探蝶逍遥記

雑踏の片隅で命を育むアオスジアゲハ(7月中旬)

 先日、買い物先の川崎市内で、クスノキ葉裏に付いたアオスジアゲハの蛹を偶然発見しました。「偶然」と書いたのは嘘でして、実は5年前位からビルを背景にしたアオスジ蛹の絵を撮りたくて機会を伺っていたのです。残念ながら発見した日はカメラの持ち合わせが無く、後日再訪することに。ところが翌日は土砂降りで断念。2日後に勇躍現場を訪れてガックリ。既に中身は無く、無事大空に飛び立った後でした。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
f0090680_14104876.jpg
GX7-P8,ISO=200、F22-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時18分

 発見時に黒化は確認できなかったので、数日間は羽化しないと見込んでいたのですけど、読みが甘かった(^^; 蛹殻が付いている場所は高さ3mほどあり、一脚にミラーレス一眼を付けてのリモート撮影です。撮影時には気が付かなかったのですが、注目していた中央左の蛹殻の右上に、もう1頭の蛹殻が付いておりました。反対側からも撮影。
f0090680_14113382.jpg
GX7-P8,ISO=200、F22-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時21分

 ムチャクチャ人通りの多い場所でして、一脚を伸ばしながら撮影している管理人に訝しげの視線を向けながら、皆さん通り過ぎていきます。こうした厳しい視線にもめげず、泰然自若な姿勢で臨まねば、街角での画像採集はできません。↑の絵から少し引き気味の絵を撮ってみました。
f0090680_1412412.jpg
GX7-P8,ISO=200、F16-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時22分

 何と、3頭目の蛹殻(矢印#1)と2齢と思しき幼虫(同#2)も写っておりました。この実生はアオスジの蛹化にとってよほど好都合な場所だったのでしょう。
 中身の無い蛹殻だけでは悔しいので、同じようなクスノキ10株ほどをチェックしてみたのですが、結果は坊主。この手の蛹は真面目に探索しようとすると意外と発見できないものですね。仕方なく、腰の高さにあった実生に付いていた初齢幼虫を撮影。
f0090680_1412338.jpg
GX7-P8,ISO=320、F14-1/60、-0.7EV、撮影時刻:11時40分

 排気ガスまみれの環境ですが、アオスジは問題なく、生活できます。ついでに昨年秋に同一ポイントで撮影した終齢幼虫の姿もアップしておきましょう。
f0090680_14125631.jpg
D71K-10.5,ISO=100、F13-1/320、-0.7EV、撮影時刻:11時05分(2015年10月下旬)

 地面から約30cmに生えている実生に付いておりました。自らの台座とした葉以外は殆ど全て爆食した状態です。この時期は越冬世代の幼虫ですから、これから蛹化までに必要な葉は株の上部に戻って摂らねばならないでしょう。撮影の数日後、現場を訪問したところ、実生毎全て無くなっておりました。定期的な剪定で除去された様子。
 市街地に植えられた街路樹で、概ね高さ2m以内に出てくる実生は「美観上の観点から」悉く剪定で除去される傾向にあります。4枚目でご紹介した初齢幼虫も、何齢まで生き延びることができるのか?全て剪定のタイミングとの勝負になります。どんなに排気ガスまみれの環境でも、どれだけ雑踏や赤提灯の中であっても、クスノキさえあれば、アオスジは逞しく生きていくことができます。ただ彼ら、特に幼生期にとって、一番の大敵は剪定行為と言えましょう。
by fanseab | 2016-07-19 20:55 | | Comments(4)
Commented by Sippo5655 at 2016-07-21 22:13
本当にアオスジって、都会の蝶と言われるだけあるのですね!
私はまだ成虫しか見たことがありません。
街中で、人通りの多い場所でカメラを向けるのって
本当に勇気要りますよね。
私はその圧力にもめげずにカメラを向けたのは
12月初旬のアカボシゴマダラ羽化直でした。
剪定も草刈りも、人間のための管理である以上
仕方ないですよね・・・
生まれたからには、今与えられた環境で
精一杯生き抜いて欲しいと思います。
Commented by clossiana at 2016-07-22 15:34
都会でたくましく生きていますね。
人通りの多い街で、しかも3mの高さの蛹殻なら、撮るための技術や装置の他に仰られておられますように気持ちの持ち様が大切なんでしょうね。
私の場合は、なかなか泰然自若とまでは、なれないですが慣れてしまうと図々しくなることは出来るのだと気付かされました。
毎年、公衆トイレ内で越夏しているヒオドシを見に行くのですが当初はトイレ内にカメラを持ち込むこともビビッていましたが、この頃はスキを見計らって脚立を持ち込んだりしています。我ながらジジイになるって恐いものだと思い知った次第です。
アオスジの母蝶は産付場所として新芽や新葉を好みますが、それは実生やひこばえに多く、街路樹であれば剪定される運命です。でも剪定されることによって、やがてはまた実生やひこばえが育ってきます。その繰り返しですが、もともとクスノキは人為的に持ち込まれた種だとの説もあるようですから、その場合は功罪相半ばかもしれません。
Commented by fanseab at 2016-07-22 21:21 x
Sippo5655さん、普通種でもアゲハの食樹は都会のど真ん中にはないので、
アオスジの方が都会にマッチしてますね。
今はSNS等で変な噂があっという間に拡散するので、雑踏で不審な行動をするのは
相当勇気と覚悟が要ります。適度な剪定はアオスジにとって好都合なので、
痛し痒しといったところでしょうか。
Commented by fanseab at 2016-07-22 21:26 x
clossianaさん、アオスジの持つ飛翔力は都心の中でクスノキを探索したり、雌を
探すのに役に立っていて、それで、逞しく生きていけるのだと思います。
まぁ、街中での撮影は警察沙汰にならない範囲で自由にやればいいのですが、
つい夢中になって、人様に迷惑をかけないように心掛けねばなりません。
今話題になっている「〇ケ△ンGO」に夢中になる若者を見ても、他山の石とせねば
なりませんね(笑)
名前
URL
画像認証
削除用パスワード