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探蝶逍遥記

ビロードハマキ(9月下旬)

久しぶりに蛾の話題です。以前から一度は観察したかったド派手な蛾、ビロードハマキ(Cerace xanthocosma)を拙宅近くのマンション植え込みで発見。

+++画像は原則クリックで拡大されます(モニター環境に依存)+++
ビロードハマキ(9月下旬)_f0090680_163530.jpg
D71K-85VR,ISO=200、F10-1/100、外部ストロボ、撮影時刻:15時45分

 白班の大きさ・密度から♀のようです。前翅長は26mm。クスノキの葉に下向きに止まっていました。遠目からも違和感があり、近くで見てもやはり異様な姿です。そもそも頭部が上にあるか?下にあるのか?ちょっと見、迷うデザインですね。2日後、成虫が飛び去ってから同じ場所を訪れてみました。恐らく蛾が静止していた場所は巣に違いないと思い、その確認が目的です。先ずは全体像。
ビロードハマキ(9月下旬)_f0090680_1634275.jpg
D71K-85VR(トリミング),ISO=400、F10-1/125、外部ストロボ、撮影時刻:14時12分

 クスノキの葉4枚を結構厳重に綴っています。開封してみると、蛹殻が確認でき予想通り、ビロードハマキ終齢幼虫が使用していた巣でした。
ビロードハマキ(9月下旬)_f0090680_1635948.jpg
D71K-85VR(4コマ深度合成+トリミング),ISO=400、F10-1/125、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時12分
 
 蛹殻の体長は23mm。真っ黒な終齢幼虫頭殻も確認できました。吐糸の量も半端なく多く、繭と言っても過言ではない造巣形式ですね。他にも同じ巣がないか?チェックすると、もう一つ蛹殻が残された巣を発見。
ビロードハマキ(9月下旬)_f0090680_164244.jpg
TG4@18mm(トリミング),ISO=100、F2.3-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時53分

 こちらの蛹殻全長は17mm。少し小さいので、♂の蛹殻でしょうか。更に同じ株から別の巣を発見。
ビロードハマキ(9月下旬)_f0090680_1644271.jpg
D71K-85VR,ISO=400、F8-1/160、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時19分

 こちらは手の届かない高さなので開封はしておりません。茶色に変色したクスノキの枯葉が樹上で不自然に残っていれば、彼らの巣のようです。それでは他の株からも巣がみつかるのか、ざっと10本ほどクスノキ株を検しましたが、全く巣を発見できず、個体数はそれほど多くないようです。この近辺は30年ほど連続観察している場所ですが、ビロードハマキを発見したのはこれが初めて。ネット上で調べると東京近辺では2003年頃を境に急速に個体数が増加しているとのこと。理由として「地球温暖化」なる安直な用語が使用されています。ただ管理人は食樹の一つ、クスノキが街路樹や庭園植栽として分布・拡大したことが東進(北上)化の一因だろうと考えています。現時点での北限は福島県南部。ホストを同じくするアオスジアゲハの生息北限が青森県なのに対し、緩やかな北上モードになっています。越冬態はアオスジが蛹、ビロードハマキが幼虫。やはり耐寒性の観点からアオスジアゲハが有利なのでしょうね。
by fanseab | 2016-10-05 22:53 | | Comments(0)
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