探蝶逍遥記

南紀探索(11月3日):その(1)

 快晴に恵まれた文化の日、サツマシジミ狙いで紀伊半島南岸を探索してきました。それなりに成果が上がったので、連載での掲載です。

 本題に入る前に先ずはこの画像をご覧下さい。紀伊半島南岸の一風景です。
f0090680_0275393.jpg
GX100@5mm, ISO=80, F9.1-1/153、-0.7EV

 実は管理人、海岸線沿いにこの地域をドライブするのは初体験。「黒潮」の名称通り、本当に黒い海であることが↑の画像で実感できると思います。険しい岩礁が次々と連続し、ワインディングロードのコーナーを曲がる度に息を呑む風景が広がります。蝶撮影目的でなくても素晴らしい場所だと思いました。

 さて、この日は午前3時5分自宅発、ポイント近くに午前7時15分着。予定よりは少し早めの到着でした。快晴無風を信じて出発したのに、東側の雲が厚いため日差しが弱く、おまけに海からの風が強く蝶の出現は遅めでした。それでも午前8時半頃、少し日差しが回復するや否や、ヤクルリ♂が樹冠から日光浴に降りてきたのを合図に活動モードにスイッチが入ったのか、ヤマトシジミ、ウラナミシジミが急に活動開始。そしてややあって、待望のサツマ♀が登場しました。管理人にとって、サツマは初体験でしたが、白がやけに目立つシジミは一目で他のシジミと区別できました。しかし、活動初期にしては、えらく敏感。そこで先ずは、少し引き気味に朝の雰囲気を出すべく逆光での撮影。
f0090680_0281476.jpg
D70, ISO=200, F10-1/500、-0.7EV、内蔵ストロボ、調光補正-0.3EV、撮影時刻:9時27分

 画像からお分かりのようにこの時点でもまだ南~東にかけて雲が切れていません。背景は黒潮流れる太平洋です。その後、日差しが強まると、次第に開翅ポーズを取るようになります。しかし、開くには開くのですが、海風がちょっと強まるとすぐに翅を閉じてしまい、まともな絵が得られません。ようやく風の呼吸が止んだ瞬間を狙って、目的の一枚が撮れました。以下、この♀を重点的に追跡することにしました。
f0090680_0283665.jpg
D70, ISO=320, F7.1-1/1000、-1.3EV、撮影時刻:9時46分

 同じ場面を後方から覗くと、こうなります。
f0090680_0285260.jpg
D70, ISO=320, F7.1-1/2000、-0.7EV、撮影時刻:9時48分

 今回の観察では、↑の画像が最大の開翅角度でした。白系シジミですから、露出はアンダー強めが基本。しかし、撮影角度によっては、すぐに白飛びして画像が没になるやっかいなシジミです。RAW現像調整も他のブルー系シジミ以上に神経を使いました。日光浴で体が温まってくると、他のシジミとは異なり、少し鈍感になるようで、調子に乗って、なんとgyorome画像まで撮影させてくれました。
f0090680_0291680.jpg
GX100-gy8, ISO=80, F12.6-1/200、撮影時刻:10時07分

 一連の♀開翅画像を整理して気がつきましたが、開翅ポーズ時に腹端を持ち上げているのがわかります。これはどんな生態学的意味があるのでしょうか?

 10時過ぎからは、ほぼ青空が広がり、♀も吸蜜に専念するようになりました。秋の空を意識して広角で切り取ってみました。
f0090680_0293997.jpg
D70S-24, ISO=200, F9-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/4、撮影時刻:10時53分

 半逆光下、吸蜜中のベニバナボロギク(※)の花弁とサツマの頭部~ストロー部分が暗く潰れないように軽くストロボを焚いて調子を整えました。吸蜜中、時々半開翅しているシーンも観察されました。吸蜜源はコセンダングサです。<※読者の方、間違っていたら御指摘ください>

f0090680_030396.jpg
D70, ISO=200, F5.6-1/2000、-1.0EV、撮影時刻:11時34分

 ♀の特徴である、前翅前縁部の黒い縁取りが裏面の純白とコントラストをなして印象的です。
 さて、サツマシジミの撮影と言えば、逆光での撮影を忘れてはいけません。特に「逆光縁毛幻光撮影友の会会長?」を自認する管理人としては、今回の遠征で最も力を注いだのが以下のシーン。
f0090680_0302052.jpg
D70, ISO=200, F3.8-1/3200、-1.0EV、撮影時刻:11時45分

 ポッカリと白く抜けた前翅の模様がまるで影絵のようです。さらにお約束の縁毛も妖しくブルーに輝き、縁毛フェチの小生は撮影中、興奮のルツボと化したのでした(爆)

