探蝶逍遥記

台湾宜蘭縣遠征記(8)マダラチョウ2種

 タテハチョウ科のトップバッターはマダラチョウ亜科。今回はたったの2種。最初はコモンアサギマダラ(Tirumala septentrionis )。アゲハチョウが集う渓谷に多数の♂個体が吸水に訪れておりました。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34、ISO=200、F11-1/640、-0.7EV、撮影時刻:13時09分(5月28日)

 結構敏感で、撮影アングルを僅かに変化させただけでも飛び去ってしまいます。結構苦労して粘った末の一枚でした。続いて飛翔。吸水地点を移動する際は地面にほぼ平行に飛ぶので、置きピンで狙いやすい対象です。
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D71K-34、ISO=500、F7.1-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:9時41分(5月30日)

 続いて超広角で。
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GX7-10.5、ISO=500、F4相当-1/3200、撮影時刻:12時52分(5月28日)

 深い渓谷が何とか背景に収まりました。マダラチョウ類は一見フワフワとした飛び方で、飛翔写真が狙いやすそうですが、広角で接近戦を挑むと結構不規則な飛翔で、歩留りを落とします。本種も将にそんな難しさを感じました。
 台湾には本種と酷似したウスコモンマダラ(T.limniace limniace)も棲んでいます。今回のポイントではウスコモンを確認できませんでしたが、心覚えのために両種の識別点を明確にした比較画像を作成してみました。
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ウスコモン画像は2011年に台東縣で撮影

 Tirumala属4種の識別点については学研社の「標準図鑑(※)」に詳しく書かれております。コモン・ウスコモン2種の識別点は下記の3点。
(1)コモンでは、前翅中室端の凹字型青白紋の下端の接線(黄色破線)を外縁側へ延長した際、外縁で交わるA点は外縁の中央やや下に位置する。一方、ウスコモンでのA点は前翅後角付近に位置する。
(2)前翅1b室基部側から翅脈に平行に伸びる上下2個の青白紋Bは、
①コモンでは上下の紋が左右に分離する。
②ウスコモンでは、左右にズレずに重なる。
(3)前後翅共に、青白斑紋の面積は、ウスコモン>コモン。
その意味では「ウスコモン(薄小紋)」よりはむしろ「チュウモン(中紋)」の和名が相応しいかもしれません。
※白水隆、2006.日本産蝶類標準図鑑.学研、東京(2006),p.282

 なお、台湾では土着種としてコモンとウスコモンの2種のみが知られ、ミナミコモンマダラ(T.hamata)とニセミナミコモンマダラ(T.ishmoides)は迷蝶扱い。将来、台湾南部の蘭嶼島あたりを訪問した際は、フィリピンからの迷蝶由来としてミナミコモン、ニセミナミコモンも視野に入れ、観察・撮影・同定せねばならないでしょう。
 コモンマダラの次はお馴染みのツマムラサキマダラ(Euploea mulciber barsine)。コモンマダラのすぐ隣で吸水するシーンが見られました。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時41分(5月28日)

 コモンマダラ同様、相当に敏感で苦労しました。次は飛翔。
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D71K-34(トリミング)、ISO=500、F7.1-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:9時40分(5月30日)
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F7.1-1/4000、-1.0EV、撮影時刻:7時18分(6月1日)

 本種の撮影では、ボルネオあたりだとムラサキマネシアゲハ(Chilasa paradoxa)の存在(外部リンクを意識せねばなりませんが、ここ台湾では、その心配はありません。Euploea属としては管理人未撮影種のマルバネルリマダラ(E.eunice hobsoni)を期待していたのですけど、mulciber以外はさっぱり姿を見せず、本当にガッカリいたしました。<次回へ続く>
by fanseab | 2015-01-29 22:46 | | Comments(4)
Commented by Sippo5655 at 2015-01-31 21:38
コモンアサギマダラ・・・

これは、昆虫館にもいないマダラチョウ?

ブルーのラインがなんだか川の流れみたいで

特徴的ですね!

♂の吸水も、命がけなのでしょうか、

それとも種によって違うのかな。


以前、吸水するカラスアゲハを執拗に追いかけたことがありますが

とにかくハンミョウみたいに 近づけば逃げられたっけ(笑)

識別点、とてもわかりやすいですね。

マルバネルリマダラ・・・

いつかきっと逢えるでしょう(^o^)/
Commented by himeoo27 at 2015-02-01 15:40
確かにムラサキマネシアゲハは、ツマムラサキマダラ
に近似していますね!
台湾などの南国はマダラチョウの楽園という感じで
素晴らしいと思います。
Commented by fanseab at 2015-02-01 20:54 x
Sippo5655さん、コモンやウスコモンは確かに昆虫館では飼育されていません。普通はリュウキュウアサギマダラですね。いずれも飛翔中はどれもよく似ているので静止中を狙わないと同定が厳しいです。
アゲハと異なるのは個体数が結構多いのに集団が形成されず、各個体バラバラに吸水することでしょうか?
マルバネもそれほど悲観はしておりません。近い将来にきっと・・・。
Commented by fanseab at 2015-02-01 20:57 x
himeooさん、擬態種は騙されてしまう楽しみがあり、それが面白くて南方に通ったりしています。
<台湾などの南国はマダラチョウの楽園・・・
ただ、時期が合わないとこれも多化性故、全く会えない種が出たりするので、多種類が多数舞い飛ぶ、文字通りの「楽園」はなかなか実現されないのですよ。
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