探蝶逍遥記

南ベトナム遠征記 (5)魅力的なタテハチョウ類

 俊敏、かつ豪快に飛ぶタテハは小生一番のお気に入り。国内だろうと海外だろうと拘って撮影するのは常にタテハ類です。今回はこれまで小生未撮影の低地産種群を中心にご紹介しましょう。

 前回アップした、シロチョウの群飛する林道はタテハ類にとっても好ポイントでした。ゲストハウス周辺の林道は舗装されていますが、2kmも離れると、未舗装になります。そして、未舗装の林道に入ると、突然蝶影が濃くなるのです。この変化は劇的でした。ポイント付近の画像です。
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 木陰が微妙に入り込んだポイントを慎重に選定し、林道中央にパイナップル、海老、さらに2種類の秘薬(中身は内緒?)を撒いて様子を伺いました。すると、どうでしょう。それまでシロチョウしか飛んでいなかった林道にタテハやシジミが忽然と出現しました。蝶の嗅覚には本当に驚かされます。更にGraphium達も乱入して、時ならぬ花吹雪状態!クーッ、これは至福の一時です!! チビフタオチョウ(Polyura athamas)とタイワンシロチョウが絡んだ飛翔シーン。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500, F8-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/4

 しかし、「花吹雪」の表現は至難ですね(^^;; バシャバシャ、シャッターを切っていると、突然、ヒオドシチョウを連想させる緋色の大型タテハが登場。初体験のソトグロカギバタテハ(Rhinopalpa polynice)。ド完品にニンマリ(^^)
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D70, ISO=500, F9-1/1000

 やはり初物には興奮します。1属1種の孤立したタテハチョウで、独特な翅型でしょ?このタテハ、緋色に引っ張られて露出アンダーになりやすく、露出補正には苦労されられました。

 イチモンジチョウ似の中型タテハもやってきました。当初、チャイロイチモンジ(Moduza procris)の親類と思いきや、イナズマチョウの仲間、レクタリクイナズマ(Bassarona recta)の♂。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F5.6-1/2500、-0.3EV 

 イナズマは本来、暗めの環境が好きなはずなのに、思いがけず明るいポイントに出現してビックリでした。本種の識別ポイントとなる肛角部の小赤点がお洒落です。力強く豪快に飛ぶ飛翔に見とれてしまいます。

 小生愛用の1脚に付属のベルトに御執心だったのが、橙色系コミスジの仲間、ミアミスジ(Neptis miah)。
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D70, ISO=500, F9-1/80、+0.3EV

 市場を駆けずり回り、苦労して準備したトラップを尻目に人間の汗が最良のトラップとなったようです(蝶屋の汗は格別の味なのかな?)。低く飛ぶミスジチョウに合わせて、カメラ目線を下げて飛翔も撮影。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500, F9-1/1000、外部ストロボ、調光補正1/4

 左後方にチャーターした4WD車も写し込まれ、今回遠征で撮影した飛翔写真の中で小生最もお気に入りの作品となりました(^^)

 一方、明るい林道での撮影を切り上げて、暗いジャングル内のトレイルに入るとイナズマチョウの仲間が歓迎してくれます。しかし超敏感な彼らはめったなことでは撮影させてくれません。こんな時、役立つのが400mmズームレンズ。暗めの環境下で役に立つ手ブレ補正機能は有難い! また、北タイで出会った彼らとの間合いの取り方の経験が活きました。個体数の1番多かった、コキトゥスコイナズマ(Chynitia cocytus)の♀。地味な色調ですので、前翅端の白斑がジャングルでやけに目立ちます。
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F6.3-1/200、+1.3EV、内蔵ストロボ

 お次はアオヘリイナズマ(Tanaesia julii)の♂。こいつは後翅表面外縁部のスカイブルーが和名の由来。暗い林道で妖しく光る、本種のスカイブルー。しかし、撮影できたのは正面から覗く地味な裏面だけでした(^^;; 
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F8-1/500、内蔵ストロボ

 暗い林内では多様なヒカゲチョウ(Lethe属)類にも期待をかけていたのですが、残念ながら1頭にも出会えず。かなり落胆しました。そんな状況で唯一撮影できたのが、これも遠征前から期待していたノティスウスバヒカゲ(Coelies nothis)。本種はイナズマ同様に大変敏感で、ようやくパイナップルトラップに誘引された個体の撮影に成功。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F6.3-1/500、+0.3EV、内蔵ストロボ
 
 スレ個体のお陰で、後翅表面の紫がかったブルーが透けて見えたのは怪我の功名と言うべきでしょうか?とにかく、目論んだ蝶が撮れるとボロでも大満足です(^^) 

 さて、ゲストハウス周辺の草地で最も目立ったのがルリボシタテハモドキ(Junonia hierta)。タテハモドキ類は熱帯アジアのオープンランドでの普通種とされていますが、面白いことに各遠征先で観察できる種は限定されています。この公園内ではルリボシ以外は比較的珍品でした。ここでは♀をご紹介しましょう。
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GX100@5.1mm, ISO=100, F7.2-1/125

 背景はゲストハウス内で2棟しかない高床式の部屋。雨季には快適な宿舎となるでしょう。このタテハ、黄色でかつ、地表スレスレをせわしなく飛ぶのでモンキチョウのように見えました。

