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探蝶逍遥記

クロスジフユエダシャクの飛翔(12月初旬)

 ムラサキツバメの新規越冬集団探索を目的に、拙宅から程近い東京都下の某公園を訪ねました。ここはマテバシイの植栽密度が結構高く、以前の下見で好感触を得ていたポイントでした。ところが相当広範囲に探索するもムラツの姿はなし。マテバシイの植栽を子細にチェックすると、実生(ひこばえ)が殆ど刈り取られていて、ムラツ最終化の食痕も殆ど見当たりません。ひょっとすると植栽の管理が過剰で、越冬世代のムラツ個体数が意外と少ないのかもしれません。一方、公園内にはよく管理された雑木林があって、そこには丁度クロスジフユエダシャク(Pachyerannis obliquaria)が乱舞しておりました。うっかり冬尺に手を出すとハマリそうなので、これまで本ブログで記事にしたこともないのですが、流石にこの日は飛翔を撮ってみたくなりました。ここは雑木林の下草管理も徹底していてアズマネザサの株丈も低いため、コナラやクヌギの落葉が絨毯のように分厚く積もっております。その枯葉製絨毯の上を、まるで枯葉の化身のようにフユシャクが乱舞する姿は圧巻でした。先ずは300mmで狙ったショットの作例。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
クロスジフユエダシャクの飛翔(12月初旬)_f0090680_20194735.jpg
D71K-34(トリミング)、ISO=640、F4.5-1/2500、-0.7EV、撮影時刻:11時08分

 ほぼアウトプットイメージ通りに撮れました。ただ見かけ以上に俊敏で、画面内に収めるのに苦労します。
クロスジフユエダシャクの飛翔(12月初旬)_f0090680_2020871.jpg
D71K-34(トリミング)、ISO=640、F4.5-1/2500、-0.7EV、撮影時刻:11時08分

 この絵から分かるように、長い前脚を目一杯伸ばして飛行しております。普通、蝶類は脚を畳んで飛翔するのに対し、わざわざ風力抵抗を増加させる飛び方は独特です。ひょっとして触覚同様、前脚にも感覚器官が存在して♀のフェロモン検出に役立っているのでしょうか? それとも単に飛翔が下手糞なだけで、バランスを取るため前脚を突き出すのかな? 次はノートリ画像としてこの日のベストショット。
クロスジフユエダシャクの飛翔(12月初旬)_f0090680_20203828.jpg
D71K-34、ISO=800、F5-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:11時13分

 枯葉の直上を飛行する雰囲気はまずまず表現できました。♂の探♀行動は梢の上まで拡大しませんが、やや高い場所に上がった個体を縦位置トリミングで表現してみました。
クロスジフユエダシャクの飛翔(12月初旬)_f0090680_20205693.jpg
D71K-34(トリミング)、ISO=640、F4.5-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:11時11分

 彼らを観察していると、ある一定の時間間隔で数個体が一斉に飛翔するような気がします。この群飛状況を何とか表現しようと工夫してみるのですけど、これが結構難しい!やっとこさ2頭を画面の左右端に入れ込むのが精一杯でした。
クロスジフユエダシャクの飛翔(12月初旬)_f0090680_20211681.jpg
D71K-34(トリミング)、ISO=800、F5-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:11時13分

 ほぼ連続飛翔中の♂は、時折枯葉上に降りて日光浴をします。また翅を震わせながら枯葉の上でダンスを踊るような仕草を見せることがあります。
クロスジフユエダシャクの飛翔(12月初旬)_f0090680_2022814.jpg
D71K-34(トリミング)、ISO=800、F5-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:11時15分

 恐らくは枯葉の下に潜む♀がフェロモンを放出していて、フェロモンを嗅ぎつけた♂が興奮して翅をバタバタしていたのかもしれません。この日は残念ながら交尾ペアを発見することはできず。次に彼らが舞っている雑木林の環境描写目的にミラーレスに対角魚眼を付けて高速連射で飛翔を狙ってみました。最初は紅葉バックの絵。
クロスジフユエダシャクの飛翔(12月初旬)_f0090680_20224763.jpg
GX7-10.5、ISO=640、F8相当-1/2500、撮影時刻:10時47分

 一見緩やかに舞うクロスジはレンズが接近すると危険を察知して、敏速に上下左右に逃げていきます。最近全く広角飛翔撮影を実施していなかったので、置きピン感覚が錆びついていて、大変苦慮いたしました。
クロスジフユエダシャクの飛翔(12月初旬)_f0090680_20231614.jpg
GX7-10.5(トリミング)、ISO=640、F8相当-1/2500、撮影時刻:11時03分
クロスジフユエダシャクの飛翔(12月初旬)_f0090680_20233049.jpg
GX7-10.5(トリミング)、ISO=640、F8相当-1/2500、撮影時刻:11時03分
クロスジフユエダシャクの飛翔(12月初旬)_f0090680_20234064.jpg
GX7-10.5、ISO=640、F8相当-1/2500、撮影時刻:11時03分

 最後の絵は毎度おなじみの「ジャスピン画像画面端の法則」が完璧に適用されてしまった作例。「もうちょいカメラを上向きにしておれば・・・」と、何とも悔やみきれない画像になったのでした。これまで蛾の飛翔をこれほど真剣に実施したことはなかったのですが、息をハァハァ言わせながら飛翔を撮ると体が暖まり、冬場の運動不足解消によさそうです(^^)
by fanseab | 2014-12-06 20:28 | | Comments(6)
Commented at 2014-12-07 00:44 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by fanseab at 2014-12-07 21:17 x
鍵コメさん、当たらずとも遠からじ・・・、と言ったところです。まぁ、どこのポイントでも目的物が「いない」ことを証明するのは「いる」ことを証明するより遥かに大変ですね。
Commented by Sippo5655 at 2014-12-07 22:06
この子、この時季になるとついつい目が、、
だって、本当にチョウチョのように飛ぶんだもの。
それも、枯れ葉に紛れて、枯れ葉の精のように。
美しいと思いました。
はい、私も飛翔にチャレンジ中ですが、まだだめです(笑)
葉っぱの上に降りて
翅広げて、ちょこんとこちらを見つめることがあるんですよね。
蛾の飛翔を真剣に、同じでございます♪(*^・^)ノ
Commented by himeoo27 at 2014-12-08 20:56
この時期、陽だまりにノンビリ飛んでいるので
飛翔撮影にしたいと思いますが、
惨敗するのが想定されるので、いまだに挑戦し
ていません(涙)。
Commented by fanseab at 2014-12-08 21:47 x
Sippo5655さん、この子、意外と曲者で、すばしっこいんですよね。飛翔をトライして初めてわかりました。夜間に飛ぶフユシャクはとてもじゃないけど、相手にならないでしょう。交尾シーンなぞ探し始めると本題のムラサキツバメ探索が疎かになるので、真面目に探すのはやめときました。
Commented by fanseab at 2014-12-08 21:49 x
himeooさん、この蛾はノンビリと飛んでいるように見えるので、つい飛翔をトライしたくなったのです。ところが、ところが、結構強者で、相当歯ごたえがある相手でした。今回も広角飛翔は惨敗に近い出来でした(^^;
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