探蝶逍遥記

2017年 01月 04日 ( 1 )

台湾台東縣遠征記(14)シジミチョウ科その1

 シジミチョウ科のトップバッターはシロモンクロシジミ(Spalgis epius dilama)。これまで知本温泉付近で♀を撮影済ですが、今回初めて♂に出会うことができました。

 +++画像は原則クリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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GX7-Z60、ISO=200、F4.5-1/50、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月13日、12時44分

 そろそろランチタイムにしよう・・・と公園のベンチに腰かけて一息付いている足元を見ると、地味なシジミが吸水しております。あやうく踏みつけるところでした。逃げる気配がないので、バリアングルモニターを使って地表面スレスレの構図を狙ってみました。新鮮なので、独特な質感を持つ本種翅面の特徴が出せたと思います。
 次は初撮影の台湾固有種、タイワンウラギンシジミ(Curetis brunnea)。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月13日、10時40分

 かなり遠目から狙ったショットなので、最初はタイワンウラギンかウラギンかの区別がつきませんでした。それにしても樹液から吸汁とは!! 国内外でCuretis属が樹液吸汁する姿を見たのはこれが初めて。ネットで調べてみると、何とブログ仲間のchochoensisさん(外部リンクが2009年4月にウラギン♀の吸汁シーンを撮影されていました。いずれにせよ、相当珍しい事例であることには違いないでしょう。

 さて、台湾にはウラギン(C.acuta formosana)とタイワンウラギンの2種が生息しています。翅表から区別するのが簡単ですが、裏面からでも何とか識別できそうですので、識別点を画像にまとめてみました(ウラギンは宜蘭縣で以前撮影した♂画像を使用、タイワンウラギンも翅形全体の特徴から♂と推定)。
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<裏面画像:ウラギンとタイワンウラギンシジミの識別点>
(1)後翅の翅形
 外縁部翅形はウラギンが第4脈(#1)および肛角部(#2)で突出し、全体として多角形状を呈す。反対にタイワンウラギンは丸みを帯びる。ウラギンでは#3で示した部分が直線状であることから、翅脈に相当する部分が僅かに突出し、波を打つ傾向が比較的顕著に出る。
(2)前翅の黒破線模様の平行度
 2種共に中央および亜外縁付近に細い黒色破線状紋が出現する。中央寄りの破線と亜外縁の破線を比較した時、ウラギンでは両者が前翅頂方向で交わる傾向が強く、タイワンウラギンでは比較的平行の傾向を示す。但し、この形質は個体差があるようで、鮮度が落ちると識別に使用できない。

 タイワンウラギン画像は、もう少し接近戦でまともな絵が撮れてから両種比較画像を作り直す予定です。
 3種目はイラウラフチベニシジミ(Heliophorus ila matsumurae)♀。
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D71K-34VR、ISO=400、F10-1/400、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、9時10分
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D71K-34VR、ISO=400、F9-1/500、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、9時11分

 これまで本種撮影はボロの♂のみ。今回やっと完品、かつ♀の撮影ができました。特別珍しい種類ではないのですが、意外と会えておりません。暗い林床に朝一番の陽光が差し込み、開翅日光浴している場面に出会えたのは幸い。でもすぐに翅を閉じてしまいました。
 お次はエグリシジミ(Mahathala ameria hainani)。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/640、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、11時00分

 2011年に知本の林道で撮影済ですが、今回出会ったこの子はボロボロ(^^; 前回と併せ、このポイントでは個体数が少な目と推察されます。
 5種目はホリシャウラナミシジミ(Nacaduba beroe asakusa)♂。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=800、F11-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月11日、16時33分

 雨上がりの林道上に落ちていた鳥の糞から熱心に吸汁する姿がありました。日本の南西諸島にも棲むアマミウラナミシジミ(N.kurava)が台湾全土に分布するのに対し、本種は台東県以南に限定されます。このため、台湾名は「南方波紋小灰蝶」と「南部」が強調されております。次は東南アジアの広域分布種でもあるヒメウラナミシジミ(Prosotas nora formosana)♂。
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GX7-Z60、ISO=400、F11-1/250、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月12日、9時06分

 知本森林遊楽區のビジターセンター前で撮影中、朝一番の吸水活動をしている個体です。本種は昼過ぎから撮影の疲労が溜まって来ると、ハエみたいに感じられてレンズを向けません。朝一番、かつ綺麗な個体なので、丁寧に撮りました。真っ黒な眼の上下にある白い隈取が可愛いですね。また、別のポイントで開翅している♂個体に出会いました。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=500、F11-1/800、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月14日、8時39分

 この子の開翅シーンは初撮影。鈍く紫色に光る表翅ですが、ちょっと草臥れた個体。しかし、気になったのは無尾であること。ひょっとして同属・無尾のオナシウラナミシジミ(P.dubiosa asbolodes)かな?と疑いましたが、裏面模様は完璧、ヒメウラナミそのものでした。
可能性としては、下記の二つ。
①無尾型のヒメウラナミ
 台湾産は基本有尾ですが、稀に無尾型が混じっていても不思議ではありません。
②単に尾状突起が擦り切れた
 いずれにせよ、ヒメウラナミは普段、まともにレンズを向けないだけに無尾型の存在確率については、興味ある調査対象です。

 7種目はカクモンシジミ(Leptotes plinius)。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2015年5月15日、7時53分

 遠征最終日、台東飛行場近くの民宿付近を散歩しながらの撮影。マメ科の食草、恐らくタイワンヤマハギ(毛胡枝子:Lespedeza formosana)の周辺を活発に飛び回っておりました。ご覧のように頭が隠れたB級ショット(^^; 撮影後、この絵を良く見ると、花穂の付根に卵らしき物体(矢印)が写っておりました。もう少し真面目に観察すれば幼生期画像もゲットできたかもしれません。
 <次回へ続く>
by fanseab | 2017-01-04 22:15 | | Comments(0)