探蝶逍遥記

ヒカゲチョウの占有飛翔(6月中・下旬)

 多摩川縁の河川敷は基本オープンランドで、まとまった森林は多くありません。それでも拙宅から程近い場所に、野球・サッカー用両グラウンドに挟まれた緑濃いスポットがあります。二つのグラウンドの境界線に100m程の通路があって、両脇のフェンスには夏場クズが生い茂り、真夏でも薄暗く、涼しさを提供してくれます。フェンス下はアザマネザサの林床環境で、ヒカゲチョウ達の絶好の住処になっております。彼ら第1化♂の最盛期に、この通路で暫く遊んで(遊ばれて?)みました。
 ヒカゲチョウ♂の占有空間巾は、上記通路の幅に一致し、ほぼ2m。空間長さは7~8m位。午後3時頃から、高さ1.5m程の位置に静止し、占有空間を4-5回、回遊パトロール飛翔をしています。占有場所に静止している♂の姿です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-Z12,ISO=400、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:15時58分(6月下旬)
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EM12-Z12,ISO=320、F6.3-1/30、外部ストロボ、撮影時刻:16時13分(6月下旬)

 このように、通路の両脇に陣取って、門番のように管理人を見張っている感じです。上記した回遊飛翔の様子を何とか表現してみようと、2日間、(APS一眼+広角レンズ+外部ストロボ)の組合せで、合計1300ショット乱射してみました。その結果、何とか記事にアップできるショットが10枚ほど得られたので、ご紹介したいと思います。最初は、カメラマンに向かって突進して来る瞬間。
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D500-20(トリミング),ISO=500、F11-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時04分(6月中旬)

 やや前ピンですが、迫力があります。この画像を撮った直後、向かって左側に舵を切った瞬間の画像がこちら。
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D500-20(トリミング),ISO=500、F11-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時04分(6月中旬)

 今回撮影した中でのベストショットになりました。次は、静止場所から飛び立つ瞬間の画像。
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D500-20(トリミング),ISO=500、F10-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時54分(6月中旬)

 明るい環境なら、オリンパスのEM1-MarkⅡに搭載されているプロキャプチャーモードで、いとも簡単に撮れますが、ここではド根性入れて初めて可能な?『手動キャプチャーモード』で撮影できました(^^;

 ♂が占有する空間の境界線上では、当然♂同士のバトルが起きます。絡んだ直後に卍状態になりますが、ゼフと異なり、卍は直ぐに上昇に転じ、決して再下降してきません。従って、♂同士の絡みを写し込むには、結構ハードルが高い作業となります。何とか撮れた2コマをご紹介しましょう。
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D500-20(トリミング),ISO=500、F11-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時01分(6月中旬)
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D500-20(トリミング),ISO=500、F10-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時01分(6月中旬)

 1400コマ近く乱射していると、時には思わぬ場面に遭遇します。藪から飛び出してきた個体はやけにデカく、アララと思って確認すると、何と交尾ペアでした!
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D500-20(トリミング),ISO=500、F10-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時32分(6月中旬)

 交尾飛翔形式は、←♀+♂。管理人初体験の本種交尾飛翔画像になりました。フィールド歩きで、このようなご褒美が貰えると嬉しいものです。
# by fanseab | 2017-06-21 21:33 | | Comments(0)

ヒメジャノメの飼育メモ(越冬幼虫)

 昨年秋~今年春先にかけて、「想定外の」ヒメジャノメ飼育を実施しました。何故『想定外』だったかは後述します。昨年の9月末、栃木県のオオヒカゲポイントで、カサスゲ葉上に付いていたジャノメチョウ亜科の幼虫を2頭発見。オオヒカゲは産卵時期でしたので、幼虫はオオヒカゲではなく、ヒメジャノメでした。スゲ類に付いていたヒメジャノメ幼虫は初体験。拙宅に持ち帰り、越冬飼育をトライすることに。ヒメジャノメについては、以前、2014年12月の記事(外部リンク)でフルステージ飼育をご紹介したことがあります。
 眠に入った幼虫2頭の全景です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-85VR(トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日:2016年10月1日

