探蝶逍遥記

初冬のヤクルリ探索

 大阪府南部へ今シーズン、三回目の出撃。「よう飽きもせず、行きまんな~」と突っ込みの声が聞こえてきそうですが、このシジミ北上の最前線で、彼らがどう戦って?いるかを観察するのが小生の楽しみなのです。
 昨日の雨は上がったものの雲の多い天気。大阪湾近辺は冬型の気圧配置になると、南岸~和歌山にかけて雲が多く、北岸(兵庫県側)が晴れることが多いようです。案の定、自宅からポイントに接近するに連れて雲量が増してきました。午前9時現地着。蝶は1頭たりとも飛んでいません。仕方なく400mmでヒヨドリやマヒワ?を狙うも逆光でいいショットが撮れず。そこで、前回観察したヤマモモで幼虫探索に切り替えました。民家脇にあるこの株、ちょっと剪定が入ったようで新芽の数は減っていました。それでも何とか3頭を確認。いずれも同じ新芽に集まっていました。最初の個体はややくすんだ緑色をしています。
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D70-SMZ, ISO=500, F18-1/80、-2.0EV、内蔵ストロボ(マニュアル発光、調光補正1/16)

 近くにアブラムシも集まっており、幼虫の上側には寄生蝿の卵?らしきものも。ちょっと気になります。幼虫の体長は約10mmです。
 3頭の幼虫は、その体色が微妙に異なっていました。ちょっと頭部を拡大して比較してみると、幼虫の皮膚の一部分(毛穴?)が小黒点のように発色している個体(左の差込み画像)と、明るい黄緑色に見える個体があって、この色素の発色で幼虫全体の色調が決定されているような印象です。
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D70-SMZ(トリミング), ISO=500, F11-1/125、-1.0EV、内蔵ストロボ(TTL発光、-2.0EV)
 
 また、ヤマモモの新芽の色から赤みが消えているのに対応して、幼虫の皮膚からサーモンピンクの色合いは消えていました。本当にカメレオンのように色を変える幼虫です。
 気温は10度を切っていますが、摂食はしています。1頭が糞を出す瞬間を偶然撮影することができました。
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D70-SMZ(トリミング), ISO=500, F11-1/320、-1.0EV、内蔵ストロボ(TTL発光、-2.0EV)、撮影時刻:11時48分

 正午を過ぎても陽射しが出ず、ヤマトシジミ1頭も飛ばない状況なので、諦めて撤収の準備をし、車に戻りかけた時、ブルーの影が!ヤマトとは明らかに違う深いブルー、おぉ、いました!やっぱり生きていました!ヤクルリでした。かなりくたびれていますが、お馴染みになった裏面の特徴ある斑紋で迎えてくれたのでした。
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D70, ISO=500, F8-1/500 

 時々吹く北風は寒く、薄日が差しても開翅してくれません。そのうち風に吹かれてこの個体を見失ってしまいました。それから暫くして一瞬陽射しが強くなった頃、10m位離れた場所から再び飛び立ち、足場のいい場所に止まって開翅をしてくれました。貴重な日光を慈しむようにじわっと開く光景は感動的でもありました。この秋、♂開翅シーンは何コマも撮りましたが、今回がピントの面で最も納得できるものとなりました。スレ品ですが、寒い中、健気に生きている♂に敬意を表して、少し大きめの画像を貼ります。
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D70, ISO=500, F9-1/800、-0.7EV、撮影時刻:12時22分

