探蝶逍遥記

キリシマの構造色を極める(7/30)

 昨日、念願の開翅画像撮影に成功したキリシマミドリシジミですが、撮影してみると、画像の質が今一歩の感が拭えませんでした。で、懲りずに本日再チャレンジです。3時起床、現地5時45分着。天気は良さそうです。実は昨日ご紹介したポイント③で2時間じっくり♂の行動パターンを観察した結果、朝の早い時間帯に限り、目線の高さで開翅が期待できるアカガシが右岸に生えていることに気がつきました。そこでポイント①、②は見向きもせず、ポイント③に直行です。彼らがテリ張りする前に、小生がこのアカガシの前に陣取ってテリを張りました(笑)。

 6時30分、まず右岸奥のアカガシ大木の梢で1頭が活動開始。続いて2頭目が予想通り、目の前のアカガシに降りてきてくれました。しかし、日の当らない所で開翅せずに飛び去ります。そしていよいよ、7時40分過ぎ、待望の1頭が陽射しを浴びたアカガシの葉上に降り立ち、待ちこがれたご開帳です。このアカガシの前には都合の良いことに足場の安定する大岩があって、脚立代わりとして手持ち撮影を可能にしてくれます。この1頭を皮切りに延べ4頭ほどが入れ替わり立ち代り、「ご神木」とも呼ぶべきこのアカガシ近辺にやって来て、開翅シーンを思う存分楽しむことができました。そこで、今回はキリシマ♂翅表が魅せる素晴らしい構造色のバリエーションを皆様にご紹介することにします。

(1)金緑色
ほぼ真横からの撮影で♂が半開翅した状況で見ることのできるCrysoらしい色だと思います。後翅が未だ金属光沢にならず、クロシジミ♂のような鈍い幻光色が観察されます。
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D70S-VR84@400mm, ISO=640, F9-1/1250、-1.3EV、撮影時刻7時43分。

(2)金緑色~サファイアブルーの中間色
ほぼ真横やや前方より見込む時に観察される色。後翅が緑色に輝き始める瞬間です。本日の観察で最も色合いのバランスが素晴らしかった角度です。この色はキリシマが飛翔する時に見せるイメージに最も近似したものだと思います。個人的には本日のベストショットなので、少し大きめの画像を貼っておきます。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F8-1/800、-1.7EV、撮影時刻9時00分。

(3)サファイアブルー:その1
側方から観察していて♂が全開するとき、魅せてくれる色です。まるでモルフォチョウの輝きを連想させますね。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F9-1/1000、-1.7EV、撮影時刻8時08分。

(4)サファイアブルー:その2
 正面やや斜めにキリシマと対峙する際、葉上に止まった♂が開翅をしようと翅を広げかけた時、もしくは強風が吹いてきて、拡げた翅を閉じる瞬間のポーズ。色合いとしてはその1よりは若干明るい爽やかブルー系統でしょうか?裏面の銀白色と翅表のブルーが同時に見える、キリシマならではの素晴らしい観察角度でもあります。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F9-1/640、-1.7EV、撮影時刻8時35分。

(5)パープルブルー
 午前9時を過ぎ、高い梢にテリ位置を移動させた後は見上げるような角度でしか♂開翅を撮影できなくなります。ところが、半開翅状態で、下方から眺めた時、なにやら不可思議な紫がかったブルーが観察できました。この色合い、他のゼフでも観察されるのでしょうか?どなたかご教示頂ければ幸いです。
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D70S-VR84@400mm, ISO=500, F8-1/2500、-1.3EV、撮影時刻9時20分。

 キリシマ♂が魅せる構造色の多様性をお楽しみ頂けましたでしょうか?実際、撮影時にファインダーから覗き込むこれらの素晴らしい金属光沢は忘れえぬものと言えましょう。

 今日も開翅シーン撮影以外はじっくり、♂の行動を観察していました。さきほどご紹介した「ご神木」での日光浴で体温を高めた♂は9時を過ぎると、探♀行動を開始し、テリ位置を梢のかなり高い位置に移動させます。そうして、樹冠から林床にかけて、それこそ舐めるようにアカガシの周囲を飛び回ります。林床に降りてきた際には地上スレスレを飛ぶことがあります。実は昨日、この行動でてっきり腰の高さで開翅が期待できると錯覚しましたが、だまされてはいけません。彼らは下草付近にいるであろう、♀を探しに降りてきているのです。小生も♂にならって、念入りに「探♀行動」を実施しましたが、♀は発見できず、今後の課題になりました。

 ポイント③は10時に撤収。その後、ポイント①付近で再度♂のバトルを鑑賞。昨日より個体数が増加した印象です。ここでは90mmマクロで撮影可能な至近距離での開翅を拝めましたが、レンズを向けるとライバル♂がちょっかいを出す始末。「もう少し個体数が少ないといいのになあ・・・」等と贅沢な愚痴をこぼしました。