 上の個体(識別コード:#A)は恐らく3齢で体長13.5mm。一方、下(同#B)は2齢で体長9mm。個体A.B共に10月2日に脱皮し、Aは褐色型4齢(Bは緑色型3齢)になりました。
個体Aの全景です。
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D71K-85VR(2コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日:2016年10月4日

 体長は15mm。ヒメジャノメの褐色型幼虫を見るのはこれが初めて。第3・4腹節境界亜背面の黒班(矢印)が顕著に目立ち、濃褐色の背線も顕著で、緑色型幼虫とはかなり雰囲気が異なります。なお、飼育にあたり、スゲ類を拙宅近辺から入手するのが困難だったので、イネ科各植物を与えてみました。結構好き嫌い無く食ってくれたので、助かりました。具体的には個体Aに対し、チカラシバに似たイネ科(同定できず)を、個体Bには、当初アザマネザサ、その後はチヂミザサを与えてみました。
 個体Bは10月14日に褐色型4齢へ。チヂミザサ葉上に静止する個体Bです。体長は18mm。
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D71K-85VR(トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日:2016年10月31日

 葉先に頭を向け、葉柄に近い部分を斜めに切り落とす食痕も見えます。一方、個体Aは10月24日に5齢へ。
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D71K-85VR(上段4コマ/下段2コマ深度合成+トリミング),ISO=100、F10-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日:2016年10月31日

 体長は20mm。4齢と比較して体色は殆ど変りませんが、亜背面の黒班は目立たなくなりました。個体Bは12日遅れの11月5日に5齢へ。個体AB共に5齢で越冬態勢に入りました。図鑑には『越冬の齢数は主として4齢(※)』と書かれています。ただ越冬齢数は越冬環境等で多少の変動はあるのでしょう。越冬管理方法としては、冷蔵庫保管が最も簡便だと思いますけど、今回は10月下旬から飼育プラケースを夜間のみ屋外放置、日中は屋内の冷暗箇所に置く・・・、やや手間のかかる方法を採用してみました。日毎にプラケース内の糞数をカウントしてみると、個体AB共に12月10日前後から糞数がほぼゼロとなり、越冬態勢に入りました。越冬時の幼虫画像は撮影を失念しましたが、全体に体色が淡くなり、メタボ体型に変化し、体をS字状に曲げて静止しております。

 年が明けて3月16日、個体Aのプラケースを開けてみると、何と糞が3個。いつ食ったのか不明なものの、どうやら枯草を食べた様子。多少気温が上がった場合に一時的に休眠から覚めるようです。個体Aは3月29日に死亡。それまで飼育に用いたチカラシバ類似のイネ科新芽が出るのが遅く、早めに休眠から覚醒した個体が餓死してしまったのでした。一方、個体Bは4月3日に活動再開。チヂミザサの新芽が開いていないので、チカラシバ類似のイネ科を食わせました。4月5日~11日にかけては所用で観察できませんでしたが、この間の糞数は91個。一日当たり平均13個に相当。4月12日よりホストを再びチヂミザサに変更。4月15日に終齢(6齢)に到達。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年4月17日

 体長は27mm。体色が褐色から淡い緑色に変化しました。5齢時に見られた亜背線の黒班も完全に消えています。数日経過すると、体色は鮮やかな緑色に変わりました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年4月21日

 体長は32mm。なお、上段の画像撮影時に頭部が動いてしまい、当該部の深度合成が破綻して見苦しくなっている点はご勘弁下さい。6齢時は写真のように、チヂミザサの茎分岐部に常時静止し、ここを基点に葉を食べに行きます。
 ここで、4~6齢の頭部の比較をしてみました。
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 静止中の幼虫は頭部を深く前傾しているため、頭部を真正面から写すのは結構難しく、脱皮した頭殻を撮影した方が容易です。ここでは6齢のみ頭部を撮影したものの、やはり真正面画像にはなっていません。先に紹介した図鑑(※)には、『越冬幼虫の頭部の突起は非越冬幼虫のものよりも太く短い』との記述があります。4齢と5齢の頭殻を比較してみると、確かに「猫の耳」が太短くなっています。そして6齢時に再び耳がちょっと伸びているようにも見えます。
 