 思った以上に順調に♀の撮影を終了すると、「はてな?そう言えば♂を1頭も撮っとらんな?」と気がつきました。そこで、この後、少しポイントを移動して様子を見ることにしました。(次回に続く)
by fanseab | 2007-11-05 00:34 | | Comments(18)
Commented by maeda at 2007-11-05 06:10 x
サツマの♀は♂に比べると地味かもしれませんが、私は♀の方が好きですね。柔らかい感じがします。
最後の透け♀、すばらしいです。
Commented by chochoensis at 2007-11-05 17:12
fanseabさん、「サツマシジミ」の逆光写真!素晴らしい出来ですね!惚れ惚れするほど神々しい写真でビックリしました・・・素敵な写真ありがとうございます。
Commented by nomusan at 2007-11-05 20:34 x
おお、すごいぞすごいぞ! サツマの開翅、綺麗です。見事な開翅ですね。さらにさらに、最後の逆光画像も素晴らしいです!
>逆光縁毛幻光・・・・これはええもん見せていただきました。
Commented by kmkurobe at 2007-11-05 21:55
うーんこの逆光透け、開始そして最初の風景どれもこれも傑作ですね。
サツマの雰囲気全開ですね・・・・・
これはスゴイ。恐れ入りました。
Commented by 空飛ぶhaha at 2007-11-05 23:14 x
サツマシジミ、きれいですね!やはり午前3時5分自宅発のfanseabさんの気合がサツマにも届いたのでしょうね。興奮のルツボと化したfanseabさん,見てみたいです(笑)
Commented by cactuss at 2007-11-05 23:32
サツマシジミ、こちらでは見ることにできない、あこがれの蝶です。
開翅、逆光での写真、息を呑むくらい美しいですね。
来年はなんとか行けたらなと思っています。
Commented by fanseab at 2007-11-05 23:40 x
maedaさん、サツマの♂♀はいずれ劣らぬ魅力があると思います。どちらがいいかは好みの問題かもしれませんね。透け画像は狙い通りの絵になってくれて満足しています。
Commented by fanseab at 2007-11-05 23:42 x
chochoensisさん、いつも身に余るコメント、有難うございます。今回は順光よりも逆光シーンばかり追いかけてしまいました。それだけサツマの逆光シーンは素敵です。
Commented by fanseab at 2007-11-05 23:44 x
nomusan、確かそちらでは5月頃発生するんでしたか?春先にこのシジミを見てみるのも一興でしょうね。♀開翅は意外にあっけなく観察できました。しかし、撮影の難易度は大変でした。
Commented by fanseab at 2007-11-05 23:46 x
kmkurobeさん、「サツマ」シジミと言うよりは、「ナンキ」シジミの表現がふさわしいかもしれません。それほど、南紀の風景にフィットした素晴らしいシジミだと思いました。
Commented by fanseab at 2007-11-05 23:50 x
空飛ぶhaha様、いつもコメント有難うございます。確か貴ブログで錦帯橋付近でのサツマ吸水画像を拝見した記憶がありますが、今回は吸水シーンには遭遇できませんでした。なにせ遠いもんで、午前中の開翅を拝むには逆算しての3時出発でした。
Commented by fanseab at 2007-11-05 23:52 x
cactussさん、晩秋にこの優美なシジミを観察できるのは、関西勢の特権かもしれません。実物の何とも言えない気品ある姿は絶品でした。写真でその雰囲気を表現するのにハードルが高い蝶でもあります。
Commented by 虫林 at 2007-11-06 18:02 x
昨年、11月の終わりに、紀伊半島の串本の近くを訪れましたが、雨が降ってしまい、ボロのサツマ1頭しか撮影できませんでした。この時期の紀伊半島だと、サツマをはじめ、ヤクルリなど素晴らしいでしょうね、花ではキイシオギクが海岸線の岩場に咲き誇っていると思いますので、その花で、蝶が撮影できたら最高だなと夢想しています。
Commented by kenken at 2007-11-06 21:04 x
おっと、いきなり♀、開いているじゃあ、あ~りませんかっ!
こりゃ、まあ、いとも容易に撮れたもんですねぇ。日頃の行いがよろしいのでしょう。(笑)閉翅の「透け」シーンも押さえておきたいですよね。
サツマって、初めてみると、ホンマに「純白」でしょ、興奮のルツボにはまるのがよく分かりますわぁ。
なにっ!ひょっとして♂の開翅も・・・ きゃあ~連載かっ!って、私がよく使い手だったりして。(笑)
Commented by thecla at 2007-11-06 23:20 x
サツマは、こうしてみると清楚で味があるいい蝶ですね。一回見てみたいもんです。
最後の逆光画像は・・・・、もう一杯ですな。
Commented by fanseab at 2007-11-07 23:10 x
虫林さん、昨年11月は残念でしたね。今回は快晴に恵まれ、楽しむことができました。キイシオギクとのツーショットは小生も狙いましたが、圧倒的に多かったのが外来種のベニバナボロギクでした。是非、再訪されることをお勧めします。
Commented by fanseab at 2007-11-07 23:13 x
kenkenさん、サツマ開翅は難物と聞き及んでいただけに、あっけなく開いたのには意外でした。
>日頃の行いがよろしいのでしょう・・
行いはちょっと不明?ですが、まあビギナーズラックだったのかもしれません。ご指摘の通り、ここまで白く見えるとは思いませんでした。
Commented by fanseab at 2007-11-07 23:15 x
theclaさん、サツマは清楚な中にも艶やかさがある、魅力あるシジミであることを痛感しました。本当に秋の日ざしによく似合う蝶です。是非この時期、関西に出張業務を作ってください(^^)
名前
URL
画像認証
削除用パスワード