 とまれ、2日間好天に恵まれ、念願のキリシマ撮影を思う存分楽しむことができました。本日の成果で、リベンジ率は90%とアップしたことにしておきましょう。来年も素晴らしい飛翔シーンが観察できることを祈って鈴鹿を後にしました。
by fanseab | 2006-07-30 22:06 | | Comments(14)
Commented by 信州りんご at 2006-07-31 19:06 x
fanseabさんこんばんは。はじめまして(^^)
ミドリシジミ綺麗に撮れていますね。
昔集めておりまして、綺麗な蝶を標本にしたいと卵と幼虫を捕ってきて成虫にしてました。ゼフィルスのさなぎは鳴くんですよ。びっくりしました。
写真を拝見して当時を思い出しコメントさせていただきました。
Commented by fanseab at 2006-07-31 20:43 x
信州りんごさん、こんばんは。こちらこそはじめまして。
拙ブログにお立ち寄り頂き有難うございます。
所謂ミドリシジミの類をきちんと撮影するのは、今シーズンからなんですが、その輝きを正確に表現するのは難しいと感じています。逆にチャレンジしたくなる素晴らしい対象です。
今後とも、お気軽にコメントしてください。
Commented by furu at 2006-07-31 22:10 x
角度による輝きの違いを撮り比べる余裕があるくらい良いポイントなんですね。関東での挑戦はあきらめて来年あたり行ってみようかな・・・。
Commented by kenken at 2006-07-31 22:28 x
なにげなくブログに立ち寄ると・・・連チャンですかっ!こりゃスゴイ。
私も2枚目がベストショットだと思いますねぇ。いや、眩しすぎます。
ひょっとして♀の開翅を狙って3連チャンなんてことも・・・(笑)
Commented by fanseab at 2006-07-31 22:43 x
furuさん、まいどどうも。
撮り比べたと言うよりは、陽射しと止まる葉の関係で、個体がまちまちの方向に止まった・・・のが実態です。furuさんなら是非難易度の高い関東品で挑戦されたらどうでしょうか?値打ちは鈴鹿の数倍も高いのでは。
Commented by fanseab at 2006-07-31 22:46 x
kenkenさん、いつも恐れ入ります。連チャンの代償で本日はちと疲れ気味でして・・・。「次は♀の開翅だ!」等と焚き付けないでください(笑)。まずは閉翅で裏面をきちんと撮りたいです。
Commented by maeda at 2006-08-01 18:20 x
キリシマは本当に良い色出ますよね。
なんだか飛んでいる姿を見たくなってきました。
Commented by fanseab at 2006-08-01 22:40 x
maedaさん、今回、いろいろな色を楽しみましたが、♂の全開時、上方から見込む金黄緑色は撮影できませんでした。その意味で表題の「極める」は未達成です。
陽射しの強い林縁よりも、かろうじて陽が差し込むような暗い林床部を複数の♂が追尾飛翔するシーンは絶品だと思います。
Commented by nomusan at 2006-08-03 21:23 x
これでもか!キリシマ開翅、素晴らしいですね~。
>かろうじて陽が差し込む・・・・・・・
これは想像するだけでぞくぞくしますね。見てみたいですわぁ。
Commented by fanseab at 2006-08-03 22:17 x
nomusan、本当に何回見ても見飽きない輝きでした。林縁を飛ぶものとばかり思っていた彼らが、暗い樹林内を飛翔する光景は想定外でしたが、ルビーの雫が輝く光景には思わず立ちすくみました。
Commented by thecla at 2006-08-03 23:35 x
信州から帰ってきたら、キリシマさんじゃないですか。
それもこれでもかっというご開帳。これを見たくて、先日雨の中をさまよった私には眼の毒です。
今年は、もうチャンスが無さそうですが、来年こそは関東のキリシマの金緑色を撮影したいものです。マムシは見たくありませんが(笑)
Commented by ダンダラ at 2006-08-04 19:12 x
あこがれのキリシマの素晴らしい翅表をこんなにたくさん撮影されて、うらやましい限りです。
良い場所を見つけられましたね。じっくりかまえたと言うことはヒルはいなかったのですか。
Commented by fanseab at 2006-08-04 21:01 x
theclaさんはじめ、関東の方が上高地に集結されたように関西勢は鈴鹿に吸い寄せられました(^^) 関東産キリシマのリベンジ期待してます。
Commented by fanseab at 2006-08-04 21:59 x
ダンダラさん、コメント有難うございます。2日間通ったため何とか独自ポイントを見つけることができました。恐れていたヒルには全く遭遇せず、それもラッキーでした。
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