探蝶逍遥記

北ボルネオ・キナバル遠征記:(2)キナバルミカドアゲハ

 公園本部は標高約1600mにあるので、熱帯と言えども、気温はそれほど高くありません。それでも日差しの不足する沢沿いの林道は湿度でかなり蒸します。
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GX100

 暗い林道脇にタテハ(ジャノメ)目的のトラップを仕掛けながら、ポイントになりそうな沢の出合を探します。滑りやすい崖を下ってやっと「美味しそうな」ポイントを発見、ここで粘ることに。撮影し易い岩を選んで、「お供え物」のトラップ類を置き、「神様達」のご降臨を待ちます。10時過ぎにチャイロフタオチョウ(Charaxes bernardus)が真っ先に降りてきてくれました。管理人にとっては既に見慣れたタテハなのでパス。目的のGraphiumをひたすら待ちます。そうしてやっと1頭のGraphiumがトラップへ舞い降りてくれました!狙っていたキナバル山周辺の固有種、キナバルミカドアゲハ(Graphium procles)でした。
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D70, ISO=200, F6.3-1/500、内蔵ストロボ、撮影時刻:4月29日、12時20分

 通常のミカドアゲハ(G. doson)との斑紋差は、後翅裏面基部近くの小黒条紋に赤班(下図黄矢印の先の部分)を欠くこと。
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 それ以外はミカドそっくりです。この後2日間、比較的フレンドリーにトラップを訪問してくれ、被写体になってくれたこのアゲハには感謝です。魚眼で周囲の環境を写し込むとこんな感じ。
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D40-10.5, ISO=400, F11-1/25、-1.0EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:5月1日、10時53分

 トラップが置いてある光景は不自然と思われる方もおられると思います。そこでこんな画像もご紹介しましょう。岩に生えた苔上での「吸水」シーン。
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D40-10.5, ISO=400, F7.1-1/25、-1.0EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:4月30日、11時15分

 実はこの絵もトラップを使っているのです。『えっ、トラップはどこに置いてあるの?』と疑問に思われたかもしれません。種明かしをすると、管理人が自ら体内で調製した「液体トラップ(?)」を苔に散布しておいたのです。魚眼での超接近撮影では自製トラップの臭気に閉口しながらの難業苦行でもありました(^^;;

 一通り吸汁画像をゲットした後は、飛翔にトライ。先日購入したD40に広角ズームを装着し、ストロボ併用で高速シャッターを切る作戦。多量の無駄打ちが功を奏して? 迫力ある絵が切り取れました。
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D40-1855@18mm(ノートリ), ISO=1600, F10-1/2000、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:4月29日、13時13分

 実は↑の絵、今回遠征で最もお気に入りの飛翔画像です。次点の飛翔画像はこちら。
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D40-1855@18mm(トリミング), ISO=1600, F6.3-1/3200、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:4月29日、13時13分

