探蝶逍遥記

アオスジアゲハの産卵(5月上旬)

 拙宅付近に棲む平地性アゲハ類の中で、唯一産卵シーンをゲットできていなかったのは、今回取り上げるアオスジアゲハです。♂♀共に俊敏なこのアゲハ、♀産卵シーンは何回か目撃しておりますが、撮影には至っておりません。今回は一念発起して、下記に示すように、6日間を費やしてトライしてみました。以下、撮影順に画像をご紹介します。撮影地は川崎市内の拙宅から徒歩圏内にあるマンション付近。植栽のクスノキにやって来る個体を狙いました。

+++画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F9-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時46分(初日)

 これは午前中にクスノキにやってきた個体(右下囲みは卵付近の拡大像)。赤い新芽を好み、茎や葉裏に産み付けていきます。この事例では前後ショットのEXIF情報から計算して、着地から産卵終了までわずか2.5秒。2秒弱で完了することも多く、本当に厳しい撮影対象です。管理人は産卵シーンに対して独自の自己評価基準を持っています。つまり、「尾端と卵の同時写し込み」が出来て、初めて『A級ショット』と判定しています。故に↑の画像はB級ショット。産卵の直前にシャッターが切られてしまっています。次は2日目の画像。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F9-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時05分(2日目)
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F9-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時07分(2日目)

 クスノキには多数の実生(ヒコバエ)がありますが、母蝶は幹から直接顔を出しているような真っ赤な新芽を好む傾向にあります。1枚目は将にそのような状況で、幹に直接産み付けたようなポーズを取っております(実際に産んだか否かは未確認)。2枚目はバランスよく仕上がりましたが、いかんせん遠過ぎます。これも産卵直前にシャッターを切っていて卵は写し込めておりません(^^;  次は4日目の撮影分。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F8-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時36分40秒(4日目)
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F8-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時36分44秒(4日目)

 一枚目は産卵場所を探索する母蝶。この4秒後のショットが2枚目。空抜け画像なので、発色が悪いです。これまた卵と腹端の同時写し込みには失敗。最後に5日目の画像。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F8-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時56分(5日目)

 これまたやや遠目のショットですが、ようやく光の周りが良く、今回写した中でのベストショット。そうは言っても卵は写っておらず、『A級ショット』を求めてリベンジマッチが必要ですね。

 今回は産卵時間帯を探索するため、相当労力をかけての撮影となりました。マンションの植栽クスノキは合計50本ほどあり、このうち、東側・南側の約20本に着目し、両側約100mの距離をトランセクト調査法のように、ゆっくり往復歩行し、回遊産卵して来る母蝶を待機する作戦。以下探索時間帯・天候等のメモです。

初日:10:30-12:00、晴れ
   10:46産卵撮影
2日目:13:00-15:10、曇り21℃
   14:03-07産卵撮影
3日目:10:30-12:00、14:15-15:10、晴れ強風
   ♂テリ張り行動のみ観察、♀坊主
4日目:10:45-12:15、13:30-14:00(降雨中止)、曇り21.5℃、東風強い
   13:36産卵(撮影失敗)
5日目:9:30-11:00、12:00-15:30、快晴、風強い、24.5℃→29.9℃
   産卵9:36、9:56(撮影)、10:30の3回観察
6日目:9:25-11:15、13:00-15:45、快晴→晴れ、風やや強い、25℃→28.9℃→25℃
    9:47(吸蜜含む)および10:12/10:30の3回産卵観察(14:10に♂吸蜜)

 観察時間の合計は17時間40分。そこで出会った母蝶の産卵行動合計時間は僅か10分弱。文字通りの「骨折り損の草臥れ儲け」でした。少なくとも午前9時30分~11時頃に産卵時間帯のピークがあるように思います。正午前後はこちらがランチタイム休憩しているので、産卵するのかは不明。以前真夏の第3化?の産卵シーンを目撃したのはいずれも午後2~3時頃で、今回も1時30分過ぎおよび2時過ぎに観察・撮影しており、この時間帯に2回目のピークがあるように思えますが、確証はありません。予想通り、強風が吹き荒れる日は産卵行動を中止するようです。
 撮影地のクスノキは年に数回、定期的な剪定が実施されます。晩秋に必ず一回実施される剪定作業で、アオスジ越冬蛹の多数個体が犠牲になるはずですが、当該剪定のお蔭で、5月初旬頃には大量の実生が株に付きます。第1化母蝶発生個体数は少ないものの、2化世代の発育にとっては好ましい状況を提供するのです。一方、夏場の剪定前はクスノキの成葉が物凄く茂って、アオスジ産卵シーンの撮影は葉被りで苦労します。そんな背景もあって、今回第1化に注目して撮影にトライしたのです。しかし、個体数が♂♀共に非常に少なく、撮影をより困難なものにしてしまいました。
 最終日に観察した産卵シーン直後に、園芸植物で吸蜜する母蝶の姿もアップしておきましょう。
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D71K-34VR、ISO=400、F8-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時48分(6日目)

 白い園芸植物はセリ科のホワイトレースフラワー:別名ドクゼリモドキ(Ammi majus)でした。セリ科と言えば、多摩川の河川敷にはこの時期、ハナウド(Heracleum moellendorffii)が沢山咲いています。しかし、ハナウドにアオスジ第1化がやって来たのを見たことがありません(※)。同じセリ科でも選好性があるのですね。ドクゼリモドキは地中海原産だそうですから、地中海沿岸に棲んでいないアオスジが遠目から吸蜜源として選好できるのも大変不思議です。

※5/22追記:
 先日、ハナウドで吸蜜するアオスジを目撃しました。小生の経験不足だったようです。但し、ハルジオンとハナウドが共存している環境下では、ハルジオンをより好むことも観察できました。上記該当部分を線引きしておきました。
by fanseab | 2016-05-15 20:46 | | Comments(2)
Commented at 2016-05-20 21:44
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by fanseab at 2016-05-22 21:19 x
鍵コメさん、情報提供有難うございます。
今度、機会があれば確認・観察してみたいと思います。
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