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探蝶逍遥記

ヤマハンノキ食いミドリシジミの越冬卵(8月中旬)

 鈴鹿でキリシマ探索をしていた際、アカガシ休眠芽チェックと並行して、マンサクと思しき樹木でウラクロ越冬卵の探索もトライしておりました。遠征初日は特に雨模様でしたので、少し真面目に調べてみると、高さ1.5m程の下枝上にゼフ越冬卵を発見。発見した場所の状況です。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
ヤマハンノキ食いミドリシジミの越冬卵(8月中旬)_f0090680_2241935.jpg
TG2@4.5mm(トリミング)、ISO=200、F2-1/200、撮影時刻:13時17分

 黄丸印内が越冬卵の産卵場所。産卵状況拡大像です。
ヤマハンノキ食いミドリシジミの越冬卵(8月中旬)_f0090680_225788.jpg
TG2@18mm-gy8、ISO=400、F4.9-1/100、+2.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:13時13分

 矢印が越冬卵。枝分岐の凹部に下向きに産卵されております。この絵は枝を少し上方に向きを変えて撮影。次に拡大像です。
ヤマハンノキ食いミドリシジミの越冬卵(8月中旬)_f0090680_2254464.jpg
TG2@18mm、ISO=400、F14-1/100、+2.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:13時03分

 雨の影響で卵付近に水滴が被っていて微構造は良く見えません。そこで翌日天候が回復したのを見計らって、ミラーレスの超拡大システムで撮影。
ヤマハンノキ食いミドリシジミの越冬卵(8月中旬)_f0090680_225477.jpg
GX7-P1442-P14R(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=800、F14-1/50、LEDライト、撮影時刻:12時59分~13時01分

 直径は0.77mm、高さは0.34mm。側面方向(下)は合成処理に失敗しておりますが、正面画像(上)は満足すべき仕上がりです。さて、撮影した時点では「ウラクロ越冬卵の拡大撮影に成功したぞ~!」と意気込んでおりましたが、帰宅後、拡大像を図鑑やWEB画像と照合すると、①棘皮の長さがウラクロにしてはやけに短いこと。②網目構造もウラクロに比較して細かすぎることに気が付きました。更にキリシマ越冬卵とも構造が異なります(当初はキリシマの誤産卵も想定)。思案し続けても埒が明かないので、保全協会でもお世話になっているHさんに教えを乞いました。答えは明確で、「ミドリシジミの越冬卵です」とのことでした。ウラクロと誤認した理由も明確で、小生がマンサクと思い込んでいた樹木は「ヤマハンノキ」でした。ヤマハンノキの葉形は丸みを帯びていて、ちょっと見、マンサクそっくりです。しかも過去にキリシマ探索で鈴鹿を訪問した際、ウラクロも混棲している知見があったため、「ウラクロ越冬卵」と間違えたのでした。よくよく見れば、休眠芽の恰好や質感はマンサクとヤマハンノキでは全く異なります。

 今回の件は越冬卵探索素人の管理人にとっては良い経験となりました。なお、滞在2日目には同じような越冬卵を他に3個ほど発見しております。以上の経緯から、ひょっとするとその中に、本来の目的である「ウラクロ越冬卵」が混じっていたかもしれません。しかし残念な事に撮影をサボっていたので、今となっては、確認のしようがありません。
 まぁ、ともかく平地の湿地帯にあるハンノキ食いのミドリではなく、山地の渓谷沿いにあるヤマハンノキ食いのミドリシジミ越冬卵は初めての観察・撮影となりましたので、誤認体験も含めて良き思い出となりました。機会を見て、本物のウラクロ越冬卵を撮影したいものです。
by fanseab | 2014-08-19 22:09 | | Comments(6)
Commented by konty33 at 2014-08-23 23:49
拡大画像からすると確かにミドリシジミですね。
ヤマハンノキの細い枝先から見つけるとは凄いです。
成虫がいろいろ見られるこの時期から雨の中の探索には頭が下がります。
葉の形は似ていますが、書かれているようにマンサクは芽の形が特徴的で見分けるポイントにしています。
Commented by kenken at 2014-08-24 21:27 x
おっと、鈴鹿までお出かけでございましたかっ!
ずっとROMにてご無沙汰いたしておりましたが、久々にコメントです。
なるほど、これは確かにヤマハンノキ、いわゆるヤマミドリですね。ミドリだと湿地というイメージがあるのですが、ヤマミドリは湿地に関連しない場所にいるのでしょうか?ここは近くに「水」の存在はいかがでしたか?
実は、小生もこの夏、標高1000mクラスの乾燥した開けた空間のヤマハンノキでミドリの♀に出逢い驚きました。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2014-08-24 21:39
最近、頓に学術的な別ステージの写真をアップされていますね。
あれほど、綺麗に卵を撮影出来る秘訣ってあるのですか。
やはり、カメラとレンズのレベルでしょうか。
Commented by fanseab at 2014-08-24 22:10 x
konty33さん、貴殿ならヤマハンノキとマンサクを間違うなんて失態はないでしょうね。お恥ずかしい限りです。逆に言うと、マンサクと信じて探しておりましたから卵を発見できたかもしれません。ミドリは平地ハンノキで卵塊で産むイメージがありますので、恐らくヤマハンノキと分かっていたら、ミドリ越冬卵探索目的で枝先チェックはしなかったかもしれません。
Commented by fanseab at 2014-08-24 22:14 x
kenkenさん、ちょっぴりご無沙汰しております。こちらこそROMで毎度貴殿のご活躍を楽しみにしております。今回は事情があって、お膝元の京都に宿泊し、鈴鹿に出陣いたしました。この越冬卵を見出した場所は一応沢筋で、キリシマ越冬卵があったとしてもおかしくないような湿っぽい雰囲気ではあります。なまじ生息環境の先入観があると、色々と失敗すると反省しておるところです。
Commented by fanseab at 2014-08-24 22:17 x
ノゾピーさん、「学術的」と言われるとこそばゆいので、止めてくださいな(笑) ゼフ越冬卵の美しさに感動して以来、拡大撮影法を色々と工夫して参りました。最近はTG3とかコンデジでもそこそこの絵が撮れますが、収差を局限まで少なくし、解像度の高い画像を撮るにはそれなりにレンズ系が複雑になるのですが、その工夫がまた楽しみでもあるのですよ。
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