探蝶逍遥記

オオヒカゲ♀の終焉(9月下旬)

 ブログ仲間のCさんよりオオヒカゲ♀産卵適期の情報を頂きました。ポイントの北関東までは拙宅から結構距離があり、躊躇したのですが、思い切って出かけてきました。蝶撮影目的で北関東へ出撃するのは初体験。東北自動車道を使うのも本当に久しぶりです。予想通り渋滞に嵌って現地附近には正午過ぎに到着。オオヒカゲの産卵は夕方なので、暫くは別ポイントをブラブラ・・・。しかし大した成果もなく、オオヒカゲポイントへは13時45分に到着。すぐに数頭のオオヒカゲが登場、先ずはホッとしました。 

+++画像は原則クリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
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D71K-34VR(トリミング),ISO=400、F9-1/400、-0.3EV、撮影時刻:13時58分 

 羽ばたきは弱々しいですけど、高所を飛んで葉上や樹上に止まり、開翅日光浴をしておりました。吸水をしている個体もいてビックリ。
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D71K-34VR(トリミング),ISO=400、F9-1/400、-0.3EV、撮影時刻:14時04分 

 オオヒカゲの吸水シーンは♂♀問わず初体験です。当初♂と思いきや、後翅翅脈形状からやはり♀でした。産卵活動に必要な養分を吸収しているのでしょうか? 14時40分頃、♀個体がフラフラ上空から降りてきて、茎に掴まり翅を震えさせる動作を開始。
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D71K-34VR,ISO=400、F9-1/250、-0.7EV、撮影時刻:14時41分 

 さては産卵がスタートしたか!と色めき立ちましたが、止まっているのは枯茎。それに腹端も付けておりません。その後、葉上に移動し、今度こそ産卵かと思わせました。
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D71K-34VR,ISO=400、F9-1/250、-0.7EV、撮影時刻:15時11分 

 しかし、ここでも腹端を付けておらず、産卵はしない様子。暫く他の個体を探索した後、さきほどの個体を探すも姿がありません。どこへ隠れたのか、視線を動かした先に有った姿にビックリ。何と水面に翅を全開させて浮いておりました。
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GX7-P8,ISO=200、F14-1/50、外部ストロボ、撮影時刻:15時37分 

 活動の最終盤で弱っており、誤って水面に落ちたのでしょう。水の表面張力に抗して必死に飛び上がろうとしても、その力が残っておらず、無残な姿を晒していたのだと思われます。撮影中、彼女はついに翅を閉じてしまいました。
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GX7-P8,ISO=200、F14-1/40、外部ストロボ、撮影時刻:15時42分

 完全にこと切れたかと思い、手で母蝶を掬い取ると、微かに未だ力が残っていたので、地上の茎に移して止まらせました。オオヒカゲの食草であるスゲ類が生えているのは基本的に湿地。母蝶は6月の羽化以降、凡そ3ヶ月以上生き延びて9月に産卵をします。最後の産卵を終え力尽きた母蝶は、沼の水面に浮かんで最後を迎える個体も多いのでしょう。丁度、10年前の9月。三重県鈴鹿山中でキリシマミドリシジミ♀の終焉を観察して感動した(外部リンク)ことを思いだしました。渓谷の水面に朽ち果てて浮かぶ、キリシマ♀のブルー班が未だに目に焼き付いております。

 今回は残念ながらオオヒカゲ♀の産卵シーンを撮影できませんでしたが、♀の最後を見届けることができて、満足しております。なお、オオヒカゲの産卵は通常16時前後らしいのですが、今回、現地気温の推移を持参した温度計測ロガーで確認したところ、14時30分で25℃、15時57分で22℃と夕方に向けて低下傾向を示しました。実際、14時過ぎから陽射しが急に弱まり、オオヒカゲの活動もパタッと止まったのです。恐らく産卵には最低25℃程度の気温が必要なのかもしれません。後日、情報提供頂いたCさんは13時30分頃の産卵シーンを撮影されています。恐らく残暑が残る9月中旬頃で、日照(照度)・気温が問題ない条件では16時頃に産卵時間帯のピークを迎え、そうでなければ、午後の比較的早い時間帯に産卵行動を開始するものと思われます。「オオヒカゲの産卵は夕刻16時頃・・・」の固定観念に囚われたことを反省しております。本種産卵シーン撮影は来シーズン以降の課題としましょう。
by fanseab | 2016-10-20 21:50 | | Comments(4)
Commented by clossiana at 2016-10-21 16:35
産卵シーンは残念したが、でもあの5枚目のシーンは衝撃的でした。あんなことが起こるとは。。
ああいう場面は産卵なんかよりもずっと稀で誰も見たことがないような気がします。
貴重な場面の撮影、おめでとうございます。
fanseabさんも仰られていますように。。
◎産卵を終えた母蝶の最後の姿だったのか、
◎もしくは産卵途中に気温が下がり始めて動けなくなり、何かの拍子に落ちてしまった。
のかな?などと推測しています。
北海道などでは羽化した蝶は交尾に続けて産卵も開始するようですから関東とでは大分、様子が違います。その辺りの生態の違いも大変に興味深いです。
Commented by fanseab at 2016-10-21 21:19 x
clossianaさん、色々と有難うございました。
5枚目のシーンは起こっても不思議はないのですが、まさか水面に浮いて
いるとは思わず、周辺を探しまくりました。蜘蛛の巣に引っかかって討死
する場面も無残ですが、それ以上に蝶の一生の悲哀を感じさせる場面
でした。
Commented at 2016-10-21 22:20
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by fanseab at 2016-10-22 21:46 x
鍵コメさん、このような場面は狙って撮れるものでもないし、積極的に
撮りたいシーンではありません。しかし、例えば海岸付近を生活圏にして
いる種類だと、海の上に浮かぶ場面も想定できます。その個体を魚が
食べて、またその魚は水鳥に食われる・・・生物連鎖を実感させる
シーンになるでしょうね。
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