探蝶逍遥記

ミヤマチャバネセセリ幼虫の人相?

 今日はセセリチョウの幼虫の顔について、語ろうと思います。
セセリ類の同定は、母蝶でも大変難しいものが多いですが、幼虫もこれまた似た形態で判別が付き難く、素人には難解です。H社刊行の名著:「原色日本蝶類生態図鑑Ⅳ」には、もちろん幼虫の鮮明な写真が掲載されていて参考になります。残念ながら、各令数毎の図版はなく、野外で撮影した幼虫の同定は簡単ではありません。ただ、セセリ幼虫の頭部は唯一、同定のヒントになる特徴ある斑紋が出現するため、このパターンを頼りにすれば、結構同定がはかどるはずです。そこで、このセセリ頭部斑紋に重点を置いた「セセリチョウ幼虫頭部検索図鑑」を個人的に作っちゃえ!と思って、昨年から幼虫の全景・頭部の画像を積極的に収集しております。

 今回は分かりやすい事例として、ミヤマチャバネ終齢幼虫頭部のバリエーションをご紹介しましょう。↓は昨年10/15~11/5にかけて神奈川県・川崎市の多摩川縁で撮影した異なる4頭の終齢幼虫頭部を比較したものです。
f0090680_2322753.jpg

 本種終齢幼虫頭部の特徴はほぼ全面が黒色、そこにM字型の淡黄色の斑紋(黄矢印部分)が出現することです。さらにM字班の下側にも逆V字型淡黄色班が出現します。全体的に黒地の顔に黄色い眉毛をつけたようなユーモラスな人相?です。管理人はこの人相をやなせたかし氏の秀作アニメ、「アン○ンマン」に登場する悪役キャラ、「バイ○ンマン」に見立てています。で、フィールドでこの幼虫を見つけると。「おっ、ここにもバイ○ンマンがおったね!」と、親しく語りかけるのです(^^)
 眉毛に見立てたM字班の太さは個体間でかなり変化し、画像①→④の順に太くなっています。特に④は顔全体に淡黄色班が拡大し、一見、イチモンジセセリ幼虫のような顔つきです。最初フィールドで④の個体に出会った時、管理人も「イチモンジにしては変だな?」とちょっぴり疑問に思って、帰宅してから仔細に調べ、「ミヤマ幼虫の個体変異範囲内・・」の結論を出しました。ただ、100%の自信はありませんので、読者の皆さん誤りあればご指摘を願います。

 今シーズンは、手始めにオオチャバネ、チャバネ、コチャバネ、イチモンジ、ホソバあたりの画像を収集したいと思っております。「セセリチョウ幼虫頭部検索図鑑」完成への道は険しそうですが、頑張ってみたいと思います。
 実は、秋口にミヤマチャバネ幼虫の探索をした目的は越冬蛹の探索も兼ねていたのです。日本産「チャバネセセリ」の和名を冠するセセリ類で、このミヤマチャバネは唯一、蛹で越冬する変わりものです。終齢幼虫が一旦、巣を離れ、根際に降りて蛹化するとされているのですが、この蛹の発見には至りませんでした。この越冬蛹探索もこの秋のテーマです。

 最後に成虫の画像を貼っておきます。開けたススキの原でテリを張るこのセセリ、もう3ヶ月弱で、多摩川縁に登場するはずです。
f0090680_2325393.jpg
D70S-10.5-X1.4TC、ISO=500、F9-1/500、+0.3EV、撮影日:2006年5月1日
by fanseab | 2007-02-07 23:07 | | Comments(12)
Commented by chochoensis at 2007-02-08 08:58
fanseabさん、セセリチョウ幼虫の解説図鑑、楽しく拝見しました。未だに確実な識別が難しく、苦労しておりましたので、有難く拝見しました。これからの新規登録されるセセリチョウ科の種類にも興味を持って拝見したいと思います、ありがとうございました。*尚、手持ちの画像を調べましたら④もありました・・・。=2004-10-13 北本市=です。
Commented by maeda at 2007-02-08 21:13 x
個体変異の許容範囲内でしょうかね。
顔ではないですがハヤシミドリの色調がいろいろあるように、大きな顔のセセリでは文様に変化があるのかもしれません。
個体変異まで考えて眺めたことがありませんでした。
今度は注意してみます。
Commented by kenken at 2007-02-08 23:41 x
ほ~、これはユニークなところに目をつけられましたねぇ~
私なんぞ、思いつきもしません。
確かに、バイ○ンマン!nomusanさんのところで見るプロレスのマスクマンもマスクも変異しますが、幼虫頭部の変異もこんなに様々とは驚きました。
Commented by banyan10 at 2007-02-09 16:11
幼虫の頭でもこれだけ違うのですね。
検索図鑑、期待しています。
なかなか同定も難しいですが、僕の場合はまず幼虫を見つけるのが最初の難関です。(^^;
Commented by fanseab at 2007-02-09 22:09 x
chochoensisさん、この手の幼虫同定はきちんと飼育をして答えを出さねばならず、難しいですね。特にミヤマチャバネは化数が限定されるので辛いところです。④の特徴を持つ幼虫もいるのですね?
Commented by fanseab at 2007-02-09 22:12 x
maedaさん、図鑑と照合する過程で個体変異が結構あるなあ~と気がつきました。変異の幅を抑えておかないと、悩みますね。その意味で、頭部模様が類似したイチモンジやオオチャバネの黒化程度も気になるところです。
Commented by fanseab at 2007-02-09 22:15 x
kenkenさん、幼虫の顔を何かにこじつけないと、記憶できないんで、一工夫しています。プロレスファンの貴殿やnomusanなら、さしずめ、M.マスカラスとか、マスク系レスラーのキャラに喩えて覚える方法もありそうですね(^^)/
Commented by fanseab at 2007-02-09 22:18 x
BANYANさん、まいど。セセリに限らず、幼虫の顔はバラエティに富んでいて、眺めるのが大好きです。ただ、タテハ等に比べて、セセリは単調なので、覚えるのに苦労しますね。検索図鑑、またシーズンオフネタで公開しましょう。
Commented by furu at 2007-02-10 18:38 x
この幼虫頭部のバリエーションはキャラが強くて面白いですね。1、2はバイ○ンマンですが、4は完全にガチャ○ンになってます。(^^;)
Commented by fanseab at 2007-02-10 21:46 x
furuさん、人それぞれの馴染みのキャラに置き換えるのも面白いですね。皆さんに受けそうな幼虫頭部ネタをまた考えますので、お楽しみに!
Commented by Celastrina at 2007-02-12 20:56 x
既存の文献に頼らず図鑑は自分で作る・・・・・すばらしいです。白水先生が原章さんとの共著で1960年代に出版なさった幼虫図鑑はいまだに凌ぐものがない名著ですが、さすがに古くなりました。
種ごと、齢数ごとにセセリ幼虫頭殻の変異を調べるなんて本当にすごい。がんばって下さい。
Commented by fanseab at 2007-02-12 21:22 x
Celestrinaさん、激励コメント有難うございます。コンプリート図鑑ではなく、比較的身近にいて、かつ同定が紛らわしい種について、判別の助けにしようと思っています。手○木さんの幼虫図鑑も素晴らしいのですが、セセリ編がありません。webの時代になっても、どうしてもセセリは興味を持たれないので仕方ないのかもしれませんが。
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