探蝶逍遥記

アンディ・マレーを悩ませた鱗翅目の正体

 先日行われた全米オープンテニスで我が錦織選手が格上の宿敵、アンディ・マレー選手を破り、準決勝に進出しました。錦織選手にとっては快挙と言って良い戦いでした。
 さて、この試合で話題になったのが、マレーがメンタル面で相当神経質になったこと。その一因として、試合中コートに闖入してきた「蛾もしくは蝶」が影響したと報じられていました。管理人はテニスの試合観戦も大好きなので、ちょっと気になって、問題とされた「鱗翅目」を調べてみました。
 この時代、やることは唯一つ。ググって画像検索にかけることです。やはり凄いですね。一発で、ヒントになる画像や動画が検索に引っかかりました。それが、下記の二つ。
※いずれも時間経過でリンクが切れることもあるのでご承知置き下さい。
(1)ネット付近の飛翔画像(外部リンク
(2)コート上でのたうち回る動画(外部リンク)
 共に撮影者は恐らく会場内に詰めていたスポーツカメラマンなのでしょう。時速200キロ超のサーブを常時撮影しているので、ネット際を飛ぶ鱗翅目の飛翔撮影など、お手の物のようです。(2)はGIF動画のようにも見えますが、高速度動画からの切り出し動画かもしれません。いずれにせよ、凄い解像度で写っています。これだけ鮮明な絵があれば、同定は比較的簡単でした。管理人の同定結果は、

オオアメリカモンキチョウ(Colias eurytheme)の黄色型♀

です。間違いあればご指摘願います。試合会場はニューヨーク市内の公園内。この近辺で観察できるColias属普通種は下記2種に絞られると思います。
①オオアメリカモンキチョウ(C.eurytheme
②アメリカモンキチョウ(C.philodice
 共に♂♀斑紋は異型。♂は国産高山蝶、ミヤマモンキチョウ(C.palaeno)同様、前翅外縁黒帯中に淡色斑紋が出現しません。一方、♀は国産モンキチョウ(C.erate)同様、当該黒帯中に黄色(白色)班が出現。①の♀は黄色型と白色型が存在し、両種は酷似。更に外縁黒帯の巾や斑紋は相当個体変異があるようです。管理人は後翅外縁黒帯の出方が著しい点に着目してオオアメリカモンキ♀と判定いたしました。

 いずれにせよ、マレー選手にとって、このモンキチョウは試合の流れを変えた「悪魔の使者」に見えたでしょうし、逆に錦織選手にとっては「勝利の女神」になりました。残念ながら準決勝ではモンキチョウが飛ばなかったこともあって(爆)、錦織選手は、バブリンカ選手に敗けてしまいました。来年の奮闘に期待したいと思います。
 今回の「チョウチョ闖入事件」を受けて全米オープン主催者も今後『公平・円滑な試合運営』目的で、ボールボーイに網を持たせるかもしれません。試合中コートに転がったテニスボールを、脱兎の如く素早く回収するボールボーイ(ガール)達は見ていて感心しますが、同じ素早さで蝶をネットインできたら拍手喝采ですね。ただ、北米産モンキの飛翔速度は相当速いと聞いております。実施するにはボールボーイ達に対し、周到な事前訓練が必須でしょうね。
 思わぬ事件で、北米産Colias属の知見を増やして頂いたマレー選手に感謝です!
by fanseab | 2016-09-14 22:51 | | Comments(2)
Commented by otto-N at 2016-09-15 09:58 x
全米オープンはWOWOWでしか放送されなかったので観ることができず残念でした。
それにしても、ググって検索し種名を明らかにするとはさすがです。
週末は、ほとんどテニスですが、午後になるとコートにイチモンジセセリがテリ張りにやってきます。
飛翔を撮ろうとしていますが、負けっぱなしです。
Commented by fanseab at 2016-09-15 20:47 x
otto-Nさん、いつもテニスで鍛えている貴殿ならば、飛翔撮影で蝶を追跡するのも
楽なはずですね。小生など、息が切れて通常の飛翔撮影はそろそろ撤退しようと
しております。モンキがコートに飛び込んで来た場面は録画で見たいと思っております。
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