探蝶逍遥記

キリシマリベンジ:三度目の正直か?(8月9日)

 今年最初の夏休みを平日に取り、懲りずに鈴鹿山脈に篭りました。今シーズンは、これが三回目の遠征。午前3時自宅発、マイポイントに5時50分着。前日激しい夕立があったのでしょう、梢はタップリ水を吸っています。そこで、長竿を封印して、ひたすらルッキングで♀を探索。今回は双眼鏡も動員してじっくり探しましたが坊主(^^;; 埒が明かないので、長竿でペシペシやると、少数の♀が飛び立って、梢の上に・・・・。毎度お馴染みのパターンに泣けてきます。ガスも山並を覆い始めたため、結局、このポイントは8時過ぎに撤収。先日♂をじっくり撮影したポイントには、影も形もありませんでした。

 せっかくの休暇がこれでは台無しなので、先々週に下見した新規ポイントに転戦しました。3箇所のポイント(ポイントA,B,Cと仮に呼びましょう)を順番に巡ります。ポイントA,Bは♂の姿もありません。しかたなく、Cポイントに向かう途中、東向きの谷あいに銀白色のフラッシングを発見!!早速下車すると、2頭の♂が追尾飛翔(チェーシング)の真最中。チェーシングする2頭同士が交錯して、全4頭で追飛する、「4頭立て」の豪華シーンも拝むことができました。昨年は腐るほど?観察できた「4頭立て」も今年はこのポイントでようやく出会えた感じです。

 しかし、いかんせん、彼らの運動会場となっているアカガシまで水平距離で30m、垂直距離15m程度離れているため、仕方なく飛翔1本に集中しました。今回は新たな試みとして、400mmズームに外部ストロボを装着し、連射可能な状態で露光不足を補う作戦に出ました。合計で480ショットほど打って、何とかお見せできるものが3ショットありましたので、アップしましょう。
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F5.6-1/1000、+1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時52分
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D70S-VR84@200mm, ISO=640, F5.3-1/1000、+2.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時12分
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D70S-VR84@240mm, ISO=640, F5.3-1/1000、+3.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時28分

 ♂の飛翔シーンは本年の重点課題のひとつでした。まだまだ理想像にはほど遠いですけど、昨年の酷い画像からは少し進歩したように思えます。

 さて、飛翔オンリーにも少し飽きてきたので、最後にCポイントに向かいました。ここは比較的接近戦で♂開翅を撮影できる可能性があります。淡い期待も虚しく、♂は坊主。仕方なく、アカガシの下枝を軽く叩くとチラチラとゼフが飛び出しました。特徴のある裏面模様が見え隠れして、間違いなくキリシマの♀!運良く至近距離の下枝に留まってくれました。高まる心臓の鼓動を押さえながら、大急ぎで400mmズームをセット。慎重にピントを合わせると、何と開翅してくれました!「やったー!」
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D70S-VR84@370mm, ISO=640, F8-1/200、-1.0EV、撮影時刻:11時48分

 ボロの♀開翅は昨年9月に撮影済みですが、新鮮な♀開翅はもちろん初体験。キリシマに関しての本年最大目標がクリアできて、最高に嬉しい場面でした。この♀、変化する日差しの強弱に応じて、一旦翅を閉じた後、別の角度でまた惜しげもなくご開帳してくれました(^^)
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D70S-VR84@370mm, ISO=640, F8-1/200、-1.0EV、撮影時刻:11時48分
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D70S-VR84@370mm, ISO=500, F5.6-1/640、-1.7EV、撮影時刻:11時51分

 開翅が終わった後、♀はアカガシの周りを緩やかに飛行。葉上に止まると、静かに茎に歩いて行きます。間違いなく、産卵行動です!キリシマの産卵はお盆過ぎ~9月と聞いていたので慌てました。♀は枝を歩きながら、触覚を下げて休眠芽の状態を丁寧に確認するような仕草をしています。
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F7.1-1/500、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時00分
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F7.1-1/500、+0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時05分

 好みの休眠芽を見つけると休眠芽を脚で抱えるようにして産卵です。
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F7.1-1/500、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時59分55秒
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F7.1-1/500、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時00分07秒

