探蝶逍遥記

コムラサキの越冬幼虫他(2月上旬)

 首題幼虫については、既に1月3日の記事(外部リンクでご紹介しました。この個体は現在拙宅から最短距離で観察できる場所にありますが、一昨年見出した「ご神木」のあるポイントは多摩川のもう少し上流側にあります。今回はそのポイントの現状確認。この日は折しもドンヨリとした曇り空で、本種越冬幼虫を探索するには絶好の日和です。現地11時半着。調査対象のヤナギ(正確な種類は未同定)を11本に絞り、各株約10分チェック。経験上、通常10分チェックして1個体も発見できなければその株は諦めた方が良く、逆に2個体ほど発見できると、その株には更に数頭潜んでいるケースが多いのです。結局、この日は12頭発見。一昨年は8株から24頭(外部リンク)を見出しており、そのシーズンに比較すると不作かもしれません。この日のご神木は樹肌に5頭付いていた「識別#11」の株でした。#11は夏場に母蝶が産卵していた株と同一で、化数によらず、好みの株が共通しているのは大変興味深い点です。実は、本年夏、母蝶産卵シーン撮影目的に、どの株で待ち伏せすれば効率的か?の重要なヒントを掴むべく、今回の探索を行ったのでした。

 コムラサキ越冬幼虫の体色は様々で、その多様性を今回ご紹介したいと思います。最初は茶褐色系の個体。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/100、-0.7EV、外部ストロボ+2灯スレーブ増灯、撮影時刻:12時42分

 頭部を下向きに体をくねらせて、周囲と見事に同化しております。お次は全体に灰白色部が目立つ個体。側面はほぼ灰白色です。
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D71K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/80、-1.3EV、外部ストロボ+2灯スレーブ増灯、撮影時刻:12時48分

 この個体を少し引き気味に撮影してみました。
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D71K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F22-1/80、-1.3EV、外部ストロボ+2灯スレーブ増灯、撮影時刻:12時49分

 更に魚露目レンズ系をテレコン付対角魚眼に交換して撮影。
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D71K-10.5-X1.4TC、ISO=100、F13-1/200、-0.7EV、外部ストロボ+2灯スレーブ増灯、撮影時刻:13時28分

  このカットを撮影している時点で少し陽射しが出てきて探索には悪条件になっておりました。曇り日ですと、こんな状態でも幼虫の色彩は周囲の樹肌と微妙に異なるので発見が容易になります。逆に快晴だと、樹肌の平滑部と溝のコントラスト差が強くなり、ギラつく樹肌に惑わされ、幼虫の存在がぼやけてしまうのです。

 次はやや黒味の強い個体。
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D71K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/80、-0.7EV、外部ストロボ+2灯スレーブ増灯、撮影時刻:12時57分

 ヤナギの樹肌は脆く、剥がれやすい性質があります。その剥がれた箇所に潜んだ個体です。剥がれた部分と幼虫の体色差が大きく、幼虫が比較的目立つため、発見しやすい状況になっています。最後は最初に例示した個体に比較してやや淡褐色が優る個体。
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D71K-1855VR@52mm-gy8(トリミング)、ISO=100、F29-1/125、-1.3EV、外部ストロボ+2灯スレーブ増灯、撮影時刻:12時57分

 これは見事に周囲と同化した部類ですね。以上、ご覧頂いたように幼虫色彩は変化に富んでいます。ざっと見て、ヤナギ樹肌周囲と見事に同化した個体とそうでないものに分かれることに気が付きます。越冬準備段階の幼虫が樹肌上を歩き回り、越冬場所を確定した後、

「えーっと、俺の周囲は黒い部分が多いから、少し黒色色素を多めにしようか?」
「私の周りは灰色が目立つから、灰色に変化してみようかしら・・・♪」

等と色素調節を能動的に実施しているのでしょうか?まぁ、管理人はそうではなく、幼虫の体色はどこに潜むかは関係なく、各個体の色彩が偏らないように予めランダムに変化するよう、遺伝子に刷り込まれているような気がします。たまたま樹肌と見事に同化した個体を見ると、「能動的色彩変化説」を支持したくなりますが、例外的個体も多いことから、「ランダム色彩変化説」が妥当なのかな、と思います。この仮説を検証するためには、大量のコムラサキ越冬前幼虫を確保して、様々な色調の疑似樹肌を準備してこの上で越冬させ、色彩変化を確認すると共に、参照実験として、同数の個体を一定色の疑似樹肌に止まらせて、色調変化を検証することが必要でしょう。どなたか、上記実験をして頂ける方はおりませんか?

 さて、コムラサキの越冬幼虫探索中、ヤナギ樹肌上では様々な越冬小昆虫に出会いました。一度、これまた樹肌と見事に同化したシャクガと思しき幼虫を発見したのですが、こちらの刺激でどこかに移動してしまい撮影には失敗(^^; 次いで現れたのは体長6mmほどのヨコバイの一種。
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D71K-1855VR@52mm-gy8(トリミング)、ISO=100、F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ+2灯スレーブ増灯、撮影時刻:13時01分

 ネットで検索すると、どうやらズキンヨコバイ(Idiocerus vitticollis)の越冬個体のようです。以前、ブログ仲間のkonty33さんもこのヨコバイを撮影(外部リンク)されておりました。それにしても、この子の擬態も見事です。魚露目に引き続き、85mmマクロで撮影しようとする間に、この子も行方不明に(^^;  越冬中じっと静止しているコムラサキ幼虫と異なり、越冬中も移動可能な相手は難敵ですね! 

 穏やかな冬の一日。曇り日が幸いして色々と楽しめた河川敷探索となりました。
by fanseab | 2014-02-05 21:35 | | Comments(4)
Commented by 22wn3288 at 2014-02-07 09:13
コムラサキの蛹の擬態 見事ですね。
目が悪い小生には見つけられそうにありません。
色彩変化の要因は、おっしゃる通り実験が必要になるようですね。
どちらなのか知りたいですね。
Commented by fanseab at 2014-02-07 22:25 x
22wn3288さん、小生も老眼が進んで発見は厳しいのですが、一度、発見方法を会得してしまうと、かなり容易に見出すことができるようになりました。
色彩変化は小生の勝手な屁理屈を述べただけで、実際の所はどうなんでしょうね?
Commented by himeoo27 at 2014-02-08 12:14
ヨコバイの仲間は、小さいけれど結構綺麗な
個体が多いように感じます。
但し、動き回るので撮影困難&同定困難と
2重に難しいのが困りものですが。
Commented by fanseab at 2014-02-09 20:19 x
himeooさん、仰る通りで、拡大してみると、とても魅力的な種類が多いと思います。また真冬にも拘らず、結構活動的なので、ビックリしました。
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