探蝶逍遥記

アカボシゴマダラ幼生期の定点観察(4月27日~5月10日)

 昨年晩秋からの継続観察もいよいよ大詰めを迎えました。4/12以降、久しぶりにポイントを訪れると、ツツジが満開。さて、幼虫は?と探してみるものの、姿がありません。さては蛹化したか?とその姿を探索するもこれまた坊主。そんなはずはないが・・・と必死に探した結果、ようやく蛹を発見できました。アカボシ(個体識別No.13)、ゴマダラ(同No.21?)の蛹画像です(撮影はいずれも4/27)。
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D70、ISO=200, F3.5-1/160、-0.3EV、内蔵ストロボ
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D70、ISO=200, F5-1/160、-0.7EV、内蔵ストロボ

 アカボシは幼虫の色彩同様に、斜帯状の濃淡模様を有しており、腹部のギザギザ感が顕著なのが特徴。これに対し、ゴマダラは薄緑一色のあっさりとした外観です。体長はアカボシ:40mm、ゴマダラ:30mmでアカボシが一回り大きいですが(↑の画像は縮尺は合致させていません)、恐らくこのアカボシ個体は♀だと思われます。他のアカボシ蛹を検する限りでは概ね35mmでゴマダラよりは5mmほど大きい感じ。

 いずれの蛹も地上高50cm前後に位置し、ほぼ直射日光の当たらない茂みの奥ですので、探索に苦労しました。幼虫もそうですが、蛹になると更に上手くエノキの葉に擬態しているものです。特にアカボシ蛹の擬態は絶妙です。さて、歩道脇植栽のツツジの枝を払いながら、頭をエノキに突っ込んでの探索は傍から見たら相当奇異に感じられたことでしょう。いつもの撮影以上に通行人の冷たい視線に晒されての探索活動でした。
 結局、4/27に発見できた蛹はアカボシ3頭、ゴマダラ1頭に留まりました。一方、幼虫はただ1頭、アカボシ終齢幼虫(個体識別No.7?)を発見。一生懸命摂食中でした。
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D70、ISO=200, F5.6-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ

 これ以外の幼虫も恐らくこの時点ですべて蛹化したものと推測されます。それからGWをはさんで5/6に再度ポイントを訪れると、かなりの数の羽化殻を発見(羽化殻は目立つので発見は容易)。↑で図示したアカボシ、ゴマダラ各個体の羽化殻です。
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D70、ISO=400, F5.6-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ
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GX100@5.1mm、ISO=80, F9.1-1/30、-0.7EV、内蔵ストロボ

 いずれもGW中に羽化したものと思われます。次にアカボシの未羽化蛹(個体No.9)と羽化殻(同25)のツーショットをgyoromeでご紹介しましょう。
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D40-1855@55mm-gy8、ISO=1600, F32-1/100、-3.0EV、外部ストロボ、調光補正1/4

 アカボシは普通エノキの葉裏や枝でのみ蛹化するものと思っていましたが、植え込みのツツジで蛹化している個体(No.12の羽化殻)も発見。
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D70、ISO=200, F6.3-1/500、-0.7EV、内蔵ストロボ(撮影5/6)

 最後にこのポイントで継続観察していた個体につき、現時点での総括をしておきましょう。観察個体はアカボシ全19頭、ゴマダラ全9頭。このうち、羽化殻を確認したのは、アカボシ11頭、ゴマダラ3頭。また未羽化蛹はアカボシ2頭で、残りは行方不明個体です。最大の観察注目点であったアカボシ/ゴマダラ共存エノキ株での挙動ですが、特段の競合関係になく、無事両者共に羽化したようです。越冬後の必須摂食量を供給可能なエノキ株では、両者が共存可能なのでしょう。

 また5/6には、妙にでかい未羽化の蛹を発見。4/27の観察時点で幼虫だった個体識別No.7?です。
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D70、ISO=200, F11-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ

 良く見ると、腹部の付け根が異常に引き伸ばされた蛹化不全個体であることがわかります。恐らく無事羽化することは不可能でしょう。この蛹化不全が寄生に起因するものか?はもう暫く様子を見て結論つけようと思います。残念ながら、4/28-5/5まで所用でこのポイントを訪れる機会がなかったので羽化シーンは撮影できませんでした。こちらは唯一未羽化の個体No.2か、あるいは第2化以降のチャンスにトライしたいと思っています。一方、5/6は成虫の姿を求めて近所をウロチョロ探索しましたが、坊主でした。いったいどこに飛び去ったのでしょうか?
by fanseab | 2008-05-10 15:04 | | Comments(10)
Commented by kenken at 2008-05-10 17:11 x
でましたね、fanseabさんならではの継続定点観察記事!
これはまた、報文にもなりそうな観察記事で、じっくり読ませていただきました。
なるほど、大きな食樹は共同利用ですか・・・十分に共存していますね。
ところで、ツツジでの蛹化、なんとも不思議な光景です。
Commented by fanseab at 2008-05-11 09:28 x
kenkenさん、コメント有難うございます。アカボシの観察は神奈川県に住む者の特権かもしれないので、今のうちにじっくり眺めようとの考えです。アカボシはともかく、このような小さな株でゴマダラがきちんと越冬→羽化する事実は新鮮な発見でした。
Commented by maeda at 2008-05-11 20:46 x
個体数まで検証しての定点観察ですからすばらしいです。
心配されていたほどゴマダラは劣勢ではなさそうですね。
Commented by ダンダラ at 2008-05-12 00:00 x
アカボシゴマダラの観察は素晴らしいですね。
このチョウはあまり大きくないエノキに産卵すると思いますが、蛹化まで同じ木にいると言うことでしょうか。
また、羽化後はかなり広範囲に拡散するのでしょうか。このチョウの分布拡大の早さを象徴するような感じですが、これもエノキの幼木を好む性質と関係ありそうな感じですね。
Commented by fanseab at 2008-05-12 07:13 x
maedaさん、終齢幼虫は摂食活動範囲が広くなり、個体識別に苦労しました。成虫と異なり、上手いマーキング方法がないのが辛いですね。
Commented by fanseab at 2008-05-12 07:23 x
ダンダラさん、いつもコメントありがとうございます。母蝶は成虫になるための必須摂食量をちゃんと計算してエノキの株を選んで産卵しているように思われます。またエノキの群落があれば、そこに集中して産付け、次の産卵はかなり離れた場所に産む……。こんなパターンで拡散しているようですね。
Commented by banyan10 at 2008-05-12 21:35
もうほとんど羽化しているのですね。
春型の白いアカボシは一度撮りたいのですが、撮影は簡単ではないですね。
Commented by fanseab at 2008-05-13 00:25 x
BANYANさん、このところ関東地方は低温続きで、成虫がいたとしても活発ではなく、まだ近くにいるかもしれません。この週末あたり、もう一度成虫にトライしたいと思います。
Commented by 虫林 at 2008-05-13 10:31 x
アカボシ、ゴマダラの長期継続観察を興味深く拝見しました。
これだけの数の両種の比較観察は、大変な努力と思われます。刹那的に昆虫写真を撮影している当方としては頭が下がります。
ここまでくればあと少しですね。陰ながら応援していますよ。
Commented by fanseab at 2008-05-13 22:27 x
虫林さん、丁度神奈川への転勤が越冬幼虫の活動再開時期とほぼ重なったので、継続観察が可能になりました。ここまで来たら、是非羽化シーンを撮影したいのですが・・・・。
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