探蝶逍遥記

2012年 02月 28日 ( 1 )

ゼフ越冬卵撮影その6(2月26日)

 また山梨に遠征してきました。今回のターゲットはメスアカミドリとウラクロ。両者共に単独では難航しそうなので、強力な助っ人として25年来の蝶友、M氏をガイドに伴う探索。と言っても彼は採集派、フィールドにご一緒するのはこれが初めてです。前日、関東地方は冷たい雨。山梨の山間部は残雪が予想されましたので、急遽ウラクロは諦めてメスアカ一本に絞り、別ポイントに直行。現地には9時頃到着。林道走行して標高を上げていくとここでも残雪が多く、車を捨てトボトボと歩いて行きます。                                         ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/25、-0.7EV、撮影時刻: 9時16分

 探索しながら、M氏よりメスアカの主食樹であるヤマザクラとマメザクラの樹相について実地講義を受けます。そうして30分も経過しないうちに彼が「ありましたよ~♪」ってメスアカ越冬卵を発見してくれました。流石の早業です!全部で3卵、2卵は寄生されておりました。これが発生木のマメザクラ全景。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F4.1-1/125、-0.7EV、撮影時刻: 9時32分

 樹高は2.5m位、枝が途中から垂れて地面に平行になっており、越冬卵は黄矢印あたりに付いていました。マメザクラの樹肌の近景です。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F4.1-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻: 9時31分

 かなりゴツゴツとした印象で、とても桜には見えません。遠目には背の高いイボタにも見えて、同定には熟練が必要です。ヤマザクラは樹肌に横方向の縞模様があって、ド素人の管理人でも「あぁ、桜だなぁ~」と実感できるのですけど、マメザクラはちょっと厳しいです(^^; お次は魚露目で環境画像。
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D90-1855VR-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 10時10分

 結構急斜面にあり、夏場に葉が茂ったら、ちょっぴり暗い雰囲気の林です。なお、撮影用に枝の向きを斜面に垂直に支えて(これが結構大変な労力!)おりますが、実際には卵は斜面に正対する向き(日陰側)に付いております。そして拡大像です。
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D7K-85VR-24R(トリミング+4コマ深度合成処理)、ISO=200、F29-1/320~1/500、-0.7EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時46分
 
 既にアイノを撮影済ですので、感激はちょっぴり薄れましたが、襞々が続く構造は美しいですね。続いて寄生卵も撮影。
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D7K-85VR-24R(トリミング+3コマ深度合成処理)、ISO=200、F29-1/250~1/400、-0.7EV~-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時47分

 ここでちょっと問題が発生。寄生卵の卵殻内壁の様子まで描写したくて深度合成処理をかけたのですが、色々とコマの選択を変えても内壁がジャスピンのコマが排除されてしまいます。こちらが内壁を描写したコマ。
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D7K-85VR-24R(トリミング)、ISO=200、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時47分

 卵殻ギリギリまで食べ尽くされていることがわかります。どうも深度合成ソフトには計算上のアルゴリズムに起因するのか、深井戸のような構造物に於いて、井戸の底を正しく深度認識する機能が不足しているのかもしれません。何か裏ワザをお持ちの方がおりましたらご教示頂きたいものです。ここで、前回撮影したアイノとメスアカの拡大像を同一倍率で比較してみました。
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 卵の直径はほぼ同一。細かく観察すると、ミクロパイル(精孔)側壁の傾斜角度が異なっており、棘皮の密度はアイノの方が密であることがわかります。その結果、棘皮基部を結ぶ継目(網目)構造がメスアカの方がクッキリする感じになります。そうは言ってもルーペで確認する程度では両者の区別は至難ですね!

 さて、この日は折角ですので、M氏より、ウラキンの食樹であるトネリコ類の樹相のレクチャーも受けました。代表的なアオダモ(コバノトネリコ)の樹相です。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/25、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻: 10時57分

 枝が対性になるのがポイント。次に休眠芽です。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/60、-0.7EV、撮影時刻: 12時19分

 何となくメルヘンチックな形状ですね。ここでも葉が対性に付く基本構造が見てとれます。樹肌の色は基本グレーですけど、似たような樹が沢山あるので、①枝の対性、②休眠芽の特徴の2点を基本に探していくことになります。「ウラキン越冬卵は成虫同様、どこでも採れる訳ではありませんよ」とのM氏のコメントを胸にしまいながら、別の林道に移動してメスアカ、ダイセン、オナガ等の探索を続けます。そのうち、「ここはトネリコが多いなぁ~」とM氏が呟きます。管理人も伝授して頂いた探査ポイントを参考に探していきます。やっとそれらしき樹木を発見。

管理人:「これそうですかね?枝も対生だけど・・・。」
M氏 :「間違いないです。こんな裂け目とか、皺の部分に産むんです。この根際にある苔
    なんかにも産みますよ~。」

 そのアドバイスに従い、管理人は根際の樹肌に付いた苔をチェック。ほどなく苔の中に埋まっているそれらしき物体を発見。ルーペで覗くと何やら網目構造が見えています。M氏に確認すると、「やりましたねぇ!間違いなくウラキンです。独力発見おめでとうございます!」とお褒めのお言葉。お世辞でも褒められると舞いあがってしまいますね(^^) で、早速撮影ですが、これが大変! 枝先に産んでいる種類では枝を折らないように気を遣いながらの撮影に難儀しますが、とにかく低い位置なので、これも一苦労。管理人の撮影風景をM氏に撮ってもらいました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/25、-0.7EV、撮影時刻: 13時28分

 この絵では分かりにくいのですけど、管理人の丁度股のあたりに別のブッシュが伸びていて撮影アングルがムチャ制限されます。先ずは魚露目の環境画像。
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D90-1855VR-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 13時39分

 黄矢印の先に2卵塊産み付けられています。方角は西向き。株の太さは根際で直径10cm弱。地上高5cm程度。夏場は恐らく茂った草で隠されてしまうような位置でしょう。次に拡大像。
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D7K-85VR-24R(トリミング+4コマ深度合成処理)、ISO=200、F29-1/320、-1.0EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時16分

 苔の中なので、リングストロボでも奥までストロボ光が届かず、深度合成も殆ど無力の世界です(^^; おまけに横向きに産まれているので、全体像が把握できない画像ですね。これまで撮影した卵と異なり、棘皮が全く無くラフな網目構造を有しているのが特徴でしょうか?それと断面形状が饅頭タイプではなくて、アポロ宇宙船の帰還用カプセルのような三角錐タイプです。もし機会があれば、樹肌の襞付近とか卵全体が露出しているような状況で撮りなおしたいものです。

 さて、この日は心配された冷たい季節風も吹かず、曇り空だったこともあって、逆にゼフ越冬卵探索には幸いしました。管理人の乏しい経験からも、快晴だと枝上の微構造にコントラストが付き過ぎて探索の妨げになるようです。むしろ曇り空の穏やかな光線下では卵の発見が容易であることを悟りました。また、机上で読む教科書の知識と異なり、M氏より受けた「野外授業」は本当に参考になるものばかりでした。M氏も指摘しておりましたが、理に適わない無謀な採卵現場も散見されました。私有林あたりで、酷い切り方をすると地権者とトラブルになることも必死です。成虫の採集同様、冬場の採卵もマナーが大事ですね。ご同行頂いたMさん、本当に有難うございました。次回は林道の残雪が消えるのを待って、今回回避したウラクロ、あるいはハヤシ等を探索してみたいと思います。
by fanseab | 2012-02-28 21:18 | | Comments(10)