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探蝶逍遥記

コツバメの産卵(4月中旬)

 ヒオドシチョウの産卵シーン狙いで、東京都下の谷戸に出向きました。気温は暖かく、タテハの産卵にとっては最高の日和。正午過ぎと推定される産卵タイムまでは、アカタテハやスジグロシロチョウ等の産卵シーン撮影。前回、卵塊を発見したエノキの枝先が一番産みそうなので、ここで待機します。しかし、結局、母蝶は出現せず、空振りに終わりました。
 この日はまだコツバメ♂がテリ張りをしておりました。以前から、ここのコツバメのホスト(食樹)に関する疑問が。。。。定番はアセビ。しかし、このポイントにはアセビの群落はありません。植栽のツツジはまだ花が咲いておらず、ユキヤナギの植栽もありません。その時、目に留まったのが真っ赤に目立つ植栽のシャクナゲです。駄目元で12時半頃から待機していると、期待通り、鈍いブルーのシジミがシャクナゲの周囲を飛び始めました。真っ赤な花に潜り込むと15秒以上は花弁から出てこないので、居場所を見失うことしきり。腹端の曲げを確認し、「おぉ!産卵だ!」とこちらが意気込んでも、「頭隠して尻も隠れる」パターンが続出(^^;

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
コツバメの産卵(4月中旬)_f0090680_2126148.jpg
D71K-34VR、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時34分

 ようやく全身を捉えた!と思ったら、今度は腹端がはっきり確認できません。
コツバメの産卵(4月中旬)_f0090680_21263916.jpg
D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時42分

 花弁の中央で腹端も曲げずに静止していることもあります。モニターでよく確認すると吸蜜しておりました。
コツバメの産卵(4月中旬)_f0090680_2127215.jpg
D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時34分

 花弁に潜り込んで産卵行動が終わると、♂同様の傾斜日光浴をして暫し休憩。
コツバメの産卵(4月中旬)_f0090680_21272286.jpg
D71K-34VR、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時43分

 何回か粘って、ようやく産卵したと確信できるシーンを撮影できました。
コツバメの産卵(4月中旬)_f0090680_212812100.jpg
D71K-34VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時44分

 腹端を曲げて3秒以上静止した場合は産卵しているようです。13時頃、母蝶が去った後、シャクナゲの花弁を詳細に調査。翡翠色の卵を確認した時は本当にホッといたしました。
コツバメの産卵(4月中旬)_f0090680_21285045.jpg
TG2@5.9mm(囲みは18mm)、ISO=200(同左800)、F2.4(同左4.9)-1/50(1/160)、内蔵LED、撮影時刻:13時00分

 開裂した花弁の隙間に押し込むように産み付けられております。飼育前提でお持ち帰りし、定番の超拡大撮影です。
コツバメの産卵(4月中旬)_f0090680_2129812.jpg
GX7-P1442@42mm-P14R(トリミング+上段:2コマ/下段:3コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/100、内蔵ストロボ+スレーブ2灯

 卵の直径は0.69mm。高さは0.42mm。表面を覆う網目模様は一見、ヒメシジミ族卵に類似しておりますが、卵の扁平度はヒメシジミ族とは異なり、ややずんぐりしております(コツバメはカラスシジミ族)。いつもなら、精孔部を真上から覗き込む正面像と真横からの側面像を撮り分けるのですけど、産卵状況から側面上方からの画像しか撮影できません(↑上段の画像)。何とか精孔部も撮りたいと思い、花弁開裂部を少し裂いてみたところ、卵が花弁から脱落しそうになったので中断(↑下段の画像)。母蝶は産卵時に腹端から出す接着剤で花弁に固着させる訳ですが花弁との接着力はとても弱いようです。逆に卵表面には接着剤がきちんと付いているので、譬え精孔部を真正面から覗き込んでも、今回の状況では接着剤が邪魔して綺麗な拡大像が撮れないのです。結局、正面像を綺麗に撮るためには、アセビやドウダンツツジのように、卵を蕾(もしくは花弁)表面に産み付ける状況下で再トライせねばならないことを悟りました。

 それにしても真紅の絨毯に包まれるように産み付けられた翡翠色の卵は華麗です。これまで卵の超拡大像を種々撮影してきましたが、コツバメほどフォトジェニックな産み方をする種類は知りません。とにかく、今回ようやく念願だったコツバメ産卵シーン撮影と卵拡大像撮影を実現することができました。今後、飼育にもトライし、成功した暁には再度ご報告したいと思います。
by fanseab | 2015-04-20 23:17 | | Comments(8)
Commented by dragonbutter at 2015-04-21 21:59
コツバメの産卵と卵撮影成功おめでとうございます。
シャクナゲの、しかも花弁に産卵ですか。
学術的に貴重なだけでなく、美的にも見ごたえがありますね。
飼育の続報も期待しております。
Commented by kmkurobe at 2015-04-21 22:02
これはすばらしい。おそれいりました。
Commented by Sippo5655 at 2015-04-22 21:13
シャクナゲの御殿に包まれる
コツバメのたまご
美しいですね!!

私、コツバメのこと、まだあまり知らなくて
アセビ以外にも様々な食樹があるんですね。

お持ち帰り 飼育・・・
うまくいきますように!!
Commented by fanseab at 2015-04-22 23:48 x
dragonbutterさん、コメント有難うございます。
何とか念願のコツバメ産卵シーン撮影をゲットできました。卵撮影は結構難易度高かったです。
ただ、撮影していてこれほどまでに綺麗な世界は初体験でした。アセビだとかなり地味でしょうね。
Commented by fanseab at 2015-04-22 23:50 x
kmkurobeさん、ここのコツバメは何を食うか?数年来の疑問が解けて、ヤレヤレでした。真紅の花に来る黒っぽい蝶は露出が難しいですね。ややオーバー気味にしないと地色が潰れてしまいます。来月の黒系アゲハ撮影の参考になりました。
Commented by fanseab at 2015-04-22 23:52 x
Sippo5655さん、この卵の環境は本当に美しいと思いました。コツバメは雑食性と言ったらなんですけど、相当食性が広いです。主としてツツジ科食いですが、バラ科やスイカズラ科まで食うようです。
飼育は蛹の管理をどうするか?が一番のポイントになりそうです。
Commented by otto-N at 2015-04-27 22:47 x
遅いコメントですみません。
一昨年、室生寺でコツバメがシャクナゲに産卵しているのを撮ったことがあります。
京都の寺院にはアセビがあり、コツバメも必ず飛んでおり、観光そっちのけで追い回していました。
当然、妻からはイェローカードです。
Commented by fanseab at 2015-04-28 22:00 x
otto-Nさん、コメント有難うございます。
室生寺のコツバメ産卵シーン拝見しました。
五重塔背景に広角でコツバメ産卵シーンが写せたらなぁと思いました。
ただし、コツバメを追跡するのに階段の上り降りが大変そうです(^^;
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