探蝶逍遥記

鈴鹿山中での探索(8/26)

 今シーズン3回目の鈴鹿行きです。今回のターゲットは産卵前のキリシマミドリシジミ♀の生態観察。産卵は一般的に9月過ぎとされているので、発生からほぼ1ヶ月経過したこの時期、どんな様子か?探りに行きました。

 前回、見出したポイントに午前7時前着。長竿で叩き出すと、すぐに♀が飛び出してビックリ。しかし、飛び出した後、周回飛行をした後、梢の高い所に飛び去って、とても撮影できる位置ではありません。♂と異なり、独特な裏面模様(茶と白のツートーンカラー)で、アカガシの葉に止まっても、一部が茶色に変色した葉との見分けがつかず、目線を切るとすぐに見失ってしまいます。それでも目の前を飛行した際には、翅表の大きな青色班と裏面模様がフラッシングして見事な眺め。飛翔も♂に負けず劣らず俊敏で、周回飛行中、急に加速度的にスピードを上げる運動能力に脱帽です。このクイックモーションの際に飛翔方向も極端に変化するので、視界から急に消えることも多く、やっかいなシジミです。

 さらに叩き出した♀を追跡すると、葉上に30秒ほど止まった後、また直ぐに飛び立ち、林内に潜ったり、結構活発に動き回っていました。図鑑等で「♀は不活発で・・・」の記述をよくみかけますが、これは、♂の最盛期(7月下旬~8月上旬)に当てはまる事実で、8月以降~産卵時期までの間は意外とウロウロしているのかもしれません。結局、延べ6頭ほどの♀を確認しましたが、撮影はできませんでした。

 ♀を求めて叩き出しをしていると、妙に白い♀が飛び立ち驚きました。追跡してみると、何と♂!まだ生きていたのか?と二度ビックリです。盛期から1ヶ月経過していますから、それなりにスレていますが、翅表の独特なブルーは色褪せていません。
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D70S-VR84@400mm(トリミング), ISO=640, F5.6-1/800

 ↑の写真の個体の下にアカガシの休眠芽とドングリが見えています。アカガシのドングリはずんぐりむっくりの変わった形ですね。例によって複数の♂によるバトルも健在でしたが、さすがにくたびれているのか、敬老者運動会?の趣で、バトルの継続時間もすぐに終わります。探♀行動もしていましたが、この時期、ほとんどの♀は交尾済みでしょうから、徒労に終わるのでしょうか? ♂の本日の延べ観察数は7頭でした。

 ♀が産卵するアカガシの休眠芽の状況もチェックしました。全般にまだ発育段階で、やはり9月頃まで時間がかかるのでしょう。日当たりの比較的良い場所では↓の画像にように結構大きくなっていました。
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D70-SMZ, ISO=1250, F9-1/125、-0.3EV、内蔵ストロボ(調光補正-1.7EV)

 前回の探索で、イチモンジチョウの2令~終齢幼虫を見出した渓谷沿いのタニウツギ?の葉裏をチェックすると、イチモンジチョウの蛹が付いていました。残念ながら寄生個体のようですが、蛹は初撮影です。まるで蝙蝠がぶら下がっているような奇怪な風貌ですね。
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D70S-10.5-X1.4TC(トリミング), ISO=500, F8-1/250、+0.7EV、簡易レフ板使用

 今回の探索ポイントは、♀の個体数も多いようなので、9月に入ってから産卵行動の観察に再度訪れてみるつもりです。
by fanseab | 2006-08-26 22:46 | | Comments(10)
Commented by maeda at 2006-08-27 07:02 x
9月にヒサマツの採卵をしたことがあります。新潟の北限の産地です。
まだ♀は生きており樹上をぶんぶん飛んでいました。
♀がそんなに活動的とは予想外で驚いたものです。
おなじでしょうか?
Commented by fanseab at 2006-08-27 09:26 x
maedaさん、糸魚川あたりの採卵でしょうか?採卵する方は、木登りも辞さないので、♀の行動を目撃するチャンスも多いのでしょうね。ヒサマツの事例も含めて、図鑑上で記載されている文言に囚われない正確な観察が必要だと思います。
Commented by maeda at 2006-08-27 16:21 x
後輩に木登り名人がおりますが、私はだめです。
崖の斜面から生えたウラジロガシで、崖の上に丁度良い枝がありましたので、そこから採卵でした。
その場所から♀が観察できました。
Commented by thecla at 2006-08-27 16:59 x
キリシマの♀の色合いは私も大好きです。
9月中に一回くらい神奈川のキリシマ行ってみようかな。
Commented by fanseab at 2006-08-27 20:50 x
theclaさん、連続コメント有難うございます。
♀の産卵時期は生息標高、つまり休眠芽の成長程度と密接に関係していて、鈴鹿山系低標高地では、8月中旬に始まる事例も記録されています。
神奈川の場合も生息標高域に応じて遠征されることが大事かと思います。
Commented by fanseab at 2006-08-27 20:53 x
maedaさん、ご丁寧なコメント有難うございます。小生も木登りはちょっと・・・(^^;; キリシマの場合は比較的、幼木とかヒコバエを好むとか記載があるので、木登りをせずとも何とかなりそうですが、果たしてどうなりますやら?
Commented by kenken at 2006-08-28 07:48 x
う~む、素晴らしい観察記録です。
以前に「キリシマミドリシジミの驚くべき生態」って感じの文献を読んだことがありますが、♀の行動はとても興味深いですね。
♂もまだいるとは・・・
産卵行動、暗い位置のアカガシの芽がどれくらい発達した時期なのか、興味が尽きません。
Commented by fanseab at 2006-08-28 23:02 x
kenkenさん、まいど。ご紹介された文献は小生も読ませて頂き、参考にしております。5年間の観察記録をまとめた労作ですね。小生のわずか3日間の観察でも、非常に興味深い行動が見られます。もう少し、「追っかけ」をしてみたいと思います。
Commented by 虫林 at 2006-08-29 18:01 x
キリシマシジミは憧れの蝶で、見せていただくだけでもうれしく思います。
これからメスの観察が楽しみですね。
期待しています。
Commented by fanseab at 2006-08-29 22:34 x
虫林さん、小生も関東在住の際は憧れ(だけ)の対象でした。それが関西に来て身近なシジミになりました。しかし、目の前を飛んでも撮らせてくれないイジワルな蝶です(^^) 近くて遠い。それがまた、このゼフの魅力です。
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