探蝶逍遥記

キリシマ♀の探索(9/24)

 本日のターゲットはズバリ、キリシマミドリシジミ♀産卵シーンの撮影。早朝3時起床。一路鈴鹿山脈を目指します。本年4回目の鈴鹿遠征なので、慣れた道順で、現地ポイント6時25分着。早速アカガシをそっと長竿で叩き出すとヨロヨロ2頭の♀が飛び出しました。気温は13℃と低いため、真夏に比べると飛翔はゆっくりしていますが、梢の上に止まったまま動かず。この後、動き無く、仕方なく少し下流の朝日が差し込む岩場に移動すると4頭ほどの♀が一斉に飛び立ちました。どうやら、ここで日光浴と吸水をしているようです。まずは閉翅状態での日光浴シーン。翅は相当にスレてますが、キリシマの特徴はきちんと判ります。やっと♀を撮影できて一安心です。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=400, F10-1/320、-0.7EV、撮影時刻8時21分

 引き続き開翅シーン。比較的鈍感で大サービスしてくれました。表翅の青色班のスレも仕方ないでしょう。
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D70, ISO=500, F11-1/800、-0.7EV、撮影時刻9時49分

 吸水と日光浴は繰り返して行われるようです。吸水場面の望遠マクロ画像。両方の岩に脚を踏ん張って、飲んでいるのが面白いです。ストローは橙色系ですね。
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D70, ISO=400, F11-1/800、-0.3EV、撮影時刻9時39分

 吸水は↑のように陽射しが強い場所だけでなく、木陰でも観察できました。
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D70S-10.5-X1.4TC, ISO=400, F8-1/125、-0.3EV、内蔵ストロボ、撮影時刻9時52分

 この吸水ポイントで相当数の個体が戯れていましたが、少し元気な1頭が開翅日光浴した所をパチリ。
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D70, ISO=400, F11-1/1000、-0.3EV、撮影時刻9時00分

 しかし、ファインダーを見て、おやと思いました。「なんや、このキリシマ、少し青色が鮮やかやし、ちょっと斑紋が変やなあ・・」とつぶやいている内に、閉翅状態に。するとどうでしょう!「あっ、これ、キリシマとちゃう、なんやろ、・・・。えっ、ヒ、ヒ、ひょっとしてヒサマツ??!!」。この後、急に心臓ドキドキモードで撮影したのが下の閉翅写真。
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D70, ISO=400, F11-1/1000、-0.3EV、撮影時刻9時00分

 このシジミの特徴である、後翅裏面肛角部のV字型白線が紛れも無くヒサマツであることの証明。尾状突起が欠落していることはもうどうでもいいことです。来年以降の目標に掲げていたヒサマツミドリシジミ♀との衝撃的な出会いでした。しかし、この閉翅写真を撮った後、さっと飛び立ち梢の上に。二度と吸水には降り立ってくれませんでした。

 ヒサマツ撮影の興奮さめやらぬ中、キリシマ♀の産卵タイムを待ちます。文献によるとお昼前後が産卵時間帯とのことなので、それまでの間、アカガシの休眠芽をチェック。少し木陰にある緑色鮮やかな休眠芽を中心に、ひたすら探索。ようやく2卵を見出しました。いずれも地上高1.5m位の低い位置です。卵の色が白いので、産みたてではないようです。
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D70-SMZ, ISO=500, F18-1/500、-0.3EV、内蔵ストロボ、調光補正-0.3EV

 休眠芽探索ばかりでは飽きるので、飛翔にもトライ。真夏の♂に比べれば弱々しいので、結構歩留まりは良かったです。水面上ギリギリを飛ぶ♀の姿を貼っておきましょう。
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D70(トリミング), ISO=640, F11-1/1250、-0.3EV、撮影時刻10時09分