 表と裏面のバランスはこちらの絵の方がベストかもしれません。4/23付けの拙ブログでISO=1600&1/4000をストロボ併用で写し込む計画を披瀝したのですが、実は更に一工夫必要なことが現地で判明。多少条件を修正しての撮影でした。次回は今回遠征の大本命と言うべき、別のGraphiumをご紹介しましょう。
by fanseab | 2008-05-18 00:25 | | Comments(16)
Commented by maeda at 2008-05-18 06:34 x
楽しそうですね。
本来ならトラップで寄せずにチャンスを待ちたいですが、期間限定の旅だと仕方ないですね。
私も同じ事をするように思います、特に南方は。
Commented by cactuss at 2008-05-18 06:52
Graphium類の青は空を連想させる色で、好きです。
熱帯の流れの横でひたすら待つのは蚊などがいて、大変だと想像します。
でも、好きな蝶を待っているのだから、苦になりませんか。
Commented by Celastrina at 2008-05-18 07:17 x
プロクレス、いいなぁ・・・・・
下から2つめの飛翔写真はもちろんですが、うえから2つめのD70での画像の雰囲気が好きです。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2008-05-18 16:03
キナバルミカドアゲハという蝶がいるとは、全然知りませんでした。ほんのちょっとの違いなんですね。蝶もグローバルスタンダードの立場でチェックしなければなりませんね。
Commented by kenken at 2008-05-18 16:31 x
Graphiumの飛翔を撮ろうとは凄いですね。私には、まだまだ・・・
なるほど、裏面の赤斑の有無ですか。これなら私にも分かります。
甲殻類トラップは効き目がありますね。
Commented by thecla at 2008-05-18 22:02 x
Graphiumは、熱帯の強い日差しだと一段と映えますね。
なるほど、体内調整のトラップ液ですか、これならすぐにできますね。
キナバル遠征記、今後も楽しみです。
↓でのアカボシ、例の公園に成虫がおりました。
Commented by 虫林 at 2008-05-19 00:03 x
いよいよキナバルのチョウ達ですね。
ミカドアゲハが誘引された場所は、日本の渓谷、それもかなり奥地の雰囲気があります。こんな湿気が多いところだと、蛇でもでそうで、何となく気後れしてしまいそうですが、さすがですね。一枚目のバックの丸ボケは雰囲気が素晴らしいですし、キナバルミカドの飛翔写真もグッドです。
Commented by fanseab at 2008-05-19 06:31 x
Celastrinaさん、キナバルミカドは日が陰るとパッタリ来なくなるので、待ち時間が辛かったです。D70の縦位置画像は小生もお気に入りです。
Commented by fanseab at 2008-05-19 06:39 x
maedaさん、御指摘の通り、短期間の滞在ではトラップの使用で効率を上げざるを得ません。ただ撒けばいいものではないので、奥が深いです。
Commented by fanseab at 2008-05-19 06:47 x
cactussさん、キナバルミカドはミカドよりもブルーの幅が広いので、飛翔中は白く見えます。撮影ポイントは渓谷ですが標高が高いので、蚊は全くいません。
Commented by fanseab at 2008-05-19 06:54 x
ノゾピーさん、ミカドに良く似たのが、数種類いるので、同定には苦労します。普通ミカドも三重県産に比べると、かなり青いですね。
Commented by fanseab at 2008-05-19 07:06 x
kenkenさん、graphiumの飛翔はトラップ周辺を飛行する時はスピードを緩めるので、この時しか撮影チャンスはありません。甲殻類トラップの効き目は抜群です。
Commented by kmkurobe at 2008-05-19 18:56
ウーン凄い。やはりこの類は1/3200ですか・・・・・
しかし綺麗な水ですね。熱帯魚マニアでもある私はそちらも気になってしまいました。
Commented by fanseab at 2008-05-19 22:30 x
theclaさん、このポイントは標高1500mはあるので、「熱帯」のイメージとはちょっとかけ離れていて曇ると肌寒い位です。体内調製トラップ液はポイントに向かう道中で我慢しなければならず、苦労しますよ(^^;;
アカボシの件、あそこは完全に定着ですね。
Commented by fanseab at 2008-05-19 22:33 x
虫林さん、コメント有難うございます。仰る通り、深山幽谷の風情です。キナバルは花崗岩帯ですので、丁度、貴殿の地元、白州渓谷の趣きがあるかもしれません。一枚目は水の雫が上手い具合に丸ボケになっていい雰囲気が醸し出されたと思います。
Commented by fanseab at 2008-05-19 22:37 x
kmkurobeさん、二枚目の飛翔は1/2000でも大丈夫だと思います。むしろ一枚目は正面に向かってくる関係上、1/3200が必要でした。ただシャッター速度を上げすぎると、絞りを開ける必要があり、被写界深度が浅くなるので、選択は苦労します。水は綺麗ですよ!サンショウウオの類も泳いでいましたから。
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