 ただし、一連の画像から産卵された卵を確認できませんでした。産卵木のアカガシは樹高2m程の低木。しかし、崖地に生えているため、産卵後の休眠芽を手に取って卵を確認することもできません。それと、最後から4枚目の♀画像中央上に写っている休眠芽が発育不良であることが気にかかります。ひょっとすると、♀は産卵していなかった可能性もあります。この場合、下記の可能性が考えられます。
①交尾済みの♀が擬似産卵行動をしていた。
②実際の産卵行動だったが、休眠芽の発育不良のため、産卵を回避した。
 小生は何となく今回撮影した個体は②ではなかったのか?と推察しています。とにかく、昨年からの懸案テーマであったキリシマ♀産卵シーンが撮影でき、休暇取得が報われた感じです。9月下旬まで、まだまだ産卵シーン撮影のチャンスはあるので、次回は腹端と卵が同時に写った証拠画像を是非撮りたいと思っています。
by fanseab | 2007-08-10 21:44 | | Comments(24)
Commented by banyan10 at 2007-08-10 22:44
キリシマ♀の開翅、産卵と素晴らしいですね。おめでとうございます。
関東では撮影自体が難しい蝶なので、各種の生態を狙えるポイントは本当に羨ましいです。
Commented by Celastrina at 2007-08-10 23:14 x
生態写真とはかくあるべきと思わせるような産卵写真ですね。
貴重な瞬間をいかにして見出し、いかにして撮影するか。こころに残る画像の数々に感動しました。
Commented by cactuss at 2007-08-10 23:18
悪条件の中、見事に開翅、産卵を撮影されましたね。
fanseabさんの熱意にキリシマ嬢が答えてくれたのではないでしょうか。
Commented by ダンダラ at 2007-08-11 15:08 x
オオ、これは素晴らしい写真ですね。
私、キリシマの雌の裏面にあこがれているので、それが撮影出来ているだけでも垂涎ものですけど、翅表もまたきれいですね。
ゼフの産卵シーンは何に限らず撮影困難ですが、それがキリシマとなるとこれはまた別格ですね。おめでとうございます。
Commented by chochoensis at 2007-08-11 20:57
fanseabさん、すばらしい写真に驚きました。飛翔もさることながら雌の開翅、産卵と素敵な写真に羨ましさを通り越して感激しました。素敵な写真ありがとう。
Commented by fanseab at 2007-08-12 00:03 x
BANYANさん、いつもコメント有難うございます。今年は個体数が昨年より少なめなので、♀の産卵シーンは無理かなと諦めていましたが、ようやく念願のシーンをものにすることができました。
Commented by fanseab at 2007-08-12 00:07 x
Celastrinaさん、過分なお言葉有難うございます。この日、これが最後にしようと諦めて帰ろうとした時、長竿の一叩きで飛び出した♀でした。貴重な瞬間に居合わせたことに感謝しています。生態写真の醍醐味をまた鈴鹿で味わうことができました。
Commented by fanseab at 2007-08-12 00:09 x
cactussさん、見つけた♀が開翅したこと、そしてさらに産卵まで至るとは全く想定外の出来事で、心臓パクパク状態でした。この瞬間があるから写真撮影は止められませんね!
Commented by fanseab at 2007-08-12 00:12 x
ダンダラさん、仰る通り、キリシマ♀の裏面は蝶屋を魅了して止まないキャラクターですね。裏面と表翅の色合いのコントラストも魅力です。閉翅→開翅の瞬間は本当に胸躍るものがありました。産卵シーンに居合わせたことはこれまたラッキーでした。
Commented by fanseab at 2007-08-12 00:15 x
chochoensisさん、飛翔シーンはいい画像が撮れなくても、ただ単に高速飛翔する♂を見ているだけで、胸がトキメキますよ!今回出会った♀、羽化してから台風に二度遭遇しているとは思えないほど、新鮮でビックリでした。
Commented by nomusan at 2007-08-12 14:12 x
キリシマの産卵画像、素晴らしいです! これぞ生態画像って感じですね。これはエエもん見せていただきました。
 キリシマ♂の飛翔は、本当に見てるだけでわくわくしてきますよね。
