探蝶逍遥記

ムラサキツバメ越冬集団の観察(1月4日):その(1)

 暮れからお正月にかけて関東地方は大変好天に恵まれました。このお正月はカレンダーの関係で、いつもは出勤日の4日も休暇。結局、年末から9連休となってノンビリ過ごすことができました。そろそろ成虫も観察したいので、千葉県の公園にムラサキツバメの観察にでかけました。管理人は、関西において、大阪府・兵庫県・和歌山県と多数の有望ポイントを探索しておりますが、未だムラツの集団越冬ポイントを発見できておりません。そこで、この際、ポイントを熟知しているプロの助けが必要と考え、蝶と山・てくてく写日記の Bさん に頼み込んで情報を頂き、出向いたわけです。

 自宅6時20分発、現地8時過ぎに到着。早速指定されたカクレミノのポイントを見て回ります。暫し探索するも坊主。どうやら違うカクレミノかもしれないと思い、ウロウロ片っ端から大き目の葉を持つ樹木を探索。不意にブログ仲間である、撮影日記のDさんが同じ公園?で、サンゴジュから越冬集団を発見された記事を思い出し、サンゴジュにターゲットを絞って探索。すると、何とか3頭からなる集団を発見することができました(^^)
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GX100-gy8,ISO=80,F12.6-1/40,外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:9時03分

 「オーッ、これが噂の集団越冬か!」と素直に感動します。それにしても一番手前の個体等、よくぞまあ、体をこれだけ水平に傾けることができるものですね!そうこうするうちに、現地で落ち合う予定だったBさんが登場。初対面なので、ご挨拶の後、しばし歓談。小生が見落としたらしいカクレミノに再度案内して頂く。「これですよ~」って指差された先に、なるほど越冬集団がありました。
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GX100@5.1mm,ISO=80,F9.1-1/64,外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:9時44分

 しかし、小生の目も節穴かと思うほど、ムラツに騙されて、気が付かなかったようです(^^;; 集団は、どうやら5頭のようです。Bさんが12/1に観察した時点で11頭、次にDさんが12/24に観察された時点で8頭に減り、さらに3頭が離散した結果となりました。

 この後、二人は別個に集団を求めて探索。Bさんが暫くしてサンゴジュに形成された2頭集団を発見。
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GX100@5.1mm,ISO=80,F7.2-1/79,-1.0EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:10時25分

 ↑の画像からお分かり頂ける通り、ムラツの翅に微妙に太陽が差し込む状況のため、露出設定は相当に苦労しました。さらに探索するとツバキ(サザンカかも?)の株に形成された別の集団を小生が発見。これも2頭ですが、嬉しいことに越冬中のウラギンとのツーショットになりました。
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GX100-gy8,ISO=80,F12.6-1/80,外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:11時52分

 冬の太陽を構図に入れて、なおかつ、暗闇に潜むムラツをストロボで明るく演出し、ウラギンの裏面を白トビさせないように、このコマ撮影だけで20コマ消費する、ウルトラ級難易度の撮影でした(^^;; このツバキはウラギンにとっても、越冬に最適な条件が揃うのか、↑の個体を併せ、4頭の個体を発見。その中で、一番低い葉裏に潜む個体に狙いを定め、こちらも新春の太陽とのツーショットの作画としました。
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GX100-gy8,ISO=80,F14.1-1/160,外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:12時03分

 こちらは、ほぼ目論見通りの絵に仕上がり、満足しています。
さて、この日はムラツ越冬シーン以上に大事な撮影ターゲットがありました。そう、ブログ・HP仲間の「撮影風景シーンの採集行為」です(笑) これまで、Kさん、Nさん、Tさん、mさんの4種?の撮影に成功しておりますが、本日はBさんに無理にお願いをして、下記の絵の採集に成功しました(爆)
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 この日は、殆ど風も無いポカポカ陽気でしたので、陽気に誘われて越冬集団から飛び立つ個体もよく見かけました。その生態については、次回の記事でご紹介したいと思います。帰りしなに、カクレミノポイントに立ち寄ると、集団の位置が変化し、個体数も6頭に増加しておりました。
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D70,ISO=200,F6.3-1/160,内蔵ストロボ、撮影時刻:12時48分

 越冬中はこのように離合衆参を繰り替えすのでしょう。その後、別のサンゴジュ葉上で更に2頭集団を発見。この日は、結局5群14頭の越冬集団を観察できたことになります。このうちサンゴジュでの越冬が顕著でした。どうしてだろう?と疑問に思い、サンゴジュの葉をしげしげと観察しているうちに、ちょっと気になる点がありました。↓の画像を御覧ください。
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D70,ISO=200,F6.3-1/320,-0.7EV、撮影時刻:13時07分

