探蝶逍遥記

メスグロ・ミドリヒョウモンの産卵行動(10月上・中旬)

 今年も9月過ぎから夏眠明けヒョウモン類の産卵シーズンに入り、各種産卵シーン撮影を画策しておりましたが、天候不良で悪戦苦闘しました。概ね正午前後の産卵コアタイムに陽射しが弱い天気が続き、産卵日和にならないのです。「正午が曇っていたから、夕方陽が差した時にでも産卵しようかしら・・・」と、人間ならスケジュール調整を考えるのでしょうけど、母蝶は悲しいかな本能に従い、産卵時間帯を安易にズラすことはできません。そのためなるべく長期間生存して少しでも産卵に好適な時をひたすら待つのでしょう。

 先ずはメスグロヒョウモン。本種は昨年産卵シーン撮影に成功(外部リンクしておりますが、今回は新規ポイントでの観察。昨年の経験を活かして、比較的陽射しの良い、尾根道で待機していると、運よく正午過ぎにフワフワと母蝶が飛来し、コナラの樹皮に産卵を開始しました。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-34、ISO=200、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時01分(10月上旬)

 秋の穏やかな陽射しを逆光で表現できて満足できるショットになりました。この後、別のコナラに移動し、例の如く、木登りしながら、徐々に高い場所に産み付けていきます。
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D71K-34(トリミング)、ISO=200、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時05分(10月上旬)

 この画像で概ね8m程度の高さです。再度低い場所に舞い戻り、産卵を再開。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時07分(10月上旬)

 この間、目線の届く高さに限定すると、合計8回「産卵ポーズ」を取りましたが、実際にはいずれも産卵しておらず、疑似産卵行動(空打ち)でした。これは昨年の観察結果と同様で、正規の産卵は、大略、10回(もしくはそれ以上)に1回程度しか行われないものと思われます。
 さて、お次はミドリヒョウモン。こちらは母蝶を見かけるチャンスがメスグロよりも少なく大苦戦。しかも産卵場所の選好性が不明なので手探りで観察を継続しました。幸いな事に、上記メスグロの産卵ポイントをミドリも好む事が判明。そこで待機して数回産卵シーンを目撃できました。先ずは産卵前に日光浴する母蝶の姿。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時24分(10月中旬)

 かなり汚損した個体ですね。残念ながら樹幹に産むシーンは撮影に失敗。立入禁止施設のフェンスの針金に産卵を試みるシーンのみ撮影できました。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時36分(10月中旬)

 フェンスの針金には3箇所、産卵を試みておりますが、いずれも「空打ち」で実際には産卵しておりません。また、樹肌に産卵した2箇所も必死に探索したものの卵を発見できず、この2箇所も「空打ち」でした。どうやら、ミドリについても観察頻度は少ないものの、メスグロ同様、相当な「空打ち」が多いように思えます。メスグロもミドリも生涯に数100卵は産み付けるとされています。そうだとすると、概ね数千回は「空打ち」作業をするのでしょう。腹端を対象物に擦り付けた際の微妙な触感を頼りに最適な産卵場所を探す過程で、このような空打ちをするのか?あるいは腹内の在庫卵数が減少してくると、産みたくても卵が放出されないのか?どちらなのでしょうね? 管理人が観察した経験で言えば、ツマグロヒョウモンはこのような「空打ち」が殆どなく、産卵姿勢を取った後を観察すると、ほぼ確実に産み付けています。種類毎に産卵挙動は色々と異なるものだと思います。来シーズンこそはミドリが「本当に産卵した」場面の撮影をしたいものです。なお、産卵を終えたと思われる時間帯に珍しく水田脇の畔で吸水するミドリ♀を観察できました。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時38分(10月中旬)

 アザミ等から糖分を補給するだけでなく、ミネラルやアンモニウムイオンを吸収しているのかもしれません。
 ♀にばかりスポットライトを当てましたが、ミドリ♂も頑張っておりました。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時05分(10月中旬)

 もはや原型を留めない姿で、健気に吸蜜する姿に感動いたしました。
by fanseab | 2014-10-14 21:53 | | Comments(4)
Commented by ごま at 2014-10-15 05:33 x
昨日、メスグロ卵狙いででかけました。幸いメスグロ♀を見つけて追跡しましたが、数分でロストしました(^_^;) スミレの近くの下草や枯れ枝に産むと想像していましたが、木に登りながら樹皮に産むとは驚きました。勉強になりました。
Commented by Sippo5655 at 2014-10-15 21:36
ミドリの樹皮での産卵は昨年始めて撮影しました。
今その画像を見直してみましたが、どっちなのか、、
メスグロもそうなんですね。
子供に、旅させるため?
どうして、ここに産卵を???
それがすごい疑問です。
ツマグロは素直にスミレに産卵するのに、
なぜ、この違いはどこから?
そういうことも生態として、フィールド図鑑に載っていたら、、なんて考えちゃいました。
Commented by fanseab at 2014-10-16 23:41 x
ごまさん、夜間♀は樹上で休息していて、通常そこからあまり離れていない場所で産卵するはずですが、別の場所に移動した事例なのでしょうね。産卵ポイントは、下草がある程度管理されたような比較的明るい雑木林を好む傾向にあります。樹皮に産む木の種類は関係ないですが、都市公園だと桜に産むケースが多いように思います。
Commented by fanseab at 2014-10-16 23:45 x
Sippo5655さん、アゲハチョウですと、母蝶が「産卵ポーズ」を取った場合は100%、実際に卵を産んでいますが、夏眠明けヒョウモン類の場合は偽産卵行動が多くて困ります。あたりかまわず産んでいるようで、実際には下草にスミレがちゃんと生えている場所を選んでいるのでしょうね。
母蝶の嗅覚には感心させられます。
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