 昨年12/3に同じポイントで♂♀を観察した経験から、この時期も未だ発生しているだろうとの推測は見事に当たりました。しかも、昨年より1週間遅く、個人的な終見記録を更新したことになります。一方、♀、およびヤマモモ新芽上の卵、初令幼虫は発見できませんでした。どうやら、このポイントでは成虫越年は厳しいのかもしれません。
by fanseab | 2006-12-10 23:48 | | Comments(20)
Commented by chochoensis at 2006-12-11 19:06 x
fanseabさん、「ヤクシマルリシジミ」雄の開翅、素晴らしい写真ですね・・・それと幼虫の脱糞の瞬間が面白いです・・・なかなか狙って撮れる写真では無いですね・・凄いです・・・。
Commented by cactuss at 2006-12-11 23:26
ヤクシマルリシジミはこちらにはいない蝶なので、うらやましいです。こんなに寒くなっても成虫がいるんですね。幼虫の拡大写真は鮮明ですばらしいです。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2006-12-11 23:31
遠方まで定点観察お疲れさまです。しっかりと幼虫観察をされているところが流石です。まだ成虫がいて、ホッとなさったことだと思います。でも、多分年越しは無理な予感が。非越冬種は12月15日あたりが限界のような気がしますが、暖冬でドンドン気温が上がってくれば、いずれ年越しする個体も出てくるのでしょうね。嬉しいような、恐いような。
Commented by 虫林 at 2006-12-12 09:27 x
この時期のヤクルリの生態写真は貴重ですね。
さすがです。
私は和歌山でヤクルリに振られてしまいましたので、
とてもうらやましく拝見しました。
いいな~!
開翅した時の何ともいえないブルーが目にしみますよ。
Commented by maeda@仕事 at 2006-12-12 18:11 x
まだ健在の成虫には驚きです。
宮崎の冬ももしかすると生きていたのかもしれません。
正月休みの数日だけしか観察できなかったので。
Commented by fanseab at 2006-12-12 22:39 x
chochoensisさん、有難うございます。幼虫の脱糞シーンは狙ったものではなく、10コマ程度連写中に偶然写ってくれましたんでラッキーでした。
Commented by fanseab at 2006-12-12 22:41 x
cactussさん、関西に住んでいるものの特権?として観察のチャンスは最大限に活かそう・・・と思って定点観察しております。幼虫の毛穴の件は帰宅してPCで拡大して初めて気がつきました。デジタルならでは観察結果でしょうね。
Commented by fanseab at 2006-12-12 22:44 x
ノゾピーさん、このポイントは自宅から意外と近いんですよ。それで定点観察も楽にできます。ご指摘の通り、成虫越年は無理ですが、今度は来年2月頃に気の早い個体が出たり、初見記録に興味が移ります。10年後には越年が当たり前の時代になるかもしれませんね。
Commented by fanseab at 2006-12-12 22:49 x
虫林さん、貴殿が撮影されたシーズン終盤のサツマの画像も貴重なものではないでしょうか?健気に生きている♂を見ながら、「耐寒性」なるDNAが只今現在、作られつつある・・・なんて、感覚になりますね。このシジミのブルーは「腐っても・・・・」の喩え通り、独特のものです。
Commented by fanseab at 2006-12-12 22:52 x
maedaさん、まいどどうも。宮崎とか鹿児島などでは、ご指摘の通り、越年成虫する個体がいても不思議ではありません。地方の同好会誌等に既に記載があるのかもしれませんね。
Commented by banyan10 at 2006-12-13 18:26
ヤクルリはまだ成虫が見れるのですね。
fanseabさんの推測と行動力もさすがですね。
温暖化で北上する蝶の最前線の越冬は興味深いところです。
Commented by fanseab at 2006-12-13 21:42 x
BANYANさん、小生も現地に行くまでは見られるか?半信半疑でしたが、♂を見つけた時は素直に嬉しかったです。ヤクルリは多化性のシジミなので、温暖化が進めば、ルリシジミよりも普通種になる可能性があるかもしれません。
Commented by kenken at 2006-12-13 22:03 x
いつもながら、腰の据わった、足の長い観察に敬意を表します。
来週早々(12/17頃)に厳しい寒気が来るようなので成虫もそれまでかと推測します。しかし、この幼虫たち、本当に越冬できるのか?越冬できるとすれば何齢幼虫なのか?・・・いろいろ興味がつきませんね。
この季節、成虫を見つけると、陽が射せば間違いなく開翅してくれるのは見つけたことへのご褒美でしょう。
Commented by thecla at 2006-12-13 23:16 x
いつもながらの素晴らしい推理と観察力が素晴らしいですね。
ヤクルリの開翅は、独特の色合いですね。北上ライン最前線での越冬状況の観察、神奈川東部で言えば、ムラツの越冬集団探索でしょうか。まだ見つけていません。この冬は頑張るぞ~。
Commented by ダンダラ at 2006-12-13 23:32 x
ヤクリルの幼虫、theclaさん同様ムラツのことを思い出しました。
ムラツも10月頃にこんな感じでせっせとマテバシイを食べてます。
私も近いうちにムラツ探しに行ってきます。
Commented by fanseab at 2006-12-14 00:29 x
kenkenさん、激励のコメント恐れ入ります。仰るとおり、成虫寿命が2週間として今週末が限界でしょう。でも幼虫は問題なく越冬できるんではないでょうか?体長からは4令(終齢)と推定しています。
Commented by fanseab at 2006-12-14 00:31 x
theclaさん、コメント有難うございます。春のスギタニ、秋のヤクルリ、いずれも独特なブルーで魅力的ですね。そう、小生もムラツ集団越冬シーン、是非発見したいものです。一緒に頑張りましょう!!
Commented by fanseab at 2006-12-14 00:34 x
ダンダラさん、ヤクルリは雑食性とも言えるほど、食性が広く、新芽が柔らかければなんでも若葉に食いつくようで、意外と逞しいシジミかもしれません。若芽を目印に幼虫探索可能なのもムラツと似ていますね。
Commented by nomusan at 2006-12-16 16:38 x
すっかり出遅れてしまいました(汗)。この時期で成虫もおるわ、幼虫もしっかり摂食中、凄いですね。この幼虫はこのまま越冬するのでしょうか?
Commented by fanseab at 2006-12-16 19:22 x
nomusan、まいどどうも。この記事で記載した♂も今頃ちょうど、力尽きているかもしれません。ただ、個人的には幼虫は問題なく越冬するものと思います。大阪南部のこのポイントがその越冬条件である温度限界にあると推測しています。
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