探蝶逍遥記

続・7年振りのサツマシジミ(11月上旬)

 前回探索からほぼ1週間経過、♂に次いで♀が発生している可能性もあることから、先ずは既知ポイント数箇所を訪問。しかし、♂も全く見られない場所もあり、個体数はどこでもそれほど多くはないことを実感します。正午前、新規ポイントに着いてすぐ、常緑樹の周りに絡む白いシジミを発見。飛び方からしてどうやら期待したサツマの♀のようです。そのうち、赤い熟果に止まりました。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34(トリミング)、ISO=200、F8-1/800、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時55分

 赤い実はクロガネモチ(モチノキ科)で、やはりサツマの♀でした。「すわっ、産卵か~!」と興奮して撮影しますが、腹を曲げておらず、どうやら産卵ではないようです。冷静に考えると、サツマ♀はこのような熟果ではなく、蕾や未熟果に産むはず。クロガネモチに産むとしても時期は6月頃で、第3化世代が利用するのでしょう。この♀個体、その後静止することもなく、どこかに雲隠れしてしまいました。仕方なく、探索を続けると、落葉樹に絡まった蔦植物の周りを♂が数頭飛んでいます。急傾斜の崖地故、撮影には難儀しますが、何とか証拠写真が撮れました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=200、F7.1-1/4000、-1.0EV、撮影時刻:13時17分

 ピクセル等倍に拡大してみるとストローが伸びており、♂の吸蜜シーンでした。吸蜜源はウコギ科のキヅタ。細かい花が無数にあり、サツマ以外にもテングチョウや、複数種の双翅目が沢山集っておりました。このポイントにはセイタカアワダチソウや、コセンダングサと言ったサツマが好みそうな丈の低い草本類が生えておらず、吸蜜シーン撮影には厳しい場所でした。仕方なく、吸蜜の途中を狙って、300mmで連射し、飛翔にチャレンジ。奇跡的にキヅタの蕾とサツマ双方にピントが来たコマが撮れたので、少し大きめの画像でご紹介しておきましょう。
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D71K-34(トリミング)、ISO=500、F7.1-1/4000、-1.0EV、撮影時刻:12時09分

 サツマが少し薄暗い場所を飛んでくれたので、白飛びせずにいい感じで仕上がりました。次いでもう一コマ。
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D71K-34(トリミング)、ISO=500、F7.1-1/4000、-1.0EV、撮影時刻:12時09分

 画面の端ですが、こちらの方が躍動感に溢れているかも。正午過ぎのサツマは相当に敏捷、かつ不規則に飛ぶので、300mmでの置きピン設定が大変難しく感じました。ヤクルリ♂もサツマ以上に敏捷ですが、テリ張り行動が顕著なので、テリ位置に戻る前後を狙えば比較的撮影は楽なのです。それに比較してサツマ♂の飛翔は探♀行動なのか、テリ張り行動なのか、目的がはっきりしない悩ましいパターンなので、泣かされてしまいます。
 さて、暫く♂と遊んだ(遊ばれた?)後、更にウロチョロ探索すると、不意にビワの木からサツマ♀が飛び立ち灌木に静止して開翅してくれました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/640、-1.0EV、撮影時刻:12時36分

 陽射しが強いので、開翅角度はこれが限界。グズグズ撮影していると、次第に翅を閉じてしまいます。次いでビワの葉上に飛び移った直後の開翅を狙ってみました。
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D71K-34、ISO=400、F10-1/640、-1.0EV、撮影時刻:12時40分

 やや露出がオーバー気味でガッカリ。ここで初めてこの子の左後翅が大破していることに気が付きました。実はもう1頭、ビワの木に絡む♀がいて、この子はどうやらピンシャンの別嬪さんでしたが、開翅してくれず、再度ガックリ。そのうち、最初の1頭がビワの蕾に静止。「今度こそ産卵か!」と緊張して撮影。
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D71K-34、ISO=400、F9-1/800、-1.0EV、撮影時刻:12時42分
 
 アングルが悪くて明確ではありませんが、産卵ではなく、吸蜜のようです。念のため、枝を引き下げて、蕾の周辺をチェックしましたが、卵は発見できず、吸蜜行動だったと結論しました。サツマシジミは広食性のシジミチョウで、季節毎にホストを変えるとされています。6-8月に蕾を付けるミミズバイ(ハイノキ科)は第3化世代が利用する有力ホストで、このポイントには沢山生えていることが確認できました。これがミミズバイの葉。
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TG2@4.5mm、ISO=200、F2.8-1/40、-0.3EV、撮影時刻:12時58分

 一方、10月下旬~11月に発生する最終世代(第5化?)がどのような木本ホストを利用しているのか? 実は未だ調査が不十分とされております。ビワ(バラ科)は有力候補ホストの一つで、その他、チャ(茶)、サザンカ(共にツバキ科)等が想定されております。また♂が熱心に吸蜜していたキヅタには♀が来訪せず、産卵も確認できておりません。直感的には産卵シーン撮影の適期は6-8月頃で、ミミズバイに来る♀を待機するのが最も楽なのかなと思いました。正確な産卵時間帯の調査を含め、これは来シーズン以降の課題です。

 7年振りのサツマ、色々と苦労しましたが、何とか♂♀を撮影できて苦労が報われました。♂前翅の抜けるような淡いブルーは本当に魅力的だなぁ~と改めて実感した次第です。
by fanseab | 2014-11-08 21:01 | | Comments(4)
Commented by himeoo27 at 2014-11-08 21:18
サツマシジミ雌雄撮影に挑戦し
狙い通り出逢って写せたことが
素晴らしいですね!
未見のチョウですが雌雄ともに
清楚な感じが素敵です。
Commented by Sippo5655 at 2014-11-09 09:25
思わずフィールドガイドをひもといてしまいました^^;
私などルリシジミと見分けがつきません~
北上している子なんですね。
たまたま昨日、ルリシジミを撮影していたので
じっくりその画像を見つめてしまいました。
はい、ルリシジミでした(笑)
7年ぶりって、、凄い出会いですね!
長年の想いとご努力の蓄積を感じます。
ビワって、バラ科なんですね。
いつも勉強になります♪
Commented by fanseab at 2014-11-09 21:24 x
himeooさん、何とか♂♀開翅が撮影できて探索の甲斐がありました。仰る通り、清楚で、特に♂の白さが印象的なシジミチョウです。
Commented by fanseab at 2014-11-09 21:27 x
Sippo5655さん、飛翔画像の表翅は淡いブルーで、瑠璃色のシジミチョウに見えますが、実際に飛んでる姿は純白に近く、ルリシジミとは異なるので区別できます。それとこの時期、ほとんどルリは飛んでいないので、それも区別点にはなりえます。
ちょうど7年前は静岡で急に個体数が増加した頃と重なりますので、ここ10年間で急速に東進した感じです。
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