探蝶逍遥記

アカボシゴマダラ越冬幼虫の観察(12月15-16日)

 先週に引き続き、川崎市西北部での首題幼虫の観察です。既に樹上越冬態勢に入った個体には変化が見られないので、葉上に静止していた幼虫を中心に観察しました。
 先ずは、一番デカいサイズの個体識別No.15。
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GX100@5.6mm, ISO=80, F6.5-1/50、内蔵ストロボ、撮影時刻:8時19分(12/16撮影)

 静止している葉も萎れ、胴体も少し痩せた感じで、体色も色濃くなっています。落葉にも潜らず、かと言って樹上にも移動せず、ちょっとヤバイ状況。心配した通り、中途半端に成長が進むと、幼虫の遺伝子に刷り込まれた「越冬態勢に入れ」なるトリガーがかからないまま、冬を迎えてしまうのかもしれません。

 一方、最小サイズの個体(識別No.5)は無事、樹上越冬態勢に入っていました。背面や頭部突起も休眠型に移行しており、どうやらこの1週間の間に脱皮したようです。
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GX100@5.6mm, ISO=100, F9.1-1/17、-0.3EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時59分(12/16撮影)

 No.5の近くにいたNo.3は未だ葉上にいました。こちらもNo.5同様に休眠型に脱皮していました。
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GX100@5.6mm, ISO=200, F5.7-1/30、-0.3EV、撮影時刻:10時04分(12/16撮影)

 先週の観察で葉上から降りて行方不明になっていた個体のうち、No.11は樹上越冬していました。
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GX100-gy8, ISO=80, F8.9-1/50、内蔵ストロボ、撮影時刻:8時43分(12/16撮影)

 エノキの葉がかなり散って、幹の観察が容易になったため、この幼虫も発見することができました。画面左上は団地の建物。今日は人目を避けるため、なるべく朝早い時間帯での撮影を心がけましたが、悪いことに近くのスーパーで12月特売セールをやっていた関係で主婦の人出が凄く、今朝の撮影も冷や汗ものでした(^^;;

 また、別の行方不明個体(No.6)はエノキの株近くのエノキ枯葉上に静止している(枯葉が立った状態で頭部を上にしている)状態で再発見できました。
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GX100@5.6mm, ISO=200, F5.9-1/17、-0.3EV、撮影時刻:8時26分(12/16撮影)

 ↑の画像は落葉を数枚除去しての撮影です。一連の観察個体の中で、No.6のみ、落葉上での越冬態勢に入った訳で、現状では樹上越冬が大半を占める結果となりました。

 さて、実は11月中旬から観察したこのポイントとは別に10月中旬から定点観察をしていたエノキがあって、そこには2頭の4令幼虫がおりました。ただ、残念なことにこのエノキは他人の民家の庭先のため、詳細な観察ができず、11月上旬には幼虫の姿が消えていました。野鳥の餌食になったのだろうと思っていた訳ですが、昨日(12/15)、久しぶりにこのエノキを覗くと、なんと枝に残った葉上の蛹が2頭いたのでした!
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GX100@5.6mm, ISO=80, F9.1-1/250、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時29分(12/15撮影)