 葉の右端にある灰色の「斑模様」にご注目ください。管理人には、この「斑」模様がムラツ裏面のそれによく似ていると思いました。以前、Dさんがブログ上で、ムラツが越冬中に体を傾ける理由の一つとして、「マテバシイ等の越冬に利用する葉(枯葉)に擬態させる」仮説を開陳しておられました。小生も将にこのような斑模様が形成されやすいサンゴジュが(葉が大きいことも条件を満足していますが)選択される理由かな?と考えた次第です。読者の方はどう思いますか?

 本日はBさん、本当にお世話になりました。本日の観察をベースに関西での独自越冬ポイント発見のヒントにしたいと思っております。またどこかでご一緒しましょう。さらに間接的ですが、ブログを通じて情報提供して頂いたDさんにも厚く御礼申し上げます。次回は開翅等の生態についてご紹介しましょう。

<あとがき>
 本日観察した公園、実は管理人が独自に衛星画像から有望ポイントと睨み、昨年のお正月に半日タップリと時間をかけて探索した公園でもありました。しかし、その時はマテバシイを中心に丹念に捜索したにもかかわらず、坊主に終わったのでした。「この公園のどこかに集団越冬しているから、探してごらん・・・」と言われても、まず、絶対に発見は無理でしょう。本当にピンポイントに越冬する樹木・ポジションを教示して貰わないと発見は困難だなと感じました。ここらあたりが独自で集団越冬ポイントを発見することの難しさだとつくづく痛感した一日でもありました。
by fanseab | 2008-01-05 10:42 | | Comments(20)
Commented by chochoensis at 2008-01-05 15:26
fanseabさん、「ムラサキツバメ」越冬集団、撮影おめでとうございました。さらに「ウラギンシジミ」とのツーショットも素晴らしいです。遠くからの参戦お疲れ様でした。
Commented by banyan10 at 2008-01-05 16:40
昨日はありがとうございました。
太陽を入れての写真は素晴らしいですね。
ぜひ関西でも集団を見つけて下さい。
また機会がありましたらよろしくお願いします。
Commented by nomusan at 2008-01-05 17:22 x
私もね、何方かと同行させて頂くときは必ず「撮影風景シーンの採集行為」はさせて頂きますよ。もう7~8個体はあるような・・・(爆)。
Commented by ダンダラ at 2008-01-05 19:52 x
ムラツの越冬集団撮影成功おめでとうございます。
あそこの公園にいらしたんですね。
ムラツが体を横にさせる理由、やっぱりそう思われますか。
ムラツが返事をしてくれるわけではありませんが、撮影の時に観察する限りではそのように思えますよね。独りよがりではなくて良かったです。
Commented by fanseab at 2008-01-05 21:24 x
chochoensisさん、Bさんのご尽力で念願のムラツ越冬集団の撮影ができました。ウラギンが好む越冬環境とムラツのそれとは異なるものと思っていましたから、このツーショットは驚きでした。
Commented by fanseab at 2008-01-05 21:26 x
BANYANさん、こちらこそ本当に有難うございました。
一旦、コツを掴むと、いそうな雰囲気のポイントが分かったような気がしました。何とか、この冬、関西で独自ポイントを見つけたいです。今後ともよろしくです。
Commented by fanseab at 2008-01-05 21:29 x
nomusan、貴殿の「採集実績」には負けているようですね(笑)
いつぞや、九州にて、貴殿の画像も採集させて頂きたく、今から予約をしたいと思っております。冗談はさておき、ムラツの集団は感動物でした。
Commented by fanseab at 2008-01-05 21:32 x
ダンダラさん、貴ブログはじめ、関東勢の方の情報の賜物で、撮影することが出来ました。有難うございました。体を横に傾ける件、面白いのは、体を横にしないで、立てている個体も交じっていることです。体温の違いでしょうか?いろいろと調べると興味が尽きないですね。
Commented by maeda at 2008-01-05 23:00 x
「撮影風景シーンの採集行為」、こんなのとっても楽しいです。
Commented by fanseab at 2008-01-05 23:42 x
maedaさん、Bさんとは、ブログでしか語り合ったことがありませんでしたが、直ぐに旧知の間柄のようになりました。ブログ様様ですね。いずれ、貴殿の画像も採集させてください(笑)
Commented by 虫林 at 2008-01-06 15:48 x
関東のムラツ越冬集団撮影、おめでとうございます。
Kenkenさんも探していましたが、関西ではなかなか見ることができないのですね。多分、関東のその辺りのムラツは、人為的な可能性(放蝶など)が高いと思います。ムラツの本当の分布はまだ関西までかもしれないと思っています。アカボシゴマダラやナガサキアゲハの件もあって、環境に与える影響を危惧せざるをえません。
でも、蝶には責任無い事ですよね。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2008-01-06 18:21
越冬集団撮影成功おめでとうございます。なかなか探すのが難しいようですね。サンゴジュの斑にムラツが擬態をしているとは面白い考察ですね。関西組も頑張って探さなくては。サンゴジュあったっけ?
Commented by thecla at 2008-01-06 19:40 x
集団越冬撮影おめでとうございます。
不思議なもので一度見つけることが出来るとあちこちで見つけられるものですが、最初は中々難しいですよね。
ムラツの翅はパッと見、枯葉くずに見えて仕方ありません。何かゴミがやけについてるなんて(笑)
Commented by fanseab at 2008-01-06 20:46 x
虫林さん、有難うございます。Bさんのご尽力でようやく撮影できました。今回観察した公園の環境を仔細に点検すると、単に関西・関東といった地域差よりも、公園内の植栽の状態が越冬に適しているか否か?の要因が強く働いている実感を得ました。小生の私見では、ムラツの東進は植栽としてのマテバシイの増加と越冬に耐える冬季の平均気温上昇が効いていると思います。従って、外国から違法に輸入されたアカボシの事例とは異なり、ツマグロヒョウモンと同様な理由で拡大した・・・と思われます。
Commented by fanseab at 2008-01-06 20:51 x
ノゾピーさん、有難うございます。やっと関東で念願を果たしました。今回の知見を活かして、何とか関西でもポイントを見つけたいと思っております。斑入りの葉の件、カクレミノの場合は班もないので、すべての事例を説明できるものではありません。ただ、都市部の公園を探索する場合は、サンゴジュは比較的植栽として一般的なので、狙い目になると思います。
Commented by fanseab at 2008-01-06 20:55 x
theclaさん、有難うございます。Bさんのお陰で新年のお年玉を貰った気分です(^^) 仰るとおり、一旦見つけると、不思議と次々に発見できました。ただ前提条件としてムラツの個体数が一定以上いないと駄目だと思います。その点、今回の公園は越冬に備える豊富な母集団を育む理想的な環境が存在していると感じました。
Commented by tatsumi at 2008-01-06 22:26 x
私は例年は冬には蝶の観察はしませんが、今年は元旦の翌日1月2日に千葉県の公園で初めてムラサキツバメの集団越冬を観察しました。越冬場所としてはマテバシイよりもサンゴジュに多く見られました。猫が横でうるさかったです(笑)。次は群馬県で集団越冬を探したいと思います。
Commented by 虫林 at 2008-01-06 22:52 x
fanseabさん、ムラツの分布拡大は、かなり広くなってしまい。その理由として、貴殿の言われるようなことを多くの人が考えています。でも、アカボシゴマダラやホソオチョウのように、絶対産しないものであればすぐに分かりますが、棲息可能なものであれば、人為的に移入(放蝶)されてもわかりませんよね。面白い記事が、月間むしに出ていますので、お暇なときにでも、目を通されるとよいかもしれません。
高桑正敏:亜熱帯性チョウ2種の関東における発生の謎(1)
月間むし 364、18-25、2001(June)
Commented by fanseab at 2008-01-07 21:20 x
tatsumiさん、拙ブログへのコメント有難うございます。
千葉県内のお正月は、穏やかな天候だったため、この蝶の観察には打ってつけだったようですね。越冬樹木としてはマテバシイは意外と好まれないようです。今後ともよろしくです。
Commented by fanseab at 2008-01-07 21:26 x
虫林さん、追加コメント有難うございます。ご紹介頂いた報告要旨は以前拝読したことがあります。T氏自ら書かれているように、この問題の難しさは「仮説検証が困難」なことでしょう。仮にある人が放蝶したとして、この個体からは1世代で発生がストップしたとします。その時、同時並行で自然拡大が進んだ場合、暫くたってから、放蝶者は「俺の放蝶で分布が拡大したのだ・・・」と誤認識する可能性があるからです。いずれにせよ、植栽としてのマテバシイの増加は彼らの越冬にとって、重要なキーファクターでしょう。
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