探蝶逍遥記

木曽探索行(8/12-13) PartⅠ:オナガシジミ

 猛暑の関西を抜け出して、涼しい信州の高原で蝶撮影を満喫してきました。場所は管理人初体験の木曽御岳山麓。で、今回のメインターゲットは第2化のチャマダラセセリ探索です。拙ブログを開設して以来、環境省指定「絶滅危惧Ⅰ類」として、ヒョウモンモドキ、クロシジミをご紹介してきました。しかし、絶滅までのカウントダウンの観点からは、長野県のチャマ個体群が一番厳しいのではないか?と管理人は睨んでいます。Websiteで紹介されている当地での生態写真は5月中旬頃の写真が多く、8月に発生する第2化の画像は極めて稀だと思います。おまけに小生、ポイントを知っているわけでなく、今回はポイントとなりそうな牧場や牧草地を訪ねて放浪する極めて効率の悪い探索行となりました。
 もちろん、成功確率は0.1%程度と予めあまり期待せず、チャマ以外の第2、第3のターゲットも念頭に来シーズン以降の下見と割り切って高原を探索しました。
 結論から言えば、主要な牧場、牧草地を5箇所ほど丹念に調査しましたが、坊主。やはり、5月発生の第1化品に比較して難易度は上のようです。またチャマ以上に期待したホシチャ、アカセセリも坊主。スジチャ、ヘリチャ、キバネもスレが進んで撮影意欲が萎え、セセリ類に収穫はありませんでした。

 そこで、密かに第2ターゲットとしたオナガシジミで成果が出たので、初回はこの蝶についてご紹介しましょう。オナガについては、山梨県下で7月下旬~8月にかけて、結構念入りにクルミを調べた経験がありますが、出会えず。関西に拠点を変えてからは、更に珍品度が上がったので、何とかゲットしたいと長竿、脚立持参でチャマ探索の合間に根性入れてクルミ林を探索しました。

 初日に見出した2頭ばかり飛び出したクルミの木が良さげだったので、翌日朝7時半に長竿で叩き出し開始。すると、どうでしょう。次から次へと夏空にキラキラとオナガシジミが飛び出します。総数10頭ほど。どうやら「御神木」を掘り当てたようです(^^) ほとんどは真横か上に舞い戻ってしまいますが、なかには変わり者(?)もいて、下草に降りてきてくれます。この変人、いや失礼!貴重な個体をモデルに撮影を楽しめました。舞い降りたのはカボチャ畑の上。朝日を浴びたカボチャの葉の上で長い尾を風にそよがせながら、翅をスリスリし始めました。
f0090680_18423788.jpg
D70, ISO=500, F18-1/125、-0.3EV、撮影時刻:7時39分

 そのうち、いよいよご開帳。初めて見るオナガの開翅です! ビロード状の質感に朝日を浴びて、薄緑色の幻光も観察され、地味ながら深い味わいです。
f0090680_18425077.jpg
D70, ISO=500, F11-1/640、-0.3EV、撮影時刻:7時45分

 次に超広角にも挑戦。カボチャの葉が地上、かなり低い位置なので、魚眼前面レンズが泥とカボチャの葉に触れないよう、細心の注意を払っての作画になりました。バックに「御神木」が見えています。
f0090680_184355.jpg
D70-10.5-X1.4TC, ISO=500, F10-1/320、-0.3EV、撮影時刻:7時49分

 この後、体が暖まると、舞い上がってクルミの葉上に。ここでもご開帳。この角度からは淡い紫色の幻光が見えます。一見地味に見えるオナガの翅表ですが、色々と仕掛けがあって楽しめます。
f0090680_18431828.jpg
D70S-VR84@400mm(トリミング), ISO=640, F7.1-1/1250、撮影時刻:7時53分

 11時頃、別のポイントで2mほどの高さのクルミの葉上で休息している♀を発見しました。暑さを避けて木陰に身を寄せている感じ。
f0090680_18433343.jpg
D70S-10.5-X1.4TC, ISO=500, F13-1/50、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時4分

 90mmマクロで撮影しようとファインダーを覘くと、ウロウロと葉の上を動き回りながら、ストローを伸ばしてなにか吸っています。おそらく吸水なのでしょう。オナガシジミのストローが黄色だってこと、読者の皆さん、ご存知でした?肛角部の橙色とセンスを合わせたような黄色のストロー。彼女、意外と洒落者です。
f0090680_1843506.jpg
D70(トリミング), ISO=500, F8-1/250、-0.3EV、内蔵ストロボ(調光-0.3EV)、撮影時刻:11時3分

 この吸水?行動。実は初日の朝9時半頃にも観察できました。また2週間前に鈴鹿山脈でキリシマ♂を観察した際にも朝方、同じようにアカガシの葉上でウロウロ歩き回りながらストローを伸ばしている姿を観察しております。ミズイロオナガやウスイロでも同じような行動を取るのか?興味のあるところです。