 体長は35mm程度。ゴマダラの蛹を見慣れた目にはデカく感じられます。まだ体色は緑色をしていますが、さすがに12月に羽化することは不可能でしょう。この秋の高温の影響で、化数が回り過ぎて、蛹まで到達したけど、一気に寒くなって、そのまま・・・のパターンなのかもしれません。冒頭の幼虫といい、羽化に至るプロセスは簡単なものではありませんね。
by fanseab | 2007-12-16 21:34 | | Comments(18)
Commented by chochoensis at 2007-12-16 22:38 x
fanseabさん、「アカボシゴマダラ」の=越冬観察=素晴らしいですね・・・知識を沢山お持ちなので、こういう観察が出来るんだ・・・と感服して読ませていただきました。樹上越冬と落ち葉での越冬があるんですね・・・とても参考になりました・・・。
Commented by cactuss at 2007-12-16 23:51
アカボシゴマダラが生息する奄美大島はそれほど寒くならないので、川崎とは越冬の仕方も違っていると思います。寒くなる川崎での越冬状態の観察は貴重な記録になると思います。
Commented by fanseab at 2007-12-16 23:52 x
chochoensisさん、いつもコメント有難うございます。1週間毎の観察では、決定的瞬間を見逃すほど、越冬直前の幼虫の行動は複雑ですね。樹上を選ぶか?落葉を選ぶか?いったい、どんな選択メカニズムがあるんでしょうね?
Commented by fanseab at 2007-12-16 23:57 x
cactussさん、コメント有難うございます。現在神奈川県下で拡散中のアカボシはご承知の通り、中国本土産の放蝶個体由来とされています。幼虫の耐寒性はお墨付きですが、中国本土での越冬観察事例もそれほど多くはないので、日本での観察結果もそれなりに意味があると思い、継続しております。
Commented by maeda at 2007-12-17 07:30 x
この蛹どうなるのでしょうね?
春に羽化する?蛹越冬ということ?
興味が尽きません。
Commented by 蝶遊斎 at 2007-12-17 10:35 x
蛹の件ですが、野外での羽化は仰るように不可能だと思います。よって、いけない事かもしれませんが、死んでしまうよりも室内に取り込めば羽化するかも知れません。
Commented by banyan10 at 2007-12-17 17:36
蛹は興味深いですね。
この蝶の生命力を考えると春に羽化する可能性も高い気がします。
いずれにしても望まれていない蝶なので野外での観察を期待します。(^^;
Commented by fanseab at 2007-12-17 23:12 x
maedaさん、さすがに蛹越冬の可能性は低いと思います。
体液中のグリセリン濃度を高めるような機能は持っていないのでは?と推定しています。まあ、もしものこともありますから観察は継続します。
Commented by fanseab at 2007-12-17 23:14 x
蝶遊斎さん、コメント有難うございます。小生の観察方針はあくまで自然状態でどうなるか?に主眼を置いているので、このまま放置して観察を継続したいと思っています。確かにこの時期に室内に取り込めば、羽化するかもしれませんね。
Commented by fanseab at 2007-12-17 23:17 x
BANYANさん、夏場に生息地を拡散させているのは、都会近郊の生活環境が偶々彼らに適しているからであって、蛹越冬をする生命力があるとは思えません。ただ、可能性は否定できないので、仰るとおり、このまま観察を続ける予定です。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2007-12-18 00:00
前回に引き続きこと細かく観察されていますね。街中では、奇異の目で見られるので撮影も大変ですね。アカボシ、幼虫越冬が基本形ですので、早まって蛹になった子はやはり自宅に持ち帰って羽化させてあげるのも一考かなと思ってしまいます。暖冬は生態系にも大きな影響をあたえていそうですね。今後の観察楽しみにしております。
Commented by kenken at 2007-12-18 00:26 x
最後の蛹は印象的ですね。綺麗な緑です。
周囲が枯れて目立つと、気がつくと、鳥の餌になって・・・ってなことはないのだろうか?
いつもながらのこまめな観察に敬意を表します。
Commented by fanseab at 2007-12-18 22:45 x
ノゾピーさん、さすがに成虫も少なくなった冬の楽しみが一つ増えた感じです。公園内なら何とかなりますが、街中は撮影行為は厳しいものがあります。春先なんとか羽化シーンをゲットできればと思っています。
Commented by fanseab at 2007-12-18 22:47 x
kenkenさん、まいどどうも。そう蛹は綺麗な緑色が妙に新鮮で、それだけ寒風になびいているのが、ちょっぴり哀れでした。野鳥の餌食は当然あるものと思います。冒頭のNo.15幼虫も捕食の対象としては絶好の位置にいますから。
Commented by 空飛ぶhaha at 2007-12-19 16:28 x
fanseabさん、こんにちは。
スーパーで12月特売セールにたかる?主婦達なら大丈夫です!自分が買う物のことしか頭にありませんから!(笑)
でもやっぱり人目を気にせず撮影に没頭したいですよね。こうして見守っている人がいることを、幼虫さんにも教えてあげたいです。(笑)
Commented by 虫林 at 2007-12-19 21:05 x
GX100+内臓ストロボはなかなかシャープで綺麗ですね。
ディフューザーをかけて、バックの露出に違和感無いような工夫をされているようですが、見事です。
Commented by fanseab at 2007-12-20 22:42 x
空飛ぶhaha様、こんばんは。主婦の目線でのコメント恐れ入ります。実は撮影の後、小生もこのスーパーでなにげない顔をして、20%引き牛肉を買い、晩飯はすき焼きを楽しみました。アカボシゴマダラ幼虫のおかげかな?
Commented by fanseab at 2007-12-20 22:47 x
虫林さん、ご賢察の通り、愛用の外付けストロボを持参していなかったので、ティッシュペーパーで即席ディフューザーを作成しての撮影でした。ただ、No.11のような状況では通常のディフューザーでは、ツツジの下枝と物理的に干渉するので、むしろティッシュペーパー方式は優れものでした。瓢箪から独楽ってやつでしょうか?
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