探蝶逍遥記

Hestina属越冬幼虫の脱皮(3月29日)

 先週、樹上に這い登ってきた首題幼虫の追跡調査です。やや日当たりの悪いポイントで新たに個体No.19とすべきアカボシ幼虫を発見。
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D70S、ISO=320, F9-1/320、-0.7EV、内蔵ストロボ

 頭部やや後ろの第1背面突起部に皴が入り、どうやら脱皮直前の様子です。地上高78cmで体長は22mm。次に日当たりの良いポイントに移動して探索すると、エノキの枝分岐部に脱皮殻を発見。
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D70S、ISO=320, F7.1-1/320、-0.7EV、内蔵ストロボ

 脱皮した幼虫がどこにいるのか?5分程探してようやく発見できた個体No.7(恐らく)。
f0090680_2134538.jpg
D70S、ISO=400, F9-1/320、-0.7EV

 御覧のように擬態は大変巧妙です。脱皮殻を含め尾端がかなり明確に分裂していることから、最初はゴマダラ?かと思いましたが、背面構造&背面色調よりアカボシと同定しました。しかしちょっぴり自信なし。個体の右側のエノキ新芽に摂食跡があり、脱皮直後から活動を開始していると思われます。この株はゴマダラも共存していたので、もしや?と思い探索すると、やはり脱皮したゴマダラ幼虫も発見できました。
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D70S、ISO=400, F9-1/640、-0.7EV

 尾端は完全に2又解裂し、背面中央の緑色線両側を彩る濃色部もアカボシよりも茶褐色を帯びた感じで微妙に雰囲気が異なります。こちらも既に摂食を開始しています。ついでに背面から回り込んでコンデジでパチリ。
f0090680_21355343.jpg
GX100@5.1mm、ISO=100, F9.1-1/45、-0.7EV

 さらに魚露目で周囲の環境を写しこみました。
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D70-1855-gy8、ISO=500, F32-1/100、+2.0EV、外部ストロボ、調光補正1/2

 いつものように、人通りの激しい場所なので、通行人の刺すような視線との戦いです(^^;; 最後にアカボシの特徴が完璧に出たマクロ画像をご紹介しましょう。個体No.17で地上高42cm・体長28mm。
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D70S、ISO=400, F8-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ

 尾端が完璧に融合しています。この位、明確な構造を持っているとアカボシと断定できます。
 週末の2日間でポイントをざっと巡り、現時点での個体数はゴマダラ7頭(脱皮個体3頭)、アカボシ11頭(脱皮個体4頭)、合計18頭でした。脱皮→即摂食のパターンは両者ほぼ一緒で、現在はどちらが食樹を支配するか?戦いはイーブンと言ったところでしょう。
by fanseab | 2008-03-30 21:42 | | Comments(10)
Commented by maeda at 2008-03-31 06:02 x
生息環境がよく分かる絵ですね。
こんな幼木で発生しているとは。
視線は我慢ですよね。
Commented by ダンダラ at 2008-03-31 18:55 x
ゴマダラは市街地に生き残った蝶の、アカボシは市街地に進出した蝶のそれぞれ貴重な記録になりますね。
アカボシとゴマダラが1本の木に同居している場合の今後の動きが面白いですね。
羽化するのは5月の連休頃になるんでしょうか。
Commented by fanseab at 2008-03-31 23:54 x
maedaさん、今回の観察で再認識したのは、ゴマダラも意外と幼木に付いていることです。アカボシは幼木、ゴマダラは成木?と棲み分けの論理で上手く収まるとの予想に反して、共存?の可能性も出てきたことです。市街地撮影では人通りが絶えた時間帯をなるべく狙っています。
Commented by fanseab at 2008-03-31 23:59 x
ダンダラさん、仰る通り、Hestina属両種が市街地で共存するのか?はたまた競合するのか?放蝶をきっかけに両種の静かな戦いが始まっているものと思われます。同居する場合、両種が成虫に至るまでの摂食量差で優劣が決まるのかもしれません。あるいは、摂食量に柔軟な対応ができる種が優先して残るのかもしれません。
羽化は連休を過ぎるのでは?と睨んでいますが、どうなりますか。。。。
Commented by nomusan at 2008-04-02 06:40 x
なるほど、生息環境がわかりました。これは道行く人々の視線を浴びそうな場所ですね~(笑)。
興味深い観察ですね。続編が楽しみです。
Commented by fanseab at 2008-04-02 08:02 x
nomusan、やはり子供連れの母親が小生を「変質者」として見て足早に通り過ぎるのが辛いです(涙)。ストロボを焚いたりしているので、仕方ないですが……
Commented by 虫林 at 2008-04-03 07:32 x
エノキでのゴマダラとアカボシゴマダラの幼虫観察は貴重な生態記録で
すね。すでにゴマダラよりもアカボシゴマダラの方が多くなっているのに
は驚きです。昨日、日本でアルゼンチン蟻が進出し、凄い勢いで増えて
いることが報道されていましたが、アカボシゴマダラの繁殖力もかなり高
そうですね。
Commented by fanseab at 2008-04-04 07:46 x
虫林さん、エノキ幼木に限って言えば、アカボシが優占するのだと思います。アカボシへの寄生率がゴマダラと比較して高いのか?が今後の趨勢を決するポイントになりそうです。
Commented by 愛野緑 at 2008-04-04 22:55 x
こんな住宅地にいるとは驚きです。近くに適当な林があるのでしょうか?
Commented by fanseab at 2008-04-06 22:09 x
愛野緑さん、本当の街中でしょ!ゴマダラは恐らく羽化後、近くの多摩丘陵沿いに移動して樹液とかを狙うのだと思います。アカボシは花からの吸蜜含め、様々な吸餌パターンを持っているため、このまま街中で生息するのだと思います。テリを張るためのほんのわずかな梢さえあればいいのではないでしょうか?
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