 さて、10時半頃からずっと、♀の挙動を観察していましたが、時々梢の上から降りてきたり、渓谷上を飛んだりしますが、ヒコバエに潜るとか、梢の上を歩き回る等の産卵行動を思わせる仕草は結局、見られませんでした。13時半頃、根負けして撤収です。これから産卵が加速するのか?あるいは、小生の目の届かぬ所で産卵していたのか?簡単には撮影できないことがよくわかりました。それでもようやく、♀の吸水、開翅、飛翔、卵を撮影できたのは収穫でしたし、なにより、ヒサマツ♀が撮影できたのはラッキーとしか言いようがありません。これで、今年の鈴鹿行脚もひとまず終了です。この蝶、観察すればするほど、奥深いシジミで、完全に虜になってしまいました。来年は♂飛翔、新鮮な♀撮影と、できれば産卵現場を押さえることが目標になりました。

 最後にちょっぴり悲しい画像を一つご紹介しましょう。7月中旬の羽化から2ヶ月以上の長寿命を誇るキリシマ♀ですが、当然、最後の時を彼女達も迎えることになります。水面に落ちた枯葉の上で虚しく漂う青色班が印象的でした。彼女達のミッションである産卵を終えたものと信じ、来年もここ鈴鹿でキリシマの乱舞が見られることを期待しましょう。
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D70, ISO=500, F11-1/250、-0.3EV
by fanseab | 2006-09-24 23:59 | | Comments(20)
Commented by banyan10 at 2006-09-25 10:33
キリシマの産卵は残念でしたが、素晴らしい成果ですね。
ヒサマツはもちろん未撮影なので羨ましいですねえ。
観察しなければ分からないことも多いので、貴重な記録だと思います。来年の観察も期待しています。
Commented by furu at 2006-09-25 15:10 x
1回で2度美味しい鈴鹿行でしたね。
興味深い観察記録でこちらも楽しめました。
ヒサマツの翅表がきれいです。
Commented by 虫林 at 2006-09-25 19:44 x
キリシマミドリの写真を拝めるだけでも、胸がどきどきするのに、ヒサマツミドリまでもみたとは----。
おめでとうございます。
Commented by nomusan at 2006-09-25 20:44 x
いや、これはエエもん見せていただきました。こんな画像はそうそうお目にかかれませんし、ヒサマツまで・・・・。素晴らしいです。ありがとうございました。
Commented by fanseab at 2006-09-25 21:13 x
BANYANさん、いつも恐れ入ります。産卵シーズンに入って、♀の生活空間が低い場所に下りてきたので、90mmマクロや広角で捉えることができました。ヒサマツはラッキーとしか言いようがありません。
Commented by fanseab at 2006-09-25 21:16 x
furuさん、まいどどうも。
♂が活発な時は少し控えめだった♀も、この日は主役で渓谷を飛び回っていました。ヒサマツ♀の羽化したては息を呑む美しさなのでしょうね。来シーズンも見れたらいいなあと思います。
Commented by fanseab at 2006-09-25 21:19 x
虫林さん、やはり通い慣れたポイントを作ると、どの辺に♀が潜んでいそうだ・・・とか判るようになりました。予想通り、出現すると嬉しいものです。ヒサマツ開翅は意識しなかったので平常心で撮影できました。もしもわかっていたら震えて失敗したかも知れません。
Commented by fanseab at 2006-09-25 21:21 x
nomusan、撮影した本人が言うのもなんですが、「エエもん見せていただいた」というのが素直な感想です。鈴鹿の神様に感謝です。ヒサマツは神様からのご褒美ということで・・・・。
Commented by 愛野緑 at 2006-09-25 21:32 x
キリシマの脚の踏ん張りはかわいいです。
こんな時期にゼフが見られるとは驚きました。ヒサマツもまだブルーが綺麗に残ってますね。
Commented by fanseab at 2006-09-25 22:45 x