 今回の遠征で、これまで撮影に苦労していたのが嘘のように一気にオナガの撮影が進展しました。この高原、そこいらじゅうにクルミが生えているので、どこがポイントか困惑しますが、どうやらクルミが密集せず、南向きに開けた環境下、数本単位で生えているような場所で個体数が多い感触を得ました。次回は第3のターゲットにしていたタテハチョウの仲間をご紹介したいと思います。 (PartⅡに続く)
by fanseab | 2006-08-14 18:52 | | Comments(14)
Commented by banyan10 at 2006-08-15 12:11
オナガシジミ撮影おめでとうございます。
各種の生態がばっちり撮影できて素晴らしいですね。
発生が確認できたら早い時間に叩いてみると降りてくる可能性が高いのですね。来年試してみます。
Commented by kenken at 2006-08-15 15:47 x
おぉ、信州にお出かけでしたか。
私もね、2年前にチャマの2化狙いで訪れましたが、影も形もありませず、ゴマに狙いに変えました。
オナガ、これは素晴らしい。これだけ開翅するんですねぇ。翅裏も信州らしく派手めの黒斑が印象的です。いつもながら、青空を入れての広角は十八番ですな。
「タテハチョウの仲間」・・・オオミスジは間違いなさそう?
Commented by 6422j-nozomu2 at 2006-08-15 16:29
ありゃ、同じ日に信州にお出かけになっていたとは。チャマ残念でしたが、オナガ丁寧に撮影されていますね。私も偶然ですが、13日にオナガ撮影出来ましたので、明日アップ予定です。貴殿のように綺麗に撮影出来ませんでしたが。タテハ、多分キベリかな?
Commented by fanseab at 2006-08-15 20:59 x
BANYANさん、有難うございます。合同撮影会の幹事役、お疲れ様でした。オナガシジミは緑色系ゼフよりも写したかった蝶なので、ヤレヤレです。今回の叩き出しは7時半頃より実施しましたが、6時頃、未だクルミに朝日が差し込まない状況なら、もっと多数が下に降りてくると思います。
Commented by fanseab at 2006-08-15 21:04 x
kenkenさん、まいど。そうですか、2年前に坊主とは・・・。牧草地で飛び出した飛翔物体はいずれもバッタやイナゴでトホホでした。
オナガは結構簡単に開きますね。夕刻でも日陰でも開くようです。ただ、広角画像、欲を言えばもうちょっとすっきりとした葉に降り立ってほしかったです。苦労した割りにゴチャゴチャした画像になって、私的にはB級ショットと思っています(^^;
Commented by fanseab at 2006-08-15 21:08 x
ノゾピーさん、北アルプス遠征お疲れ様でした。多大の成果があったようでなによりです。12日はそちらも遭遇されたと思いますが、凄い雷雨に慌てました。牧草地の真ん中で雷鳴を聞くとチャマどころではありませんでした(汗)。タテハの件、kenkenさんも御明察されているものも含まれます。詳しくはお楽しみということで・・・。
Commented by maeda at 2006-08-15 21:30 x
こちらでは少なくないのですが、意外と敏感でまともに撮らせてもらえません。まだ時間はありそうですが。
ウスイロは分かりませんが、ミズイロは吸水しながら歩き廻っているのを見ております。
その他光物のゼフも同じ行動をとるようです。
Commented by fanseab at 2006-08-15 21:51 x
maedaさん、いつも丁寧なコメント有難うございます。そうですか?光物ゼフもミズイロも似たような行動を取るんですね!今回は脚立に登っての観察で、下から見ただけでは判らない面白い行動を見ることができました。脚立様様でした。
Commented by ainomidori443zeph at 2006-08-16 22:50
オナガシジミの幻光とは!縁毛後光研究家のfanseabさんらしいショットですね!オナガはただ黒いと思っていましたが、素晴らしい発見です。オナガを馬鹿に出来ませんね!
Commented by ダンダラ at 2006-08-17 17:50 x
オナガシジミの開翅、珍しいですね、見たことありません。
ゼフの類は時々葉の上のアブラムシの排泄物などを吸汁しているようです。花にも樹液にも来たのは見たことないので、それがお食事かなと思っているんですが。
Commented by fanseab at 2006-08-17 21:11
愛野緑さん、小生も開翅を撮影して初めてこの蝶の奥深さを知ることができました。わざわざ長野まで遠征した甲斐がありました。仰る通り、先入観で蝶を見たらいけない好例だと思います。
Commented by fanseab at 2006-08-17 21:15 x
ダンダラさん、ミズイロオナガは結構開かないようですが、小生が観察した限りではオナガは、朝方よく開いていました。吸汁の件は、小生も結論出せません。ただ、アップした写真の葉にはアブラムシの類はいませんでした。痕跡があるのかもしれませんね。
Commented by thecla at 2006-08-20 16:55 x
オナガシジミの開翅、いいなあ~。やっぱりゼフは、あなどっちゃいけませんね。
先日、撮影したウラキンも朝、しきりとストローを延ばして葉の上の水滴を吸っているように見えました。アブラムシ類はそうと思って探していないのでわかりません。
来年、気をつけてみる課題が増えました。
Commented by fanseab at 2006-08-20 20:38 x
theclaさん、まいどどうも。緑色系♂の開翅はテリ時間から比較的楽に想定できますが、地味なオナガのようなゼフは開翅のタイミングが明確でないので、苦労しました。そうですか?ウラキンもストローを伸ばしていましたか。ゼフの吸水・吸汁に関するまとまった報告がないので、theclaさんのような観察事例は貴重ですね。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード