざかり撮影チャンスは皆無。恐らく午後それも夕刻に近い時間帯がピークかもしれず、再チャレンジしなければなりません。まぁ、カラスザンショウの株がどのあたりにあるのか、下調べには十分でした。
 一方、訪問したポイントの一角には、規模は小さいながら彼岸花が密集している場所があり、黒系アゲハが集っておりました。最初は目的のモンキアゲハ。しかし、殆どが2本の尾状突起が欠損している個体。じっとここで我慢してようやく登場した比較的新鮮な個体を選んで撮影。先ずは♀。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z60(トリミング)、ISO=640、F5.6-1/4000、撮影時刻:10時31分

 ♂に比較すると、翅の地色が褐色を帯びていて、遠目には飛び古した個体のようにも見えます。次は♂。
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D500-34VR、ISO=400、F8-1/2000、外部ストロボ、撮影時刻:10時45分
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D500-34VR、ISO=400、F6.3-1/4000、外部ストロボ、撮影時刻:10時45分
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D500-34VR、ISO=400、F6.3-1/4000、外部ストロボ、撮影時刻:10時46分

 広角でも狙ってみました。
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EM12-Z12、ISO=64、F8-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:10時42分
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EM12-Z12、ISO=64、F8-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:10時43分

 2枚目は偶然、別の♂が後方から迫って来て画面に動きが出てくれました(^^)

 モンキアゲハの次はカラスアゲハ。こちらも鮮度が厳しい状態(^^; 先ずは♀。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=320、F9-1/2000、外部ストロボ、撮影時刻:11時39分

 左後翅の尾状突起は切れる寸前ですね。♀が熱心に吸蜜していると、当然の如くストーカー役の♂がやってきます。相変わらずの「ゴール無き一方通行求愛」がスタート。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=320、F9-1/2000、外部ストロボ、撮影時刻:11時42分
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D500-34VR(トリミング)、ISO=320、F9-1/2000、外部ストロボ、撮影時刻:11時43分

 高く舞い上がったり、地上低く急降下したり、3分近くもつれあっておりました。最後はアゲハ。こちらも破損個体が多く、ようやく綺麗な1頭をゲット。
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D500-34VR(トリミング)、ISO=320、F8-1/2500、外部ストロボ、撮影時刻:11時45分

 背景の「レッドカーペッド」にはアゲハの方がお似合いかな? モンキ産卵シーン撮影は叶いませんでしたが、秋の一日を堪能させて頂きました。
# by fanseab | 2017-09-28 21:36 | | Comments(2)