探蝶逍遥記

香港遠征(10/6-9):その4

 香港遠征もいよいよ最終日(10/9)。帰国便の出発時刻が16時過ぎなので、午前中一杯は遊べるとの計算です。本日は香港の友人達はもちろんご出勤で、小生の単独行動となります。候補地の中から新界地区中央部に位置する嘉道理(カドゥーリ)農場を選ぶことにしました。ここは以前から香港鱗翅学会の撮影会が実施されている場所で、アクセスもわかり易いため、ここに決定。
 電車(KCN)、九龍バス64K系統を乗り継いで農場前9時過ぎ到着。10HK$(約160円)の入場料を払って中に入ります。
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入り口の地図でポイントとなるバタフライガーデン(と言ってもケージの中にあるタイプではなく、ただ花を植えてある公園のこと)を確認。ただ、現地で気が付いたのは、このポイントに辿り着くにはまたまた登山が必要なこと(^^;; コンクリート舗装はしてあるものの、結構急勾配の山道を登ることに。山頂までミニバスも走っているようですが、出発時間まで間があるので諦めます。ヤレヤレ結局滞在した3日間、いずれも登山をするはめに。気軽な撮影行を想定し、香港にはスニーカーでやってきたのですが、ハードな登山の連続で、スニーカーの底が剥離して哀れな姿・・・・。

 さて、本日は昨日以上にドンヨリとした天気で蝶が飛ぶ気配なし。これはヤバイと思いつつ何とか目的地を目指すが場所がよくわからず。近くの山道で大型のセセリを発見。これが本日まともに撮影した最初の蝶になりました。恐らくタイワンオオチャバネセセリ(Pelopidas conjuncta )。オオチャバネセセリを一回りでかくしたようなセセリです。のんびりと長いストローを伸ばして遊んで?います。ミヤマチャバネと同属ですからストローの長さはこの仲間に共通するものなのでしょうか?
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D70, ISO=500, F10-1/160、+0.3EV

 続いてアカボシゴマダラ♀らしき個体を発見するもすぐに逃げられてしまいます。ルリモンアゲハも超高速で飛び回って吸蜜撮影のチャンスすらありません。渓谷沿いで吸蜜に来たシロオビアゲハ(Papilio polytes )の酷い出来の写真が1枚撮れただけ。
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D70, ISO=500, F5-1/100、+0.3EV

 今日は実質坊主かな?と暗い気持ちでようやくバタフライガーデンに到着。思い描いたよりもかなり急傾斜でランタナ等で吸蜜中の蝶を狙うには結構厳しい状況。植栽には侵入禁止のため、仕方なく周囲の階段から400mmズームでロングショットを狙うことに。ここでゆっくり吸蜜してくれたのは、結局ミダムスルリマダラ(Euploea midamus)のみ。半開翅吸蜜で表翅の瑠璃色幻光の一部を何とか捉えることができました。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F6.3-1/250、内蔵ストロボ(調光補正-0.3EV)

 引き続き、閉翅吸蜜シーン。後翅裏面外縁側に二重に描かれた放射状白斑点がこのルリマダラの特徴です。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F6.3-1/160、内蔵ストロボ(調光補正-0.3EV)

 全開シーンでは意外と瑠璃色が目立ちません。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F5.6-1/160、内蔵ストロボ(調光補正-0.3EV)

 結局、コムラサキ同様、ルリマダラの幻光色をきれいに写しこむには自然光、かつ斜め前方からの撮影が必須なようです。ただこのポイントでそのようなアングルからの撮影は無理・・・、と潔く諦めることに。期待したアゲハ類も飛んでこないので、已む無く下山。途中の林縁で大き目のホタルガが飛んでいます。蝶によく似た飛翔やなあ~とボンヤリ眺めていると、下草に静止。近寄ると、おぉ!何とヒメシロオビヒカゲ(Lethe confusa)でないですか!前翅の白帯は表裏両面側にくっきりしているため、本当にホタルガのように思えたのでした。種名となったconfus(a)のラテン語源は恐らく「混乱させる」、「取り違える」等の意味でしょう。小生がホタルガと「取り違えた」のも仕方無いことでした。
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D70, ISO=500, F5-1/200、+0.3EV、内蔵ストロボ

