探蝶逍遥記

アカボシゴマダラ越冬幼虫の観察(12月8-9日)

11月18日に観察した川崎市北西部での主題幼虫について、その後の状態を確認してきました。エノキもかなり葉が落ちて、流石に冬モードです。前回ご紹介した全14個体につき、4個体が行方不明、残り10個体のうち、5個体が未だ葉上に残って摂食を続けており、残り5個体は樹上での越冬態勢に入ったことを確認しました。先ずは今回観察している個体群で最大サイズの幼虫(個体識別No.15)。葉上に台座を作って静止しています。
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GX100-gy8, ISO=80, F8.9-1/80、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時33分(12/9撮影)

 ご覧のように観察ポイントは住宅街のど真ん中です。この個体は「非越冬(非休眠)型」で、前回と比較して、体長(33mm)に変化はありませんでした。逆に今回の観察個体の中で最小サイズの個体(個体識別No.5:体長16mm)をご紹介しましょう。
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GX100@5.6mm, ISO=80, F8.3-1/32、-0.3EV、撮影時刻:11時26分(12/8撮影)

 こちらも非越冬型のようです。この個体の食しているエノキは日陰にあって、まだ緑の葉が多く残っている状態です。葉上で摂食している個体には頭部と背面部突起構造の異なる「越冬型」もいました。こちら(個体識別No.6)です。
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D70, ISO=200, F9-1/500、-0.3EV、撮影時刻:10時42分(12/8撮影)

 お次は樹上で越冬態勢に入った個体その①(個体識別No.2)。
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GX100@8mm, ISO=80, F11-1/320、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時07分(12/9撮影)

 ご覧のように民家のフェンス脇のエノキの幹にへばり付いています。管理人がこれまで観察したアカボシ越冬幼虫はすべて落葉中のものであり、樹上越冬タイプは今回が初体験となります。以下に示す樹上越冬タイプの殆どは地上30cmの高さで幹にへばりついていました。

 同じ樹上越冬タイプの個体その②(個体識別No.13)。
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GX100@15mm(トリミング), ISO=80, F7.9-1/9、-1.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時11分(12/8撮影)

 実はこの個体、寄生されているようです。背中の突起対の間に孵化した寄生卵の卵殻が確認できますでしょうか?越冬後、できたら、この幼虫を回収・飼育し、寄生蜂(蠅)を同定したいと思っています。

 樹上越冬タイプはエノキの樹幹に紛れるのが大変上手です。次の画像をご覧ください。
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D70, ISO=200, F11-1/200、-1.3EV、内蔵ストロボ、調光補正-0.7EV、撮影時刻:9時44分(12/9撮影)

 どこに幼虫(個体識別No.9:体長19mm)がへばり付いているか、わかりますか?背中の突起対はエノキ樹幹に刻まれた木肌そっくりですし、アカボシ幼虫の深緑色の体色は、樹幹から枝別れした細い枝の色と、これまた瓜二つの色合いです。今回は予め葉上にいる幼虫の枝先にマーキングしていたため、樹上越冬個体を容易に発見できましたが、野外でいきなりこの幼虫を探す際は、結構この擬態に泣かされそうです。さて、↑の個体を魚露目でも撮影してみました。
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GX100-gy8, ISO=80, F12.6-1/125、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時43分(12/9撮影)

 ご覧のように道路脇のツツジの植え込みに生えたエノキの樹幹についております。こんな状況での広角接写はレンズ直径の小さい魚露目の独壇場で、デジ一では苦労する世界ですね。

 さて、このポイントでは前回、合計3頭のゴマダラチョウ幼虫も確認できましたが。今回は3頭とも姿を消していました。恐らく落葉中に潜んだものと思われます。少し落葉をめくってみましたが、何せこのポイントは人通りが多いため、真剣に探すのを諦めました。実は、本日(12/9)撮影中に通行人と下記のようなやり取りがあったからです。

通行人:「あの~、失礼ですが、昨日からこのあたりで貴方はいったい何をなさっているのですか?」
小生 :「え~、その~、はい、植物の観察をしておりまして・・・・」
通行人:「あっ、そう。そうですか。植物ねぇ~? それならいいけど・・・・」

 不審そうな面持ちでこの通行人氏は立ち去っていきました。確かに巻尺を持って、道路脇の繁みをガサゴソいじり、挙句の果てに写真撮影をする変質者と思われていたようです(^^;;

