探蝶逍遥記

ヒロヘリアオイラガの繭作成観察(11月12-15日)

 拙宅のエノキに付いたアカボシゴマダラの幼虫観察をしていた今月初め、イラガの幼虫を発見し、思わずギョッとしました。
いずれの画像もクリックで拡大されます。
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GX100@5.1mm、ISO=80, F5.1-1/143、-1.3EV、撮影時刻:11月2日、13時03分

 昔からイラガの幼虫は毛嫌いしてますが(棘皮が嫌いなので、これぞホンマもんの毛嫌い!)、よ~く見るといつものイラガと異なり、橙色の棘皮があったり、背中にはブルーの幾何学模様が。ネットで調べてみると東南アジア原産のヒロヘリアオイラガ(Parasa lepida lepida)の幼虫でした。このイラガ、1960年代に人為的に持ち込まれた移入種で、関東地方にも勢力を延ばしているそうな。いつ頃蛹化(繭造り)をするのだろう?と暫く観察していると、11/10過ぎにエノキの幹をウロチョロ動き始め、11/12に地上5cmの幹上に静止し、繭作成を始めました。
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D70S、ISO=200, F13-1/125、-0.7EV、リングストロボ(調光補正1/16)、撮影時刻:11月12日、23時04分

 自分の体長よりも長い楕円形に吐糸して薄い皮膜を作っている最中です。吐糸した糸を表現するのが結構難関で、ストロボの照射角度と糸の角度が合致しないと糸が光らず苦労しました。仕事から帰宅後の夜間撮影なので、適当に切り上げました。翌朝、もう繭造りが完成していると思いきや、まだまだでした(↓の左画像)。意外と繭造りの進行が遅いのに驚きました。13日の夜にようやく、それらしい形になりましたが、まだ幼虫の緑色や橙色の棘皮が残されています(↓の右画像)。ただ橙色の棘皮の位置は本来の頭部側になく、前蛹から脱皮したようにも思えます。

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<共通データ>D70S、ISO=200、-0.7EV 左:F13-1/100リングストロボ(調光補正1/16)、右:F13-1/125、-0.7EV、リングストロボ(調光補正1/16)+スレーブ増灯(調光補正1/2)、撮影時刻:11月13日、左:6時52分 右:22時06分

 繭の外周には黒い棘皮が残されており、最後まで「刺されたら痛いでぇ~!」とアッピールしている感じです。そして3日後の11/15になって、繭はやっと褐色に変色し、完成を見たようです。
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D70S、ISO=200, F11-1/200、-1.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11月15日、15時43分

