探蝶逍遥記

ウスバシロチョウの産卵行動(5月中・下旬)

 風薫る五月、五月晴れの空に映えるのは、やはりウスバシロの舞。今年も♀産卵シーンにチャレンジしてみました。最近通い詰めている東京都下の谷戸に都合3回出動。
 先ずは中旬に第1回目のトライ。この日は午前9時40分現地着。快晴で正午の気温は28℃に達しました。しかし、10時を過ぎてもウスバシロの姿はなし。全ての蝶発生が早い今年、ひょっとしてバシロの発生も終わったか・・・、とちょっと心配になりました。それでもようやく10時40分頃♀が登場してくれてホッと一息。ハルジオンでの吸蜜シーンです。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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GX7-Z12、ISO=200、F3.2-1/5000、-0.7EV、撮影時刻:10時43分(初日)

 この♀をマークするつもりでしたが、どこかに雲隠れ。その後3♀を発見するも午前中は産卵行動なし。昼過ぎまでは、♂飛翔シーン撮影等をしつつ♀が産気付くまで待ちます。
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GX7-Z12(トリミング)、ISO=400、F5-1/3200、撮影時刻:12時09分(初日)

 正午前、ハルジオン上で♂(画像下の個体)に迫られて悲鳴を上げている(?)♀を発見。
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D71K-85VR、ISO=200、F6.3-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時57分(初日:5月中旬)

 しつこい♂の攻撃をかわした♀は暫くしてようやく産卵行動をスタート。低い飛翔高度を保ちながら、急に下草に舞降ります。下草伝いに地面に降りて、産卵場所を探索しているシーンです。
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D71K-85VR、ISO=200、F8-1/500、-0.7EV、撮影時刻:12時10分(初日)

 この時は気に入った場所がなかったのか、産卵はせず、再度浮上した後、2回目も産卵を回避、3回目にようやく好みの場所が見つかったようで、産卵してくれました。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F8-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時11分(初日)

 概ね、茂みのややこしい場所に入り込むので、側面からの撮影を諦め、偶々ポッカリ空いた茂みの隙間を通して上方から撮るしか方法がありません。これがウスバシロ産卵シーン撮影の最大の難点です。しかも、↑は産卵直後に腹端を離した状態の絵。同様な産卵行動モードを取るヒメウラナミジャノメ同様、普通種の中でも撮影が最難関の種と言えましょう。この後、4回目の産卵行動で茂みに潜り込んだ際、この個体の姿を見失ってしまいました。それでも4回、連続的に産卵行動を取ったので、撮影チャンスに恵まれました。産卵直後の卵の拡大像です。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F9-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時21分(初日)

 ノシラン(Ophiopogon jaburan)と思しき常緑性草本の葉裏に産み付けてありました。産卵直後は淡いピンク色を呈していて、産卵時に使用された接着物質が未乾燥の状態にあります。超拡大像は以前撮影済ですが、上手く撮れていなかったので、再撮影。
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GX7-P1442@42mm-P14R(トリミング+上段5コマ/下段4コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:13時58分(初日)

 直径1.55mm、高さ0.78mm。時間経過と共に卵はピンク→ベージュ色に変化していきます。この時点では精孔部にまだ赤い色素が残っているようですね。真球かつ表面が平滑な他のアゲハ類とは一線を画した微構造を有し、超拡大撮影したくなる対象です。

 結局、初日は正午以降、午後2時まで粘るも♀は全く産卵行動を示さず、仕方なく帰宅。1週間後に再チャレンジ。しかし、この日は朝からドン曇り。正午の気温は24℃。9時30分~14:00まで粘るもウスバシロの姿はなし。流石に発生は終わったかと思った終了間際、ようやく1♀が舞い降りましたが、すぐに樹冠に消えました。気温がある程度あっても、日照に恵まれないと産卵行動のトリガーがかからないことを実感しました。

 翌日、晴間が期待できるので、3回目のチャレンジ。この日は朝から快晴で、正午の気温は29.9℃まで上昇。10時丁度に1♀が樹冠から下草に舞い降りました。この日は全体で3♀を確認。結構黒化した個体もおりました。その子の吸蜜シーンです。
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D71K-85VR、ISO=200、F9-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時13分(3日目:5月下旬)

 気温が高いと直ぐに翅を閉じるので、このような全開吸蜜シーンって、結構撮り難いのですよ。狙いを付けたのはこの子ではなく、比較的白い個体。10時15分に最初の産卵行動がありました。しかし、撮影不可能な草叢下だったので撮影は断念。草叢から再浮上した♀は悔しいかな、♂の攻撃を受けてしまいました。
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D71K-85VR、ISO=200、F9-1/320、-0.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時17分(3日目)

 下草に逃げた♀(右側個体)を♂が必死に追跡して格闘しております。ようやく♂から逃れた♀は暫く草上で休憩。その後吸蜜行動を取りますが、直ぐには産卵行動に移りません。♂からの求愛拒否行動で体力を相当消耗するのでしょうね。結局♂の攻撃から逃れて30分経過後に、ようやく2回目の産卵行動。今回は草丈が低かったのですが、産卵したかは確認できませんでした。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F10-1/320、外部ストロボ、撮影時刻:10時48分(3日目)

 草叢から這い上がった♀は暫く日光浴。その後は全く産卵行動を示さず、こちらも痺れを切らして13:00に撤退。初日に出会った♀は連続的に産卵行動を取ったのですが、3日目の個体は産卵間隔が異常に長く辟易しました。産卵間隔時間差は単なる個体差なのか、あるいは卵巣内に残存する卵数に依存しているのか、興味のある点です。結局、2年連続でウスバシロ産卵シーンをトライしたものの、2009年に撮影した画像の質を凌駕できておりません。参考のため、2009年撮影画像もご紹介しておきます。
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D90、ISO=200、F9-1/200、-1.0EV、内蔵ストロボ、撮影年月日・時刻:2009年5月10日、9時52分

 当然ながら、ウスバシロ産卵シーンは、来シーズンに再リベンジ予定です。
by fanseab | 2016-05-26 20:16 | | Comments(2)
Commented by clossiana at 2016-05-27 14:38
仰られていますように産卵の際に潜り込むタイプの撮影は難しそうですね。いずれもfanseabさんならではの作品だと思いました。私はいつも偶然任せというか行き当たりばったりですので、こういう努力の賜物のような絵は無理です。ところで卵が産付されたものが色合いから草本のように見えます。こういうものにも産むのですね。。知りませんでした。
Commented by fanseab at 2016-05-27 21:04 x
clossianaさん、本文に書いたように産附されたのは常緑草本です。小生も
これまで枯枝や枯葉の事例しか観察したことがなく、初体験です。ただ、
産卵対象は例えばコンクリートやペットボトルのような人工物でも構わず、
産み付けるのではないか、と想像しております。要は卵の周囲が日陰で、
ある程度の湿った環境が産卵場所選択のポイントになっているようです。
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