探蝶逍遥記

六本脚のテングチョウ(3月下旬)

 コツバメと遊んだ日はテングチョウ♀を少し拘って探してみました。前回は全く確認できず、少し時間帯を遅くして午後まで粘ってみたところ、成果が出ました。最初は白梅での吸蜜シーン。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
f0090680_2310835.jpg
D71K-34VR(トリミング) 、ISO=400、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時38分

 ファインダーで覗いている時は気が付かなかったのですが、モニターで拡大してビックリ! 前翅基部から中室を避けるように青緑色の幻光が伸びています。実は先日、ブログ仲間のSippoさん(外部リンクが記事で発表されていた個体と全く同じ現象を示しています。この日、10頭以上の吸蜜個体でチェックしましたが、青緑色に光っていたのは、この子だけでした。何故このように光るのか、仮説(私見)を述べてみると、
①閉翅して越冬する際、前翅基部側がもっとも空隙間隔が広く、ここに水滴や汚れが付着しやすい。水分が乾燥して薄膜状の汚れが形成された後、干渉色として青緑色に光る。汚れ方は個体差があり、全ての個体で現象は出現する訳ではない。
②本来、テング表翅の鱗粉は2層構造であり、2層目(下層)にはミドリシジミ類と同様な干渉色を示す鱗粉が存在するが、1層目(上層)に被覆されているため通常は干渉色が観察されない。①と同様な越冬中の環境変化により1層目が脱落するため、2層目が剥きだしになり、干渉色が発現する。羽化直の第1化新鮮個体でこのような幻光が観察されない事実とも符合する。
 なんちゃって的な私見ですが、果たして事実はどうでしょうか?因みに東南アジアにはムラサキテングチョウ(Lybithea geoffroyi)が棲んでいて、この子は和名通り、前後翅の広い範囲に青紫色の幻光が拡がり、「モルフォチョウ」を連想させます。ただ、ムラサキテングの干渉色と今回のテング表翅の色合いは全く異なります。
 面白いことに裏面が光る個体もおりました。
f0090680_23104975.jpg
D71K-34VR 、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時58分

 逆光で透かしてみると、いつでも観察できる現象なのか?それは管理人にも分かりません。ともかく白い梅の花、澄み切ったブルーの空を背景にとても素晴らしい眺めではありました。因みに上記2個体共に♀と思われます。

 さて、この日一番に発見した♀は、地を這うように飛んでいて、♂とは明らかに挙動が異なっておりました。
f0090680_23122950.jpg
D71K-34VR 、ISO=200、F10-1/800、-0.7EV、撮影時刻:10時09分

 画像右下囲みに拡大像を挿入しましたが、前脚をきちんと出して枯草を掴んでおり、「六本脚」状態です。タテハの♀は産卵行動の際、前脚連打時に臨時的に前脚を出すことが知られていますが、単に静止している時に六本脚で立つのはテングチョウだけでしょうね。白梅で吸蜜する際、前脚はどうしているのか確認してみました。
f0090680_23125889.jpg
D71K-34VR(トリミング) 、ISO=200、F10-1/800、外部ストロボ、撮影時刻:12時49分
f0090680_2313109.jpg
D71K-34VR 、ISO=400、F11-1/640、-1.0EV、撮影時刻:13時09分

 いずれのケースでもきちんと前脚を出して花弁等をしっかりと掴んでいるようです。特に2枚目のような止まり方だと前脚で花弁の縁を支えないとバランスが取り難いのでしょうね。♀にとって大切な栄養源を摂る吸蜜行動時に「六本脚」システムは大変有利に働くと思った次第。この日は撮影できませんでしたが、恐らく産卵行動時にもバランスを取る意味で、前脚を上手く利用しているのだと思います。

 この日は昼頃は初夏を思わせる陽気になったためか、吸水個体も目立ちました。こちらは♂の吸水シーン。
f0090680_23142926.jpg
D71K-34VR(トリミング) 、ISO=100、F11-1/500、-0.7EV、撮影時刻:11時55分

 ♂は「四本脚」で止まっております。最後に白梅バックでトライした飛翔シーンを貼っておきましょう。
f0090680_23144439.jpg
D71K-20(トリミング) 、ISO=500、F8-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時58分

 テングの飛翔も結構難易度の高い撮影対象ですが、吸蜜前後で飛翔スピードが多少緩やかになっていたので助かりました。
by fanseab | 2015-04-02 23:19 | | Comments(8)
Commented by yurinBD at 2015-04-03 06:28
テングチョウの翅の光り方、面白いですね!
今期、テングチョウを見つけるのが楽しみになりました。
最後の白梅背景の飛翔写真、素晴らしいですね!
Commented by 22wn3288 at 2015-04-03 08:38
テングチョウの翅でも幻光が見られるのですね。始めて見ました。
これから気をつけて見るようにしましょう。
Commented by Sippo5655 at 2015-04-03 21:42
本当だ、同じ光を放っていますね!
光る理由も、当たっているような気がしてきた。。

すごく勉強になりました。

・・・一見、蛾と思われても不思議でないようなこの蝶が、
早春に美しいブルーの輝きを放つことがあるなんて、

そしてそれが、厳しい越冬の成せるものだとしたら

神様からのご褒美

私流には、そう捉えてしまいました(^-^*)
Commented by fanseab at 2015-04-03 23:40
yurinBDさん、面白いでしょう!
Sippoさんの画像を拝見して、これは見てみたい・・・と思って必死に探してみたら、いました。
春先の楽しみが増えました。どこまで幻光の出る個体がいるのか、チャンピオン探しみたいな・・・。
白梅バックの飛翔は思いの他、上手く決まって満足しております。
Commented by fanseab at 2015-04-03 23:42
22wn3288さん、これは「幻光」なのか、あるいは実際の色合いなのか、まだまだ調査が必要なようです。
この時期にしか、見られないと思っていますが、新鮮個体では絶対に観察できないのか。も確認したいと思っております。
Commented by fanseab at 2015-04-03 23:45 x
Sippo5655さん、同じレベルの個体がいるとは思ってもいませんでした。もう少しブルーが広がる個体がいるか、探す楽しみが増えましたね。
まぁ、光る理由も含めて色々想像する楽しみもあります。六本脚も含め、生きてる化石と言われる蝶だけあって、色々と謎めいた蝶だと再認識いたしました。
Commented by ダンダラ at 2015-04-04 23:23 x
テングチョウの翅がこんな風に光るとは知りませんでした。
面白い現象ですね。
産卵中の前脚は確かに出していますね。
拙ブログの2014/4/24の記事にその写真がありますが、知識がないから、そのことにはまったく気が付いていませんでした。
Commented by fanseab at 2015-04-05 23:06 x
ダンダラさん、これまで越冬明けのテングに対しては、「あぁ、テングか・・・」程度にしか注意を払わなかったのですが、細かく見ると、色々と興味深い点があります。今年は昨シーズン大発生の影響か、越冬明け個体数が非常に多く感じるので、青緑色個体を見出すチャンスが増えたのかもしれません。
貴殿の'14/4/24付けの記事拝見しました。2枚のうち、1枚は4本脚で、常に6本脚を使っていないのも面白いと思いました。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード