探蝶逍遥記

蛹2題

 今日は兵庫県南部の自宅近くで観察した蛹について書きます。最初はツマグロヒョウモン。塀の上で暮らす幼虫については9/23付け拙ブログで紹介しております。この時点で確認した全8頭のその後の履歴をまとめると以下のようです。
①正常羽化:     3頭
②羽化不全:     1頭
③未羽化 :      2頭
④食害  :      2頭(寄生はなし)
 正常羽化率は38%。タテハ類の一般的な正常羽化率として妥当な数字なのでしょうか?ところで、②の羽化不全個体を↓に示します。
f0090680_22505289.jpg
D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500, F11-1/20、+0.3EV、内蔵ストロボ(調光補正-0.3EV)

 哀れなことに殻から翅を出そうとした所で、息が切れたようです。同じ羽化不全でも羽化後に翅の1部が伸びきらないならともかく、蛹殻から完全に翅を出す前に事切れた個体の無念さは想像に難くありません。撮影したのは羽化行動からほぼ1ヵ月が経過した時点(10/22)ですが、蛹殻からわずかに覗いている濃いヒョウモン色の翅が哀れです。ちょっとした欠陥があると羽化できない・・・、羽化は蝶達にとって変態の最後を飾る最大のイベントですが、本当にデリケートなものです。
 このポイント、現在、蛹が2頭ぶら下がっています。それぞれ11/15および11/30に蛹化したものですが、関西地方にも寒波が訪れ、最低気温が5℃まで冷えこんできたため、この2頭、羽化は厳しいと思われます。因みに現在、このポイントで3令幼虫が4頭、越冬体勢に入っています。

 お次はナガサキアゲハ クロアゲハ?。
↑読者の方より、クロアゲハではないか?とのご指摘を受けました。小生も終齢幼虫時より観察しておらず、自信がないので、「クロアゲハ?」に修正させて頂きます(12/20)。
f0090680_22514460.jpg
D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500, F18-1/80、内蔵ストロボ、撮影日:10月22日
 
 ご覧のように街中の人家の軒先で蛹化したもの(10/4蛹化)。このポイントは交通量が兵庫県でも有数の国道に面していて、常に排気ガスに晒されている地点。画像中央に食樹のカラタチ?が見えています。果たして寄生されず、来年春に羽化するでしょうか?蛹の頭部に二股に分かれた突起が目立ちます。丁度、クワガタムシの刃を連想させる特徴ある突起です。この2連突起の外側がほぼ並行しているのが、「ナガサキアゲハ」、突起先端に向かって末拡がりになるのが「クロアゲハ」と区別できるようです。
 それにしても、蝶の蛹と言われなければ、イースター島のモワイ像のような異様なオブジェのようにも見えますね。

 ツマグロヒョウモン、クロアゲハ?共に街中のエッと思うような場所で蛹化していました。ツマグロヒョウモンは温暖化で北上(東進)していることは有名ですが、都会のど真ん中でもどこでも、場所を選ばず繁殖できる逞しさが分布を拡げる原動力になっているのでしょう。
by fanseab | 2006-12-17 22:55 | | Comments(12)
Commented by chochoensis at 2006-12-18 07:46
fanseabさん、ツマグロヒョウモンの羽化不全、残念さが伝わってきます、今年我が家の庭で育ったアゲハチョウがフェンスで同じように半分身を乗り出して死んでいるのを見かけましたが、その個体は多分、羽が引っかかってしまったようでした・・・ご自宅近くでナガサキアゲハの蛹化が観察できるなんて羨ましいです。未だ見た事がないんです・・・。
Commented by ダンダラ at 2006-12-18 13:02 x
身近な蝶の貴重なワンシーンですね。
羽化不全の個体をUPで見たいような気もしますが、蛹のついていた環境が良くわかりますね。急な低温にでもあったのでしょうか。
ナガサキアゲハ、こちらではアゲハが時々同じような状況で蛹になってますが、けっこう移動するみたいですね。後ろが国道なのでしょうか。
Commented by kenken at 2006-12-18 17:17 x
ツマグロの羽化不全は、乾燥+寒さのせいでしょう。飼育下でも、乾燥していると、たまに頭だけ出して羽化失敗する個体がいたりします。
ナガサキとクロの蛹の違い勉強になりました。図鑑で復習しておこうと思います。アゲハチョウ科は飼育経験が浅いので知りませんでした。
このナガサキ、意外と有尾型が出たりして・・・
Commented by banyan10 at 2006-12-18 20:45
家の近くのツマグロ幼虫は10日くらい姿が見えなくなったので、どこか移動して蛹になっていない限りは駄目でしょうね。
いずれにしても、寒さや寄生など難関を突破しないと駄目なわけですね。
ナガサキは人家の軒先というのが良く分かりますね。こちらは無事に羽化して欲しいものです。
Commented by fanseab at 2006-12-18 22:26 x
chochoensisさん、まいどどうも。外見では正常に見えても微妙な条件で羽化に至らない・・・、この個体を見てつくづく変態はデリケートなもんだと思いました。ナガサキもツマグロも自宅近くを飛んでいるのを見るのは稀ですが、母蝶はちゃんと食草を見つけてしまうんですね。
Commented by fanseab at 2006-12-18 22:31 x
ダンダラさん、貴ブログにも小生観察ポイントとそっくりな壁での蛹化が紹介されていますね。蛹にもう少し寄って撮りたかったのですが、魚眼レンズの前玉が壁に接触しそうになるんで諦めました(^^;;
国道は左後ろです。通行人を入れると雰囲気が出る光景ですが、変質者と間違われても困るので、敢えて通行人の少ない時間帯で撮影しております。市街地での撮影は苦労します(汗)
Commented by fanseab at 2006-12-18 22:35 x
kenkenさん、そうですか、乾燥がキーファクターですか?なるほど。。。ナガサキとクロの識別は100%は自信ないですが、ある図鑑を参考にしての同定です。類似した幼虫&蛹の識別点をきちんと写真で図解した図鑑がそろそろ欲しいですね。○研さんあたりで企画ないですかね?
Commented by fanseab at 2006-12-18 22:39 x
BANYANさん、ツマグロ幼虫はスミレの葉が枯れても、枯葉の下の地面に隠れていることが多く、冬季間は絶食状態でも結構生きていられるみたいです。もう一度、スミレの下を確認されると案外発見できるかもしれませんよ。ナガサキ蛹、なんとか羽化の瞬間を小生も見たいです。
Commented by 愛野緑 at 2006-12-20 17:44 x
こういうシーンを見つけると羽化に出くわしたのかと、ドキッとしますね。ラッキーと思いながら待っていると・・・、ん?あれ、動かないな・・・なんてことになりますね。残念です。
Commented at 2006-12-20 22:18 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by fanseab at 2006-12-20 22:47 x
愛野緑さん、こんばんは。ツマグロ蛹の撮影は羽化予定日よりかなり後に観察・撮影したので、さすがにドキッとはしませんでした。ただ残念だな・・・との気持ちが強いです。
Commented at 2006-12-21 20:45 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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