探蝶逍遥記

北ボルネオ・キナバル遠征記:(5)ムラサキマネシアゲハ

 しばらく、平地性ゼフの追っかけをしていたので、久しぶりのキナバル遠征記です。
 このアゲハ(Chilasa paradoxa telesicles )については、前回のボルネオ遠征でもダナムバレーの河畔で遭遇し、その完璧なまでのEuploea(ルリマダラ)への擬態に騙されました。今回、恥ずかしながら再度騙されたのでその顛末をひとくさり。
 ポーリン温泉滞在の2日目。吸水集団のシロチョウ飛翔画像にトライしていると、1頭の「ルリマダラ」が登場。緩やかに飛ぶ個体を広角レンズで撮影しながら斑紋を確認します。どうやら普通種のツマムラサキマダラ(E. mulciber)のようですが、イマイチ自信ありません。そのうち、地面に降りて吸水をし始めたので、90mmマクロで撮影しました。
f0090680_21362460.jpg
D70, ISO=400, F6.3-1/250、+0.3EV、撮影時刻:5月3日、11時09分

 さて、帰国してからこの写真をパッと見て、①先端にかけてアーチ状になる触角形状、②タテハチョウの証である、「前脚が退化した4本脚」ではなく「6本脚!」に気がつきました。この時点で「また、こいつに騙されたかぁ~」と溜息が出ました。初めて騙された時は、「騙される楽しみを味わうのもいいものだ・・・」と余裕で流しましたが、さすがに二度騙されると悔しいものです(^^;;

 その完璧に似せた飛翔画像もご紹介しておきましょう。
f0090680_21364966.jpg
D40-10.5-X1.4TC(トリミング), ISO=800, F3.5-1/4000、-1.3EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:5月3日、12時06分
f0090680_2137633.jpg
D40-10.5-X1.4TC(トリミング), ISO=800, F2.8-1/4000、-1.3EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:5月3日、12時06分
f0090680_21372456.jpg
D40-10.5-X1.4TC(トリミング), ISO=800, F2.8-1/4000、-1.3EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:5月3日、12時07分

 瑠璃色幻光の似せ方は本当に絶妙でした。更に白状すると、前日5/2にはヤエヤマムラサキ(Hypolimnas anomala )をEuploeaと誤認する失敗をしており、2日連続の屈辱でした(^^;; ↓は葉影に隠れたそのヤエヤマムラサキ。
f0090680_21373912.jpg
D70, ISO=200, F9-1/500、内蔵ストロボ、撮影時刻:5月2日、13時07分

 Euploeaは、このような葉裏での半開翅ポーズは取りません。ところで彼ら擬態種のモデルとなった「本物の」Euploea属を今回遠征では一切目撃できませんでした。昨年の南ベトナム遠征では夥しい数のルリマダラに出会っただけに、「所変われば・・・」の諺を深く噛みしめたのでした。(次回に続く)

※なお、マレー半島産亜種(ssp. aenigma )については、愛読ブログ、「青森の蝶たち」に素晴らしい生態写真が掲載されています。ご参考まで。
by fanseab | 2008-06-21 21:40 | | Comments(8)
Commented by maeda at 2008-06-22 07:48 x
待っておりました。
マネシアゲハの飛翔が何とも言えない良さです。
北方系の私ですが、最近、東南アジアの蝶も撮りたいと思うようになりました。fanseabさんの影響は大ですぞ!
Commented by Celastrina at 2008-06-22 14:51 x
またまパラドクサですか。すごいなぁ・・・・吸水写真もウチのaenigmaと違って完品だし・・・・・どこでも稀種なはずなのに・・・・・・
パラドクサの擬態っぷり、本当に騙されますよね。
Commented by fanseab at 2008-06-22 23:10 x
maedaさん、お待たせしました!貴殿も是非、このマネシアゲハと出会ってみてください。「擬態」の言葉の意味を深くかみ締めることができると思います。そうですか!貴殿も東南アジア病に・・・・。ファン倶楽部会長として嬉しいニュースです(笑)
Commented by fanseab at 2008-06-22 23:13 x
Celastrinaさん、このアゲハの飛翔写真はデジタルで是非撮り直ししたい対象でした。ところが、帰国するまで、本当に騙されていて、結果的に撮り直しができた次第・・・。いやはやラッキーというか?まぁ、個体数が少ない本種に対する小生の相性は良いのかもしれません。
Commented by cactuss at 2008-06-23 20:51
すばらしい完璧な擬態ですね。
擬態を見ると、蝶自ら擬態しようという意志を持っているとしか思えません。飛び方まで、まねしているのは本当に不思議ですよね。
Commented by fanseab at 2008-06-23 23:49 x
cactussさん、このアゲハを見ると、「造形の妙」なる言葉がしっくり来るような気がします。ツマグロヒョウモン♀を見てカバマダラと間違える擬態とは全く次元の異なる真似っぷりです。どのようにしてそのようなDNAを獲得したのか?神のみぞ知るといったところでしょうか?
Commented by thecla at 2008-06-29 17:32 x
ここまで完璧な擬態だと、細かく説明を受けるまで気がつきません。
東南アジアの蝶は本当に魅力たっぷりですね。
Commented by fanseab at 2008-06-29 23:52 x
theclaさん、コメント有難うございます。擬態種の多様性を楽しめるのも東南アジアの蝶の魅力です。ルリマダラ類はマネシヒカゲやマネシジャノメのモデルにもなっていますが、このアゲハの擬態の完璧さは特筆すべきものだと思っています。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード