探蝶逍遥記

コミスジの飼育メモ:幼生期の長い事例

 去る5月下旬、オナガアゲハの産卵シーンを撮影した当日、現場の林道でコミスジの産卵も目撃しました。フジの葉先に産み付けられた卵を拡大撮影用に持ち帰り、フジで飼育しておりました。コミスジは2015年10月に飼育実施済で、その際の飼育メモ(クリックでジャンプ)はこちらです
 夏場の飼育では科・種類によらず、孵化後概ね1ヶ月で成虫が羽化します。上記事例でも孵化後38日で♀が羽化しました。ところが、今回は幼虫期が長く、結局♂が羽化するまでの時間は異例の62日。これには驚きました。採卵した卵の超拡大像です。

+++画像はクリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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EM12-P1442@42mm-P14R(16コマ深度合成+トリミング)、ISO=64、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:5月23日

 卵直径(棘皮を含む最大径)は1.1mm。孵化後経過日数を前回飼育品(括弧内表示)と比較してみました。
2齢到達   4日(4日)
3齢     10(17)
4齢     15(39)
5齢     20(47)
蛹化    28(55)
羽化    38(62)

 初齢期間および4齢以降の経過日数は両者ほぼ同じですが、それ以外のステージで極端な差が出ました。飼育環境は室内の薄暗い場所で、前回とさしたる変化はありません。
 幼虫画像は撮影せず。蛹画像を前回と比較してみました。
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EM12-Z60(自動深度合成+トリミング)、ISO=200、F5.6-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月23日(右画像は2015年10月撮影分)

 一般に同一種類であれば幼生期の長い個体ほど、より大きく成長することが知られております。今回飼育品の体長は16.5mm、前回は15.2mmで♂♀差を考慮すると、やはり今回個体はやや大き目の感じがします。ただコミスジ蛹としては個体変異の範囲内かもしれません。7月28日に羽化した♂画像です。
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EM12-Z60、ISO=200、F6.3-1/50、外部ストロボ、撮影月日:7月28日

 前翅長27mm(因みに前回飼育品は25mm)。羽化に気付かず、暫く飼育プラケース内で暴れていたため、羽化直にしては翅が痛んでしまいました。
 蝶の飼育をしていると、時々常識から外れた行動を取る個体がおります。今回のコミスジ飼育でもちょっぴり驚かされました。
by fanseab | 2017-08-03 20:58 | | Comments(4)
Commented by Sippo5655 at 2017-08-04 21:42
いつも詳細に記録をとられていて・・・
感心しきりです。
でも、記録って、大切ですよね。
私は撮影日誌だけはつけています。
その日の天候と最低気温、最高気温も添えて。
幼少期が長いほど成虫は大きくなる・・・
先日出歩いた場所では、やたら小さいヤマトシジミやツバメシジミが目立ちました。
今季はなんだか季節の巡りが変ですよね。
アカハネナガウンカは私もまだ見ていません。
Commented by clossiana at 2017-08-05 16:58
同じ種を同じ環境下で育てても、これほどの差が出るのは不思議ですね。
この卵を得られた場所での自然状態の個体はどうなんですかね? 現地では、すでに一ヶ月以上も前に羽化しているのだとすれば前回の飼育時が短日条件下で今回が長日条件下であるという差も、要因の可能性から排除出来て、やはり“個体差”ってことしか考えられないような気がします。
Commented by fanseab at 2017-08-05 21:29 x
Sippo5655さん、今回のコミスジは既に以前、きちんとした飼育メモを記録して
いたので、ラフな記録しか残していませんでした。しかし、想定外に幼生期が
長かったので慌てて記録を見直して記事として残すことにしました。
今頃出るヒメウラナミジャノメはベニシジミをちょっと大きくした位の個体です。
5月に出る第1化と比較すると、同じ種類ではない位サイズが異なります。
特に幼虫越冬の場合は、幼生期の長さの差が極端に出るように思います。
Commented by fanseab at 2017-08-05 21:32 x
clossianaさん、この個体が羽化した時期に現地に行った所、コミスジ第2化の
ピークでした。ですから幼生期が比較的長いのは現地の個体群固有のものかも
しれません。短長日条件差がどうなのか?はよくわかりません。
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