 まだまだご紹介すべきタテハ類はいるのですが、今宵はこれまでにいたしとうございます(古ネタで失礼!) 次回は可憐なシジミ?それとも敏捷なセセリ? とにかくご期待ください。
by fanseab | 2007-05-30 22:58 | | Comments(16)
Commented by banyan10 at 2007-05-30 23:38
ソトグロカギバタテハは色も鮮やかですが、翅の形状が見事ですね。
ミアミスジの飛翔は本当に見事です。
コミスジでもこんな飛翔が撮りたいものです。(^^;
Commented by cactuss at 2007-05-31 00:14
ベトナムには色々な蝶がいて、楽しいでしょうね。
なんともすばらしい写真のオンパレードです。うらやましい。
こんな場所に初めて行ったら、目移りして、困るでしょうね。
Commented by Celastrina at 2007-05-31 00:30 x
タイワンシロとP.athamasの絡み、お見事としか言い様がありません。P.athamaは確かに淡色系のフタオですが、それにしてもタイワンシロと絡むとは・・・その決定的瞬間をカメラにおさめてしまったことに驚きさえおぼえます。
Commented by chochoensis at 2007-05-31 08:19
ソトグロカギバタテハの色彩に目が点です・・・綺麗ですね・・・。高床式のゲストハウスとルリボシタテハモドキとのショットが面白いです。
Commented by maeda at 2007-05-31 21:14 x
チビフタオの絡んだ絵は誰もがすごいと感じると思います。
私はそれ以外に最後の果実で吸蜜中の絵がとっても印象に残ります。
機会があれがご一緒したいです。
Commented by nomusan at 2007-05-31 22:00 x
いや、これは興奮してしまいますね。わくわくどきどき、幾つになっても「初物」を得たときのときめきはエエもんですよね!
チビフタオとタイワンシロの絡み飛翔画像はもちろんのこと、私的には最後のルリボシタテハモドキが印象に残りますね~(笑)。
Commented by kenken at 2007-05-31 22:52 x
おぉ、今度はタテハですかっ!
コキトゥスコイナズマっていうんですね、この蝶。この微妙な色あいが私には印象的ですね。結構暗そうなところに静止しているのかな。久々に貴殿の400mmVRの威力を感じる写真でもあります。
最後の1枚、タテハモドキもいろんな仲間がおりますなぁ~写真を見ているだけで幸せな気分になれますね。
Commented by fanseab at 2007-06-01 00:04 x
BANYANさん、ソトグロカギバ、日本にはこれだけ入り組んだ外形をもつタテハはいませんね。同定に迷わない蝶でもあります。ミアミスジ飛翔は運良く、正面から撮れたので迫力がでました。
Commented by fanseab at 2007-06-01 00:09 x
cactussさん、この国立公園内で確認されている蝶の種類は約450種類とされています。確かに豊饒な自然が残されている場所だと思いました。小生も既撮影種が比較的多かったので、多少は余裕がありましたが、初遠征だったらオロオロしたと思いますよ(笑)。
Commented by fanseab at 2007-06-01 00:12 x
Celastrinaさん、お褒め頂き有難うございます。このシーン、川の流れのように連綿と続くシロチョウの群飛にathamasが迷いこんでしまったのが実情です。ご指摘のようにathamasは飛翔中、相当に白いですから、シロチョウが追飛するのも無理からぬことと思います。
Commented by fanseab at 2007-06-01 00:14 x
chochoensisさん、いつもコメント有難うございます。ソトグロカギバ、ベタな緋色のデザインはかなりオリジナリティがあると思います。ルリボシ・・は新鮮な個体を探すのに結構苦労しました。
Commented by fanseab at 2007-06-01 00:18 x
maedaさん、チビフタオのシーンはカメラを低く構えた狙いが成功した絵です。ゼフ卍飛行状態に近かったので、連射での歩留まりが上がりました。最後の画像はGX100の24mm広角描写が決まって小生もお気に入りです。そうですね、機会を作ってオオイチあたりの撮影でご一緒したいものです。
Commented by fanseab at 2007-06-01 00:21 x
nomusan、ソトグロカギバですが、アップした写真の裏に大量の没画像が眠っています。初物の興奮でほとんどがピンボケなんです(^^;;
最後のルリボシ画像の人気が高いようですね。貴殿おはこの真正タテハモドキ、小生まだ出会っていません。
Commented by fanseab at 2007-06-01 00:26 x
kenkenさん、タテハの仲間、どれをブログにアップするのか?迷うほどの成果が上がりました。cocytusはノンストロボだともっと地味な感じで、前翅端の白斑が鮮やかです。90mmマクロの射程には絶対入れない蝶なんですよ!最後のルリボシ、和名由来の後翅に隠された瑠璃星模様は飛翔でも写さない限り、表現できません。
Commented by thecla at 2007-06-03 23:39 x
色とりどりのタテハ類うっとりします。
2枚目のチビフタオとタイワンシロチョウのからんだシーン、背景の青空と合わせてまさに「南国やなあ~」。
Commented by fanseab at 2007-06-05 00:11 x
theclaさん、この公園内で撮影できたタテハ類は仮集計で40種にも及びます。まさに「色とりどり」でした。チビフタオのシーン、将に南国ですが、熱中症にかからぬよう細心の注意も必要でした(^^;;
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