 都会に棲みついたアカボシゴマダラの観察。いろいろと気苦労の連続で、前途多難です(笑)
by fanseab | 2007-12-09 23:21 | | Comments(20)
Commented by maeda at 2007-12-10 06:36 x
植物で逃げましたか。
私なら虫の観察と正直に言ってしまいそうです。紛れてなかなか見つからないからと。
本当に幹にとけ込んでしまうのですね。
Commented by kenken at 2007-12-10 07:33 x
住宅地での撮影は大変ですね。巻尺持参とはなんと科学的な・・・
最後のgyorome画像は決まりましたね!幼虫のいる環境が手に取るように分かりました~
Commented by neptis at 2007-12-10 19:40 x
初めて書き込みさせて頂きます.neptisと申します.
アカボシの越冬状況に興味を持っていますが,非越冬型の幼虫(No.15)などは,このまま越冬するのでしょうか.それとも越冬できずに死んでしまうのでしょうか.ご存じでしたら,ぜひ教えてください.
Commented by fanseab at 2007-12-10 22:29 x
maedaさん、正直に芋虫を観察している・・・と説明するやり方もあったのですが、往々にして誤解を招きやすいので、ここでは無難な線として「植物」で逃げました(苦笑)。幹への擬態は秀逸です。
Commented by fanseab at 2007-12-10 22:32 x
kenkenさん、この観察ポイント周辺はムラシ/ムラツの好観察ポイントでもあります。どちらにせよ、撮影行為には気を遣います。魚露目画像はやはり卵~幼生期の撮影に適していると思います。
Commented by fanseab at 2007-12-10 22:38 x
neptisさん、こんばんは。拙ブログへようこそお越しくださいました。ご質問の命題は将に小生が確認しようとしている案件です。既に公表されている報文では、非越冬(非休眠)型幼虫は飼育下の過程で死亡した・・・のレポートがありますが、野外観察で継続的に確認した事例はなさそうです。No.15は既に4令?と思われるサイズなので、特に注目しております。
今後とも、お気軽にコメントしてください。よろしくです。
Commented by cactuss at 2007-12-10 23:42
アカボシの観察、楽しく読ませてもらいました。
樹上の幼虫は本当にエノキの幹の模様と同化しているんですね。
このまま樹上越冬できるか、興味深いですね。
Commented by neptis at 2007-12-11 00:43 x
fanseabさん,お答えありがとうございました.
大変興味深いですね.ぜひ野外での観察を続けてください.楽しみにしております.
Commented by 虫林 at 2007-12-11 12:20 x
アカボシゴマダラの幼虫の擬態は興味深いですね。
最後の住宅バックの写真は、gyoromeの特性を良くあらわしていて素晴らしい!
Commented by kmkurobe at 2007-12-11 19:56 x
ご苦労様です。田舎だと面が割れているのでいつも言い訳ばかりしてます・・・・・
それにしてもエノキの葉がまだ落葉していないのですね。
こちらはすべてが雪の下です・・・・・
Commented by fanseab at 2007-12-11 23:00 x
cactussさん、アカボシはエノキの幼木を巧みに利用して繁殖していると思います。都市近郊の団地脇の公園とかちょっとした緑地さえあれば、この蝶は生き延びていく恐ろしい?生命力があると思います。本当に罪作りな放蝶なのです。樹上越冬はこのまま大丈夫でしょうが、葉上のものはどうなるか?心配ですね。
Commented by fanseab at 2007-12-11 23:02 x
neptisさん、ご丁寧なレス有難うございます。この冬は継続観察していくつもりです。ただ、No.15等は野鳥の餌食になる可能性も秘めており、春まで継続できるか?いささか心配ですが。
Commented by fanseab at 2007-12-11 23:05 x
虫林さん、まいどどうも。ゴマダラチョウグループ越冬幼虫の落葉中での擬態も立派ですが、アカボシの樹上での擬態も素晴らしいものがあります。住宅バックの画像、通りすがりの自転車でも入れようと欲張りましたが、上手くいきませんでした(^^;;
Commented by fanseab at 2007-12-11 23:08 x
kmkurobeさん、そうですね。田舎にお住まいだと、素直な説明で地域の方と交流を深める・・・やり方が相応しいのでしょう。
もう、貴殿の観察されているオオムラサキポイントでは、落葉中の越冬幼虫も雪の下でスヤスヤ眠っているのでしょうね。
Commented by thecla at 2007-12-11 23:23 x
アカボシゴマダラは川崎北部ではすっかり住み着いてしまったようですね。
公園だと「何してるんですか」と問われて蝶の写真ですと気軽に答えられますが、街中だとちょっと・・・・、市街地での観察は中々悩ましいですね。
Commented by chochoensis at 2007-12-12 10:54
fanseabさん、「アカボシ」幼虫の観察・・・素晴らしいですね。それにしても、やはり通行人に聞かれますか・・・私も良く聞かれますが、いつも=虫の写真を撮っています=と言うようにしています。
私の場合は、=年寄り=だから問題ないのかもしれませんね・・・。
Commented by fanseab at 2007-12-12 21:56 x
theclaさん、意外と緑の濃い公園よりも住宅街のような環境の方がこの幼虫を探すのには適しているです。ただ、撮影となると、もちろん公園が好適ですね。街中ではとにかく怪しまれてしまいます(^^;;
Commented by fanseab at 2007-12-12 21:58 x
chochoensisさん、ここは団地の目の前なので、生垣をゴソゴソやっていれば、住民から好奇の目で見られてしまいます。最近は物騒な世の中ですから、仕方ありませんね。小生が逆の立場だったら、質問するかもしれません。
Commented by ダンダラ at 2007-12-14 11:17 x
こちらでの観察はムラサキ兄弟が主になってきましたけど、アカボシの越冬状態が観察目的になるなんて、何か不思議な気がします。
最初の写真の幼虫は越冬できるんでしょうか。ゴマダラでもこんなのを落ち葉の中で観察したことがありますが、ホルモンバランスが崩れた結果のような気がしました。今後の観察が楽しみですね。
Commented by fanseab at 2007-12-16 23:46 x
ダンダラさん、このポイント付近にもムラツ/ムラシがいたのですが、街路樹の定期剪定で姿を消したので、仕方なくアカボシ観察・・・といったところです。最初の幼虫は本日更新記事のように変化しています。やはり越冬無理かもしれません。
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