 結局、この農場での成果は乏しく、帰りのバスの時間も迫ってきたので昼過ぎに撤収。陽射しがもう少し強ければ・・・と曇り空を恨めしく眺めたのでした。九龍・旺角のホテルでデポジットした荷物を回収し、15時過ぎに空港に到着すると本降りの雨。帰国便が飛び立つと直ぐに雲海に突入。楽しかった香港遠征もこれにて終了です。今回の遠征で確認(目撃)した種類数は58ですから、香港に生息する蝶の1/4は実質2.5日間で確認できたことになります。また撮影種は40種でした。4回にわたり引っ張りまくった撮影記を辛抱強くお読み頂き、有難うございました。これにて香港の蝶ネタはおしまい。次回は「おまけ」でちょっぴり、香港の(B級)グルメの話もいたしましょう。
by fanseab | 2006-11-07 22:23 | | Comments(12)
Commented by nomusan at 2006-11-07 22:51 x
ミダムスルリマダラ、初めて見ましたが綺麗ですね。上品なマダラですね。実際は前翅表面にの紫がつよいのでしょうか? う~ん、ヒメシロオビヒカゲもエエです。いつか見てみたいものです。もうおしまいとは残念です。次回の遠征が楽しみです(爆)。
Commented by fanseab at 2006-11-07 23:03
nomusan、素早いコメント恐れ入ります(^^) 香港ではツマムラサキマダラの個体数が意外と少なく、ルリマダラと言えば、ミダムスを指すほど、数は多いのです。紫の幻光は前翅に広がりますが、ツマムラサキに比べると紫色の面積は若干狭いです。
<次回の遠征が楽しみです
ハイ、来シーズン、ご期待に応えるように努力しましょう(笑)
Commented by banyan10 at 2006-11-08 02:26
ミダムスルリマダラは翅表の青紋の入り方がいいですね。これで、全体が紫に光ったらたまらないですね。(^^;
八重山で見れなかったシロオビヒカゲがいましたね。
セセリのストローの長さもすごいです。
Commented by chochoensis at 2006-11-08 07:20
fanseabさん、香港探蝶記、北タイの蝶、拝見しました。素晴らしい写真の数々、シャープな撮影に驚きました。タカネフタオシジミの翅表、綺麗ですね・・・ウラフチベニシジミの後翅外縁の鮮やかな紅色、キシタアゲハの飛翔と目がくらみそうでした・・・すばらしいです。ありがとうございました。
Commented by maeda@仕事 at 2006-11-08 19:07 x
十分楽しませていただきました。
香港も未知の世界なので、グルメも楽しみです。
Commented by kenken at 2006-11-08 20:25 x
私ね、このマダラ、最初はミダム-スルリ-マダラって読んでまして、スルリと逃げるのかしらんなんて思ってました。(笑)日本では迷蝶なので生態写真を見るのは初めてですが、地味なところが良いマダラですね。
Commented by cactuss at 2006-11-08 21:25
ミダムスルリマダラは青がちりばめられて、感じのいいマダラですね。初めて見ました。シロオビヒカゲの親戚のヒメシロオビヒカゲもいいですね。海外に行くと、日本ではお目にかかれない蝶にたくさん会えて、楽しいでしょうね。
Commented by fanseab at 2006-11-08 23:15 x
BANYANさん、ルリマダラ類の幻光はストロボ併用では上手く表現できませんね。幻光と言うよりは、ベタな紫色になってしまいました(^^;;
ヒメシロオビはシロオビより地色が黒く、本当にホタルガによく似ています。セセリのストローを伸ばす行動、何やっているのでしょうね?
Commented by fanseab at 2006-11-08 23:18 x
chochoensisさん、過分なお褒めのコメント有難うございます。派手な蝶、地味な蝶、それぞれが魅力に溢れている世界です。この禁断の「パンドラの箱」を空けてしまうと、それこそ、麻薬のように海外遠征に誘われてしまうのです。
Commented by fanseab at 2006-11-08 23:21 x
maedaさん、いつもお仕事中のコメント、恐れ入ります。最終日は天気が悪く、いくら香港と言えども、陽光を好む蝶は雲隠れしていたので、ちょっと尻すぼみでした(^^;; グルメ編もご期待ください。
Commented by fanseab at 2006-11-08 23:38 x
kenkenさん、ルリマダラ類で種小名を和名に持つのはミダムスも含め珍しいですね。香港産の幻光はこれでも派手な方で、ジャワ産では幻光が完全に消失したり、広いアジアで様々に変化します。逆に日本で採集される迷蝶の起源を探り当てることができます。
Commented by fanseab at 2006-11-08 23:43 x
cactussさん、まいどどうも。ミダムスは幻光もさることながら、個人的には白斑の並び方が整然としている美しさがあると思います。ヒカゲチョウ(Lethe属)の仲間を見ると、たとえその種が日本にいなくても、ああ自分はアジアにいるのだなあ~と実感できますね。笹や竹があれば、必ず、この仲間を発見できます。
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