探蝶逍遥記

ヤクシマルリシジミの探索(10/21)

 香港遠征以来、久しぶりの国内撮影です。前日夜の天気予報では関西地方はなんと快晴!さて、どこに行こうか?何を撮ろうか?と悩んだ挙句、ヤクルリの様子を見ることに。小生、南アジア産はともかく、国産ヤクルリ(ssp. ishigakiana)は未だきちんと撮影していないのです。昨年12月の探索で発見した大阪府南西部のポイントに直行。朝7時40分着。さすがにひんやりとしています。蝶が飛ぶ前にこのポイントの食樹であるウバメガシを検すると、すぐに終齢幼虫を発見。
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R1@5.6mm, ISO=200, F3.6-1/104

 ムラサキシジミのように巣を造ることなく丸見え状態です。触ったショックでご覧のように体を丸めてしまい、次の瞬間地面に落ちてしまいました。どうやら振動を感知すると落下する習性があるようです。ギンイチモンジセセリではこのような習性を知っていますが、シジミの幼虫なのでビックリ。さて、地面に落ちた後、15分位は仮死状態でじっと動かず、その後、モゾモゾ元の株めがけて歩き始めました。幼虫の大きさを記録するために置いた10円玉の横を通り過ぎる終齢幼虫です。体長は約13mm。
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D70, ISO=500, F14-1/200、+0.3EV

 落ちた地点から株まで、70cmの距離を40分かけて辿りついたようです。素晴らしき帰巣本能に脱帽!9時を過ぎると畑の周辺でヤマトシジミが飛び始めました。青い♀はいないかなあ?とキョロキョロしていると、突然小さいブルー系シジミがカボチャの葉の上に止まりました。待望のヤクルリ♂の登場です。控えめに開いた表翅のブルーは深みがあり、フォトジェニックなシジミです。
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D70, ISO=500, F11-1/500、-0.7EV、撮影時刻:9時19分

 この個体はすぐに飛び立ち、暫くしてやってきた別の個体はほぼ全開してくれました(^^) ただ、よく見るとスレています。一枚目の写真と比較すると、このシジミ、縁毛、特に前翅の縁毛の幅が極めて狭く、羽化直後はともかく、飛翔を繰り返すとすぐに剥げ落ちるデリケートなものであることがわかります。
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D70, ISO=500, F9-1/1250、-0.7EV、撮影時刻:9時37分

 暫く♂個体は林縁の畑の下草で舞っていましたが、10時を過ぎて体が暖まると、高さ2m位の梢の上でテリを張るようになります。こうなると、もはや90mmマクロでは始末に終えない距離になります。2m近傍に別の♂が接近するとすごいバトルが始まります。そのスピードといったら、まるでゼフ並の俊敏さです。この辺がナミ?ルリシジミと全く異なる性質です。小生定番の400mmズームでテリ個体を狙って見ました。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F7.1-1/640、-0.7EV、撮影時刻:10時22分

 このポイントではもう事態に変化がなさそうなので、少し別のポイントに移動。民家の生垣の近くで飛び回っているシジミを検すると、どうやらヤクルリの♀。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=800, F18-1/640、-0.3EV

 彼女が飛び回っているのはウバメガシではなくてどうやらヤマモモのようです。ゆっくりと飛んでヤマモモの新芽に接近。そうです!!予期しなかった(実は大いに期待していた?)産卵シーンです。
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D70, ISO=500, F8-1/640、撮影時刻:11時13分

 今日は何とついているんでしょう!!あっさりとヤクルリ♀の産卵シーンまでゲットできちゃいました。そして、産卵を終えると、そのヤマモモの上でご開帳。
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D70, ISO=500, F8-1/800、-0.7EV、撮影時刻:11時17分

 最近、青いヤマトシジミが巷のブログで話題になっていますが、「私の美しさを忘れないでね!」と言わんばかりの艶姿。特に後翅外縁側の青色鱗粉の散らし方が抜群に思えます。暫くこの母蝶を追いかけて日光浴シーンや産卵シーンを撮り続けていたんですが、生垣脇の民家のガレージの柱にハラビロカマキリの♀が獲物を狙っています。これはヤバイなあ~と危惧していると、悪い予想が当ってしまいました。あっという間にカマキリの餌食に。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=800, F13-1/400、-0.3EV

 先ほどまで産卵をしていたヤクルリ♀が、これから産卵を迎えるカマキリ♀の餌になる。残酷とは言え、これが自然界の掟。秋の穏やかな陽だまりで繰り広げられた厳しいシーンを撮りながら、ヤクルリ♀の無念さを思わずにいられませんでした。合掌。

