探蝶逍遥記

2013年度の飼育メモ:羽化に関する悲喜交々

 昨年飼育し、蛹で休眠越冬した3種について、その後の経過をまとめておきましょう。最初は房総半島産ヤマキマダラヒカゲ。こちらは昨年の大晦日、突然想定外の羽化(外部リンクに面食らいました。なにせ、真冬の事、屋外に出す訳にもいかず、拙宅トイレ内で飼育をすることに。。。。2-3日間隔で人工樹液(黒砂糖+リンゴ酢+水)を給餌する作戦で様子を見ました。真冬のトイレ内の気温は5-10℃程度。羽化後も殆ど活動せず、樹液を与えた時も息を吹きかけて体を暖めてあげないとストローを出しません。これは羽化後ほぼ2ヶ月を経過した吸蜜シーンです。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-85VR、ISO=400、F13-1/60、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:2月23日

 この後、徐々に弱っていき、3月11日に★様になりました。羽化後70日目のことでした。蝶の成虫寿命については、種毎の詳細データが乏しいと思われますが、最小活動量で保持すれば2ヶ月以上生き延びることを知り、驚きました。
 次はミヤマチャバネセセリ。蛹化までの過程は こちら(外部リンクをご覧下さい。3月に入ってから時々、蛹の様子を観察していたところ、20日過ぎから少し翅面が白味を帯びてきました。その後、明らかに羽化の兆候を示し、事態の推移を見守りました。
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D7K-85VR(トリミング+3-4コマ深度合成)、ISO=200/400、F11~13-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:3月25/28/29日

 3月29日の夜には腹節が完全に緩み、30日朝には羽化するものと思われましたが、残念ながらそこで息絶えて、羽化できませんでした。採卵からのフルステージ飼育に於いて、最後の最後で失敗すると、本当に辛い思いをします。もちろん、一番辛かったのは羽化できなかったミヤマチャバネでしょう。当たり前のように羽化して成虫になる個体もいれば、羽化不全で満足に飛べないまま一生を終える個体もいます。ましてや、当然羽化できると信じて、蛹のまま討死する惨めな最後を辿る個体もいる訳です。飼育下ではもちろんのこと、自然状態でも同様に討死する個体も多いことでしょう。ジグソーパズルは最後の1片が無ければパズルは完成しません。羽化が完了するにも同様な要素が必要で、今回はその最後の1片が欠けていたのでしょうね。

 お次は無事羽化したお話。アオスジアゲハの飼育過程の記事は こちら(外部リンク
この個体は本来羽化すべき昨年6月末時点でも羽化せず、休眠蛹のまま越冬しました。4月に入ってから日長条件を変化させるため、それまでトイレ内に保管していた個体を明るい窓際に移動しました。蛹の色変化を注意していなかったため、突然17日に羽化したのには慌てました。
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D71K-85VR、ISO=400、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:4月17日

 綺麗な♂でした。休眠期間は310日。本来は5月頃羽化するのでしょうね。ただ、保管場所を暗いトイレ内に放置した場合、ひょっとするともう一年休眠したままで、来年羽化・・・となるのでしょうか?一度実験してみたいものです。一年以上休眠する事例はツマキチョウでも経験しています。そのツマキチョウは昨年5月末に蛹化した個体(外部リンクを保管しておりますが、現時点でまだ羽化しておりません。上述したように、この個体は来年まで羽化しない可能性もあります。
by fanseab | 2014-04-19 21:20 | | Comments(9)
Commented by 6422j-nozomu2 at 2014-04-20 08:40
そうですか。自宅で成虫飼育ですか。エエ勉強になりますね。
ヤマキ成虫を70日間も生きさせるなんて、凄いですよ。
自然ではなかなかそうはいきません。
よほど、手製の餌が良かったのでしょうね。
わたしなら、ポカリを与えて、1週間で☆にさせてしまいそうです。(笑)
Commented by Sippo5655 at 2014-04-20 21:02
いろいろと勉強になります!
★になってしまったのは残念ですが
この子は、幸せな蝶生だったことは間違いありません。
心というものを、精一杯感じながら
その生涯をまっとうし、先輩たちに伝えているはずです。
アオスジって羽化の時鳴くという噂は、どうなのでしょう?
Commented by fanseab at 2014-04-21 21:33 x
ノゾピーさん、夏場なら安易に外に放したりするのですが、流石に真冬ですので、仕方なく室内放置しました。夏場で気温が高ければ、狭い室内でバサバサ飛び回るため、屋外よりも寿命は短かったでしょうね。1週間も持たなかったかもしれません。
Commented by fanseab at 2014-04-21 21:36 x
Sippo5655さん、飼育すると色々と想定外の事態が起きます。でも、そんな事態に遭遇すると、意外な事実が見えてくることもありますね。
「アオスジが鳴く」件、小生恥ずかしながら知りませんでした。翅を抜き取る際に擦れて、音が出るのでしょうか?
Commented by clossiana at 2014-04-22 11:36
蝶を飼育すると色々なことがわかる反面、かえって謎が増えてしまうのですね。今回の三種についてはいずれも大変に勉強になりました。
ヤマキマが冬の最中に羽化したことは記憶していましたが、それからそんなに長く生きていたとは驚きでした。すぐに☆になったのだと思っていました。ミヤマチャバネのように飼っていた個体が羽化間際に☆になるのを見るのは辛いですね。。
Commented by clossiana at 2014-04-22 11:51
追記です。アオスジですが仰られていますようにツマキでは似た例が知られていますし又アサヒヒョウモンでも羽化までに丸2年要するものと丸3年要する個体がいることが知られています。でもいずれも年1化の蝶です。今回の例はその意味でも興味深い事例だと思いました。
Commented at 2014-04-23 21:21
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by fanseab at 2014-04-23 21:53 x
clossianaさん、連続コメント有難うございます。
小生が飼育をする目的の一つは、食痕の確認で、野外での幼虫探索に役立てばと思ってやっています。乏しい経験から言えることは、全変態の中で、蛹化、および羽化はリスクが非常に高い点ですね。特に羽化寸前で★になるケースを結構経験しますが、辛いものです。
Commented by fanseab at 2014-04-23 21:56 x
鍵コメさん、情報有難うございます。
色々と迷っており、お邪魔する際は、よろしく
ご指導下さい。
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