探蝶逍遥記

山梨探索(6月28日)その(1):ゼフィルス類

 およそ5年振りにかつてのマイフィールド、山梨県北西部を訪ねました。当時、昼はオオムラサキ、夜はオオクワガタを求めて林道を隈なく走り回った結果、夜間でも地図なし走行が可能でした。しかし、それから5年、環境変化が心配です。。。。

 さて、本日の目的はゼフ、特にクロミドリシジミ探索とオオムラサキ発生地の樹液の出具合調査。午前3時26分自宅発、同4時56分現地着。関西在住時、数回通った但馬の山中に行くよりは、遥かに近いので便利です。最初のポイントに到着して唖然としました。台場クヌギの大半が伐採されて見る影もなく、園芸樹木畑に変身しておりました。嫌な不安が的中です。残されたクヌギを叩いてみても、飛び出すのはウラナミアカとオオスズメバチばかり(^^;; そこで少し離れたポイントに移動、ここで叩き出しをすると、明らかにクロミドリと思われる褐色のゼフが飛び立ちましたが、降りたはずの下草付近を捜索しても坊主。2度目の落胆です。

 更に場所を変えて、南西に500m離れた新規ポイントに移動。ここはどうやらクヌギ林の密度も濃そうなので、拘って1本1本慎重に長竿で叩き出しを行いました。クロミと思われる個体が結構飛び出しますが、大半は梢の上に登ってしまいます。それでも辛抱した甲斐あって、ようやく1頭の♀がクズの葉上に舞い降りてくれました!! 「やったね~♪♪」
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D70、ISO=400, F3.2-1/800、-0.7EV、撮影時刻:5時56分

 憧れのクロミが目の前にいる・・・、ドキドキしながらシャッターを押しました。尾状突起がツンと上を向いているのが格好エエですね? お次は少し引き気味のショットで早朝の雰囲気を出してみました。
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D70、ISO=400, F4-1/320、-0.3EV、撮影時刻:5時58分

 一通り、閉翅を撮ると、当然開翅狙いです。少し日差しが覗いて空が明るくなる頃、体も多少温まったのか?後翅に畳み込まれた前翅を引き上げて、シジミ独特のスリスリモードが始まりました。
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D70、ISO=200, F3.2-1/640、-0.7EV、撮影時刻:6時21分

 しかし・・・、悲劇はあっけなく訪れたのです。開翅した際のアングルをシミュレーションしようと管理人が姿勢を高くしたその瞬間、クズの茎に触れたショックでクロミ嬢はサッと舞い上がり、梢の上に消えました。嗚呼!なんてことでしょう(悔涙) クズ葉上のゼフは背景もスッキリしてフォトジェニックですが、繁茂した蔦が絡まりあって葉を揺らすリスクが高いのも事実。これまで何回となく経験した同じ過ちを今回もやってしまいました(^^;; まぁ、「一見さんで、開翅も撮れたら罰当り」と納得することにしました。それでも悔やみきれないので、さらにしつこく叩き出しを行うと少し明るいゼフがクズの葉上に舞い降りました。クロミの別個体か?と慎重に接近するとオオミドリの♀でした。閉翅を撮っている最中に、すぐに開翅モードに突入。
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D70、ISO=200, F9-1/125、-0.7EV、撮影時刻:6時38分

 肛角部に配されたスカイブルーの破線模様が大変お洒落だと思いました。開翅モードはあっという間に終了したので、縦位置広角でパチリ。
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GX100@5.1mm、ISO=80, F7.2-1/90、-0.7EV、撮影時刻:6時50分

 この後、林道近辺のクヌギを徹底的に捜索する中で、何となくクロミが好むクヌギの樹相が理解できるようになりました(直感的なものですけどね)。ただ、午前7時以降は叩き出しても樹冠に舞い上がってしまうので、撮影は不可能です。またクロミは数字の「8の字」を書くように不規則な独特な飛び方をするので、飛翔モードでも他のゼフと区別できるような気がします。そうして気長に叩き出しをやった結果、奇跡的に目線の高さで止まった個体を発見。
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D70S-VR84@400mm、ISO=500, F7.1-1/500、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時53分

 クヌギの葉が邪魔になって真横から狙えないアングルですが、どうやら、クロミ♀の雰囲気を持っています。昼間は葉陰でこのように休止しているものと思われます。何とかクロミ撮影も成功したので、お次はメスアカミドリシジミを求めて山梨県東部に移動です。

 予め1/25000の地図上で「美味しそうな」ポイントを調査し、現地に赴いたのですけど、なんと、ここも激しい伐採の真最中で、禿山状態に超ガッカリ(^^;; 仕方なく別の沢沿いを探索すると、弱弱しく飛ぶウラゴを発見。先ずは飛翔にトライ。
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D40-1855@18mm、ISO=800, F10-1/2000、-2.3EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影時刻:13時57分

 置きピン位置はもう少しレンズ側に寄せて、対象を大きく写しこむべきでした。そのうち、♀は葉上に止まり、落ち着き無い挙動を始めました。枝に潜り込む頃、やっと♀が止まっている枝がイボタであることに気がつきました。待望の産卵シーンです。
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D40-1855@55mm、ISO=400, F7.1-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影時刻:13時56分

 イボタの枝が邪魔するので、左手でイボタの枝を払い、右手一本でAFでの撮影。AFの影響で複眼にピントが来ていません(^^;; 産卵が終了した後、枝の分岐をgyoromeで観察。
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GX100@15.3mm-gy8、ISO=20, F11-1/100、外部ストロボ、調光補正1/32、撮影時刻:14時17分

