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探蝶逍遥記

カラスアゲハの飼育メモ:パート2

 拙ブログをアップしているエキサイトブログでは、数年前から記事ランキングが掲載されるようになりました。どんな記事にアクセス数が多いか?結構興味深いものがあります。さて、このランキングでトップを維持しているのが、
カラスアゲハの飼育メモ(前蛹まで)』
です。イモムシ画像中心の飼育記事がランキングトップになるのも面白いですが、実は管理人にとって、↑の記事はちょっと中途半端で不満の残るものでした。理由は標題にあるように飼育個体が蛹化に失敗し、羽化まで至らなかったからです。そこでリベンジマッチとして今回新規に飼育をやり直しました。それが今回記事の眼目。

 7月下旬に採卵した3卵(個体#A,#B,#Cとします)を全てコクサギで飼育。3卵共に7月31日に孵化。以下幼生期画像は主として個体#Bで撮影。初齢幼虫の姿です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
カラスアゲハの飼育メモ:パート2_f0090680_2115373.jpg
EM12-Z60(5コマ深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月1日

 体長は3.8mm。初めてカラスを飼育した際にも感じたことですが、外観が緑色を帯びていることが最大の特徴。ナミアゲハとは全く異なります。8月4日に2齢到達。
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EM12-Z60(上段:自動深度合成/下段:8コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月6日

 体長10mm。毎度お馴染みの鳥糞状に変化。全体に「テカリ」が出てきました。8月8日前後に3齢に。下記の画像は個体#Cを撮影。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月8日

 体長13mm。①胸部の微小斑点および、②各腹節背線側に一対の白班(矢印)が出現。この二点が2齢との形質差となります。個体#Bは8月9日前後に4齢到達。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月12日

 体長25mm。鳥糞状からイモムシ状へ変化する過渡期のような斑紋・色調を示しています。8月15日に5齢(終齢)到達。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月18日

 体長45.5mm。緑を基調に全体に白色斑点が散在し、胸部の雲型模様など、カラスアゲハ終齢幼虫は独特な美しさを持っていると思います。8月23日に前蛹へ。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月23日

 体長27mm。前回の飼育ではここから蛹化まで到達しませんでしたが、今回は無事翌24日に蛹化。
カラスアゲハの飼育メモ:パート2_f0090680_21174361.jpg
EM12-Z60(左画像:5コマ/右画像:自動深度合成+トリミング)、ISO=64、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:8月25日

 体長33.5mm。鮮やかな明るい緑色です。緑色型以外に褐色型もあるようです。一見アゲハの蛹に似ておりますが、胸部背面が殆ど突出しないのが特徴。実はこの後、再び悲劇が起きました。↑の蛹画像でご紹介した個体#Bは蛹化時に触覚付近に微妙な傷が発生したらしく、結局羽化には至りませんでした。一方個体#Aは以前と同様蛹化時に異変が起きて脱皮が叶わず死亡。結局個体#Cのみ♀が羽化しました。羽化時期は9月5日頃と推定。所用で羽化直後の撮影は叶わず。
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EM12-Z60、ISO=400、F6.3-1/60、外部ストロボ、撮影月日:9月9日

 前翅長は54mm。今回は3個体飼育したので、何とかフルステージ画像撮影が叶いました。ただ2個体が羽化まで至らなかったのは残念です。やはり前蛹→蛹化の過程は蝶の変態にとっても極めてデリケート、かつ重要な瞬間であることを改めて認識いたしました。
by fanseab | 2017-09-20 21:20 | | Comments(7)
Commented by Sippo5655 at 2017-09-25 21:56
カラスアゲハ、今回は無事羽化してくれて
良かったですね!!
でも、蛹化の時点で2個体が失敗とは、、
私がかつて飼育したアゲハは蛹化の失敗は無かったので
(たまたまかもしれませんが)
カラスアゲハは、アゲハに比べると羽化率が低いのでしょうか。
いろいろと興味深いですね!
それにしても 未完のまま終わらせない姿勢が素晴らしいと思います。
私も、宿題だらけですが、宿題のままのものがたくさんありすぎて^^;
Commented by fanseab at 2017-09-26 21:34 x
Sippo5655さん、お蔭様で何とかリベンジに成功しました。
カラスの羽化率が低いのではなく、各種に応じた飼育ノウハウがあって、それを
小生が知らないことが原因だと思っています。本文に書いた通り、前蛹までの
いい加減な記事がランキングトップに座っているのが、いささか気持ち悪く、今回の
宿題仕上げに繋がりました。
Commented by 為替家 at 2017-10-14 08:28 x
初カラス終齢飼育中です。只今全長約35mmですが、どこまで大きくなるのか知りたく、検索し、当ページに来ました。春型なので成長ここまでかもしれませんが、来年無事羽化する事を願うだけです
Commented by fanseab at 2017-10-14 10:33 x
為替家さん、拙ブログへようこそ。そしてコメント有難うございます。
種類によらず初めての飼育は緊張すると同時に楽しみも大きいですよね。
無事蛹化まで至れば、後は羽化まで寝て待て・・・で大丈夫だと思います。
但し飼育環境(長日環境)によっては、年内羽化もあり得るので、念頭に
置かれておくとよいと思います。
Commented by Mai at 2020-08-06 10:16 x
初めまして。カラスアゲハの幼虫画像を検索してこちらにたどり着きました。10年以上前からナミアゲハ飼育をしていますが、今年初めてナミ以外の産卵があり、クロかと思っていたのですが、現在2齢くらいで薄緑でクロほど大きくないので、ひょっとしてカラスではないかと思い始めています。名古屋中心部に住んでいるのでカラスアゲハなんているのだろうか?とちょっと疑問ですが。孵化が8/1なので、こちらの記事の幼虫さんとほぼ同じ成長過程をたどるのだろうと思います。羽化を楽しみに育てます。お邪魔しました。
Commented by fanseab at 2020-08-07 21:05
Maiさん、拙ブログへようこそ!
ナミアゲハを多数飼育されているなら、初齢→各齢幼虫での色変化の差異に直ぐに
気付かれたはずです。今後が楽しみですね。名古屋市内でも東側に大規模な緑地帯
、例えば猪高緑地、明徳公園があり、ここでは普通にカラスが飛んでいるようです。
カラスアゲハもミヤマカラスも結構飛翔力があるので、市内中心部に飛来すること
もあるでしょう。事実、以前名古屋城内でカラスアゲハの幼虫が発見されたとの記録
もあります。
Commented by Mai at 2020-08-08 00:14 x
ありがとうございます。初齢でナミではないと思いましたが、市内で飛んでいるのを見かけるのはナミかクロなので、まさかカラスとは思いませんでした。言われてみれば、東山公園や平和公園もあるし、長距離を飛べるということでしたらそういうところから来たのかもしれません。各齢の写真は貴重です、とても参考になりました。
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