 12時過ぎに急に風が吹いてきたため撤収。わずか半日でしたが、♂♀開翅・閉翅・飛翔・産卵・卵・幼虫と蛹を除く全ステージが一気に撮影できるとは!!予想以上の遠征になって大満足でした。次回は吸蜜シーンでも狙ってみたいと思います。
by fanseab | 2006-10-21 23:59 | | Comments(14)
Commented by maeda@仕事 at 2006-10-22 07:15 x
捕食されるシーンまで撮影とは、普通はそんな機会に出会うことはめったに有りません。強運ですね。
ヤクルリは実家に帰ると家の周りを飛び回っています。イスノキを発生木にしております。12月末には成虫は見られませんでしたが、卵や幼虫を観察できました。
Commented by fanseab at 2006-10-22 08:01 x
maedaさん、お仕事中のコメント恐れ入ります。
昨日は♂開翅シーンからカマキリ捕食シーンまで数日分の成果を半日で得られ、本当にラッキーでした。たまにはこんな日があってもいいかな?と。ヤクルリの食樹は様々ですね。幼虫が好むヒコバエ発生が促進されれば何でも食べそうです。
Commented by banyan10 at 2006-10-22 17:15
ヤクルリは雄も雌も翅表が綺麗ですね。
やはり最後の雌の開翅がいいですね。
産卵、幼虫などの各種の生態が半日で撮影できるとは素晴らしい成果ですね。
2年前の八重山では擦れた個体を撮影していますが、今回は新鮮な個体に会いたくなる画像です。
Commented by thecla@香港半日画策中 at 2006-10-22 18:32 x
ヤクルリ♂も♀も素晴らしいですね。裏と一緒にチラッと見える♂のブルーのチラリズムも私好みです。
「ヤクシマ」「サツマ」「タイワン」など、関東では見ることが出来ないシジミの名前にまた地名が入っているのも想像が掻き立てられて。
そういえば、「ヒサマツ」ってのもそうですね。
Commented by fanseab at 2006-10-22 20:54 x
BANYANさん、コメント有難うございます。ヤクルリ♂は結構運動量が激しいので、完品個体を探すのが大変でした。現地に着いて最初の5分で幼虫を見つけたのが運の憑きの始まりでした。
八重山での成果、期待しております。
Commented by fanseab at 2006-10-22 20:58 x
theclaさん、香港ではヤクルリは林縁で見られる普通種ですが、開翅は気温の関係か、日本のようには撮影できません。♂半開翅でチラリと見えるブルーは小生も好みです。ヤクルリに比べるとサツマは関西でも簡単な蝶ではありません。
Commented by 虫林 at 2006-10-22 20:58 x
ヤクルリの美しい幼虫、成虫写真と最後にカマキリに食べられてしまうというエンディングが、自然界のストーリーの一連の現実を見せていただきました。さすがです。
Commented by fanseab at 2006-10-22 21:35 x
虫林さん、最後のカマキリですが、小生がその存在に気がついたのは撮影の後半。それまで見事に気配を消していました。産卵に夢中のヤクルリは格好の獲物だったのでしょう。以前から産卵に訪れるのを事前にキャッチしていたかもしれません。カマキリの知略に脱帽です。
Commented by kenken at 2006-10-22 21:35 x
うひゃあ~ ヤクルリの♂♀開翅に、産卵、飛翔・・・その他もろもろ、一気にゲットで、すごいぞ、すごいぞ!
なんと言っても、私には、成虫♂の最初の半開翅の写真が好みですね。
♀の後翅表面の青鱗の乗りも最高ですね。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2006-10-22 21:50
やはりこの蝶の青さは、ヤマトもシルビアもかないませんね。色々なステージ、色々なシーンを撮影出来、大成功でしたね。私も後追いしなくては。
Commented by fanseab at 2006-10-22 23:12 x
kenkenさん、この日は次にこのシーンを撮りたいな~と思うと、すぐに実現できてしまう本当にラッキーな半日でした。閉翅した♂が徐々に開き始めた時にチラリと覘くブルーは本当に魅力的です。
Commented by fanseab at 2006-10-22 23:17 x
ノゾピーさん、早春のスギタニのくすんだブルー、そして秋の陽だまりで見るヤクルリの深いブルー、共に素晴らしい色合いだと思います。
香港はじめ他の亜種では前後翅のブルーの面積が減少し、白色班が中室付近に混じるので、日本産ヤクルリ♂の藍色は別格の美しさなのです。
Commented by furu at 2006-10-22 23:52 x
独特の濃いブルーがたまりませんね。
色々と盛り沢山の成果で見応えがあります。
もう3年も会ってません。
Commented by fanseab at 2006-10-23 23:51 x
furuさん、ヤクルリはじめ、シジミのブルーは奥が深いですね。次は淡く彩られるサツマのブルーを撮りたいところ。でも開翅は難攻不落のようですが、撮影意欲をそそられます。
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