愛野緑さん、こんばんは。キリシマ♀もおばあさん状態でヨロヨロしている個体が多く、思わず「頑張れ」と声をかけたくなります。午前中、このような吸水と日光浴を繰り返して体力を高め、産卵行動に移るものもと思います。ヒサマツは恐らくキリシマより羽化時期が早いはずなのに、鮮度はむしろヒサマツの方が優っているのが不思議です。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2006-09-25 23:17
この時期に三重県出撃とは恐れ入ります。まだ、♀個体は頑張っているのですね。ホオー、キリシマ、ヒサマツ♀表裏凄い成果ですぅ。来年はピカピカの個体お互い是非撮影したいものです。しかし、ヒサマツ裏山です。
Commented by fanseab at 2006-09-26 00:00 x
ノゾピーさん、沖縄遠征後、お疲れのところコメント頂き、有難うございます。キリシマは少しずつですが、行動パターンがわかってきましたので、来シーズンに繋げたいと思います。ヒサマツはこれからの研究対象ですね。
Commented by kenken at 2006-09-26 00:37 x
すごいぞ、すごいぞ!これは息を呑む画像です。
今シーズンの鈴鹿行脚の総決算とも言える画像でしょう。(パチパチ:私も拍手)
この季節に見られるゼフ・・・ヒサマツにキリシマ・・・お腹が熟してから産卵する種の特徴ですね。
最後の散りゆくキリシマ、ミズナラの枯れ葉と相まって、もう言葉が出ません。
Commented by maeda at 2006-09-26 17:28 x
皆さんが書いておられるように、すばらしすぎます!
言葉が出ないです。
恐らくアイノミドリなども同じような生態を観察できるのでしょうね。
こちらでは遅すぎるかもしれませんが、週末に覗いてみます。
Commented by fanseab at 2006-09-26 21:59 x
kenkenさん、暖かい拍手有難うございます。小生は産卵に向けて健気に生きているキリシマ♀に拍手したいですね。羽化してから、ひたすら、アカガシの芽が伸びるまでじっと待ち続ける・・・。なんでわざわざこのような戦略を選んだのか?興味がつきません。
Commented by fanseab at 2006-09-26 22:04 x
maedaさん、いつもコメント有難うございます。ゼフはどうしても派手な♂にカメラを向けがちで、♀の生態写真は疎かになり勝ちと思います。でも、キリシマはつい、「追っかけ」をしてしまうほど、♀も魅力満点です。是非アイノ他の画像も拝見したいものです。
Commented by thecla at 2006-09-27 00:05 x
産卵は残念でしたが、素晴らしい生態写真だと思います。
ヒサマツ♀は、この発想と努力に対するご褒美ですね。
ゼフはついつい雄に目が行ってしまいますが、キリシマ、ヒサマツは雌の方が綺麗かも。来年は是非撮ってみたいですね。
Commented by fanseab at 2006-09-27 21:43 x
theclaさん、有難うございます。
産卵シーンは普通種のナミアゲハあたりでも結構撮影の難易度が高いですから、簡単に撮れません。ヒサマツ、キリシマ共に♀はこの時期が最も遭遇のチャンスが多いと思います。関東でも箱根の渓谷沿いを探せば10月に入ってからでもチャンスがあると思いますよ。
Commented by ダンダラ at 2006-09-27 23:43 x
キリシマにヒサマツですかー、この2種に関する限り関東・中部は顔色ないですね。
キリシマが狙って撮れるのもうらやましいですが、予期せぬヒサマツとの出会いは、その場面を想像するだけでも胸が高鳴りますね。
最近は狙ったものを確実に撮ることばかりで、こんな胸の高鳴る出会いはとんとないですね。
Commented by fanseab at 2006-09-28 22:03 x
ダンダラさん、ご指摘のように、関西に拠点を置くメリットを生かして、この時期あえてクロツ・シルビアを捨て、難易度の高いキリシマに挑戦してみました。ヒサマツは所謂ビギナーズラックで、来年「狙って」撮れる保障は全くありません。それが、珍品たる所以でしょうが。仰るとおり、撮影の途中からドキドキしました。
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