 繭は二重構造で、最初に終齢幼虫が吐糸して造った外側の薄い繭は外敵の侵入を防止すると言うよりは、雨滴を弾いたりして、湿度調整の機能を持っているのでは?と思います。羽化は来年春と予想されますが、何月頃になるのでしょうか?それにしても拙宅のエノキで観察できる鱗翅目の幼虫がいずれも人為移入種とは!撹乱された生態系を象徴するような状況と言えましょう。
by fanseab | 2008-11-19 23:08 | | Comments(14)
Commented by maeda at 2008-11-20 05:54 x
蝶の幼虫は大丈夫ですが、がの幼虫は苦手です。
イラガはまだ良い方ですが、これには苦い思い出が何回かあります。
突然腕に激痛が走ったりとか。
Commented by saunterA at 2008-11-20 09:28
うわっ!私も「ホンマもんの毛嫌い」で1枚目の写真にギョッとしましたが、なぜか...「オシャレな色の幼虫やねぇ~。」とも思いました。私も成長しました?(笑)
ホントに、最後まで「刺されたら痛いでぇ~!」とアッピールしていますね。最後まで手を抜かないヒロヘリアオさん、えらいな~。(笑)
Commented by cactuss at 2008-11-20 21:25
イラガの幼虫もいろいろな種類がいるんですね。
今まで、何回か痛い目にあっているので、最近は庭で見付けるとつぶす様にしています。この幼虫は苦手です。
Commented by fanseab at 2008-11-20 23:13 x
maedaさん、蛾の幼虫はスズメガ以外はあまり興味がなく、イラガは小生も苦い経験がありますので、敬遠していました。ただ小さい頃から、楕円形の脱皮殻を見るにつけ、どのようにして繭を作るのだろう?の疑問が解けず、繭作りに焦点を絞って観察してみました。前蛹からいきなり蛹になる蝶と違って奥深いですね。
Commented by fanseab at 2008-11-20 23:17 x
saunterAさん、実は記事をアップする時、「毛虫を嫌いな方はこの記事は読まないでください」と但し書きを入れるか?迷いました。そのような心配も無用な程、免疫ができたようで、おめでとうございます(笑) 繭に隠されている分、蛾の蛹は神秘的ですね。
Commented by fanseab at 2008-11-20 23:21 x
cactussさん、最初にこの幼虫を見た時は普通のイラガと思いましたが、外来種とは思いませんでした。蛾の場合は、蝶よりも食草の選択肢を多いので、思わぬ植物や繭のような形で植物以外の木材についてとか、放蝶(蛾)行為ではなくても、人為移入されてしまうのでしょうね。エノキについていると、幼虫は見事な保護色で、触れないように最新の注意を払っていました。
Commented by papilabo at 2008-11-21 00:19
ずいぶんカラフルというかけばけばしい幼虫ですね。いかにも「近付くな!!」とアピールしている感じです。繭づくりはなかなか時間がかかるものなのですね。観察お疲れさまでした。これまで疑問に思ったことがありませんでしたが、体全体を糸で包むって不思議な作業ですね。
Commented by fanseab at 2008-11-21 07:14 x
Papilaboさん、熱帯の毒蝶類がムチャ派手なのと一緒で警戒色なのだと思います。繭作り、御指摘の通り、あの狭い空間でよくぞ糸が絡まないで編み上げるものだと感心します。
Commented by ダンダラ at 2008-11-21 08:39 x
イラガは子供の頃に庭で刺された思い出があってそれ以来近づかないようにしています。
撮影のときに意図したものをきれいに表現するって難しいですが、見るほうは意外とそんな苦労に気がつかないことが多いので、このように書いていただけると、「ああなるほど」とわかっていいですね。
写真集と違うブログのいいところでしょうか。
どの写真もシャープにきれいに写っていますが、1枚目はコンデジのノンストロボなんですね。
どこにもきちんとピントが合って気持ちいいです。カメラの使い分けも大切なんだなと改めて感じさせられました。
Commented by ainomidori443zeph at 2008-11-21 17:11
私の知っているイラガの繭は堅いのですが、この繭は最後の写真で完成なのでしょうか?よく柿の木に付いているのとは違うので、種類が違うと繭も違うのでしょうか。
Commented by fanseab at 2008-11-21 21:22 x
愛野緑さん、在来種のイラガとは繭の殻構造が異なると思います。繭の最外層の薄い吐糸膜がシーズン最後まで、きちんと保存されるか?確認したいと思います。
Commented by fanseab at 2008-11-21 21:30 x
ダンダラさん、いつもコメント有難うございます。皆さんイラガで痛い思いをされたご経験があるのですね。撮り慣れた蝶の幼虫と異なり、蛾の繭撮影の難易度は高かったです。口から吐いた糸の表現に一番神経を注ぎました。GX100は手軽にシャープな絵が撮れるので手放せませんね!
Commented by tsukikumo at 2008-11-22 10:11 x
はじめまして 四半世紀昔,昭和50年代後半に私の住む阪神間ではナガサキアゲハとほぼ同時期にこの蛾は現れました。偶然の一致かも知れませんが関東地方でもそうみたいですね。図らずもナガサキの分布調査でミカンの葉を探っているときが最初の出会いです。最初は図鑑を見ても載っていなくて在来種のアオイラガかクロシタアオイラガと誤認していました。ヒロへリ・・・という名を知ったのはそれから数年後に被害が拡大して新聞紙上を賑わせたときです。都市部ではサクラ類とカエデ類が最も好みのようで、それ以外にもブナ科、ツバキ科、モクセイ科、そしてミカン科・・・と極めて広食性です。ミカン類以外にもアゲハ類飼育用のキハダも毎年やられます。たしか輸入した南洋材の丸太に繭がくっついて侵入したんですよね。

関東のアカボシについては多くの人が批判しています。その最大の理由は近似種の生存が脅かされるという建前です。本種は中国産アカボシとは侵入の事情が違うとは言え、アカボシ批判をする人の中でアオイラガやクロシタアオイラガについて心配をする人が全く現れないのはどこかおかしいとは思いませんか?
Commented by fanseab at 2008-11-23 15:49 x
tsukikumoさん、拙ブログへようこそ。このイラガ移入に関する詳しい解説有難うございました。やはり丸太に繭でしたか?
後段の議論は当然の問題提起だと思います。やはり蝶屋は蛾についての生態系撹乱については目をつぶる傾向にあると思います。またアカボシの移入原因がよく言われているように蝶屋の放蝶(確信犯的)だとしたら、ゴマダラ/オオムラサキ等の在来種との競合事実の有無に関わらず、生態系を撹乱されたことは罰せられるべきだと思います。もしもアカボシの食樹がサクラで、アカボシの猛烈な繁殖で春のお花見ができない・・・としたらアメイカシロヒトリ同様のマスコミの駆除キャンペーンが喧伝されることでしょうね。
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