 4月30日に前蛹。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年5月1日

 体長19mm。前蛹を撮影した5月1日に蛹化。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年5月3日

 体長は16mm。緑色型です。5月12日には翅部分が黒化してきました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年5月12日

 翌5月13日の朝、無事♂が羽化しました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年5月13日

 前翅長25mm。羽化直の眼状紋は何遍見ても、綺麗ですね! 羽化直だと、♂のシンボル、後翅裏面中室上側の太い翅脈もハッキリとしています。
 今回、実は恥ずかしながら蝶が羽化するまで、飼育幼虫を「クロヒカゲ」だと思い込んでいました。終齢幼虫の細長い体型や、蛹の体型を見た瞬間にLetheではなく、Mycalesisだと気づかねばなりませんが、思い込みで勘違いを起こしました。当初採幼したポイントが暗い環境で、クロヒカゲにピッタリと思えたこと、それとクロヒカゲの飼育が未経験であったため、飼育した~い願望が募ったことも相まって、思わぬ思い込みをしたのでした。それでもこれまで未経験の越冬世代ヒメジャノメの飼育が経験でき、色々と勉強できたことは幸いでした。
※福田晴夫ほか(1984) 原色日本蝶類生態図鑑(Ⅳ).保育社,大阪, 141pp.
# by fanseab | 2017-06-18 20:53 | | Comments(4)

コチャバネセセリ:越冬幼虫飼育顛末記

 昨年10月30日付けの記事(外部リンクで、本種終齢幼虫の越冬飼育にトライ中であることを述べました。その後どうなったのか?ちょっと触れてみたいと思います。

 当該記事でもご紹介した越冬容器です。 
                                  
+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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TG4@4.5mm(トリミング),ISO=200、F2-1/1250、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日:2016年9月9日

 過度の乾燥を防止するため、概ね1週間に1回、如雨露で水遣り管理をしました。年が明けて今年の3月30日に巣を恐る恐る開封。1頭(個体識別#2)は正常、もう1頭(同#1)はミイラ化して死亡しておりました。
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TG4@5.5mm(トリミング),ISO=100、F2.3-1/30、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日:2017年3月30日

 生き残った#2の巣を4月14日に再開封。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年4月14日

 向かって右側の開封箇所(3月30日開封)はきちんと再度吐糸して封じ切りされておりました。幼虫の様子を覗うため、今度は向かって左側を開封。
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EM12-Z60(10コマ深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年4月14日

 幼虫の頭部・ベージュ色の胴体部分が見えています。どうやら無事の様子。5月に入ると蛹化する可能性があるので、4月24日に再チェック。予想通り、蛹化しておりました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング),ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影年月日:2017年4月24日

  体長は16mm。飴色の独特な色をしております。5月7日には複眼が黒くなり、羽化が近づいた様子。
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TG4@18mm(トリミング),ISO=100、F4.9-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日:2017年5月7日

 経験上、遅くとも10日には羽化する筈。しかし、10日を過ぎても羽化の兆候が無いので、再度チェックしてみると・・・・。
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TG4@18mm(トリミング),ISO=100、F3.6-1/60、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日:2017年5月11日

 あらら、蛹殻だけが残されて蝶の姿はありません。どうやら蛹は寄生されていたようで、寄生種は網掛けした隙間から逃げてしまったのだと悟りました。網掛けの網目は5mmほどで、コチャバネは勿論脱出不可能ですが、寄生バエや寄生蜂などの膜翅目にとってはザルみたいなものだったのでしょう。
 一週間に一度の水鑓り等、結構手間暇かけて越冬幼虫を管理していたつもりが、実は寄生種の管理をしていたことになります。コチャバネの飼育が失敗したのみならず、憎たらしい寄生種の姿を確認できなかった二重の悔しさが残った飼育になりました。まぁ、野外で採幼した場合は避けられないリスクなのですけどねぇ~・・・。チャンスがあれば、夏場に採卵して、フルステージ飼育をしてみたいものです。
# by fanseab | 2017-06-11 21:16 | | Comments(6)