 少し見難いですが、全部で4卵産んでいました。円盤状の卵は本当に面白い形状ですね。♀は産卵の直後、じわっと開翅してくれました!
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D70、ISO=400, F9-1/320、-0.7EV、撮影時刻:14時09分

 飛翔中からやけに黒い個体やな?と思っていたのですが、前翅の白紋も殆ど出現せず、後翅もほぼ真っ黒な♀でした。かなりスレているけど、♀開翅シーンは初体験なので、慎重に撮影しました。

 メスアカは外れでしたが、クロミが撮影できて満足できる遠征となりました。またスレ品なのでブログ掲載を見送ったウラキンシジミも何とかゲットできたことも触れておきましょう。次回はオオムラサキ他の蝶をご紹介する予定です。(続く)

※なお、クロミドリシジミについては、ブログ仲間の虫林さんから生態に関する有用な知見を頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。
by fanseab | 2008-06-29 20:47 | | Comments(16)
Commented by otsuka at 2008-06-29 21:07 x
クロミドリシジミ、ありがとうございます。クロミドリは兵庫県に生息しない唯一のFavoniusなので、特別な想いがあります。
それにも増して2枚目の写真。目からウロコが落ちました。クロミドリでなくてもいいから、こんな写真を撮ってみたいです。
Commented by fanseab at 2008-06-29 23:57 x
otsukaさん、昨年、岡山県西部でヒロオビ探索の際、叩き出しでクロミを取り逃がしているだけに、リベンジでの撮影に成功できてホッとしています。土曜日はどんよりと曇った朝だったので、しっとりとした表現をするにはうってつけでした。
Commented by chochoensis at 2008-06-30 04:52 x
fanseabさん、=クロミドリシジミ=撮影見事ですね!おめでとうございます。叩き出しですか・・・懐かしい言葉・・・午前7時を過ぎると樹上に行ってしまうのですね、参考になりました・・・。
Commented by banyan10 at 2008-06-30 06:22
クロミドリシジミ、おめでとうございます。
自力で撮影するのはさすがですね。
1人では降りて来た蝶を見失う確率が高くて大変ですよね。
開翅は残念でしたが、素晴らしい写真です。
Commented by fanseab at 2008-06-30 07:25 x
chochoensisさん、有難うございます。早朝からの出撃は眠いですけど、目的の蝶が出現すると目が覚めましたよ。この日は蒸暑さの影響でどのゼフも梢の上に行くパターンが多かったように思います。
Commented by fanseab at 2008-06-30 07:33 x
BANYANさん、お陰様で何とか撮影できました。おっしゃる通りで、単独行では叩出し後に見失う確率が高いですね。3名位いればもっと楽に撮影できたかもしれません。
Commented by tatsuo at 2008-06-30 12:44 x
クロミドリは独特の魅力がありますね。私も昨日の午後、岡山行きでした。天気と時間も悪かったのですが、発生が遅れている印象です。岡山では道を走っている途中にクヌギの大木があると、つい叩きたくなり、昨日も遅くなりました。
Commented by mii at 2008-06-30 21:20 x
クロミ、おめでとうございます。
3時から出発とは…凄い。成果があがってよかったですね!
ウラゴの産卵もすばらしいです。
Commented by kmkurobe at 2008-06-30 22:28
素晴らしい写真撮影されましたね。クロミはなんとか安曇野で撮影しようと頑張ってますが私の住んでいる北部はクヌギが少ないのでなかなか見つかりません。午前7時というのは大変参考になりました。
明日から早速活用させていただきますよ。
Commented by 虫林 at 2008-07-01 06:06 x
ご苦労様でした。
クロミの撮影も無事成功され、オメデトウございます。さすがですね。
山梨の雑木林は、人里にありますので、5年間のブランクはかなり大きいかもしれません。実は僕の大事にしていたクヌギ林も数年前に伐られました。全く人の手が入らないのも困るし---難しいですね。
Commented by fanseab at 2008-07-01 07:13 x
tatsuoさん、コメント有難うございます。中国地方だと、クヌギ以外にアベマキも叩出しの対象になるので大変ですね!吉報をお待ちしております。
Commented by fanseab at 2008-07-01 07:22 x
milさん、お陰様で何とか撮影できました。貴ブログのウラジロも羨しい位に輝いてますネ!朝駆けのゼフ撮影は帰りの眠さとの戦いに苦戦します。ウラゴ産卵シーンはアングル確保が大変難しかったです。
Commented by fanseab at 2008-07-01 07:32 x
kmkurobeさん、目的のクロミが撮影できてホッとしています。安曇野のクロミも期待していますヨ!「午前7時」の目安は当日の気温・湿度で当然変化するものと思われます。夜明け前にも活動のピークがあるクロミは早朝の叩出しでも異常に元気なので苦労しました。
Commented by fanseab at 2008-07-01 07:40 x
虫林さん、今回の成果はこのシジミのパイオニアである貴殿の努力の賜物だと思います。個体数の割に難易度の高い代表種かもしれません。台場クヌギもこまめな人出で作りだされたものですね。山梨の里山が今後も維持されて欲しいです。
Commented by furu at 2008-07-01 23:13 x
私も午後はメスアカ狙いだったので後半はニアミスだったかも知れませんね。
背景がきれいにボケたクロミの画像もオオミドリの縦広角も、神経の行き届いた絵で素晴らしいです。
Commented by fanseab at 2008-07-01 23:34 x
furuさん、そうですか?お近くにおられましたかぁ!採集者からメスアカがいることは聞いていましたが、目撃もままなりませんでした。クロミは暗くて手振れの危険性があったので、思い切って絞り開放での作戦に切り替えたため、ボケは綺麗に出ました。
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