探蝶逍遥記

ホシミスジの飼育メモ

 昨年秋に実施した飼育記録です。記事にアップするタイミングを逸しそうなので、思い切ってまとめてみました。採卵は東京都下。この時の記事こちら外部リンク
 シジミバナに産卵されていた2卵を飼育。初齢途中までシジミバナを、その後、ホスト調達が容易なユキヤナギに変えて終齢まで使用。孵化翌日の初齢幼虫です。

+++画像は基本、クリックで拡大されます+++
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D71K-1855改@26mm(トリミング)、ISO=100、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日:2014年9月21日

 体長2.1mm。葉の中脈上に静止する姿はNeptis属に共通するものですね。食痕を示します。
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D71K-1855改@24mm/18mm(トリミング)、ISO=100、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月21日

 左右ほぼ対称に、葉の縁から中脈方向に円弧状に食い切っていきます(左)。中脈まで到達すると、中脈を噛み切って葉を萎れさせ、中脈上に静止します(右)。その後、萎れた葉を糸で綴って巣を造り、幼虫は巣内部に潜入。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月25日

 シジミバナが枯渇したので、9月28日にホストをユキヤナギへ変更。但し幼虫はシジミバナの巣を変えることなく、そこに潜みつつ、ユキヤナギを摂食していきます。9月29日に2齢。
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D71K-1855改@24mm(上段のみ3コマ深度合成、トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月30日

 体長3.7mm。体色が緑色から褐色に変化。第1~3腹節あたりが尾端側より膨らんできました。この時期、幼虫は相当に敏感で、撮影目的でホストに触れたショックで直ぐに巣内に潜り込むため、幼虫全景の撮影に苦労しました。巣を破壊すれば撮影は容易ですけど、幼虫に無用なストレスを与えないための配慮です。2齢幼虫の食痕も例示します。
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D71K-1855改@18mm(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:9月29日

 10月2日眠、翌日3日に3齢。
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D71K-1855改@24mm(上段2コマ/下段4コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F13-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:10月6日

 体長6.6mm。一様だった体色が一変。第7~9腹節側背面側が濃褐色に。気門に沿った褐色ラインも目立つようになります。それと背面の棘状突起が発生しています。10月7日に眠、翌日4齢へ。
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D71K-1855改@24mm(3コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F13-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯、撮影月日:10月8日

 体長8mm。背面の模様が複雑になり、棘状突起はより発達。3齢より出現した第7~9腹節側面の白班が目立ってきました。なお、4齢への脱皮以降、それまで使用していた巣は放棄しました。 巣の全長より体長が優ったためでしょう。新規に巣を造り直すことはせず、ユキヤナギの枝上等に台座を作り、静止しております。13日に眠、翌日14日に5齢(終齢)。
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D71K-85VR(4コマ深度合成+トリミング)、ISO=160、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月26日

 体長20mm。第7~9腹節側面の白班は鮮やかな淡緑色に変化、体全体をホストの枯葉に擬態する効果があるのかもしれません。10月29日に前蛹へ。
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D71K-85VR(3コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F11-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月30日

 体長19mm。31日に蛹化。
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D71K-85VR(4コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F11-1/320、外部ストロボ、撮影月日:11月1日

 体長15mm。飴色で細かいひび割れのような黒線が入っています。11月18日頃、翅部分がやや黒化。19日朝には腹節も緩み、羽化が迫ってきたサイン。ホシミスジ独特の前翅中室白斑パターンもくっきりと確認できます。
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D71K-85VR(3コマ深度合成+トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:11月19日

 同日9時過ぎに♀が羽化。僅かな隙で今回も羽化の瞬間は確認できず。既に翅が伸びきった後に撮影。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:11月19日9時59分

 孵化後60日目でした。今回飼育に供した亜種setoensis(近畿低地型個体群※)は多化性が特徴で基本年3化ですが、小生は関西在住時、11月下旬に第4化と思しき新鮮な個体を撮影したことがあります。ですので、11月羽化は屋外でも少数ですが発生するのでしょう。

 さて、今回飼育に供した別の1卵は全く異なる経緯を辿りました。孵化は同日で2齢到達まではほぼ一緒。但し、10月上旬頃から摂食量が激減しました。今回羽化した個体が一日当たり50個程度の糞を出していた頃、別個体は僅か10個程度。明らかに越冬モードに入ったようでした。10月31日に3齢到達後、予想通り摂食を完全に止め、巣内で越冬態勢に入りました。保管は冷蔵庫ではなく、昼間は冷暗所、夜間は屋外に出す方式。年が明けて2015年3月12日に冬眠から覚め、巣から出てウロチョロし始めました。既に屋外のユキヤナギは新芽が出始めており、これを供しましたが、食いついてくれません。結局摂食不良で、3月19日に★様になってしまいました。素直に冷蔵庫保管にした方がよかったのか?幼虫越冬品の管理は結構難しいですね。ミスジチョウやオオオミスジ等年1化品の越冬幼虫保管はどのようなノウハウがあるのか?できれば他のNeptis類飼育にもチャレンジしたいものです。

※福田晴男、2012.日本産ホシミスジの現状と課題Ⅱ.やどりが(233):16-34.
by fanseab | 2015-08-23 10:44 | | Comments(2)
Commented by Sippo5655 at 2015-08-24 13:33
興味深く拝見させて頂きました!
初齢ちゃんは、ふさふさの毛に守られているのですね。
巣を作って大きくなるのですね。
4齢~白い紋様が本当だ、緑になってる!
食草の中にあったら、わからないかも!?
さなぎは茶色いメタリックに輝いて・・
成虫の裏側の茶色とリンクしているのかなあ??
羽化の瞬間、素晴らしいです(^-^)/
もう1人は残念でしたね・・
でも、自然界の中にあっても、無事羽化できる確率は低いのでしょう。
Commented by fanseab at 2015-08-25 21:27 x
Sippo5655さん、いつもコメント有難うございます。
初齢段階ではどんなタテハになるか想像もつきませんが、
2齢になるとミスジチョウらしい風貌になるのが面白いです。
屋外では越冬幼虫を除き、まだ本種幼虫を探索したことがなく、
「擬態効果」がどの程度あるのかは実感できておりません。
羽化品の瑞々しさはいつ見ても感動しますよね!
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