Commented by ainomidori443zeph at 2007-08-12 21:06
♀がサービスしてくれたようで、おめでとうございます。産卵シーンに出くわすのは難しい事だと思います。やはり最低3度は通わないといけないってことですね。
Commented by kenken at 2007-08-12 21:15 x
fanseabさんの連チャン出撃には恐れいりますわぁ~ ♀の開翅、今シーズンは美しい個体で、しかもほどほどの明るさでの開翅で、翅表のブルーがありのままに表現できていて息を呑む美しさです。
ところで、後半は擬似産卵行動かもしれませんね。以前にアカシジミがアラカシに同様な行動をするのをじっと観察しましたが、腹部をこすりつけただけで産卵はしませんでした。
Commented by thecla at 2007-08-12 23:02 x
キリシマ♀の開翅は、露出補正がばっちりでいい色合いが表現されていて垂涎ものです。
産卵行動も含めて、休暇の甲斐がありましたね、素晴らしい。
私は、暑さにめげて、キリシマは不戦敗継続中です。
Commented by 虫林 at 2007-08-14 17:20 x
素晴らしいメスの開翅と産卵シーンは宝物ですね。
苦労はいつか報われるものです。メスの開翅の大きな青い紋がくっきりとしていてまぶしいですな~。
オメデトウございます。
Commented by fanseab at 2007-08-14 20:40 x
nomusan、ようやく♀と出会えたと思ったら産卵?シーンまでサービスしてくれました。産卵するアカガシは低木が選ばれるので、産卵時は♀撮影に好適なのですが、鮮度との兼ね合いが難しいですね。♂の飛翔は観覧料を支払っても(笑)、見たい眺めですね。
Commented by fanseab at 2007-08-14 20:42 x
愛野緑さん、時々フィールドでサービス満点の個体に出会うことがありますが、今回は偶々キリシマだった・・・という感じです。最低三度・・・というか、撮影ポイントを多く見つけることでチャンスが増す・・・って感じですね。
Commented by fanseab at 2007-08-14 20:46 x
kenkenさん、まいどどうも。♀表翅ブルーの輝きは想像以上で、LCDモニターで確認して慌てて強アンダーに設定し直しました。
<擬似産卵行動かもしれませんね・・・
そうですね。その可能性も強いかな?と。もう一回は産卵シーンにチャレンジしてみますわ!
Commented by fanseab at 2007-08-14 20:49 x
theclaさん、♂の開翅での露出設定の感覚は既に昨年経験済みでしたが、♀のブルーは想像以上に輝いて、てこずりました。えらく慌てていたため、400mmで撮るべきところ、370mmのままで撮影してしまいました(^^;; 今回は休暇取得が空振りにならず、本当にホッとしましたよ。
Commented by fanseab at 2007-08-14 20:52 x
虫林さん、有難うございます。新鮮な♀撮影はこの日が恐らく今シーズン最後のチャンスかな?と思ってでかけました。その期待に応えてくれた♀個体に感謝しています。ファインダー越に見る巾広いブルーの紋は本当に美しかったです。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2007-08-14 22:40
やはりフィールドへは何度も足を運ばないと駄目ですね。執念の傑作写真おめでとうございます。♀の開翅、かなり美しいです。
Commented by maeda at 2007-08-14 22:57 x
粘り勝ちですね。
開翅から産卵シーンまで、すばらしいの一言です。
何と言って良いのか‥。
Commented by fanseab at 2007-08-14 23:48 x
ノゾピーさん、有難うございます。信州遠征の誘惑?に打ち勝って、鈴鹿で粘ってみました。おかげさまで、なんとか♀をある程度の距離で写しこめました。マイポイントの数が増えた分だけ、時間差攻撃で♀の尻尾を掴んだって感じですね。
Commented by fanseab at 2007-08-14 23:50 x
maedaさん、コメント有難うございます。今年は個体数が少ない分だけ粘るしかなかったのですが、何とかサービス精神満点の個体に恵まれたようです。キリシマは何べん撮っても魅力は失せませんね。
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