探蝶逍遥記

朽ち果てたテングチョウの蛹(5月下旬)

 先月下旬、コジャノメ産卵行動探索の際、林道のエノキを見上げると夥しい数のテングチョウの蛹が葉裏にぶら下がっておりました。しかも、殆ど全ての蛹は寄生されて変色しています。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34VR、ISO=400、F9-1/200、外部ストロボ、撮影時刻:14時30分

 この画面上で、少なくとも11頭の蛹が確認できますが、緑色を保持しているのは、僅かに2頭。それも本当に寄生されていないかは不明です。第1化で発生するべき蛹の数は膨大なので、エノキの葉裏だけではスペースが不足するためか、周辺の灌木にも蛹が鈴なり状態。これはネザサに付いていた寄生蛹群。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/125、外部ストロボ、撮影時刻:14時33分

 ↑のネザサの画像中央には偶然寄生蜂の姿が写し込まれておりました。テングチョウ大発生のニュースが届いてからもう、2年になるでしょうか?今回の第1化蛹の数を見る限り、未だに発生数が異常に多いことが伺えます。実は拙宅庭のエノキには現在2頭のテング終齢幼虫(恐らく2化世代)が付いておりますし、多摩川縁では先日複数頭の第1化♂がテリ張りバトルをしている光景が観察されました。この近辺でかれこれ30年近く観察経験がありますが、これほど当たり前にテングを観察できるのはやはり異常事態と言えましょう。テングの数が膨大に増加すれば当然、これを狙って寄生蜂(蠅)の個体数が増加するのでしょう。一方で寄生蜂個体数が増加し過ぎれば、今度は宿主のテング個体数が不足するため寄生蜂個体数も漸減する・・・・。こうしたプロセスを経て2~3年後には両者適正な個体数で安定収束するのでしょうね。
 テング蛹を狙っているのは、何も寄生種だけとは限りません。イチモンジチョウが一箇所を周回飛行しているので、継続観察していると、開閉翅しながら、ストローを伸ばし始めました。
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D71K-34VR(トリミング)、ISO=500、F11-1/250、外部ストロボ、撮影時刻:13時43分

 木蔭で見難いのですが、どうやらイチモンジが吸蜜していたのは、テング蛹の「腐敗した死体」。餌になるものなら、情け容赦なく利用するのが自然界の掟。テングの異常増加は動物性蛋白質好みのタテハチョウにとっても有難いことなのでしょう。更にテングの朽ち果てた蛹を見ていくと、こんな光景が。
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D71K-34VR、ISO=500、F11-1/320、外部ストロボ、撮影時刻:14時08分

 新鮮なテングが朽ち果てた蛹死体から吸汁しているような・・・。イチモンジチョウのような別種ならともかく、仲間の屍から吸汁するとは、何とも不届者なのだろうと思って観察すると、どうもテングの様子がおかしいのです。ストローも出していないし、ピクリとも動きません。この画像の反対側に回ってようやく理由が分かりました。実はこのテング、左後翅が羽化不全状態で蛹から抜け出せず、そのままミイラ状態になってしまった死体でした。寄生種の襲撃から何とか逃れても、羽化の瞬間に失敗すれば空を飛べない・・・。悲しいかなこれが蝶の性(さが)。テング大発生の裏には様々なドラマが隠されております。
by fanseab | 2015-06-08 22:55 | | Comments(2)
Commented by himeoo27 at 2015-06-09 20:34
クワガタムシのように、幼虫を飼育ビンで1頭づつ育てて
蛹になると人工蛹室に入れると、まず寄生されたり、羽化
不全になることは殆どありません。
しかし、ベランダであっても人間が介入せずに蝶の成長を
観察すると寄生されたり、羽化不全の個体が多いのには驚
かされます。
また、野外フィールドでもウラナミアカシジミの羽化不全
率高そうですね!
Commented by fanseab at 2015-06-09 21:43 x
himeooさん、寄生種にとっては宿主がちゃんと存在することが大前提ですから、
ベランダであろうと、どこであろうとも必死になって探し出すのでしょう。
ウラナミアカの羽化不全率まで詳しくは調べておりませんが、
個体数が多ければ、それだけ羽化不全個体発見率が高くなりそうですね。
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